2020/10/14(水) - 06:47
2チームが撤退する波乱の幕開けとなったジロ・デ・イタリア第10ステージ。序盤から逃げに乗り、いくつもの丘を越える終盤に独走に持ち込んだペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)がジロ初勝利をマーク。ヤコブ・フルサン(アスタナ)がパンクで1分以上遅れた一方、ホアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は首位を守った。
ステージ前半は青空が広がったが、レース進行とともに天候は下り坂に photo:CorVos
1回目の休息日を経て、大会2週目はイタリア半島東岸、アブルッツォ州のランチャーノでスタートした。既報の通り、休息日に行われたPCR検査の陽性判定を受けてミッチェルトン・スコットとユンボ・ヴィスマ、そしてポイント賞3位のマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がレースを撤退。総合11位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)や総合15位ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がレースを去った。
第10ステージは内陸の丘を通過しながらアドリア海に沿って北上し、小刻みなアップダウンをこなしてトルトレートにフィニッシュする177km。いずれの登りも登坂距離3km前後、標高300m前後、カテゴリー3〜4級だが、平均勾配は大きく、しかも急勾配区間が含まれているのが特徴。獲得標高差は2,100m。勾配が20%に達する終盤の連続アップダウンはピュアスプリンターたちの侵入をブロックした。
10月13日(火)第10ステージ ランチャーノ〜トルトレート 177km ☆☆☆ photo:RCS Sport
10月13日(火)第10ステージ ランチャーノ〜トルトレート 177km ☆☆☆ photo:RCS Sport
2チームのレース撤退により、シチリア島をスタートした176名のうちレースに残ったのは145名。幾分小さくなったプロトンが気温15度〜20度(終盤にかけて10度ほどまで下がった)のアブルッツォ州に駆け出すとすぐさまアタック合戦が始まる。4級山岳に指定された47km地点の丘上都市キエーティでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が抜け出すと、ここに追走グループが追いついて10名の先頭グループが出来上がった。
ポイント賞2位のサガンが逃げに乗ったため、第1スプリント(110km地点)でのアルノー・デマール(フランス)のポイント獲得を目指すグルパマFDJがメイン集団を率いて追撃した。やがてジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)とニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、ステファヌ・ロセット(フランス、コフィディス)が逃げグループを離れてメイン集団に戻ると、グルパマFDJはサガン吸収を断念する。距離的にステージの折り返し地点に差し掛かったところでようやくタイム差は拡大を開始した。
逃げグループを形成した7名
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、モビスター)23分14秒遅れ
ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)26分46秒遅れ
フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)40分13秒遅れ
ダリオ・カタルド(イタリア、モビスター)53分59秒遅れ
ヨナタン・レストレポ(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)
UAEチームエミレーツがメイン集団を率いたため、タイム差の拡大は4分30秒で頭打ち。フェルナンド・ガビリア(コロンビア)の集団スプリントではなくディエゴ・ウリッシ(イタリア)のステージ2勝目を狙うUAEチームエミレーツが逃げグループとの間合いを3分まで詰めて、残り45kmから始まるアップダウン区間へと入っていく。
アブルッツォ州の丘陵地帯を走る photo:LaPresse
フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を含む逃げ photo:CorVos
メイン集団を牽引するベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング) photo:LaPresse
雨が降り始めたと思ったら太陽が顔を出す気紛れな秋空の下、3級山岳コロネッラ(全長3.1km・平均9.2%・最大18%)でステージ優勝に向けた動きが始まった。スタート地点ランチャーノ出身のカタルドが先陣を切って加速すると、ここでクラークとガンナが脱落。続くコントログエッラの登り(全長900m・平均9.7km・最大24%)通過後にガンナが復帰して先頭グループは再びモビスターx2、イネオスx2という状況に。
後方ではNTTプロサイクリングが猛烈なペースを刻んでアップダウン区間を駆け抜けた。ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)らの牽引によって残り30kmでタイム差は1分を割り込み、先頭グループの逃げ切りに黄信号が灯る。残り22kmで総合3位のペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)が単独アタックを仕掛けて完全ウェットな危険な下りを攻めた一方で、総合4位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)が前輪パンク。ポッツォヴィーヴォはその後メイン集団に復帰している。
アブルッツォ州の丘を縫うように走るワインディングロード。断続的なアップダウンによって残り20km地点で先頭はサガンとスウィフトの2人に絞られ、10秒後方にビルバオ、40秒後方にメイン集団という状況で最後の4級山岳トルトレート(全長1.8km・平均7.2%・最大18%)に突入する。総合ジャンプアップを目指すビルバオは先頭サガンとスウィフトを視界に捉えたが、残り11km地点でピークを迎えるこの4級山岳でサガンが発進した。ビルバオは10秒遅れ、メイン集団は20秒遅れでこの最後の難所をクリアしている。
先頭で最後の4級山岳トルトレートに向かうペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
