2020/10/25(日) - 07:12
1級山岳セストリエーレにフィニッシュするジロ・デ・イタリア第20ステージでテイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ)が2勝目を飾り、ジェイ・ヒンドレー(サンウェブ)がタイム差0秒でマリアローザを獲得。グランツールの歴史上初めて、総合トップツーが同タイムで最終日を迎える。
最終日前日にアルプス山脈を横断する獲得標高差5,000mのタッポーネ(クイーンステージ)が設定されていた2020年のジロ・デ・イタリア。しかし新型コロナウイルス感染状況の再悪化に伴って隣国フランスに立ち寄ることができなくなったため、主催者RCSスポルトは大幅なコース変更を強いられた。スタート地点アルバとフィニッシュ地点セストリエーレは変わらずそのまま同じだが、フランス国境に佇む標高2,744mの1級山岳アニェッロ峠や1級山岳イゾアール峠はコースから省かれ、代わりに標高2,035mのセストリエーレを3回登坂するコースが採用された。
まずは東側から2級山岳セストリエーレを登り、西側に下ってから1級山岳を2回登り返すレイアウト。これにより獲得標高差は5,000mから3,500mに、そしてステージ全長は198kmから190kmに大幅ダウン。2006年のトリノ冬季五輪の会場となったスキーリゾート地で、マリアローザ最終決戦が繰り広げられることとなった。
逃げ切り勝利のラストチャンスだけに、この日も大勢の選手たちがスタート直後のアタック合戦に加わった。高速な展開から抜け出したのは21名。総合で33分12秒遅れのブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)やマリアチクラミーノのアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)を含むこの逃げ集団は、標高2,035mのセストリエーレに向けて標高を上げながら、メイン集団とのタイム差を7分15秒まで広げることに成功した。
逃げ集団を形成した21名
ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール)
ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン)
フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
カミル・マウェツキ(ポーランド、CCCチーム)
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)
ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
タネル・カンゲルト(エストニア、EFプロサイクリング)
アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
シモン・グリエルミ(フランス、グルパマFDJ)
ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)
マシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)
エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、モビスター)
アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、NTTプロサイクリング)
マッテオ・ソブレロ(イタリア、NTTプロサイクリング)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ニコラ・コンチ(イタリア、トレック・セガフレード)
ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
第1スプリント(52km地点)を先頭通過したデマールはポイント賞2位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に49ポイント差をつけてマリアチクラミーノをほぼ手中に。山岳賞上位選手が逃げに乗らなかったため、集団内に残ったルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング)も事実上マリアアッズーラを確定させている。
2級山岳セストリエーレの長い登りでメイン集団の牽引したアスタナがタイム差を5分まで詰め、フィニッシュまで残り60kmを切ったところでイネオス・グレナディアーズが集団のペース作りを開始する。サルヴァトーレ・プッチョ(イタリア)やフィリッポ・ガンナ(イタリア)を先頭にして、2018年ジロ第19ステージでクリストファー・フルーム(イギリス)が80km独走&総合逆転を果たした際に走った県道23号線を駆け上がる。
ドゥクーニンク・クイックステップ率いる逃げ集団は、唯一のUCIプロチーム所属選手であるフィオレッリを先頭に、メイン集団からタイム差4分で最初の2級山岳セストリエーレを通過。下り区間で先頭を奪ったバッレリーニがそのまま1級山岳セストリエーレ(全長6.9km・平均7.2%)の登坂を開始した。
正式な登坂距離は6.9kmで平均勾配7.2%だが、残り12.8kmからフィニッシュまで平均勾配5%の登りが続く1級山岳セストリエーレ。軽量な体躯を生かした登坂力で追走グループから飛び出したルビオが先頭バッレリーニを追い抜いた一方で、メイン集団はイネオス・グレナディアーズはハンマーをふるい落とす。集団先頭でプッチョ、ガンナ、ジョナタン・カストロビエホ(スペイン)、ベン・スウィフト(イギリス)がリレーを繋ぎ、2日前のステルヴィオ峠でアシストとして好走したローハン・デニス(オーストラリア)がもう一段ペースを上げる。すると、すぐにマリアローザのケルデルマンが遅れ始めた。
