猛烈な位置取り争いの末、残り1kmの登り180度ヘアピンで落車が発生したブエルタ・ア・ブルゴス第4ステージ。混乱を回避し、そのまま超ロングスパートを仕掛けたサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)がチームにステージ2連勝を届けた。
ひまわり畑とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
登坂フィニッシュ、集団スプリント、超級山岳フィニッシュとバリエーション豊富なステージが続くブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)の4日目は、スプリンターにとっては最後のチャンスとなる平坦ステージ。標高差100m以下の緩斜面が続く163kmコースだが、最後の最後、残り1km地点から300m区間にかけて、2連続ヘアピンコーナーを含む登りが待ち受ける。この日はこの登りコーナーで勝負の明暗が分かれた。
この日はアルベルト・コンタドール率いる育成チーム、コメタ・エクストラの選手3名が加わった6名の逃げグループが先行し、前日の超級山岳を制し総合首位に立ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー)擁するドゥクーニンク・クイックステップがコントロールする緩やかな展開で進む。アルノー・デマール(フランス)のグルパマFDJ、そしてジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)のNTTプロサイクリングら、スプリンターチームがメイン集団を先導し、定石通りの展開のままラスト12kmで逃げメンバーを引き戻した。
ストリートアートに彩られた市街地を駆け抜ける (c)CorVos
のどかな風景が続くブルゴスの丘陵地帯 (c)CorVos
レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)とサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
グルパマ、ボーラ、ユンボ・ヴィズマが先頭を密に固めた状態でラスト10kmに入ると、ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)を含む落車が発生。幸い大きな怪我はなく、この日デラクルスは集団内フィニッシュしている。
最終盤に入ると各チームの位置取り争いが活性化し、グルパマFDJとドゥクーニンクが列車をぶつけながら登り始めの180度ヘアピンコーナーに殺到する。「誰もが良い位置でコーナーを曲がらなければいけないことを知っていた」とデマールが振り返る場所で、2番目にコーナーに入ったミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)と、その後ろのジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)という2チームの最終発射台がタイヤを滑らせて転倒してしまう。二人が道を塞いだことで後続が止まり、集団は大混乱に陥った。
しかしこの状況をチャンスに変えたのがサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。「落車が起きた時、誰もがブレーキを強いられていたのでチャンスだと感じた」と振り返るベネットがフィニッシュまで900mに及ぶ超ロングスパートで先行する。不意のタイミングを突かれたスプリンター勢が追走したものの、弾かれたように加速したベネットとの距離は広がるばかりだった。
超ロングスパートを成功させたサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
十分なリードを稼いたベネットは最終盤の平坦区間を逃げ切り、2位グループに3秒以上をつけて独走フィニッシュ。何度も何度も後ろを振り返ったアイルランド王者が今季3勝目を掴んだ。
「勝てて本当に嬉しい!スプリンターにとって最後のチャンスとなるステージだったので勝利を欲していたんだ。8月から始まる重要なレースに向けて良い感触が掴めた。最後は非常に厳しく、さらに暑さで苦しかった。最後の2つのヘアピンコーナーに向けた勝負と理解していたけれど、そこまではチームメイト全員が素晴らしい仕事をしてくれたよ。それからスペシャライズドの新しいバイクで勝てたことも嬉しい。特に最後のトリッキーなコーナーを含め、今回の勝利に大切な役割を担ってくれた」と語っている。
同タイムフィニッシュとなった2番手グループではデマールが先着し、ニッツォーロが3位。NIPPOデルコ・ワンプロヴァンスのビニアム・ギルマイ(エリトリア)がステージ6位に食い込んでいる。

登坂フィニッシュ、集団スプリント、超級山岳フィニッシュとバリエーション豊富なステージが続くブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)の4日目は、スプリンターにとっては最後のチャンスとなる平坦ステージ。標高差100m以下の緩斜面が続く163kmコースだが、最後の最後、残り1km地点から300m区間にかけて、2連続ヘアピンコーナーを含む登りが待ち受ける。この日はこの登りコーナーで勝負の明暗が分かれた。
この日はアルベルト・コンタドール率いる育成チーム、コメタ・エクストラの選手3名が加わった6名の逃げグループが先行し、前日の超級山岳を制し総合首位に立ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー)擁するドゥクーニンク・クイックステップがコントロールする緩やかな展開で進む。アルノー・デマール(フランス)のグルパマFDJ、そしてジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)のNTTプロサイクリングら、スプリンターチームがメイン集団を先導し、定石通りの展開のままラスト12kmで逃げメンバーを引き戻した。



グルパマ、ボーラ、ユンボ・ヴィズマが先頭を密に固めた状態でラスト10kmに入ると、ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)を含む落車が発生。幸い大きな怪我はなく、この日デラクルスは集団内フィニッシュしている。
最終盤に入ると各チームの位置取り争いが活性化し、グルパマFDJとドゥクーニンクが列車をぶつけながら登り始めの180度ヘアピンコーナーに殺到する。「誰もが良い位置でコーナーを曲がらなければいけないことを知っていた」とデマールが振り返る場所で、2番目にコーナーに入ったミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)と、その後ろのジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)という2チームの最終発射台がタイヤを滑らせて転倒してしまう。二人が道を塞いだことで後続が止まり、集団は大混乱に陥った。
しかしこの状況をチャンスに変えたのがサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。「落車が起きた時、誰もがブレーキを強いられていたのでチャンスだと感じた」と振り返るベネットがフィニッシュまで900mに及ぶ超ロングスパートで先行する。不意のタイミングを突かれたスプリンター勢が追走したものの、弾かれたように加速したベネットとの距離は広がるばかりだった。

十分なリードを稼いたベネットは最終盤の平坦区間を逃げ切り、2位グループに3秒以上をつけて独走フィニッシュ。何度も何度も後ろを振り返ったアイルランド王者が今季3勝目を掴んだ。
「勝てて本当に嬉しい!スプリンターにとって最後のチャンスとなるステージだったので勝利を欲していたんだ。8月から始まる重要なレースに向けて良い感触が掴めた。最後は非常に厳しく、さらに暑さで苦しかった。最後の2つのヘアピンコーナーに向けた勝負と理解していたけれど、そこまではチームメイト全員が素晴らしい仕事をしてくれたよ。それからスペシャライズドの新しいバイクで勝てたことも嬉しい。特に最後のトリッキーなコーナーを含め、今回の勝利に大切な役割を担ってくれた」と語っている。
同タイムフィニッシュとなった2番手グループではデマールが先着し、ニッツォーロが3位。NIPPOデルコ・ワンプロヴァンスのビニアム・ギルマイ(エリトリア)がステージ6位に食い込んでいる。
ブエルタ・ア・ブルゴス2020 第4ステージ結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 3:51:19 |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
3位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング) | |
4位 | ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション) | |
5位 | ライオネル・タミニオー(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル) | |
6位 | ビニアム・ギルマイ(エリトリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス) | |
7位 | ジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | |
8位 | マーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | アレックス・エドモンソン(オーストリア、ミッチェルトン・スコット) | |
10位 | リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) |
個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 15:26:35 |
2位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | 0:18 |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:32 |
4位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 0:35 |
5位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:45 |
6位 | リチャル・カラパス(エクアドル、チームイネオス) | 0:52 |
7位 | ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション) | |
8位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 1:03 |
9位 | ダヴィ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 1:33 |
10位 | ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) | 1:35 |
その他の特別賞
山岳賞 | ゴッツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) |
ポイント賞 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
ヤングライダー賞 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
チーム総合成績 | ミッチェルトン・スコット |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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