5日間のツール・ド・ハンガリーをCCCチームが席巻。ヤコブ・マレツコ(イタリア)がスプリント3勝を挙げ、最終クイーンステージでアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)が勝利。22歳のネオプロが母国最大のレースで嬉しい総合優勝を達成した。
エステルゴム大聖堂を発着する第1ステージ photo:www.tourdehongrie.hu
8月29日から9月2日までの5日間開催されたツール・ド・ハンガリー(UCI2.1)は、その名の通り中央ヨーロッパのハンガリーを舞台にしたステージレース。1925年初開催とその歴史はブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年)やツール・ド・スイス(1935年)よりも古いが、1990〜2000年代にかけて30年もの休止期間を挟むため、開催回数は2020年で41回目。
国土の大部分がなだらかな丘陵地であるため、2015年に再開されて以降はマヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)やクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・スタートアップネイション)などスプリンターやルーラーが総合優勝者リストに名を連ねてきた。2017年には当時18歳だったタデイ・ポガチャル(スロベニア、現UAEチームエミレーツ)が総合3位に入ったことでも注目を浴びた。
第1ステージ ジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)が勝利 photo:www.tourdehongrie.hu
第2ステージ ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)が大会1勝目 photo:www.tourdehongrie.hu
第3ステージ 2日連続優勝を挙げたヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) photo:www.tourdehongrie.hu
第4ステージ ポイントリーダーとなったヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)がハットトリック達成 photo:www.tourdehongrie.hu
ツール・ド・フランスを筆頭に欧州各地のレースと重複したためトップ選手の参加率は少なめだが、2018年にUCI1クラスとなった大会には5のワールドチーム(イスラエル、CCC、ミッチェルトン、トレック、ユンボ)と8のUCIプロチームが集結。大会最年少のクィン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)を筆頭に、ロード界の将来を担う若い選手たちがスタートラインに並んだ。
初日から中級山岳ステージx1、平坦ステージx3、1級山頂フィニッシュというステージ構成の5日間を席巻したのはCCCチームだった。今年限りでのメインスポンサー降板が決まっているポーランドチームは初日の登坂スプリントこそジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)の勝利を許したものの、続く第2、第3、第4ステージではヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)が怒涛のステージ3連勝を達成。カーデン・グローブス(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が総合首位に立った状態で最終クイーンステージを迎えた。
第5ステージ 1級山岳で勝負を繰り広げるアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム)やクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)、アントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら photo:www.tourdehongrie.hu
第5ステージ メイン集団内でタイミングを伺うアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) photo:www.tourdehongrie.hu
第5ステージ クイーンステージを制したアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) photo:www.tourdehongrie.hu
ステージの最後に控える1級山岳ケーケシュではクローブスからミッチェルトン・スコットの総合リーダーを引き継いだダミアン・ホーゾン(オーストラリア)やシモンズ、かつてディスカバリーチャンネルやアスタナに所属した36歳のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アドリアモービル)らが登坂勝負を繰り広げたが、「この峠の全てを知っていて、どこでどう走れば良いか完全に理解していた。昨年大会では早駆けで負けたので今年は仕掛けるタイミングを冷静に待ったんだ」と言う、CCCチームに所属するハンガリー出身のアッティラ・ヴァルテルが勝利。区間2位のシモンズを10秒引き離し、母国最大のステージレースで大きな区間優勝と総合優勝をなし遂げた。
「母国ハンガリーでのレースはアメージングだった。1週間ずっと沿道から僕の名前を呼んでもらい、大きなパワーとモチベーションを得ていたんだ。昨年は惜しいところで総合優勝を逃してしまったぶん今回の優勝は格別だ。応援してくれた全ての人に感謝したい」と喜ぶヴァルテルは、首都ブダペスト郊外出身の22歳。ミッチェルトン・スコットのバルナバーシュ・ペアークと共にワールドチームに所属する数少ないハンガリー出身選手の1人で、CCC育成チームからエリートチームへの昇格初年度にプロキャリア初勝利を掴んだ。
第5ステージ 勝利を喜ぶアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム)とガールフレンド photo:www.tourdehongrie.hu
母国最大のレースで勝利を掴んだアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) photo:www.tourdehongrie.hu
また、ヴァルテルの最終アタックに最後まで追従し、区間2位となったシモンズは総合2位でツール・ド・ハンガリーを終了。「残り3kmから急にキツくなった登りでの唯一の作戦は食い下がることだけだった。総合表彰台は良い結果だし大切なステップアップになるけど、今は勝利を望んでいる。もう一つ表彰台の高いところを貪欲に狙っていきたい」と現ロードジュニア世界王者は話している。