デニスのペースに付いていくことができたのは総合2位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)と総合3位テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)だけ。脱落したケルデルマンはその他の総合上位陣とともに追走グループを形成したものの、明確にマリアビアンカグループ(ヒンドレー&ゲイガンハート)とのタイム差は広がっていく。
先頭に躍り出たルビオはマリアビアンカグループ(ヒンドレーやゲイガンハート)から1分30秒、トレック・セガフレードとドゥクーニンク・クイックステップ、バーレーン・マクラーレン率いるマリアローザグループ(ケルデルマンやアルメイダ、ビルバオ)から2分10秒のリードで1級山岳セストリエーレをクリアして再び下り区間へ。追走を続けたバッレリーニとセリーが残り11km地点で先頭ルビオを捕らえたものの、まるで機関車のように先頭固定で引き続けるデニスによって逃げは全て飲み込まれた。
デニス列車が先頭に立った時点でマリアローザのケルデルマンは1分45秒遅れ。最後の1級山岳セストリエーレの麓に設定された第2スプリントでは、鋭い加速を見せたヒンドレーが先頭通過してボーナスタイム3秒獲得している(ゲイガンハートは2番手通過で2秒獲得)。
ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の牽引によってマリアビアンカグループとマリアローザグループのタイム差は縮小に転じたものの、それでもケルデルマンは先頭から1分30秒遅れのまま。カウンターアタックを仕掛けた総合5位ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)が逃げていたセリーのアシストを受けてケルデルマンらを引き離すことに成功する。
先頭3名の中でアタックしてライバルを引き離す必要があるのは、個人タイムトライアルでタイムを失う可能性が高いヒンドレー。マリアビアンカからマリアローザへの衣替えを目指すヒンドレーは、残り3.5km地点、残り2.5km地点、残り1.3km地点でアタックを連発したものの、ゲイガンハートを引き離すことはできない。今大会最も登れている2人が、肩を並べて残り1kmを切った。
2日前はゲイガンハートが前を引いてヒンドレーが後ろからスプリント。この日はヒンドレーが前を引いてゲイガンハートが後ろからスプリント。残り150mから始まったスプリントで、ゲイガンハートがヒンドレーを下してフィニッシュした。デニスの好アシストを受けたゲイガンハートがステージ2勝目を飾り、アルメイダは1分01秒遅れ、ビルバオとケルデルマンは1分35秒遅れでフィニッシュしている。
「昨年と同様に予測不能で、今年も若い選手が活躍を見せている。ステルヴィオのステージに続いて、今日もローハン・デニスの走りは抜群だった。新旧2人のタイムトライアル世界チャンピオンのサポートを受けるのはファンタスティック。美しい1日になった」と、ステージ2勝目を飾ったゲイガンハートは語る。イネオス・グレナディアーズは今大会ステージ6勝目を飾った。
第20ステージのスタート時点でヒンドレーとゲイガンハートの総合タイム差は3秒。この日、ヒンドレーは第2スプリントで3秒&フィニッシュで6秒(合計9秒)、ゲイガンハートは第2スプリントで2秒&フィニッシュで10秒(合計12秒)のボーナスタイムを獲得。タイム差なしでフィニッシュしたため、ボーナスタイムにより両者は総合成績で同タイムとなった。
同タイムで並んだ場合は、規定により、ここまで行われた2つの個人タイムトライアルで計測された0.01秒単位のタイムによってジャージの持ち主が決まる(小数点以下を足した数字で決まる)。その結果、タイム差0秒でヒンドレーがマリアローザを獲得。長いグランツールの歴史上初めて、2人の選手がタイム差0秒で最終日を迎えることとなった。総合3位ケルデルマンは1分32秒遅れで続いている。
第1ステージ(15.1km)個人タイムトライアル
ヒンドレー:16分39秒19
ゲイガンハート:17分28秒56
第14ステージ(34.1km)個人タイムトライアル
ゲイガンハート:45分04秒52
ヒンドレー:46分19秒03
「グランツールで総合リーダーになるなんて夢を見ているようだ。信じられない気持ちに包まれている。今日はテイオ(ゲイガンハート)をマークして、何回かアタックしたけど引き離せなかった。彼が個人タイムトライアルで強いことは知っているけど、ここまで3週間走っている(疲れている)ので何が起こるか分からない。マリアローザを守るために全力で走るだけだ」と総合首位ヒンドレーは語る。
ヒンドレーはマリアローザを、ゲイガンハートはマリアビアンカを着て最終日の15.7km個人タイムトライアルを走る。いずれも主催者から供給されるもので、ジャージの性能の差は無し。両者ともに登りを得意とするクライマーで、タイムトライアルではゲイガンハートに分がある。今大会ここまでの個人タイムトライアルの結果を振り返ると、特殊なコースレイアウトの第1ステージ(15.1km)でゲイガンハートはヒンドレーから49秒失っているものの、第14ステージ(34.1km)では1分15秒リード。さらに遡ると、ティレーノ〜アドリアティコ第8ステージ(10.1km)でゲイガンハートはヒンドレーから6秒リードしている。
過去のミラノ最終個人タイムトライアルの成績を見ると、28.2kmの平坦コースで行われた2012年にライダー・ヘシェダル(カナダ)がホアキン・ロドリゲス(スペイン)に47秒差をつけて総合逆転、29.3kmの平坦コースで行われた2017年にはトム・デュムラン(オランダ)がナイロ・キンタナ(コロンビア)に1分24秒差をつけて総合逆転を果たしている。
