2020/10/12(月) - 09:22
10月12日、Jプロツアーの最終戦「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が、群馬サイクルスポーツセンターで行われ、フランシスコ・マンセボが優勝。マトリックスパワータグが1位から3位を占めて4年連続で輪翔旗を獲得した。個人総合優勝はレオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガ。チーム総合優勝とあわせ、マトリックスパワータグが2年連続のダブルタイトルを達成した。
全14戦となった2020年のJプロツアー。7月末から約3カ月間という異例の短期集中シーズンを締めくくるのは、54回目の開催となる経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。Jプロツアー最高のレースレーティング「プラチナ」に指定される伝統の大会だ。個人戦だけでなく、上位3名の合計ポイントで争う団体戦でもあり、優勝チームには大会名にもなっている経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられる。
チャンピオンシップの名に相応しく、レース距離は群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットを30周する180km。国内レースとしては、200kmオーバーで行われる全日本選手権や「ツール・ド・おきなわ」に次ぐ長距離レースであり、近年のJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のレースでも類を見ない距離だ。
台風の接近により、前日に予定されていた女子のFクラスタ、E1クラスタ、E2クラスタは中止となったが、その後台風の進路が変わったため、レースは予定通り開催された。天気は雲が多めながらも、時折太陽が顔を見せて気温が上昇。スタート直後は濡れていた路面も、レース中盤までに完全に乾いた。
スタート直後から始まったアタック合戦で3名が抜け出し、さらに2名が合流し、3周目までに5名の先頭集団が形成される。メンバーは、風間翔眞(シマノレーシング)、西尾憲人(那須ブラーゼン)、永冨一騎(群馬グリフィンレーシングチーム)、佐野淳哉(レバンテフジ静岡)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)。
メイン集団は愛三工業レーシングチームとチームブリヂストンサイクリングが中心となってコントロールし、1分30秒から50秒の差を維持。ラップタイムは9分台のゆっくりしたペースで周回を重ねていく。途中、追走の動きが発生するものの先頭集団に合流するまでにはならず、5名の先頭集団とメイン集団の構図がレース中盤まで続く。
レース終盤に差しかかった21周目、マトリックスパワータグがペースアップさせたメイン集団が先行していた5名を吸収。その後再びアタック合戦が始まり、新たに4名が先行する。メンバーは、橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、中井唯晶(シマノレーシング)、佐藤遼(レバンテフジ静岡)、西尾。
メイン集団との差は1分50秒まで開いたが、残り5周となる26周目から集団コントロールを開始したマトリックスパワータグがペースアップし、4名を吸収する。
残り3周となる28周目に入ると、各チームが繰り出すアタックをフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)自らチェックして鎮圧。残り2周からはマトリックスパワータグがリーダージャージのレオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガを従えて集団前方を固め、隙をついた飛び出しも次々と潰しながら最終周回へ。
最後の心臓破りの登りをクリアし、キンテロが先頭で残り1kmのバックストレートへ。直後にマンセボが続き、バラバラになった後続を引き離していく。最後はマンセボとキンテロが揃って両腕を大きく広げてフィニッシュ。マンセボが1位、キンテロが2位、ホセ・ビセンテ・トリビオが3位となり、マトリックスパワータグが2年連続で表彰台独占。4年連続で輪翔旗を獲得した。
2020年Jプロツアーチャンピオンはキンテロ。チーム総合優勝は、このレースでマトリックスパワータグが宇都宮ブリッツェンを逆転し、昨年に続きダブルタイトルを達成した。
「レオ(キンテロ)の総合優勝を最大の目標として、チームが消耗しないようにして最後にフレッシュな状態でいられるようにレースを進めた。全部勝てたので嬉しい」と、ライブ中継のインタビューに答えたマンセボ。レースの要所を自らの動きで締め、チームの上位独占に誘導する働きは圧巻の一言だ。
安原監督は「昨日のミーティングでもワン・ツー・スリーしかないと言った。(宇都宮)ブリッツェンが人数いない中、僅差で逆年なんてことではなく、ワン・ツー・スリーで勝ってチーム総合も取ったなら文句も出ないだろうと、パコ(マンセボ)も同じことを考えていた。残り2周でブリヂストンのスプリンターも残っていたから、ちょっと弱気になってウチもスプリンター勝負にしようかと迷ったけれど、選手が大丈夫だと言ってくれた。
もちろん、ブリッツェンがいればレース展開は違っていたかもしれないし、アベタカ(阿部嵩之)が落車してリタイアしてしまったのはちょっと寝ざめが悪い結果になってしまい残念だった。」と、最終戦を振り返る。
「パコはレース以外でもチームを統率してくれる。それまで1時間以上かけていたチームミーティングもパコが来てくれてからは短時間で済むし、昨夜もホテルの外に食事しに行きたいと言う選手がいたけど『ホテルのレストランでいい』とパコが言ったらみんなそれに従う。監督としては本当に楽でいいし、来年も続けてくれると言うからまだまだ快進撃は続くと思う」と、マンセボに絶大な信頼を寄せる。
事実、マンセボが再来日を果たした9月以降、マトリックスパワータグが昨年の勢いを取り戻し、レースの様相が大きく変わった。仮に海外遠征で不在だった宇都宮ブリッツェンがフルメンバーで出場していたとしても、この勢いを止められたかはわからない。安原監督の言うように、来年も快進撃が続くことになるのか?