下りをこなす総合2位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)ら photo:CorVos
濡れた下り区間を走る新城幸也(バーレーン・マクラーレン) photo:CorVos
後方ではマリアローザのホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)や総合2位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、パンクから復帰したポッツォヴィーヴォらがカウンターアタックを仕掛けたが総合上位陣は大きくばらけない。しかし下り区間で総合6位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)がパンクに見舞われてしまう。フルサンは遅れて駆けつけたチームメイトからバイクを借りて再スタートを切ったが、メイン集団から1分ものタイムロスを被った。
フルサンのいないメイン集団は逃げていたビルバオを残り5km地点で吸収。集団内に戻ったスウィフトのためにテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が牽引したものの、ボーラ・ハンスグローエの2人がストッパーの役目を果たしたためペースは上がらない。単独で飛び出してサガンを追撃したブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)も、20秒のタイム差を詰めることはできなかった。
太陽の光が差し込むトルトレートのフィニッシュ地点に、アドリア海にかかる虹を横目にサガンが独走のままやってきた。観客に盛り上げるように促して、サガンが両手を大きく広げてフィニッシュ。マクナルティは19秒遅れのステージ2位に入り、メイン集団はアルメイダを先頭にフィニッシュした。アルメイダはステージ3位のボーナスタイム4秒を獲得している。
雨の平坦路を独走するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
独走でフィニッシュしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:LaPresse
初出場のジロの集団スプリントで2位、2位、8位、2位と、いつもフィニッシュ地点でデマールらの背中を眺めていたサガンが、作戦を変更して逃げを打ち、勝った。「ジロでステージ初勝利を飾ったことはもちろんとても嬉しい。前回の優勝から長い時間が経ってしまった。今日は自分のスタイルで勝ったんだ」。
「今日はどのチームも逃げグループ内の自分の存在を嫌っていた。だから逃げに乗るのは大変だったし、しかもタイム差が縮まってきたので逃げ切るのは簡単ではなかった。フィニッシュが近づいたところでステージ優勝に向けてアタック。独走に持ち込んでからは、下りを慎重にこなして、フィニッシュ手前の平坦路を全開で走った。終わってみればとても良い1日になった」。
サガンの勝利は、2019年7月10日のツール・ド・フランス第5ステージ以来となる、実に1年3ヶ月3日ぶり。サガンのキャリアの中で461日間も勝利から遠ざかっていたのは初めて。サガンは3つのグランツール全てでステージ優勝を飾った100人目の選手となった。この日デマールが0ポイントに終わったため、両者のポイント差は57ポイントから20ポイントまで一気に詰まっている。
ファウスト・マスナダ(イタリア)らのサポートを受けて危険なステージを切り抜け、最後はボーナスタイムでライバルたちとのタイム差を広げることに成功したアルメイダは「ペリョ・ビルバオを追いかけるために自ら反応して、続くドメニコ・ポッツォヴィーヴォのアタックはチームメイトたちが封じ込めてくれた。今日もチームワークは素晴らしく、チームメイトたちには感謝しかない。これからも毎日マリアローザを守るために全力を尽くすし、今日もチャンスがあったからボーナスタイムを狙ったんだ」と語る。
依然として総合トップ10のタイム差は2分以内。下り区間のパンクで総合ライバルたちから1分15秒ものタイムを失ったフルサンは総合6位から11位まで順位を下げている。4分近く遅れたハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)は総合7位から16位にダウンした。ファンフックの脱落によってマリアビアンカ着用の権利はヤングライダー賞2位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)の手に移っている。
1分38秒遅れでフィニッシュするヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) photo:CorVos
ジロのステージ初勝利を飾ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:LaPresse
![ステージ前半は青空が広がったが、レース進行とともに天候は下り坂に](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/corvos00032603-010.jpg)
1回目の休息日を経て、大会2週目はイタリア半島東岸、アブルッツォ州のランチャーノでスタートした。既報の通り、休息日に行われたPCR検査の陽性判定を受けてミッチェルトン・スコットとユンボ・ヴィスマ、そしてポイント賞3位のマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がレースを撤退。総合11位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)や総合15位ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がレースを去った。
第10ステージは内陸の丘を通過しながらアドリア海に沿って北上し、小刻みなアップダウンをこなしてトルトレートにフィニッシュする177km。いずれの登りも登坂距離3km前後、標高300m前後、カテゴリー3〜4級だが、平均勾配は大きく、しかも急勾配区間が含まれているのが特徴。獲得標高差は2,100m。勾配が20%に達する終盤の連続アップダウンはピュアスプリンターたちの侵入をブロックした。
![10月13日(火)第10ステージ ランチャーノ〜トルトレート 177km ☆☆☆](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/02/plan852x8522020tappa-10-ok.jpg)
![10月13日(火)第10ステージ ランチャーノ〜トルトレート 177km ☆☆☆](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/02/alt1280x852tappa-10.jpg)
