2020/09/17(木) - 02:12
初登場となった"激坂"超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠でマイヨジョーヌ争いが勃発。ステージ優勝を飾ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が総合3位に浮上し、マイヨジョーヌのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がステージ2位に入った。
9月16日(水)第17ステージ
グルノーブル〜メリベル
距離:170km
獲得標高差:4,200m
天候:晴れ時々曇り
気温:15〜32度
カテゴリー山岳とスプリントポイント
45.5km地点 スプリントポイント
107.5km地点 超級山岳ラ・マドレーヌ峠(距離17.1km・平均8.4%)
170km地点 超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠(距離21.5km・平均7.8%・最大24%)
初登場の「激坂」にフィニッシュするクイーンステージ
アルプス2日目は獲得標高差4,200mのクイーンステージ(最難関ステージ)。ツール・ド・フランス2020年大会には標高2000mオーバーの峠が2つ設定されているが、その2つが組み込まれたのがこの第17ステージだ。特に麓の勾配が厳しい登坂距離17.1km・平均8.4%という標高2,000mの超級山岳ラ・マドレーヌ峠を越え、最後に登場するのが超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠。ツール初登場で、今大会最後の山頂フィニッシュであり、今大会最高地点となる標高2,304mという高さを誇り、しかも"ツールらしくない"激坂が姿を現した。
超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠は登坂距離21.5km・平均勾配7.8%。標高1,415mに位置するスキーリゾート地のメリベルに向かう登り前半は6〜8%の常識的な勾配を刻むが、標高が1,800mを超え、フィニッシュまで残り4kmを切ったところで激坂へと姿を変える。何しろラ・ロズ峠は普段から交通量のある峠道ではなく、スキー場を貫く山道を舗装しただけの「自転車専用道路」。最大勾配が24%に達する激坂であり、その勾配はフィニッシュラインまで緩むことがない。この酸素の薄い標高2,000mオーバーの激坂で、今大会最大のクライミング対決が繰り広げられた。
すでに総合で19分以上遅れていたディフェンディングチャンピオンのエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が第17ステージをスタートせずにレースを去るというニュースが駆け抜けたグルノーブルのスタート地点。晴れわたるアルプスの山間をスタートすると、この日も例に漏れず、逃げ狙いのアタッカーとスプリントポイント狙い獲得の思惑が交錯するアタック合戦が始まる。
クイーンステージでステージ優勝を狙うには登坂力が必要だが、ステージ優勝につながる逃げに乗るためには平地のアタック力が必要。ファーストアタックを仕掛けたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)に20名が追いつく形で大きな逃げグループが形成されたが、最終的にそこから5名が抜け出すことに成功した。
逃げグループを形成した5名
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)
レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)
総合争いに関係しない、全員がグランツールでステージ優勝を経験済みの5名の逃げ。前日のステージ優勝者ケムナと同ステージ2位カラパスを含む逃げは最初の1時間を平均スピード49.5km/hで駆け抜ける。逃げグループから3分遅れで差し掛かった45.5km地点のスプリントポイントでは、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)らを下したサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)がマイヨヴェールのリード拡大に成功している。
超級山岳ラ・マドレーヌ峠でバーレーン・マクラーレンが攻撃開始
ユンボ・ヴィスマ率いるメイン集団から最大6分のリードを築いて最初の超級山岳ラ・マドレーヌ峠(距離17.1km・平均8.4%)に差し掛かった先頭5名だったが、登りでバーレーン・マクラーレンが集団ペースアップを開始したため逃げ切りに黄信号が灯る。総合7位ミケル・ランダ(スペイン)のジャンプアップを目指すバーレーン・マクラーレンのハイペース牽引によって、スプリンターたちはもちろん、総合10位ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)までメイン集団から脱落した。
ケムナの脱落によって4名(アラフィリップ、イサギレ、カラパス、マーティン)となった逃げグループはリードを1分25秒まで減らした状態で超級山岳ラ・マドレーヌ峠をクリア。下り区間でばらけながらもリードを2分40秒まで広げた状態で超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠へと向かった。
麓のムティエの街から21.5kmかけて標高2,304mまで駆け上がる超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠。アラフィリップのアタックは不発に終わり、カラパスとイサギレだけが先頭に残ったものの残り13km地点でタイム差は1分を切る。残り9km地点でカラパスが独走に持ち込んだ一方、バーレーン・マクラーレンの牽引が終わったメイン集団内ではマイヨジョーヌ争いが始まった。
標高2,000mオーバーで光ったロペスの登坂力
激坂と緩斜面がコンスタントに入れ替わる「自転車専用道路」に入るとダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)がペースアップを開始。ここで総合7位ランダは遅れてしまう。続いて総合3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)も、総合5位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も、精鋭グループから遅れて行った。
フィニッシュまで残り3kmを残した急勾配区間で5名の精鋭グループの中から真っ先に仕掛けたのはセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)。ジロ・デ・イタリア総合優勝者のカラパスを吸収するとともに加速したクスには総合4位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が飛びついた。2日連続で逃げ切り勝利を逃したカラパス。ステージ敢闘賞はアラフィリップの手にわたっている。