全14戦となった2020年のJプロツアー。7月末から約3カ月間という異例の短期集中シーズンを締めくくるのは、54回目の開催となる経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。Jプロツアー最高のレースレーティング「プラチナ」に指定される伝統の大会だ。個人戦だけでなく、上位3名の合計ポイントで争う団体戦でもあり、優勝チームには大会名にもなっている経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられる。
チャンピオンシップの名に相応しく、レース距離は群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットを30周する180km。国内レースとしては、200kmオーバーで行われる全日本選手権や「ツール・ド・おきなわ」に次ぐ長距離レースであり、近年のJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のレースでも類を見ない距離だ。
台風の接近により、前日に予定されていた女子のFクラスタ、E1クラスタ、E2クラスタは中止となったが、その後台風の進路が変わったため、レースは予定通り開催された。天気は雲が多めながらも、時折太陽が顔を見せて気温が上昇。スタート直後は濡れていた路面も、レース中盤までに完全に乾いた。
スタート直後から始まったアタック合戦で3名が抜け出し、さらに2名が合流し、3周目までに5名の先頭集団が形成される。メンバーは、風間翔眞(シマノレーシング)、西尾憲人(那須ブラーゼン)、永冨一騎(群馬グリフィンレーシングチーム)、佐野淳哉(レバンテフジ静岡)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)。
メイン集団は愛三工業レーシングチームとチームブリヂストンサイクリングが中心となってコントロールし、1分30秒から50秒の差を維持。ラップタイムは9分台のゆっくりしたペースで周回を重ねていく。途中、追走の動きが発生するものの先頭集団に合流するまでにはならず、5名の先頭集団とメイン集団の構図がレース中盤まで続く。
レース終盤に差しかかった21周目、マトリックスパワータグがペースアップさせたメイン集団が先行していた5名を吸収。その後再びアタック合戦が始まり、新たに4名が先行する。メンバーは、橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、中井唯晶(シマノレーシング)、佐藤遼(レバンテフジ静岡)、西尾。
メイン集団との差は1分50秒まで開いたが、残り5周となる26周目から集団コントロールを開始したマトリックスパワータグがペースアップし、4名を吸収する。
残り3周となる28周目に入ると、各チームが繰り出すアタックをフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)自らチェックして鎮圧。残り2周からはマトリックスパワータグがリーダージャージのレオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガを従えて集団前方を固め、隙をついた飛び出しも次々と潰しながら最終周回へ。
最後の心臓破りの登りをクリアし、キンテロが先頭で残り1kmのバックストレートへ。直後にマンセボが続き、バラバラになった後続を引き離していく。最後はマンセボとキンテロが揃って両腕を大きく広げてフィニッシュ。マンセボが1位、キンテロが2位、ホセ・ビセンテ・トリビオが3位となり、マトリックスパワータグが2年連続で表彰台独占。4年連続で輪翔旗を獲得した。
2020年Jプロツアーチャンピオンはキンテロ。チーム総合優勝は、このレースでマトリックスパワータグが宇都宮ブリッツェンを逆転し、昨年に続きダブルタイトルを達成した。
「レオ(キンテロ)の総合優勝を最大の目標として、チームが消耗しないようにして最後にフレッシュな状態でいられるようにレースを進めた。全部勝てたので嬉しい」と、ライブ中継のインタビューに答えたマンセボ。レースの要所を自らの動きで締め、チームの上位独占に誘導する働きは圧巻の一言だ。
安原監督は「昨日のミーティングでもワン・ツー・スリーしかないと言った。(宇都宮)ブリッツェンが人数いない中、僅差で逆年なんてことではなく、ワン・ツー・スリーで勝ってチーム総合も取ったなら文句も出ないだろうと、パコ(マンセボ)も同じことを考えていた。残り2周でブリヂストンのスプリンターも残っていたから、ちょっと弱気になってウチもスプリンター勝負にしようかと迷ったけれど、選手が大丈夫だと言ってくれた。
もちろん、ブリッツェンがいればレース展開は違っていたかもしれないし、アベタカ(阿部嵩之)が落車してリタイアしてしまったのはちょっと寝ざめが悪い結果になってしまい残念だった。」と、最終戦を振り返る。
「パコはレース以外でもチームを統率してくれる。それまで1時間以上かけていたチームミーティングもパコが来てくれてからは短時間で済むし、昨夜もホテルの外に食事しに行きたいと言う選手がいたけど『ホテルのレストランでいい』とパコが言ったらみんなそれに従う。監督としては本当に楽でいいし、来年も続けてくれると言うからまだまだ快進撃は続くと思う」と、マンセボに絶大な信頼を寄せる。
