2020/01/25(土) - 07:45
ニュージーランドの新興バイクブランド、CHAPTER2の第4作目となるオールロードバイク「AO(アオ)」。高品位カーボンチューブを用いた軽量グラベルモデルを、2日間の伊豆半島ライドで実走したインプレッションをお届けする。
かつてニールプライドのバイク部門を指揮したマイク・プライド氏が、自転車人生の”第2章”という意味を込めて立ち上げた「CHAPTER2(チャプター2)」。マイク氏の出身地であるニュージーランドはオークランドに拠点を構える新興ブランドだ。
CHAPTER2は今まで、出身国であるニュージーランドにちなんだ車名を付けてきた。「AO」はマオリ語で「地面、土、地球」という意味を持つ言葉。グラベルロードらしい名前の由来だ。AOの開発にはマイク・プライド氏に加えて日本在住のマイキーことマイケル・ライス氏の要望が強く反映された。完成車設定は無く、フレームセットのみの提供となる。
フルカーボンフレームのオールロードであるAOは、グラベルレースが好きで、レース向きの組み上げを実現したいユーザー、あるいはパニアバッグやボトルなど荷物を積んでクロスカントリーロードトリップに出かけたいユーザーのニーズどちらにも応えることができるグラベル/オールロードバイクだ。
ドライブ側のBB付近が下がったチェーンステーは、オフロードでチェーンが暴れてもステーに当たることがなく、大きなタイヤクリアランスをもつため、ホイール径も700Cと650Bに対応。700Cなら40〜45C、650Bなら2.0といったタイヤに対応する。
ユニークなのは交換・可変式のリアエンド小物を備え、ハブ軸位置がブレーキ台座ごとスライドするシステムによってチェーンステー長を可変させることができ、チェーンステーを仮想的に長くして直進性や安定感を高めたり、短くして反応性を高めたりと、バイクのキャラクターを変えることができる。
太めのタイヤを許容するクリアランスのフォーククラウンをもつストレート形状のフロントフォークには、サイドにキャリアやボトル/スリーピングバッグケージなどの取り付けを可能にするダボ穴を備え、フェンダーの装着も可能だ。ダウンチューブ上のボトルケージの取り付け穴も3つ穴式により取り付け高さ変化させることができ、好みの重心位置を探せる。
トップチューブ上面にもダイレクトマウント式のコンテナバッグを装着できるほか、ダウンチューブ下面にもボトルケージ取り付け穴を備え、メインフレームで4ボトルの取り付けが可能。トライアングル全面にバイクパッキング用フレームバッグなどを取り付けるなど、バッグ&ボトルのレイアウトも自在。シートステー上部のアルミ製のキャリア&フェンダー取り付けブリッヂは脱着式で、使用しない際には軽量化も図れる。
フロントチェーンリングは2Xと1Xの選択が可能。2Xセットアップを選択すれば、最大で50/34T対応チェーンリングを装備でき、1Xセットアップの選択なら最大48Tのシングルチェーンリングを取り付けることができる。シマノ、カンパ、スラムのケーブル、電動など、ケーブルルーティング小物を選択して装着することができ、市場のすべての変速システムに対応する。ステムと径31.6mmのカーボン製シートポストがフレームセットに付属するが、シートチューブはドロッパーポストに差し替えた際の内部配線にも対応している。
フレーム素材には東レのカーボンT700とT800を採用することでMサイズでフレーム重量1040g、フォーク427gという軽量性を実現しつつ、現在のレーシング系グラベルロードのトレンドと、キャンプツーリング系オールロードに備わる多くの構造やスペックをほとんどすべて盛り込んでいるオール・イン・ワンのパッケージだ。
伊豆でのオーナーライド オン&オフロードで2日間フルにテストライド
伊豆半島でのChapter2オーナーライドで2日間乗ったグラベルロードのAO。このグループライド自体が舗装路メインだったが、2日目には離脱して30kmほどグラベルを走れた。初日は700Cホイールにパナレーサーグラベルキングの26Cタイヤで、2日目は650Bホイールに差し替えて、タイヤはマキシスのMTB用軽量タイヤ MAXXLITE 27.5×2.0をセットして走ってみた。
グラベルバイクというよりも「オールロード」的な使い方だった今回のツーリング。8割は舗装路でのグループライドで、それなりに高速。初日はグラベルタイヤ、2日目は軽量クロスカントリーMTBタイヤだったが、ともにオンロードでも走行抵抗が軽めのものをチョイスしたので、ロードバイクと一緒に走る舗装路でのグループライドでもそれほど不利は感じなかった。
もちろんツーリングペースだったのだが、アップダウンの多い舗装路でアタック的に走ったり、ダウンヒルを攻めてみたりとアグレッシブに楽しんでみたが、ロードバイクに比べて多少軽快さが劣る面や、直進性が強い傾向はあれど、大きく劣ることなく走れたのは新鮮な驚きだった。
