2010/05/26(水) - 07:22
プラン・デ・コロネス山岳個人タイムトライアルの第16ステージは、ひとり別次元のヒルクライム力を見せたステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)がステージ優勝。マリアローザはダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ)が守った。
山岳の厳しさが特徴のこのジロの中にあって、やはり際立つ山岳個人タイムトライアルの第16ステージ。舞台となるプラン・デ・コロネスは2008年大会にも登場した登坂で、12.9km中最後の5.3kmが未舗装区間しかも最大勾配24%を誇る難所。
総合順位下位から3つのグループに別れての出走となったこのステージ。第1ヒートには新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)の姿も。激坂に苦しんだ新城はこの第1ヒートを終えた段階で暫定19位。タイムは47分20秒。
第2ヒートにはジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)の名も。08年のこのステージでは区間3位に入った実績があったが、この日はタイムを伸ばせず44分27秒で、最終的にステージ30位となった。
この第2ヒートでトップタイムを叩き出したのはシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ)。ここまで山岳のアシストとしてイヴァン・バッソ(イタリア)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を支えてきた登坂職人がここでもいいタイムを出し、第3ヒートのエースたちの指針となる。
総合上位ひしめく第3ヒートがスタートするなり、暫定首位は入れ替わり立ち替わりに変動。レベルの高い選手のたちの競争の中で、ひとつ好タイムを記録したのはリゴベルト・ウラン(コロンビア、ケスデパーニュ)で、43分4秒で暫定トップに立つ。
このタイムを上回ったのは総合24位のステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)。ここまでの誰よりも軽快なペダリングでスピーディに急勾配を越えていく。ガルゼッリが圧倒的な力を見せ、ウランのタイムに1分半以上の大差をつけて暫定トップのホットシートに。
ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)が好走を見せ、ガルゼッリのタイムから54秒差というタイムで暫定2位に入ると、すでにルートに出た総合上位選手たちの走りが俄然注目される。
7.6km地点の中間計測でトップタイムを出したのはミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)。しかし後半に失速し、ガルゼッリから1分7秒遅れでゴールした。同じく中間計測で良かったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)も1分1秒遅れ。
総合上位陣で気を吐いたのはポイント賞ジャージのマリアロッソパッショーネを着るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)。軽快なダンシングと、マウンテンバイクで養ったオフロード走行のテクニックとで、ガルゼッリから42秒遅れでゴール。暫定2位につける。
注目は一昨日のモンテ・ゾンコランを制したイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)。しかしやはり後半にスローダウンし、ガルゼッリから1分10秒遅れの暫定6位でゴールした。エヴァンスに対してタイムを失ったものの、マリアローザのタイム次第ではマリアローザも圏内のタイムだ。
総合2位、新人賞ジャージを着るリッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア)は健闘。2分17秒遅れの暫定16位でゴール。新人賞をぐっと手元に引き寄せた。
そしてマリアローザのダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ)がゴールにやってくる。中間計測でタイムを失っていたアローヨだが、後半に挽回。2分16秒遅れの16位にまとめ、バッソの追撃をかわしてマリアローザを堅守した。
バッソは今日を終えて総合2位に順位を上げた。しかしアローヨとのタイム差は依然として2分27秒。粘りの走りを見せたアローヨにとって今後の山岳ステージでこの差を守ることが決して不可能ではないことを示してみせた。
3分09秒差の総合4位でアローヨを追うエヴァンスは総合上位陣の中で仕上がった走りを見せ、今後のステージに向けて明るい展望を開いてみせた。ライバルはアローヨとバッソ、2人を見据えてこれからのステージを戦うことになる。
翌第17ステージは1級の山岳がひとつと、最近の山岳シリーズではややおとなしめのレイアウト。しかしバッソやエヴァンス、サストレ、ニーバリ、ヴィノクロフといった選手に残されているステージはそう多くない。かならず登りでの攻撃的な走りが見られるだろう。
ジロ・デ・イタリア2010第16ステージ結果
1位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) 41'28"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +42"
3位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +54"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +1'01"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+1'07"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +1'10"
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、ケスデパーニュ) +1'36"
8位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'37"
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ) +1'41"
10位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ) +1'46"
100位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +47'20"
個人総合成績
1位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ) 67h48'42"
2位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +2'27"
3位 リッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア) +2'36"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +3'09"
5位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム +4'36"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +4'53"
7位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +5'12"
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +5'25"
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、リクイガス・ドイモ) +8'57"
10位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ) +9'13"
122位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +2h36'48"
山岳賞 マリアヴェルデ
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ポイント賞 マリアロッソパッショーネ
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
新人賞 マリアビアンカ
リッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア)
チーム総合成績
リクイガス・ドイモ
総合フーガ(逃げ)賞
ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)