天気予報が告げる高い降水確率も、稜線の向こうで不気味にうごめく鉛色の雲も、遠くで雷鳴を響かせる稲妻も、ラ・ロズ峠には無関係だった。やがて先頭ではロペスがクスを振り切って独走開始。総合で1分45秒遅れのロペスを逃してはなるまいと、クスのアシストを受けた総合1位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が自ら追走を仕掛ける。このマイヨジョーヌの動きに、総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)も総合6位リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)も反応することができなかった。
マクロン大統領の訪問によっていつも以上に厳しい警備体制が敷かれた超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠に、「スーパーマンロペス」の異名をもつロペスが独走でフィニッシュ。今大会初めて険しい表情を浮かべたログリッチが15秒遅れで入り、ポガチャルが30秒遅れ。続いてポートを退けてクスが56秒遅れでフィニッシュしている。
家族に捧げるステージ初優勝を飾ったロペスと、リード拡大に成功したログリッチ
「自宅で妻や息子、家族とともに積んできたトレーニングの成果をこうして出すことができて、感情的になった。この勝利は家族に捧げたい」。初出場のツールでステージ初優勝を飾ったロペスは、フィニッシュ後に溢れ出る涙を拭いながらそう語った。
この日の勝利で総合4位から総合3位に浮上したロペス。「今日は自分にとって庭のような環境だった。標高2,000mは自宅のよう。アドバンテージは有益に使うしかない。無事にパリにたどり着くという目標を立てて初出場した今回のツール。最後まで毎日しっかりと走るのみ。チームのボスであるアレクサンドル・ヴィノクロフの誕生日を祝う勝利だ」。まだログリッチとは1分26秒のタイム差があるが、スロベニアン総合ワンツーに割って入る力があることをロペスは示した。
「ラスト4〜5kmは、他に比較できる登りがないような厳しさだった。とにかく今日というステージが無事に終わってよかったよ」と、マクロン大統領に見守られながらマイヨジョーヌの表彰台に登ったログリッチは語る。「レース中にセップ・クスと話して、彼でステージ優勝を狙う作戦だった。彼の飛び出しに対して追いかけるライバルたちの様子を観察できたし、自分のアタックのタイミングを窺うのに助かった」
ログリッチはロペスから19秒(ボーナスタイム含む)を失ったが、ポガチャルから17秒(ボーナスタイム含む)奪うことに成功した。クイーンステージを終えて両者の総合タイム差は57秒に広がっている。「まだ仕事が終わったとは思っていない」とログリッチ。「ハードなステージが残っているし、タデイ(ポガチャル)は素晴らしいクライマーだから。まだまだ十分なタイム差がついているとは思えない」。
対して今大会初めてログリッチに先行を許してしまったポガチャルは「とにかく勾配がきつい登りで、今日は少しタイムを失ってしまった。ロペスとログリッチにタイム差をつけられたものの、バッドデーだったとは思わない。まだ総合争いは終わっていないし、明日も厳しいステージが、厳しい戦いが待っている」と前向きだ。連日山岳で動きを見せるポガチャルは山岳賞首位に浮上しており、翌日はマイヨアポワを着用。マイヨブランはヤングライダー賞2位のエンリク・マス(スペイン、モビスター)が着用する。
この日はベルナルの他にもロード世界選手権個人タイムトライアルに照準を合わすためにシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)がDNS。ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)が途中リタイアし、イェンス・デブシェール(ベルギー、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がタイムアウト扱いに。アルプス最終日となる翌日の第18ステージには、終盤に急勾配&頂上通過後未舗装という超級山岳プラトー・デ・グリエールが登場する。
デイリーハイライト: J SPORTSでツール・ド・フランス全21ステージ独占生中継
9月16日(水)第17ステージ
グルノーブル〜メリベル
距離:170km
獲得標高差:4,200m
天候:晴れ時々曇り
気温:15〜32度
カテゴリー山岳とスプリントポイント
45.5km地点 スプリントポイント
107.5km地点 超級山岳ラ・マドレーヌ峠(距離17.1km・平均8.4%)
170km地点 超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠(距離21.5km・平均7.8%・最大24%)
初登場の「激坂」にフィニッシュするクイーンステージ
アルプス2日目は獲得標高差4,200mのクイーンステージ(最難関ステージ)。ツール・ド・フランス2020年大会には標高2000mオーバーの峠が2つ設定されているが、その2つが組み込まれたのがこの第17ステージだ。特に麓の勾配が厳しい登坂距離17.1km・平均8.4%という標高2,000mの超級山岳ラ・マドレーヌ峠を越え、最後に登場するのが超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠。ツール初登場で、今大会最後の山頂フィニッシュであり、今大会最高地点となる標高2,304mという高さを誇り、しかも"ツールらしくない"激坂が姿を現した。
超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠は登坂距離21.5km・平均勾配7.8%。標高1,415mに位置するスキーリゾート地のメリベルに向かう登り前半は6〜8%の常識的な勾配を刻むが、標高が1,800mを超え、フィニッシュまで残り4kmを切ったところで激坂へと姿を変える。何しろラ・ロズ峠は普段から交通量のある峠道ではなく、スキー場を貫く山道を舗装しただけの「自転車専用道路」。最大勾配が24%に達する激坂であり、その勾配はフィニッシュラインまで緩むことがない。この酸素の薄い標高2,000mオーバーの激坂で、今大会最大のクライミング対決が繰り広げられた。
すでに総合で19分以上遅れていたディフェンディングチャンピオンのエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が第17ステージをスタートせずにレースを去るというニュースが駆け抜けたグルノーブルのスタート地点。晴れわたるアルプスの山間をスタートすると、この日も例に漏れず、逃げ狙いのアタッカーとスプリントポイント狙い獲得の思惑が交錯するアタック合戦が始まる。
