2020/02/24(月) - 10:12
豪華メンバーが集結した第2回UAEツアーが開幕。クリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)が8ヶ月ぶりに実戦復帰を果たし、最後の集団スプリントではパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利した。
アラブ首長国連邦を舞台にする第2回UAEツアー(UCIワールドツアー)が開幕した。ドバイツアーとアブダビツアーが合体する形で昨年初開催された砂漠の中東レースで、1週間のスケジュール中には難関山岳ジュベルハフィートへの頂上フィニッシュが2回も登場する。
錚々たるビッグネームが集結する中、最注目はこれまでリハビリを続けてきたクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)が遂に実戦復帰を遂げたこと。8ヶ月ぶりにゼッケンを付けるフルームは「この舞台に戻ることができて興奮しているよ。自分自身が良いレベルにあることを願っている。もちろん総合優勝なんて考えていないけど、とにかくシーズンインを目指して8ヶ月もの間厳しいリハビリを続けてきた。プロトンに復帰する2度目のチャンスが与えられたことがただただ嬉しい」とレース前日の記者会見で喜びを語っている。
超強力布陣で臨むのは地元スポンサーに勝利を献上したいUAEチームエミレーツだ。既にヴォルタ・ヴァレンシアナでステージ2勝+総合優勝しているタデイ・ポガチャル(スロベニア)やディエゴ・ウリッシ(イタリア)を主軸に据え、平坦ではフェルナンド・ガビリア(コロンビア)とマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)の南米コンビで勝利を狙う。
ポガチャルに対するはスペインレースを終えたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ラファル・マイカ(ポーランド)とエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)のボーラ・ハンスグローエコンビ、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)、ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン)、CCCチームに移籍したイルヌール・ザカリン(ロシア)ら。
平坦ステージが多くスプリンター勢も豪華だ。ガビリアの他にもディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)、昨年の激坂ハッタダムステージを制したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)ら今をときめく面々に加え、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)らベテラン勢も顔を揃えている。日本人としては新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が唯一出場中だ。
観光名所でもあるヤシの木を模した人工島「パーム・ジュメイラ」の高級ショッピングモールを出発し、ドバイシリコンオアシスを目指す開幕ステージは真っ平らな148km。序盤にはUCIプロチームとして2チームだけ参加しているヴィーニザブKTMとガスプロム・ルスヴェロが2名ずつ乗せた、合計4名の逃げが決まった。
ヴィーニザブKTMのネオプロであるヴェリコ・ストイニッツ(セルビア)とレオナルド・トルトマージ(イタリア)、ガスプロム・ルスヴェロのニコライ・チェルカーソフ(ロシア)とクリスティアン・スカローニ(イタリア)で構成されたエスケープは3分程度の差を得てフラットコースをエスケープ。メイン集団ではトニ・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ)が牽引役を担った。
砂漠ステージ名物の強風分断は起こらず、各スプリンターチームは静かな位置取り争いを繰り広げながら距離を減らし、残り15kmを切ったタイミングで逃げていた全てのメンバーを引き戻す。残り10km、残り5kmとフィニッシュラインが近づくにつれて熾烈さも激化した。
グルパマFDJトレインを追いやったドゥクーニンク・クイックステップが主導権を握ったが、エーススプリンターを連れたミッチェルトン・スコットやUAEチームエミレーツのリードアウトマンがウルフパックを突き崩す。ミケル・モルコフ(デンマークドゥクーニンク・クイックステップ)と絡んだガビリアが諦めるその前で、ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)の加速をきっかけにスプリント勝負が始まった。
好ポジションから加速したメズゲッツだったが、やや後方から段違いに伸びたアッカーマンが抜き去っていく。タイミングを待ちスリップストリームから抜け出したユアンとフルーネウェーヘン、ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)は半歩届かず、アッカーマンがクラシカ・アルメリアに続くシーズン2勝を挙げた。
「ワオ!今回の勝利にはちょっと言葉を失っているよ。ビッグスプリンターが集結したこの大会でどれだけ戦えるのか分かっていなかったんだ。最終盤は少しカオスだったけど、残り300mでチャンスを見出してスプリント。とても長いスプリントだった。開幕ステージで勝てるなんて本当に嬉しいよ」と、並み居る強豪勢を抑えたアッカーマンは語る。なおヴェロンによれば、アッカーマンはスプリント中に平均スピード70.9km/h(最高77.0km/h)、平均出力1020W(最高出力1520W)という数値を叩き出している。
翌日は最大勾配17%の激坂ハッタダムに高速状態のまま飛び込む変則スプリントステージ。昨年パワーウェイトレシオに優れるユアンが勝利した地で、再びスプリンターが激突する。
アラブ首長国連邦を舞台にする第2回UAEツアー(UCIワールドツアー)が開幕した。ドバイツアーとアブダビツアーが合体する形で昨年初開催された砂漠の中東レースで、1週間のスケジュール中には難関山岳ジュベルハフィートへの頂上フィニッシュが2回も登場する。
錚々たるビッグネームが集結する中、最注目はこれまでリハビリを続けてきたクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)が遂に実戦復帰を遂げたこと。8ヶ月ぶりにゼッケンを付けるフルームは「この舞台に戻ることができて興奮しているよ。自分自身が良いレベルにあることを願っている。もちろん総合優勝なんて考えていないけど、とにかくシーズンインを目指して8ヶ月もの間厳しいリハビリを続けてきた。プロトンに復帰する2度目のチャンスが与えられたことがただただ嬉しい」とレース前日の記者会見で喜びを語っている。
超強力布陣で臨むのは地元スポンサーに勝利を献上したいUAEチームエミレーツだ。既にヴォルタ・ヴァレンシアナでステージ2勝+総合優勝しているタデイ・ポガチャル(スロベニア)やディエゴ・ウリッシ(イタリア)を主軸に据え、平坦ではフェルナンド・ガビリア(コロンビア)とマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)の南米コンビで勝利を狙う。
