2020/10/21(水) - 17:31
落車と横風分断、そしてスプリント。西ベルギーらしい展開が繰り広げられたAGドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌ女子レースで、21歳の新鋭スプリンター、ロレーナ・ウィーブス(オランダ、サンウェブ)が勝利した。
新型コロナウイルス感染拡大に伴うレースカレンダー再編において、当初予定されていた3月25日から半年遅れで開催にこぎつけたワンデーレースが「AGドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌ」。デパンヌ3日間レース(Driedaagse=3日間)という名称の通り2017年までは3日間のステージレースとして開催されてきたが、2018年からワンデー化。ただしレース名は長く親しまれてきた名称をそのまま使用し続けている。
10月21日(水)に行われる男子レースの1日前に開催された女子レースは、残すところ2戦となったUCIウィメンズワールドツアーに数えられるもの。男子レースと同じく真っ平らな沿岸地帯を進むとあって、2018年初開催時はヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス)、昨年はクリステン・ウィルト(オランダ、セラティツィット・WNTプロサイクリング)とピュアスプリンターが勝利を飾ってきた。
フラマン語でブルッヘ、フランス語でブルージュと読むウェスト=フランデレン州の州都をスタートし、後半に控える46kmの周回コースを2周半。横風分断が予想されるレースには、ヘント〜ウェヴェルヘムを制したヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス)やシーズン終盤のクラシック連戦で2位・3位続きのベルギー王者ロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル)、気鋭のロレーナ・ウィーブス(オランダ、サンウェブ)といったスプリンター勢が勢揃い。
ヘントとロンド・ファン・フラーンデレンで連勝しているブールスはロンドでワンツーを獲ったシャンタル・ブラークとアミー・ピーテルス(共にオランダ)、元世界王者アマリー・ディデリクセン(デンマーク)といった厚いメインバーで大会2年ぶりの勝利を目指した。
スタート前にティファニー・クロムウェル(オーストラリア、キャニオン・スラム)が「石畳はそれほど破壊力がないけれど、コンディションの悪い道が右に左に方向を変え、それによって風向きが変化する西ベルギーの典型的なレース」と表現したように、海岸線を南下する序盤区間は海からの追い風に押されてハイスピードで進行する。最初の2時間の平均速度は42.3km/h。主催者の最速進行予想を8分も上回った。
逃げが生まれる余地の無い高速レースの中、集団内では沿道のフェンスに選手たちが衝突する落車事故が起こる。アンナ・プリフタ(ポーランド、トレック・セガフレード)らが50km/hものスピードで突っ込み、プリフタを介抱したフランス王者オードリー・コルドンラゴ(トレック・セガフレード)は「今一度私たちのスポーツが危険と隣り合わせだということが証明された。仲間や友人が突っ込む姿を見て感情を処理しきれなかった」と、一度集団復帰したのちにレースを降りている。
横風の吹きさらし区間に入ると、ブールス・ドルマンスとサンウェブが猛然とペースアップを仕掛けたことで集団は次々と細切れ状態になっていく。2チームがそれぞれ4名ずつを送り込んだ、約15名の先頭集団はフィニッシュまで距離を減らしたが、横風が遮られる住宅街や森の中を抜けるタイミングで2番手グループが合流を果たす。勝負は24名の小集団スプリントで決着することとなった。
ウィーブスの必勝体制を組み上げたサンウェブは、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)とアミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス)のアタックを潰しながらゴールスプリントへ。トラックレースのスペシャリストであるヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス)が絶妙にウィーブスのラインを塞ぎながらまっ先に加速した。
出鼻をくじかれたウィーブスだったが、パワフルなスプリントでドールの横に並んで追い上げる。ドールがフェンスギリギリまでウィーブスを寄せ、二人はほぼ同時にフィニッシュラインを通過した。
二人とも確信を持てない僅差のスプリント。僅かに先着したのはドールだったが、審判団はウィーブスの進路を塞いだイレギュラースプリントとしてドールの降格を決定する。最もパワフルなスプリントを披露したウィーブスの勝利が決まった。
「チームは完全にレースを掌握。残念ながらファイファー(ジョージ)が落車に巻き込まれてしまったけれど、集団分裂が起きた後も先頭集団に多くのメンバーを残すことができていた。他チームのアタックを全て引き戻し、アリソン(ジャクソン)は最高のリードアウトでお膳立てしてくれた。スプリント中には小さなミスを犯してしまったけれど、最後は上手くいった。彼女たちの走りを誇りに思いたい」と、21歳ながら最強スプリンターの一人に数えられるウィーブスは話している。
AGドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌは、本日200kmオーバーを走る男子レース(UCIワールドツアー)が行われる。ロンドを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)や3位アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、そしてリベンジを誓うドゥクーニンク・クイックステップといった屈強なクラシックハンターが再び集う。
新型コロナウイルス感染拡大に伴うレースカレンダー再編において、当初予定されていた3月25日から半年遅れで開催にこぎつけたワンデーレースが「AGドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌ」。デパンヌ3日間レース(Driedaagse=3日間)という名称の通り2017年までは3日間のステージレースとして開催されてきたが、2018年からワンデー化。ただしレース名は長く親しまれてきた名称をそのまま使用し続けている。
