2010/05/15(土) - 07:02
5月14日、フィデンツァ〜マリーナ・ディ・カラーラ間の172kmでジロ第6ステージが行われ、マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)がおよそ130kmを逃げ切って勝利を挙げた。
昨日の新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)のセンセーショナルな走りから一夜明け、ジロは再び走り始める。この日からプロトンはイタリアを南下。ゴール地点の港町、マリーナ・ディ・カラーラはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)の故郷ラ・スペツィアに至近。ステージ勝利にまだ届かないペタッキとランプレ勢の走りに注目が集まった。
しかしコースは純粋なスプリンターにはやや厳しめのプロフィール。2級山岳を2つを越え、ゴール手前およそ10km地点に3級の山岳が控える、アタッカーのためのステージと目された。
レースは序盤から激しくアタックがかかるが、昨日のレースを思い出してか、なかなか決定的なアタックを集団が許さない。ハイペースを維持しながらのめまぐるい展開で、35km地点で落車が発生。ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)といった選手が巻き込まれたが、大事には至らず。
逃げが決まったのは45km付近。クライマーのマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)とルーラーのルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、アンドローニ・ジョカトーリ)の2人がこの日の逃げを決めた。
順調に差を広げる2人を追って、65km地点でミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)とユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)が追走に回るも、74km地点、この日最初の2級山岳パッソ・デル・ブラテッロの登りが始まると集団に吸収される。先頭2人と集団との差は5分。
この2級山岳のポイントを積極的に獲ったのはロイド。メイン集団はここまで山岳賞2位のステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)を先頭に5分遅れで通過。メイン集団のコントロールはマリアローザのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を擁するリクイガス・ドイモ勢。
このリクイガス以外に積極的に集団を引くチームが現れず、逃げる2人との差がなかなか縮まらない。スプリンターチームは昨日までの疲労か全く集団の牽引に加わらず、2つめの2級山岳にさしかかる130km地点で業を煮やした選手たちがアタックで集団を抜け出す。
この追走グループを形成したのはセルゲイ・クリモフ(ロシア、カチューシャ)、カイエタノ・サルミエント(コロンビア、アックア・エ・サポーネ)、ヨハン・チョップ(スイス)、エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)、マッテーオ・ボノ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)の5人。
144km地点の2級山岳、スポルヴェリーナもロイドが先頭で山頂通過。これでロイドは山岳賞トップに躍り出てマリアヴェルデ獲得を決定する。ベルトリアーティもしっかりロイドをフォロー。2人で最後の3級山岳へ向けて下っていく。ペトロフを中心とする追走グループは3人に人数を減らしながら、ここを2分8秒遅れで通過。リクイガスが引くメイン集団も登りでハイペースを刻み、2分51秒遅れで下りにさしかかる。
この下りで追走グループと集団が共に逃げる2人とのタイム差を縮めることに成功。残り15kmでメイン集団からアタックで一人の選手が飛び出し、追走グループを追う。この選手はなんとペタッキ。大柄なスプリンターが単独で前を追う珍しいシーンは、地元を走るペタッキの気合いの表れだ。
3級山岳の登りで先頭から満を持してロイドがアタックし、ベルトリアーティを置き去りにして独走を開始。そのまま勢いを維持して3級山岳ベディッツァーノを単独先頭通過。さらに山岳ポイントを稼ぐと共に、ステージ優勝を目指し一気にゴールを目指す。
置いてかれたベルトリアーティが懸命にロイドを追いかけるその後ろで、3名の追走グループも必死に前を追う。この時点でメイン集団もかなりこの追走グループに接近。集団からはダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)だ飛び出して追走グループをパスする動きも見られたが、残り1kmを切るまでに彼ら追走の選手たちは全員吸収される。
最後まで踏み続けたロイドは単独でゴールラインへ。安堵の表情を浮かべながら誇らしく両手を高々と上げ、ロイドが初のグランツールでの勝利を遂げた。2位には共に逃げたベルトリアーティが1分6秒遅れで入った。
そのすぐ後方では集団スプリント。ロングスプリントを仕掛けたダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)がそのまま先頭でゴール。ペタッキの代役を果たした喜びか、こちらもガッツポーズでのゴールとなった。
優勝したロイドはオーストラリア、メルボルン生まれの26歳。2008年にはオーストラリアのロードナショナルチャンピオンに輝いている。2006年のツアー・オブ・ジャパンの伊豆ステージ覇者で、07シーズンからベルギーチームのロットで走っている。グランツールではエースのエヴァンスを山で支えてきた選手だ。
総合はスプリンターたちと落車でリタイアしたパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)がいなくなったものの、大きな変動は無くニーバリがマリアローザをキープしている。
新城は15分36秒遅れの集団内、171位でゴール。昨日の疲労から無理をしない走りで翌日以降のステージにつないだ。総合では25分57秒遅れの164位となっている。
ジロ・デ・イタリア2010第6ステージ結果
1位 マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット) 4h24'20"
2位 ルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、アンドローニ・ジョカトーリ) +1'06"
3位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ) +1'15"
4位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
5位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)
6位 ウィリアム・ボネ(フランス、Bboxブイグテレコム)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
8位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、カチューシャ)
9位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア)
10位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)
171位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +15'36"
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) 14h30'03"
2位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +13"
3位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス) +20"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +33"
5位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +39"
6位 リッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア) +45"
7位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +45"
8位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク) +1'03"
9位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +1'04"
10位 ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'13"
164位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +25'57"
ポイント賞 マリアロッサ
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
山岳賞 マリアヴェルデ
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
新人賞 マリアビアンカ
ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス)
チーム総合成績
リクイガス・ドイモ
敢闘賞
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
フーガ(逃げ)賞
ポール・ヴォス(ドイツ、チームミルラム)