10月25日(日)16時06分にケルデルマン、16時9分にゲイガンハート、そして16時12分にヒンドレーがスタート台を駆け下りる。15.7kmの個人タイムトライアルの優勝予想タイムは17分前後。シチリア島で始まった3週間の戦いが、ミラノ中心地ドゥオーモの前でフィナーレを迎える。
最終日前日にアルプス山脈を横断する獲得標高差5,000mのタッポーネ(クイーンステージ)が設定されていた2020年のジロ・デ・イタリア。しかし新型コロナウイルス感染状況の再悪化に伴って隣国フランスに立ち寄ることができなくなったため、主催者RCSスポルトは大幅なコース変更を強いられた。スタート地点アルバとフィニッシュ地点セストリエーレは変わらずそのまま同じだが、フランス国境に佇む標高2,744mの1級山岳アニェッロ峠や1級山岳イゾアール峠はコースから省かれ、代わりに標高2,035mのセストリエーレを3回登坂するコースが採用された。
まずは東側から2級山岳セストリエーレを登り、西側に下ってから1級山岳を2回登り返すレイアウト。これにより獲得標高差は5,000mから3,500mに、そしてステージ全長は198kmから190kmに大幅ダウン。2006年のトリノ冬季五輪の会場となったスキーリゾート地で、マリアローザ最終決戦が繰り広げられることとなった。
逃げ切り勝利のラストチャンスだけに、この日も大勢の選手たちがスタート直後のアタック合戦に加わった。高速な展開から抜け出したのは21名。総合で33分12秒遅れのブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)やマリアチクラミーノのアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)を含むこの逃げ集団は、標高2,035mのセストリエーレに向けて標高を上げながら、メイン集団とのタイム差を7分15秒まで広げることに成功した。
逃げ集団を形成した21名
ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール)
ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン)
フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
カミル・マウェツキ(ポーランド、CCCチーム)
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)
ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
タネル・カンゲルト(エストニア、EFプロサイクリング)
アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
シモン・グリエルミ(フランス、グルパマFDJ)
ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)
マシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)
エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、モビスター)
アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、NTTプロサイクリング)
マッテオ・ソブレロ(イタリア、NTTプロサイクリング)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ニコラ・コンチ(イタリア、トレック・セガフレード)
ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
第1スプリント(52km地点)を先頭通過したデマールはポイント賞2位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に49ポイント差をつけてマリアチクラミーノをほぼ手中に。山岳賞上位選手が逃げに乗らなかったため、集団内に残ったルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング)も事実上マリアアッズーラを確定させている。
2級山岳セストリエーレの長い登りでメイン集団の牽引したアスタナがタイム差を5分まで詰め、フィニッシュまで残り60kmを切ったところでイネオス・グレナディアーズが集団のペース作りを開始する。サルヴァトーレ・プッチョ(イタリア)やフィリッポ・ガンナ(イタリア)を先頭にして、2018年ジロ第19ステージでクリストファー・フルーム(イギリス)が80km独走&総合逆転を果たした際に走った県道23号線を駆け上がる。
ドゥクーニンク・クイックステップ率いる逃げ集団は、唯一のUCIプロチーム所属選手であるフィオレッリを先頭に、メイン集団からタイム差4分で最初の2級山岳セストリエーレを通過。下り区間で先頭を奪ったバッレリーニがそのまま1級山岳セストリエーレ(全長6.9km・平均7.2%)の登坂を開始した。
正式な登坂距離は6.9kmで平均勾配7.2%だが、残り12.8kmからフィニッシュまで平均勾配5%の登りが続く1級山岳セストリエーレ。軽量な体躯を生かした登坂力で追走グループから飛び出したルビオが先頭バッレリーニを追い抜いた一方で、メイン集団はイネオス・グレナディアーズはハンマーをふるい落とす。集団先頭でプッチョ、ガンナ、ジョナタン・カストロビエホ(スペイン)、ベン・スウィフト(イギリス)がリレーを繋ぎ、2日前のステルヴィオ峠でアシストとして好走したローハン・デニス(オーストラリア)がもう一段ペースを上げる。すると、すぐにマリアローザのケルデルマンが遅れ始めた。
