「チームのためにも勝利が欲しかった」と語るのは、今大会最初の山頂フィニッシュを制したダニエル・マーティン。2位に入りタイムを稼いだログリッチや、パンクで遅れたチャベス、集団先頭を引く働きを見せたフルームなど、ブエルタ第3ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝&総合2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)

総合順位でタイムを失わないことを第一に考えていた。でもライバルたちの走りを見て、フィニッシュラインが目に入ってきた。残り200mは自分のスプリントができる思った。(逃げ集団の選手が)前にいると思っていたからステージ勝利だと思っていなかった。だからフィニッシュの瞬間に喜ばなかったんだ。フレーシュ・ワロンヌでフィニッシュ直前に負けた経験をしたから、二度とそんなことが起きないようにと最後まで気を抜かなかった。

2年3ヶ月ぶりの勝利を挙げたダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)2年3ヶ月ぶりの勝利を挙げたダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
今年はあと少しの所で勝利を逃していたんだ。お世話になっているこのチームの為にどうしても勝利が欲しかった。新型コロナウイルス(レース中断期間)の間、スポンサーはずっと僕たちを支えてくれた。オーナーのシルヴァン・アダムスやロン・バロンは、給料の減額など一切しなかった。そのおかげでロックダウン中もチームのモチベーションは高く、トレーニングに励むことができた。

怪我の影響もありツールでは勝つことができなかったから、今日のステージは絶対に獲ってやろうと思っていたんだ。チームの働きは素晴らしく、この勝利の為に一人ひとりが自分たちの役割を全うした。この勝利は彼らのためでもあり、妻のためでもある。なんたって子どもたち(双子)が生まれてから初めての勝利だからね。そういう意味でも特別な勝利だよ。



ステージ2位&マイヨロホ&ポイント賞 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

マイヨロホを着用し続けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)マイヨロホを着用し続けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
素晴らしい一日だった。トラブルから僕を守るため、チームはまたしても素晴らしい働きをしてくれた。雨に加え、風も強かった。そのためかなり難易度の高い一日になった。最後の登りはタフで速く、最後にはたくさんのアタックがあった。マーティンにあと少しまで詰めたのだが、今日は彼の方が少しだけ強かった。



ステージ3位&総合3位&山岳賞 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

再び戦いの巻き起こる日になった。(チームの)働きに感謝する。あと少しだった。このまま挑み続けるよ。



ステージ4位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン) 

4秒遅れの4位でフィニッシュするワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン)4秒遅れの4位でフィニッシュするワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン) photo:CorVos
ステージを良い結果で終えられて満足している。風の影響で厳しいステージになった。一日中気をつけていなければならなかった。最後の登りでは、アタックが生まれるまでの残り2kmまで集団にただついていくだけだった。自分のペースで走り、最後はスプリントを試みた。惜しかったがこの結果に満足している。開幕からの2日間は最後で遅れていたから(今日の走りが)自信に繋がった。総合トップ10まではそう遠くないので、希望があるよ。



ステージ6位&総合4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

マイヨビアンカのエンリク・マス(スペイン、モビスター)は6位でフィニッシュマイヨビアンカのエンリク・マス(スペイン、モビスター)は6位でフィニッシュ photo:CorVos
とても調子が良かったのだが、最後は少し足りなかったみたいだ。今日のような傾斜が一定の登りは得意ではないし、集団のペースにも苦しめられた。でもこの後の数週間は僕の特性にあった登りがいくつもあるだろう。

最後のアタック合戦では爆発的な力を発揮することができなかった。通常のグランツールでは第1週目の後から徐々に発揮できるようになっていくものだからね。全体的に今日の結果に満足している。残り1kmに入ってからのアタックに反応できたからね。



メカトラで遅れたエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)

パンクで遅れを喫したエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)パンクで遅れを喫したエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
脚の調子は良かったが、運が悪かった。

パンクしてしまい、ディスクブレーキではチームメイトからホイールを交換することができないので、スガブ(グルマイ)のバイクを貰った。かなり(サドル高の)高いやつだ。

パンクした瞬間は信じられない気持ちだった。なぜならみんなはパンクしていないからね。でもチームカーは遥か後方にいて、スガブのバイクに乗りながら待たなけれならなかった。その状態でフィニッシュラインまで全力で踏んだ。

(そういう時は)パニックにならず落ち着かなければならない。ジュリアン・ディーンという本当に素晴らしい監督がいて、彼が無線を通して落ち着かせてくれた。パニックになったら終わりだからね。

フィニッシュ地点まで残り4kmから2回のバイク交換で1分の遅れ。悪くないだろう。良い感覚を心に留めていかなければらない。だってレースはまだまだ続いていくのだからね。



最終山岳で集団先頭を引いたクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

リッチー(カラパス)のために全力を尽くしている。彼は絶好調で、総合優勝を目指し走ってくれることを願っている。個人的にはレース終盤に少しでも(集団先頭で)時間を作り、昔の自分を取り戻すことが重要だと思っている。

感触は良かった。今日は位置取りが重要だったのだと思う。開幕から2日間は位置取りの悪さが大きな差を生んでいた。でも今日は集団先頭で仕事ができた。最後の登りでは確実に脚の調子が良くなっているように感じた。

リッチーはこのレースに良い調子で来ることができている。ツールとブエルタの間にあまり走っていないため、フレッシュな気持ちでレースに臨めているのだと思う。また彼は(ブエルタの)早い段階で(ライバルたちとの)違いを見せたいと思っているだろう。

text:Sotaro Arakawa

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