クイーンステージでステージ優勝を狙うには登坂力が必要だが、ステージ優勝につながる逃げに乗るためには平地のアタック力が必要。ファーストアタックを仕掛けたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)に20名が追いつく形で大きな逃げグループが形成されたが、最終的にそこから5名が抜け出すことに成功した。
逃げグループを形成した5名
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)
レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)
総合争いに関係しない、全員がグランツールでステージ優勝を経験済みの5名の逃げ。前日のステージ優勝者ケムナと同ステージ2位カラパスを含む逃げは最初の1時間を平均スピード49.5km/hで駆け抜ける。逃げグループから3分遅れで差し掛かった45.5km地点のスプリントポイントでは、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)らを下したサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)がマイヨヴェールのリード拡大に成功している。
超級山岳ラ・マドレーヌ峠でバーレーン・マクラーレンが攻撃開始
ユンボ・ヴィスマ率いるメイン集団から最大6分のリードを築いて最初の超級山岳ラ・マドレーヌ峠(距離17.1km・平均8.4%)に差し掛かった先頭5名だったが、登りでバーレーン・マクラーレンが集団ペースアップを開始したため逃げ切りに黄信号が灯る。総合7位ミケル・ランダ(スペイン)のジャンプアップを目指すバーレーン・マクラーレンのハイペース牽引によって、スプリンターたちはもちろん、総合10位ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)までメイン集団から脱落した。
ケムナの脱落によって4名(アラフィリップ、イサギレ、カラパス、マーティン)となった逃げグループはリードを1分25秒まで減らした状態で超級山岳ラ・マドレーヌ峠をクリア。下り区間でばらけながらもリードを2分40秒まで広げた状態で超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠へと向かった。
麓のムティエの街から21.5kmかけて標高2,304mまで駆け上がる超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠。アラフィリップのアタックは不発に終わり、カラパスとイサギレだけが先頭に残ったものの残り13km地点でタイム差は1分を切る。残り9km地点でカラパスが独走に持ち込んだ一方、バーレーン・マクラーレンの牽引が終わったメイン集団内ではマイヨジョーヌ争いが始まった。
標高2,000mオーバーで光ったロペスの登坂力
激坂と緩斜面がコンスタントに入れ替わる「自転車専用道路」に入るとダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)がペースアップを開始。ここで総合7位ランダは遅れてしまう。続いて総合3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)も、総合5位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も、精鋭グループから遅れて行った。
フィニッシュまで残り3kmを残した急勾配区間で5名の精鋭グループの中から真っ先に仕掛けたのはセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)。ジロ・デ・イタリア総合優勝者のカラパスを吸収するとともに加速したクスには総合4位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が飛びついた。2日連続で逃げ切り勝利を逃したカラパス。ステージ敢闘賞はアラフィリップの手にわたっている。
天気予報が告げる高い降水確率も、稜線の向こうで不気味にうごめく鉛色の雲も、遠くで雷鳴を響かせる稲妻も、ラ・ロズ峠には無関係だった。やがて先頭ではロペスがクスを振り切って独走開始。総合で1分45秒遅れのロペスを逃してはなるまいと、クスのアシストを受けた総合1位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が自ら追走を仕掛ける。このマイヨジョーヌの動きに、総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)も総合6位リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)も反応することができなかった。
マクロン大統領の訪問によっていつも以上に厳しい警備体制が敷かれた超級山岳メリベル/ラ・ロズ峠に、「スーパーマンロペス」の異名をもつロペスが独走でフィニッシュ。今大会初めて険しい表情を浮かべたログリッチが15秒遅れで入り、ポガチャルが30秒遅れ。続いてポートを退けてクスが56秒遅れでフィニッシュしている。
家族に捧げるステージ初優勝を飾ったロペスと、リード拡大に成功したログリッチ
「自宅で妻や息子、家族とともに積んできたトレーニングの成果をこうして出すことができて、感情的になった。この勝利は家族に捧げたい」。初出場のツールでステージ初優勝を飾ったロペスは、フィニッシュ後に溢れ出る涙を拭いながらそう語った。
この日の勝利で総合4位から総合3位に浮上したロペス。「今日は自分にとって庭のような環境だった。標高2,000mは自宅のよう。アドバンテージは有益に使うしかない。無事にパリにたどり着くという目標を立てて初出場した今回のツール。最後まで毎日しっかりと走るのみ。チームのボスであるアレクサンドル・ヴィノクロフの誕生日を祝う勝利だ」。まだログリッチとは1分26秒のタイム差があるが、スロベニアン総合ワンツーに割って入る力があることをロペスは示した。
「ラスト4〜5kmは、他に比較できる登りがないような厳しさだった。とにかく今日というステージが無事に終わってよかったよ」と、マクロン大統領に見守られながらマイヨジョーヌの表彰台に登ったログリッチは語る。「レース中にセップ・クスと話して、彼でステージ優勝を狙う作戦だった。彼の飛び出しに対して追いかけるライバルたちの様子を観察できたし、自分のアタックのタイミングを窺うのに助かった」
ログリッチはロペスから19秒(ボーナスタイム含む)を失ったが、ポガチャルから17秒(ボーナスタイム含む)奪うことに成功した。クイーンステージを終えて両者の総合タイム差は57秒に広がっている。「まだ仕事が終わったとは思っていない」とログリッチ。「ハードなステージが残っているし、タデイ(ポガチャル)は素晴らしいクライマーだから。まだまだ十分なタイム差がついているとは思えない」。