2チームのレース撤退により、シチリア島をスタートした176名のうちレースに残ったのは145名。幾分小さくなったプロトンが気温15度〜20度(終盤にかけて10度ほどまで下がった)のアブルッツォ州に駆け出すとすぐさまアタック合戦が始まる。4級山岳に指定された47km地点の丘上都市キエーティでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が抜け出すと、ここに追走グループが追いついて10名の先頭グループが出来上がった。
ポイント賞2位のサガンが逃げに乗ったため、第1スプリント(110km地点)でのアルノー・デマール(フランス)のポイント獲得を目指すグルパマFDJがメイン集団を率いて追撃した。やがてジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)とニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、ステファヌ・ロセット(フランス、コフィディス)が逃げグループを離れてメイン集団に戻ると、グルパマFDJはサガン吸収を断念する。距離的にステージの折り返し地点に差し掛かったところでようやくタイム差は拡大を開始した。
逃げグループを形成した7名
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、モビスター)23分14秒遅れ
ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)26分46秒遅れ
フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)40分13秒遅れ
ダリオ・カタルド(イタリア、モビスター)53分59秒遅れ
ヨナタン・レストレポ(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)
UAEチームエミレーツがメイン集団を率いたため、タイム差の拡大は4分30秒で頭打ち。フェルナンド・ガビリア(コロンビア)の集団スプリントではなくディエゴ・ウリッシ(イタリア)のステージ2勝目を狙うUAEチームエミレーツが逃げグループとの間合いを3分まで詰めて、残り45kmから始まるアップダウン区間へと入っていく。
![アブルッツォ州の丘陵地帯を走る](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/ff56940.jpg)
![フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を含む逃げ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/corvos00032603-020.jpg)
![メイン集団を牽引するベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/ff67109.jpg)
雨が降り始めたと思ったら太陽が顔を出す気紛れな秋空の下、3級山岳コロネッラ(全長3.1km・平均9.2%・最大18%)でステージ優勝に向けた動きが始まった。スタート地点ランチャーノ出身のカタルドが先陣を切って加速すると、ここでクラークとガンナが脱落。続くコントログエッラの登り(全長900m・平均9.7km・最大24%)通過後にガンナが復帰して先頭グループは再びモビスターx2、イネオスx2という状況に。
後方ではNTTプロサイクリングが猛烈なペースを刻んでアップダウン区間を駆け抜けた。ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)らの牽引によって残り30kmでタイム差は1分を割り込み、先頭グループの逃げ切りに黄信号が灯る。残り22kmで総合3位のペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)が単独アタックを仕掛けて完全ウェットな危険な下りを攻めた一方で、総合4位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)が前輪パンク。ポッツォヴィーヴォはその後メイン集団に復帰している。
アブルッツォ州の丘を縫うように走るワインディングロード。断続的なアップダウンによって残り20km地点で先頭はサガンとスウィフトの2人に絞られ、10秒後方にビルバオ、40秒後方にメイン集団という状況で最後の4級山岳トルトレート(全長1.8km・平均7.2%・最大18%)に突入する。総合ジャンプアップを目指すビルバオは先頭サガンとスウィフトを視界に捉えたが、残り11km地点でピークを迎えるこの4級山岳でサガンが発進した。ビルバオは10秒遅れ、メイン集団は20秒遅れでこの最後の難所をクリアしている。
![先頭で最後の4級山岳トルトレートに向かうペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/ff67199.jpg)
![下りをこなす総合2位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)ら](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/corvos00032603-066.jpg)
![濡れた下り区間を走る新城幸也(バーレーン・マクラーレン)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/corvos00032603-052.jpg)
後方ではマリアローザのホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)や総合2位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、パンクから復帰したポッツォヴィーヴォらがカウンターアタックを仕掛けたが総合上位陣は大きくばらけない。しかし下り区間で総合6位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)がパンクに見舞われてしまう。フルサンは遅れて駆けつけたチームメイトからバイクを借りて再スタートを切ったが、メイン集団から1分ものタイムロスを被った。
フルサンのいないメイン集団は逃げていたビルバオを残り5km地点で吸収。集団内に戻ったスウィフトのためにテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が牽引したものの、ボーラ・ハンスグローエの2人がストッパーの役目を果たしたためペースは上がらない。単独で飛び出してサガンを追撃したブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)も、20秒のタイム差を詰めることはできなかった。