デニスのペースに付いていくことができたのは総合2位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)と総合3位テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)だけ。脱落したケルデルマンはその他の総合上位陣とともに追走グループを形成したものの、明確にマリアビアンカグループ(ヒンドレー&ゲイガンハート)とのタイム差は広がっていく。
先頭に躍り出たルビオはマリアビアンカグループ(ヒンドレーやゲイガンハート)から1分30秒、トレック・セガフレードとドゥクーニンク・クイックステップ、バーレーン・マクラーレン率いるマリアローザグループ(ケルデルマンやアルメイダ、ビルバオ)から2分10秒のリードで1級山岳セストリエーレをクリアして再び下り区間へ。追走を続けたバッレリーニとセリーが残り11km地点で先頭ルビオを捕らえたものの、まるで機関車のように先頭固定で引き続けるデニスによって逃げは全て飲み込まれた。
デニス列車が先頭に立った時点でマリアローザのケルデルマンは1分45秒遅れ。最後の1級山岳セストリエーレの麓に設定された第2スプリントでは、鋭い加速を見せたヒンドレーが先頭通過してボーナスタイム3秒獲得している(ゲイガンハートは2番手通過で2秒獲得)。
ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の牽引によってマリアビアンカグループとマリアローザグループのタイム差は縮小に転じたものの、それでもケルデルマンは先頭から1分30秒遅れのまま。カウンターアタックを仕掛けた総合5位ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)が逃げていたセリーのアシストを受けてケルデルマンらを引き離すことに成功する。
先頭3名の中でアタックしてライバルを引き離す必要があるのは、個人タイムトライアルでタイムを失う可能性が高いヒンドレー。マリアビアンカからマリアローザへの衣替えを目指すヒンドレーは、残り3.5km地点、残り2.5km地点、残り1.3km地点でアタックを連発したものの、ゲイガンハートを引き離すことはできない。今大会最も登れている2人が、肩を並べて残り1kmを切った。
2日前はゲイガンハートが前を引いてヒンドレーが後ろからスプリント。この日はヒンドレーが前を引いてゲイガンハートが後ろからスプリント。残り150mから始まったスプリントで、ゲイガンハートがヒンドレーを下してフィニッシュした。デニスの好アシストを受けたゲイガンハートがステージ2勝目を飾り、アルメイダは1分01秒遅れ、ビルバオとケルデルマンは1分35秒遅れでフィニッシュしている。
「昨年と同様に予測不能で、今年も若い選手が活躍を見せている。ステルヴィオのステージに続いて、今日もローハン・デニスの走りは抜群だった。新旧2人のタイムトライアル世界チャンピオンのサポートを受けるのはファンタスティック。美しい1日になった」と、ステージ2勝目を飾ったゲイガンハートは語る。イネオス・グレナディアーズは今大会ステージ6勝目を飾った。
第20ステージのスタート時点でヒンドレーとゲイガンハートの総合タイム差は3秒。この日、ヒンドレーは第2スプリントで3秒&フィニッシュで6秒(合計9秒)、ゲイガンハートは第2スプリントで2秒&フィニッシュで10秒(合計12秒)のボーナスタイムを獲得。タイム差なしでフィニッシュしたため、ボーナスタイムにより両者は総合成績で同タイムとなった。
同タイムで並んだ場合は、規定により、ここまで行われた2つの個人タイムトライアルで計測された0.01秒単位のタイムによってジャージの持ち主が決まる(小数点以下を足した数字で決まる)。その結果、タイム差0秒でヒンドレーがマリアローザを獲得。長いグランツールの歴史上初めて、2人の選手がタイム差0秒で最終日を迎えることとなった。総合3位ケルデルマンは1分32秒遅れで続いている。
第1ステージ(15.1km)個人タイムトライアル
ヒンドレー:16分39秒19
ゲイガンハート:17分28秒56
第14ステージ(34.1km)個人タイムトライアル
ゲイガンハート:45分04秒52
ヒンドレー:46分19秒03
「グランツールで総合リーダーになるなんて夢を見ているようだ。信じられない気持ちに包まれている。今日はテイオ(ゲイガンハート)をマークして、何回かアタックしたけど引き離せなかった。彼が個人タイムトライアルで強いことは知っているけど、ここまで3週間走っている(疲れている)ので何が起こるか分からない。マリアローザを守るために全力で走るだけだ」と総合首位ヒンドレーは語る。
ヒンドレーはマリアローザを、ゲイガンハートはマリアビアンカを着て最終日の15.7km個人タイムトライアルを走る。いずれも主催者から供給されるもので、ジャージの性能の差は無し。両者ともに登りを得意とするクライマーで、タイムトライアルではゲイガンハートに分がある。今大会ここまでの個人タイムトライアルの結果を振り返ると、特殊なコースレイアウトの第1ステージ(15.1km)でゲイガンハートはヒンドレーから49秒失っているものの、第14ステージ(34.1km)では1分15秒リード。さらに遡ると、ティレーノ〜アドリアティコ第8ステージ(10.1km)でゲイガンハートはヒンドレーから6秒リードしている。
過去のミラノ最終個人タイムトライアルの成績を見ると、28.2kmの平坦コースで行われた2012年にライダー・ヘシェダル(カナダ)がホアキン・ロドリゲス(スペイン)に47秒差をつけて総合逆転、29.3kmの平坦コースで行われた2017年にはトム・デュムラン(オランダ)がナイロ・キンタナ(コロンビア)に1分24秒差をつけて総合逆転を果たしている。
10月25日(日)16時06分にケルデルマン、16時9分にゲイガンハート、そして16時12分にヒンドレーがスタート台を駆け下りる。15.7kmの個人タイムトライアルの優勝予想タイムは17分前後。シチリア島で始まった3週間の戦いが、ミラノ中心地ドゥオーモの前でフィナーレを迎える。
ジロ・デ・イタリア2020第20ステージ結果
1位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 4:52:45 |
2位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | |
3位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:25 |
4位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:01 |
5位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール) | 0:01:34 |
6位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | 0:01:35 |
7位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
9位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) | 0:01:48 |
10位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:00 |
11位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:02:02 |
12位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:02:09 |
16位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) | 0:02:28 |
17位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
18位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:02:36 |
20位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:41 |
48位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:11:52 |
91位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:27:45 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 85:22:07 |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:32 |
4位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:02:51 |
5位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:03:14 |
6位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:06:32 |
7位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:07:46 |
8位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:08:05 |
9位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:09:24 |
10位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) | 0:10:08 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 233pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 184pts |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 101pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 234pts |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 157pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 122pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 85:22:07 |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:03:14 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 256:22:40 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:20:37 |
3位 | サンウェブ | 0:27:43 |
text:Kei Tsuji
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