ステージ敢闘賞
ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
山岳の厳しさが特徴のこのジロの中にあって、やはり際立つ山岳個人タイムトライアルの第16ステージ。舞台となるプラン・デ・コロネスは2008年大会にも登場した登坂で、12.9km中最後の5.3kmが未舗装区間しかも最大勾配24%を誇る難所。
総合順位下位から3つのグループに別れての出走となったこのステージ。第1ヒートには新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)の姿も。激坂に苦しんだ新城はこの第1ヒートを終えた段階で暫定19位。タイムは47分20秒。
第2ヒートにはジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)の名も。08年のこのステージでは区間3位に入った実績があったが、この日はタイムを伸ばせず44分27秒で、最終的にステージ30位となった。
この第2ヒートでトップタイムを叩き出したのはシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・ドイモ)。ここまで山岳のアシストとしてイヴァン・バッソ(イタリア)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を支えてきた登坂職人がここでもいいタイムを出し、第3ヒートのエースたちの指針となる。
総合上位ひしめく第3ヒートがスタートするなり、暫定首位は入れ替わり立ち替わりに変動。レベルの高い選手のたちの競争の中で、ひとつ好タイムを記録したのはリゴベルト・ウラン(コロンビア、ケスデパーニュ)で、43分4秒で暫定トップに立つ。
このタイムを上回ったのは総合24位のステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)。ここまでの誰よりも軽快なペダリングでスピーディに急勾配を越えていく。ガルゼッリが圧倒的な力を見せ、ウランのタイムに1分半以上の大差をつけて暫定トップのホットシートに。
ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)が好走を見せ、ガルゼッリのタイムから54秒差というタイムで暫定2位に入ると、すでにルートに出た総合上位選手たちの走りが俄然注目される。
7.6km地点の中間計測でトップタイムを出したのはミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)。しかし後半に失速し、ガルゼッリから1分7秒遅れでゴールした。同じく中間計測で良かったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)も1分1秒遅れ。
総合上位陣で気を吐いたのはポイント賞ジャージのマリアロッソパッショーネを着るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)。軽快なダンシングと、マウンテンバイクで養ったオフロード走行のテクニックとで、ガルゼッリから42秒遅れでゴール。暫定2位につける。
注目は一昨日のモンテ・ゾンコランを制したイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)。しかしやはり後半にスローダウンし、ガルゼッリから1分10秒遅れの暫定6位でゴールした。エヴァンスに対してタイムを失ったものの、マリアローザのタイム次第ではマリアローザも圏内のタイムだ。
総合2位、新人賞ジャージを着るリッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア)は健闘。2分17秒遅れの暫定16位でゴール。新人賞をぐっと手元に引き寄せた。
そしてマリアローザのダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ)がゴールにやってくる。中間計測でタイムを失っていたアローヨだが、後半に挽回。2分16秒遅れの16位にまとめ、バッソの追撃をかわしてマリアローザを堅守した。
バッソは今日を終えて総合2位に順位を上げた。しかしアローヨとのタイム差は依然として2分27秒。粘りの走りを見せたアローヨにとって今後の山岳ステージでこの差を守ることが決して不可能ではないことを示してみせた。
3分09秒差の総合4位でアローヨを追うエヴァンスは総合上位陣の中で仕上がった走りを見せ、今後のステージに向けて明るい展望を開いてみせた。ライバルはアローヨとバッソ、2人を見据えてこれからのステージを戦うことになる。
翌第17ステージは1級の山岳がひとつと、最近の山岳シリーズではややおとなしめのレイアウト。しかしバッソやエヴァンス、サストレ、ニーバリ、ヴィノクロフといった選手に残されているステージはそう多くない。かならず登りでの攻撃的な走りが見られるだろう。
ジロ・デ・イタリア2010第16ステージ結果
1位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) 41'28"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +42"
3位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +54"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +1'01"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+1'07"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +1'10"
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、ケスデパーニュ) +1'36"
8位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'37"
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ) +1'41"
10位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ) +1'46"
100位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +47'20"
個人総合成績
1位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ) 67h48'42"
2位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +2'27"
3位 リッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア) +2'36"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +3'09"
5位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム +4'36"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +4'53"
7位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +5'12"
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +5'25"
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、リクイガス・ドイモ) +8'57"
10位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ) +9'13"
122位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +2h36'48"
山岳賞 マリアヴェルデ
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ポイント賞 マリアロッソパッショーネ
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
新人賞 マリアビアンカ
リッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア)
チーム総合成績
リクイガス・ドイモ
総合フーガ(逃げ)賞
ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)
ステージ敢闘賞
ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
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