その軽い走りの理由のひとつにAOのフレーム重量が1040g、フォーク427gという超軽量に仕上がっていることが挙げられる。この数字はシーオッタークラシックで発表されたときに大いに驚きをもって受け止められたとおり、走りの軽快さとなって体感できる。フレーム各部に備わったダボ穴のネジを取り除き、シートステー部のアルミ製キャリア取り付け小物を除去すればさらに軽くできるだろう。同行のマイキーことマイケル・ライス氏は実際、フロントシングル&ケーブル式ディスクブレーキの選択、そして使わないネジを除去することにより車重を7kg台に抑えており、パーツ選択次第でその数字が十分に実現可能な軽量フレームだ。
2日目にはホイールを700Cから650Bホイールに差し替えてみた。その際に仮想チェーンステーを短くするべくエンド小物を交換したが、2.0サイズの太いタイヤではチェーンステイ内部にタイヤが干渉し、長めの位置に戻した。このことから、おもにリア側の可変機構は太いタイヤの際に制約はあるようだが、仮想チェーンステイを変化させることで走りの性格を変えることができるのは面白い。この交換は10分程度あれば可能だった。この可変エンド小物はフレームセットに最初から付属しているという。
力強いストレートフォークからくる直進性の強さと操舵性はオールロードならではだが、ホイールとタイヤの選択次第で舗装路のロングツーリングなどでも十分に快走できる。グラベルロードとなると重めのスペックのモデルが多い中、レーシングユースにも十分対応するバイクだ。その俊敏な走りで、レースに大きく振ったモデルに負けないキャラクターを持ちつつも、キャリアやフェンダー、バッグ取り付けユーティリティを十分に備えた守備範囲の広いオールマイティバイクだと言えそうだ。
chapeter2 AO フレームセット
カーボン素材:Toray T800, T700 & 3Kカーボン
サイズ:XS, S, M, L,XL
フレーム重量:1040 (Mサイズ)
フォーク重量:427g
シートポスト重量:210g
ステム:80mm, 90mm, 100mm, 110mm,120mm
BB:BSAスレッド
タイヤクリアランス:42mm (700c) & 47mm (650B)
価格:¥321,400(税抜)
photo&text:Makoto.AYANO
かつてニールプライドのバイク部門を指揮したマイク・プライド氏が、自転車人生の”第2章”という意味を込めて立ち上げた「CHAPTER2(チャプター2)」。マイク氏の出身地であるニュージーランドはオークランドに拠点を構える新興ブランドだ。
CHAPTER2は今まで、出身国であるニュージーランドにちなんだ車名を付けてきた。「AO」はマオリ語で「地面、土、地球」という意味を持つ言葉。グラベルロードらしい名前の由来だ。AOの開発にはマイク・プライド氏に加えて日本在住のマイキーことマイケル・ライス氏の要望が強く反映された。完成車設定は無く、フレームセットのみの提供となる。
フルカーボンフレームのオールロードであるAOは、グラベルレースが好きで、レース向きの組み上げを実現したいユーザー、あるいはパニアバッグやボトルなど荷物を積んでクロスカントリーロードトリップに出かけたいユーザーのニーズどちらにも応えることができるグラベル/オールロードバイクだ。
ドライブ側のBB付近が下がったチェーンステーは、オフロードでチェーンが暴れてもステーに当たることがなく、大きなタイヤクリアランスをもつため、ホイール径も700Cと650Bに対応。700Cなら40〜45C、650Bなら2.0といったタイヤに対応する。
ユニークなのは交換・可変式のリアエンド小物を備え、ハブ軸位置がブレーキ台座ごとスライドするシステムによってチェーンステー長を可変させることができ、チェーンステーを仮想的に長くして直進性や安定感を高めたり、短くして反応性を高めたりと、バイクのキャラクターを変えることができる。
太めのタイヤを許容するクリアランスのフォーククラウンをもつストレート形状のフロントフォークには、サイドにキャリアやボトル/スリーピングバッグケージなどの取り付けを可能にするダボ穴を備え、フェンダーの装着も可能だ。ダウンチューブ上のボトルケージの取り付け穴も3つ穴式により取り付け高さ変化させることができ、好みの重心位置を探せる。
トップチューブ上面にもダイレクトマウント式のコンテナバッグを装着できるほか、ダウンチューブ下面にもボトルケージ取り付け穴を備え、メインフレームで4ボトルの取り付けが可能。トライアングル全面にバイクパッキング用フレームバッグなどを取り付けるなど、バッグ&ボトルのレイアウトも自在。シートステー上部のアルミ製のキャリア&フェンダー取り付けブリッヂは脱着式で、使用しない際には軽量化も図れる。