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Cor Vos
昨日の新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)のセンセーショナルな走りから一夜明け、ジロは再び走り始める。この日からプロトンはイタリアを南下。ゴール地点の港町、マリーナ・ディ・カラーラはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)の故郷ラ・スペツィアに至近。ステージ勝利にまだ届かないペタッキとランプレ勢の走りに注目が集まった。
しかしコースは純粋なスプリンターにはやや厳しめのプロフィール。2級山岳を2つを越え、ゴール手前およそ10km地点に3級の山岳が控える、アタッカーのためのステージと目された。
レースは序盤から激しくアタックがかかるが、昨日のレースを思い出してか、なかなか決定的なアタックを集団が許さない。ハイペースを維持しながらのめまぐるい展開で、35km地点で落車が発生。ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)といった選手が巻き込まれたが、大事には至らず。
逃げが決まったのは45km付近。クライマーのマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)とルーラーのルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、アンドローニ・ジョカトーリ)の2人がこの日の逃げを決めた。
順調に差を広げる2人を追って、65km地点でミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)とユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)が追走に回るも、74km地点、この日最初の2級山岳パッソ・デル・ブラテッロの登りが始まると集団に吸収される。先頭2人と集団との差は5分。
この2級山岳のポイントを積極的に獲ったのはロイド。メイン集団はここまで山岳賞2位のステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)を先頭に5分遅れで通過。メイン集団のコントロールはマリアローザのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を擁するリクイガス・ドイモ勢。
このリクイガス以外に積極的に集団を引くチームが現れず、逃げる2人との差がなかなか縮まらない。スプリンターチームは昨日までの疲労か全く集団の牽引に加わらず、2つめの2級山岳にさしかかる130km地点で業を煮やした選手たちがアタックで集団を抜け出す。
この追走グループを形成したのはセルゲイ・クリモフ(ロシア、カチューシャ)、カイエタノ・サルミエント(コロンビア、アックア・エ・サポーネ)、ヨハン・チョップ(スイス)、エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)、マッテーオ・ボノ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)の5人。
144km地点の2級山岳、スポルヴェリーナもロイドが先頭で山頂通過。これでロイドは山岳賞トップに躍り出てマリアヴェルデ獲得を決定する。ベルトリアーティもしっかりロイドをフォロー。2人で最後の3級山岳へ向けて下っていく。ペトロフを中心とする追走グループは3人に人数を減らしながら、ここを2分8秒遅れで通過。リクイガスが引くメイン集団も登りでハイペースを刻み、2分51秒遅れで下りにさしかかる。
この下りで追走グループと集団が共に逃げる2人とのタイム差を縮めることに成功。残り15kmでメイン集団からアタックで一人の選手が飛び出し、追走グループを追う。この選手はなんとペタッキ。大柄なスプリンターが単独で前を追う珍しいシーンは、地元を走るペタッキの気合いの表れだ。
3級山岳の登りで先頭から満を持してロイドがアタックし、ベルトリアーティを置き去りにして独走を開始。そのまま勢いを維持して3級山岳ベディッツァーノを単独先頭通過。さらに山岳ポイントを稼ぐと共に、ステージ優勝を目指し一気にゴールを目指す。
置いてかれたベルトリアーティが懸命にロイドを追いかけるその後ろで、3名の追走グループも必死に前を追う。この時点でメイン集団もかなりこの追走グループに接近。集団からはダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)だ飛び出して追走グループをパスする動きも見られたが、残り1kmを切るまでに彼ら追走の選手たちは全員吸収される。
最後まで踏み続けたロイドは単独でゴールラインへ。安堵の表情を浮かべながら誇らしく両手を高々と上げ、ロイドが初のグランツールでの勝利を遂げた。2位には共に逃げたベルトリアーティが1分6秒遅れで入った。
そのすぐ後方では集団スプリント。ロングスプリントを仕掛けたダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)がそのまま先頭でゴール。ペタッキの代役を果たした喜びか、こちらもガッツポーズでのゴールとなった。
優勝したロイドはオーストラリア、メルボルン生まれの26歳。2008年にはオーストラリアのロードナショナルチャンピオンに輝いている。2006年のツアー・オブ・ジャパンの伊豆ステージ覇者で、07シーズンからベルギーチームのロットで走っている。グランツールではエースのエヴァンスを山で支えてきた選手だ。
総合はスプリンターたちと落車でリタイアしたパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)がいなくなったものの、大きな変動は無くニーバリがマリアローザをキープしている。
新城は15分36秒遅れの集団内、171位でゴール。昨日の疲労から無理をしない走りで翌日以降のステージにつないだ。総合では25分57秒遅れの164位となっている。
ジロ・デ・イタリア2010第6ステージ結果
1位 マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット) 4h24'20"
2位 ルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、アンドローニ・ジョカトーリ) +1'06"
3位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ) +1'15"
4位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
5位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)
6位 ウィリアム・ボネ(フランス、Bboxブイグテレコム)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
8位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、カチューシャ)
9位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア)
10位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)
171位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +15'36"
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) 14h30'03"
2位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +13"
3位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス) +20"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +33"
5位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +39"
6位 リッチー・ポルト(サクソバンク、オーストラリア) +45"
7位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +45"
8位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク) +1'03"
9位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +1'04"
10位 ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'13"
164位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +25'57"
ポイント賞 マリアロッサ
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
山岳賞 マリアヴェルデ
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
新人賞 マリアビアンカ
ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス)
チーム総合成績
リクイガス・ドイモ
敢闘賞
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
フーガ(逃げ)賞
ポール・ヴォス(ドイツ、チームミルラム)
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Cor Vos
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