8月29日から9月2日までの5日間開催されたツール・ド・ハンガリー(UCI2.1)は、その名の通り中央ヨーロッパのハンガリーを舞台にしたステージレース。1925年初開催とその歴史はブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年)やツール・ド・スイス(1935年)よりも古いが、1990〜2000年代にかけて30年もの休止期間を挟むため、開催回数は2020年で41回目。
国土の大部分がなだらかな丘陵地であるため、2015年に再開されて以降はマヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)やクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・スタートアップネイション)などスプリンターやルーラーが総合優勝者リストに名を連ねてきた。2017年には当時18歳だったタデイ・ポガチャル(スロベニア、現UAEチームエミレーツ)が総合3位に入ったことでも注目を浴びた。




ツール・ド・フランスを筆頭に欧州各地のレースと重複したためトップ選手の参加率は少なめだが、2018年にUCI1クラスとなった大会には5のワールドチーム(イスラエル、CCC、ミッチェルトン、トレック、ユンボ)と8のUCIプロチームが集結。大会最年少のクィン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)を筆頭に、ロード界の将来を担う若い選手たちがスタートラインに並んだ。
初日から中級山岳ステージx1、平坦ステージx3、1級山頂フィニッシュというステージ構成の5日間を席巻したのはCCCチームだった。今年限りでのメインスポンサー降板が決まっているポーランドチームは初日の登坂スプリントこそジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)の勝利を許したものの、続く第2、第3、第4ステージではヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)が怒涛のステージ3連勝を達成。カーデン・グローブス(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が総合首位に立った状態で最終クイーンステージを迎えた。



ステージの最後に控える1級山岳ケーケシュではクローブスからミッチェルトン・スコットの総合リーダーを引き継いだダミアン・ホーゾン(オーストラリア)やシモンズ、かつてディスカバリーチャンネルやアスタナに所属した36歳のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アドリアモービル)らが登坂勝負を繰り広げたが、「この峠の全てを知っていて、どこでどう走れば良いか完全に理解していた。昨年大会では早駆けで負けたので今年は仕掛けるタイミングを冷静に待ったんだ」と言う、CCCチームに所属するハンガリー出身のアッティラ・ヴァルテルが勝利。区間2位のシモンズを10秒引き離し、母国最大のステージレースで大きな区間優勝と総合優勝をなし遂げた。
「母国ハンガリーでのレースはアメージングだった。1週間ずっと沿道から僕の名前を呼んでもらい、大きなパワーとモチベーションを得ていたんだ。昨年は惜しいところで総合優勝を逃してしまったぶん今回の優勝は格別だ。応援してくれた全ての人に感謝したい」と喜ぶヴァルテルは、首都ブダペスト郊外出身の22歳。ミッチェルトン・スコットのバルナバーシュ・ペアークと共にワールドチームに所属する数少ないハンガリー出身選手の1人で、CCC育成チームからエリートチームへの昇格初年度にプロキャリア初勝利を掴んだ。


また、ヴァルテルの最終アタックに最後まで追従し、区間2位となったシモンズは総合2位でツール・ド・ハンガリーを終了。「残り3kmから急にキツくなった登りでの唯一の作戦は食い下がることだけだった。総合表彰台は良い結果だし大切なステップアップになるけど、今は勝利を望んでいる。もう一つ表彰台の高いところを貪欲に狙っていきたい」と現ロードジュニア世界王者は話している。
8月29日(土)第1ステージ結果 エステルゴム~エステルゴム(117.5km)
1位 | ジョン・アベラストゥリ・イザガ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | 2:48:04 |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | アダム・トゥパリック(チェコ、エルコフ・カスパー) | |
4位 | カミル・グラデク(ポーランド、CCCチーム) | |
5位 | ダヴィド・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) |
8月30日(日) 第2ステージ結果 デブレツェン~ハイドゥーソボスロー(158.4km)
1位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) | 3:38:20 |
2位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
3位 | ルカ・パチオーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
4位 | アンドレア・グアルディー二(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア) | |
5位 | イタマール・エインホーン(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション) |
8月31日(月)第3ステージ結果 カルツァグ~ニーレジュハーザ(181.8km)
1位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) | 3:48:33 |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | アーランド・ブリクラ(ノルウェー、ウノXノルウェージャンデヴェロップメントチーム) | |
4位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
5位 | ダヴィド・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) |
9月1日(火) 第4ステージ結果 シャーロシュパタク~カジンクバルチカ(180km)
1位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) | 3:55:53 |
2位 | エミルス・リエピンス(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
3位 | ダヴィド・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | |
4位 | サシャ・ウェーマース(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
5位 | アンドレア・グアルディー二(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア) |
9月2日(水) 第5ステージ結果 ミシュコルツ~ジェンジェジュケーケシュ(187.8km)
1位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) | 4:35:15 |
2位 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) | +0:10 |
3位 | ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | +0:12 |
4位 | マッテオ・バディラッティ(スイス、イスラエル・スタートアップネイション) | +0:15 |
5位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィズマ) | +0:17 |
個人総合成績
1位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) | 18:45:55 |
2位 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) | +0:12 |
3位 | ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | +0:16 |
4位 | マッテオ・バディラッティ(スイス、イスラエル・スタートアップネイション) | +0:25 |
5位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィズマ) | +0:26 |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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