対して今大会初めてログリッチに先行を許してしまったポガチャルは「とにかく勾配がきつい登りで、今日は少しタイムを失ってしまった。ロペスとログリッチにタイム差をつけられたものの、バッドデーだったとは思わない。まだ総合争いは終わっていないし、明日も厳しいステージが、厳しい戦いが待っている」と前向きだ。連日山岳で動きを見せるポガチャルは山岳賞首位に浮上しており、翌日はマイヨアポワを着用。マイヨブランはヤングライダー賞2位のエンリク・マス(スペイン、モビスター)が着用する。
この日はベルナルの他にもロード世界選手権個人タイムトライアルに照準を合わすためにシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)がDNS。ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)が途中リタイアし、イェンス・デブシェール(ベルギー、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がタイムアウト扱いに。アルプス最終日となる翌日の第18ステージには、終盤に急勾配&頂上通過後未舗装という超級山岳プラトー・デ・グリエールが登場する。
デイリーハイライト: J SPORTSでツール・ド・フランス全21ステージ独占生中継
ツール・ド・フランス2020 第17ステージ結果
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 4:49:08 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:15 |
3位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:30 |
4位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:56 |
5位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:01:01 |
6位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:01:12 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:01:20 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
9位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング) | 0:01:59 |
10位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:02:13 |
11位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:02:41 |
12位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:02:48 |
46位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:25:17 |
OTL | イェンス・デブシェール(ベルギー、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト) | |
DNF | ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) | |
DNS | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | |
DNS | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 74:56:04 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:57 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:01:26 |
4位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:03:05 |
5位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:03:14 |
6位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング) | 0:03:24 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:03:27 |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:04:18 |
9位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:07:23 |
10位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:09:31 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 278pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 231pts |
3位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム) | 218pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 66pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 63pts |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 51pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 74:57:01 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:03:21 |
3位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 1:24:17 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 224:49:23 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:30:07 |
3位 | EFプロサイクリング | 1:03:21 |
text:Kei Tsuji
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