事実、マンセボが再来日を果たした9月以降、マトリックスパワータグが昨年の勢いを取り戻し、レースの様相が大きく変わった。仮に海外遠征で不在だった宇都宮ブリッツェンがフルメンバーで出場していたとしても、この勢いを止められたかはわからない。安原監督の言うように、来年も快進撃が続くことになるのか?
経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ 結果(180km)
1位 | フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ ) | 4時間38分10秒 |
2位 | レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガ(マトリックスパワータグ ) | +0秒 |
3位 | ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ ) | +6秒 |
4位 | 大前 翔(愛三工業レーシングチーム) | +8秒 |
5位 | 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) | |
6位 | 孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング) | +9秒 |
団体賞
1位 | マトリックスパワータグ | 2160p |
2位 | チームブリヂストンサイクリング | 945p |
3位 | 愛三工業レーシングチーム | 810p |
・敢闘賞 西尾憲人(那須ブラーゼン)
・中間スプリントポイント
3周回完了時 西尾憲人(那須ブラーゼン)
9周回完了時 佐野淳哉(レバンテフジ静岡)※未完走
18周回完了時 風間翔眞(シマノレーシング)
・Jプロツアー個人総合優勝 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)
・U23個人総合優勝 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
・チーム総合優勝 マトリックスパワータグ
ジュニアユースチャンピオンシップは留目夕陽が優勝
Y(ユース)クラスタのチャンピオンシップ「ジュニアユースチャンピオンシップ」は、12周72kmのレースが行われた。序盤から留目夕陽、西本健三郎(以上東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部)ユースリーダージャージを着る神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)の3名が、後続に4分以上の差をつけて先行。後半に入ると留目と西本の2人が神村を振り切り、最後は八王子桑志高校同士のマッチスプリントを留目が制して優勝した。
・中間スプリントポイント
3周回完了時 西尾憲人(那須ブラーゼン)
9周回完了時 佐野淳哉(レバンテフジ静岡)※未完走
18周回完了時 風間翔眞(シマノレーシング)
・Jプロツアー個人総合優勝 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)
・U23個人総合優勝 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
・チーム総合優勝 マトリックスパワータグ
ジュニアユースチャンピオンシップは留目夕陽が優勝
Y(ユース)クラスタのチャンピオンシップ「ジュニアユースチャンピオンシップ」は、12周72kmのレースが行われた。序盤から留目夕陽、西本健三郎(以上東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部)ユースリーダージャージを着る神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)の3名が、後続に4分以上の差をつけて先行。後半に入ると留目と西本の2人が神村を振り切り、最後は八王子桑志高校同士のマッチスプリントを留目が制して優勝した。
ジュニアユースチャンピオンシップ 結果(72km)
1位 | 留目夕陽(東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部) | 1時間50分14秒 |
2位 | 西本健三郎(東京都立八王子桑志高等学校自転車競技部) | +0秒 |
3位 | 神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) | +1分3秒 |
ユースリーダー 神村泰輝(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
text&photo:Satoru kato
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