フロントチェーンリングは2Xと1Xの選択が可能。2Xセットアップを選択すれば、最大で50/34T対応チェーンリングを装備でき、1Xセットアップの選択なら最大48Tのシングルチェーンリングを取り付けることができる。シマノ、カンパ、スラムのケーブル、電動など、ケーブルルーティング小物を選択して装着することができ、市場のすべての変速システムに対応する。ステムと径31.6mmのカーボン製シートポストがフレームセットに付属するが、シートチューブはドロッパーポストに差し替えた際の内部配線にも対応している。
フレーム素材には東レのカーボンT700とT800を採用することでMサイズでフレーム重量1040g、フォーク427gという軽量性を実現しつつ、現在のレーシング系グラベルロードのトレンドと、キャンプツーリング系オールロードに備わる多くの構造やスペックをほとんどすべて盛り込んでいるオール・イン・ワンのパッケージだ。
伊豆でのオーナーライド オン&オフロードで2日間フルにテストライド
伊豆半島でのChapter2オーナーライドで2日間乗ったグラベルロードのAO。このグループライド自体が舗装路メインだったが、2日目には離脱して30kmほどグラベルを走れた。初日は700Cホイールにパナレーサーグラベルキングの26Cタイヤで、2日目は650Bホイールに差し替えて、タイヤはマキシスのMTB用軽量タイヤ MAXXLITE 27.5×2.0をセットして走ってみた。
グラベルバイクというよりも「オールロード」的な使い方だった今回のツーリング。8割は舗装路でのグループライドで、それなりに高速。初日はグラベルタイヤ、2日目は軽量クロスカントリーMTBタイヤだったが、ともにオンロードでも走行抵抗が軽めのものをチョイスしたので、ロードバイクと一緒に走る舗装路でのグループライドでもそれほど不利は感じなかった。
もちろんツーリングペースだったのだが、アップダウンの多い舗装路でアタック的に走ったり、ダウンヒルを攻めてみたりとアグレッシブに楽しんでみたが、ロードバイクに比べて多少軽快さが劣る面や、直進性が強い傾向はあれど、大きく劣ることなく走れたのは新鮮な驚きだった。
その軽い走りの理由のひとつにAOのフレーム重量が1040g、フォーク427gという超軽量に仕上がっていることが挙げられる。この数字はシーオッタークラシックで発表されたときに大いに驚きをもって受け止められたとおり、走りの軽快さとなって体感できる。フレーム各部に備わったダボ穴のネジを取り除き、シートステー部のアルミ製キャリア取り付け小物を除去すればさらに軽くできるだろう。同行のマイキーことマイケル・ライス氏は実際、フロントシングル&ケーブル式ディスクブレーキの選択、そして使わないネジを除去することにより車重を7kg台に抑えており、パーツ選択次第でその数字が十分に実現可能な軽量フレームだ。
2日目にはホイールを700Cから650Bホイールに差し替えてみた。その際に仮想チェーンステーを短くするべくエンド小物を交換したが、2.0サイズの太いタイヤではチェーンステイ内部にタイヤが干渉し、長めの位置に戻した。このことから、おもにリア側の可変機構は太いタイヤの際に制約はあるようだが、仮想チェーンステイを変化させることで走りの性格を変えることができるのは面白い。この交換は10分程度あれば可能だった。この可変エンド小物はフレームセットに最初から付属しているという。
力強いストレートフォークからくる直進性の強さと操舵性はオールロードならではだが、ホイールとタイヤの選択次第で舗装路のロングツーリングなどでも十分に快走できる。グラベルロードとなると重めのスペックのモデルが多い中、レーシングユースにも十分対応するバイクだ。その俊敏な走りで、レースに大きく振ったモデルに負けないキャラクターを持ちつつも、キャリアやフェンダー、バッグ取り付けユーティリティを十分に備えた守備範囲の広いオールマイティバイクだと言えそうだ。
chapeter2 AO フレームセット
カーボン素材:Toray T800, T700 & 3Kカーボン
サイズ:XS, S, M, L,XL
フレーム重量:1040 (Mサイズ)
フォーク重量:427g
シートポスト重量:210g
ステム:80mm, 90mm, 100mm, 110mm,120mm
BB:BSAスレッド
タイヤクリアランス:42mm (700c) & 47mm (650B)
価格:¥321,400(税抜)
photo&text:Makoto.AYANO
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