ポガチャルに対するはスペインレースを終えたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ラファル・マイカ(ポーランド)とエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)のボーラ・ハンスグローエコンビ、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)、ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン)、CCCチームに移籍したイルヌール・ザカリン(ロシア)ら。
平坦ステージが多くスプリンター勢も豪華だ。ガビリアの他にもディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)、昨年の激坂ハッタダムステージを制したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)ら今をときめく面々に加え、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)らベテラン勢も顔を揃えている。日本人としては新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が唯一出場中だ。
観光名所でもあるヤシの木を模した人工島「パーム・ジュメイラ」の高級ショッピングモールを出発し、ドバイシリコンオアシスを目指す開幕ステージは真っ平らな148km。序盤にはUCIプロチームとして2チームだけ参加しているヴィーニザブKTMとガスプロム・ルスヴェロが2名ずつ乗せた、合計4名の逃げが決まった。
ヴィーニザブKTMのネオプロであるヴェリコ・ストイニッツ(セルビア)とレオナルド・トルトマージ(イタリア)、ガスプロム・ルスヴェロのニコライ・チェルカーソフ(ロシア)とクリスティアン・スカローニ(イタリア)で構成されたエスケープは3分程度の差を得てフラットコースをエスケープ。メイン集団ではトニ・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ)が牽引役を担った。
砂漠ステージ名物の強風分断は起こらず、各スプリンターチームは静かな位置取り争いを繰り広げながら距離を減らし、残り15kmを切ったタイミングで逃げていた全てのメンバーを引き戻す。残り10km、残り5kmとフィニッシュラインが近づくにつれて熾烈さも激化した。
グルパマFDJトレインを追いやったドゥクーニンク・クイックステップが主導権を握ったが、エーススプリンターを連れたミッチェルトン・スコットやUAEチームエミレーツのリードアウトマンがウルフパックを突き崩す。ミケル・モルコフ(デンマークドゥクーニンク・クイックステップ)と絡んだガビリアが諦めるその前で、ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)の加速をきっかけにスプリント勝負が始まった。
好ポジションから加速したメズゲッツだったが、やや後方から段違いに伸びたアッカーマンが抜き去っていく。タイミングを待ちスリップストリームから抜け出したユアンとフルーネウェーヘン、ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)は半歩届かず、アッカーマンがクラシカ・アルメリアに続くシーズン2勝を挙げた。
「ワオ!今回の勝利にはちょっと言葉を失っているよ。ビッグスプリンターが集結したこの大会でどれだけ戦えるのか分かっていなかったんだ。最終盤は少しカオスだったけど、残り300mでチャンスを見出してスプリント。とても長いスプリントだった。開幕ステージで勝てるなんて本当に嬉しいよ」と、並み居る強豪勢を抑えたアッカーマンは語る。なおヴェロンによれば、アッカーマンはスプリント中に平均スピード70.9km/h(最高77.0km/h)、平均出力1020W(最高出力1520W)という数値を叩き出している。
翌日は最大勾配17%の激坂ハッタダムに高速状態のまま飛び込む変則スプリントステージ。昨年パワーウェイトレシオに優れるユアンが勝利した地で、再びスプリンターが激突する。
UAEツアー2020第1ステージ結果
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:29:19 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
3位 | ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) | |
4位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
5位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット) | |
6位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、サンウェブ) | |
7位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) | |
8位 | マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング) | |
9位 | ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) | |
10位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼル) |
個人総合成績
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:29:09 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 0:04 |
3位 | ヴェリコ・ストイニッツ(セルビア、ヴィーニザブKTM) | 0:05 |
4位 | ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:06 |
5位 | レオナルド・トルトマージ(イタリア、ヴィーニザブKTM) | |
6位 | ニコライ・チェルカーソフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 0:07 |
7位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:10 |
8位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット) | |
9位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、サンウェブ) | |
10位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) |
その他の特別賞
ポイント賞 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) |
ヤングライダー賞 | ヴェリコ・ストイニッツ(セルビア、ヴィーニザブKTM) |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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