10月21日(水)に行われる男子レースの1日前に開催された女子レースは、残すところ2戦となったUCIウィメンズワールドツアーに数えられるもの。男子レースと同じく真っ平らな沿岸地帯を進むとあって、2018年初開催時はヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス)、昨年はクリステン・ウィルト(オランダ、セラティツィット・WNTプロサイクリング)とピュアスプリンターが勝利を飾ってきた。
フラマン語でブルッヘ、フランス語でブルージュと読むウェスト=フランデレン州の州都をスタートし、後半に控える46kmの周回コースを2周半。横風分断が予想されるレースには、ヘント〜ウェヴェルヘムを制したヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス)やシーズン終盤のクラシック連戦で2位・3位続きのベルギー王者ロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル)、気鋭のロレーナ・ウィーブス(オランダ、サンウェブ)といったスプリンター勢が勢揃い。
ヘントとロンド・ファン・フラーンデレンで連勝しているブールスはロンドでワンツーを獲ったシャンタル・ブラークとアミー・ピーテルス(共にオランダ)、元世界王者アマリー・ディデリクセン(デンマーク)といった厚いメインバーで大会2年ぶりの勝利を目指した。
スタート前にティファニー・クロムウェル(オーストラリア、キャニオン・スラム)が「石畳はそれほど破壊力がないけれど、コンディションの悪い道が右に左に方向を変え、それによって風向きが変化する西ベルギーの典型的なレース」と表現したように、海岸線を南下する序盤区間は海からの追い風に押されてハイスピードで進行する。最初の2時間の平均速度は42.3km/h。主催者の最速進行予想を8分も上回った。
逃げが生まれる余地の無い高速レースの中、集団内では沿道のフェンスに選手たちが衝突する落車事故が起こる。アンナ・プリフタ(ポーランド、トレック・セガフレード)らが50km/hものスピードで突っ込み、プリフタを介抱したフランス王者オードリー・コルドンラゴ(トレック・セガフレード)は「今一度私たちのスポーツが危険と隣り合わせだということが証明された。仲間や友人が突っ込む姿を見て感情を処理しきれなかった」と、一度集団復帰したのちにレースを降りている。
横風の吹きさらし区間に入ると、ブールス・ドルマンスとサンウェブが猛然とペースアップを仕掛けたことで集団は次々と細切れ状態になっていく。2チームがそれぞれ4名ずつを送り込んだ、約15名の先頭集団はフィニッシュまで距離を減らしたが、横風が遮られる住宅街や森の中を抜けるタイミングで2番手グループが合流を果たす。勝負は24名の小集団スプリントで決着することとなった。
ウィーブスの必勝体制を組み上げたサンウェブは、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)とアミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス)のアタックを潰しながらゴールスプリントへ。トラックレースのスペシャリストであるヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス)が絶妙にウィーブスのラインを塞ぎながらまっ先に加速した。
出鼻をくじかれたウィーブスだったが、パワフルなスプリントでドールの横に並んで追い上げる。ドールがフェンスギリギリまでウィーブスを寄せ、二人はほぼ同時にフィニッシュラインを通過した。
二人とも確信を持てない僅差のスプリント。僅かに先着したのはドールだったが、審判団はウィーブスの進路を塞いだイレギュラースプリントとしてドールの降格を決定する。最もパワフルなスプリントを披露したウィーブスの勝利が決まった。
「チームは完全にレースを掌握。残念ながらファイファー(ジョージ)が落車に巻き込まれてしまったけれど、集団分裂が起きた後も先頭集団に多くのメンバーを残すことができていた。他チームのアタックを全て引き戻し、アリソン(ジャクソン)は最高のリードアウトでお膳立てしてくれた。スプリント中には小さなミスを犯してしまったけれど、最後は上手くいった。彼女たちの走りを誇りに思いたい」と、21歳ながら最強スプリンターの一人に数えられるウィーブスは話している。
AGドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌは、本日200kmオーバーを走る男子レース(UCIワールドツアー)が行われる。ロンドを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)や3位アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、そしてリベンジを誓うドゥクーニンク・クイックステップといった屈強なクラシックハンターが再び集う。
AGドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌ2020女子レース結果
1位 | ロレーナ・ウィーブス(オランダ、サンウェブ) | 3:39:43 |
2位 | リサ・ブレナウアー(ドイツ、セラティツィット・WNTプロサイクリング) | |
3位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル) | |
4位 | サラ・ロイ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
5位 | ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、CCC・リブ) | |
6位 | アリス・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム) | |
7位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
8位 | エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード) | |
9位 | アリソン・ジャクソン(カナダ、サンウェブ) | |
10位 | エウジェニー・デュバル(jフランス、FDJヌーヴィルアキテーヌ・フュチュロスコープ) | |
24位 | ヨリーン・ドール(ベルギー、ブールス・ドルマンス) | 0:22 |
text:So Isobe
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