太陽の光が差し込むトルトレートのフィニッシュ地点に、アドリア海にかかる虹を横目にサガンが独走のままやってきた。観客に盛り上げるように促して、サガンが両手を大きく広げてフィニッシュ。マクナルティは19秒遅れのステージ2位に入り、メイン集団はアルメイダを先頭にフィニッシュした。アルメイダはステージ3位のボーナスタイム4秒を獲得している。
![雨の平坦路を独走するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/corvos00032603-042.jpg)
![独走でフィニッシュしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/c5e28447-7fcc-473c-b672-bc03a00d61de.jpg)
初出場のジロの集団スプリントで2位、2位、8位、2位と、いつもフィニッシュ地点でデマールらの背中を眺めていたサガンが、作戦を変更して逃げを打ち、勝った。「ジロでステージ初勝利を飾ったことはもちろんとても嬉しい。前回の優勝から長い時間が経ってしまった。今日は自分のスタイルで勝ったんだ」。
「今日はどのチームも逃げグループ内の自分の存在を嫌っていた。だから逃げに乗るのは大変だったし、しかもタイム差が縮まってきたので逃げ切るのは簡単ではなかった。フィニッシュが近づいたところでステージ優勝に向けてアタック。独走に持ち込んでからは、下りを慎重にこなして、フィニッシュ手前の平坦路を全開で走った。終わってみればとても良い1日になった」。
サガンの勝利は、2019年7月10日のツール・ド・フランス第5ステージ以来となる、実に1年3ヶ月3日ぶり。サガンのキャリアの中で461日間も勝利から遠ざかっていたのは初めて。サガンは3つのグランツール全てでステージ優勝を飾った100人目の選手となった。この日デマールが0ポイントに終わったため、両者のポイント差は57ポイントから20ポイントまで一気に詰まっている。
ファウスト・マスナダ(イタリア)らのサポートを受けて危険なステージを切り抜け、最後はボーナスタイムでライバルたちとのタイム差を広げることに成功したアルメイダは「ペリョ・ビルバオを追いかけるために自ら反応して、続くドメニコ・ポッツォヴィーヴォのアタックはチームメイトたちが封じ込めてくれた。今日もチームワークは素晴らしく、チームメイトたちには感謝しかない。これからも毎日マリアローザを守るために全力を尽くすし、今日もチャンスがあったからボーナスタイムを狙ったんだ」と語る。
依然として総合トップ10のタイム差は2分以内。下り区間のパンクで総合ライバルたちから1分15秒ものタイムを失ったフルサンは総合6位から11位まで順位を下げている。4分近く遅れたハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)は総合7位から16位にダウンした。ファンフックの脱落によってマリアビアンカ着用の権利はヤングライダー賞2位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)の手に移っている。
![1分38秒遅れでフィニッシュするヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/corvos00032603-037.jpg)
![ジロのステージ初勝利を飾ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2020/10/14/gmd4589.jpg)
ジロ・デ・イタリア2020第10ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 39:38:05 |
2位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:34 |
3位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:43 |
4位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:00:57 |
5位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:01:01 |
6位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:15 |
7位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:01:19 |
8位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:21 |
9位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:36 |
10位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン)。 | 0:01:52 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 167pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 147pts |
3位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 51pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 84pts |
2位 | ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブKTM) | 76pts |
3位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 45pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 39:38:05 |
2位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:01:19 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:02:39 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 118:48:14 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:12:32 |
3位 | サンウェブ | 0:13:55 |
text:Kei Tsuji
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