2019/12/30(月) - 17:44
国内レースの2019年をプレーバックする第2弾は、国内開催のUCIレースを振り返る。ツール・ド・とちぎ、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野、おおいたアーバンクラシック、ツール・ド・北海道、ジャパンカップ、ツール・ド・おきなわと、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムも取り上げる。
3/22-24 ツール・ド・とちぎ(UCI2.2)
最終日に逆転劇となるも、アウラールが力を見せる
栃木県内を舞台に行われる「ツール・ド・とちぎ」。今年は個人タイムトライアル、周回コースでのロードレース、ラインレースと3種類の形態で3ステージ272kmで行われた。
初日の個人タイムトライアルでは、1週間前に行われたJプロツアー開幕戦で優勝したマトリックスパワータグのオールイス・アルベルト・アウラールが速さを見せ、最後にスタートしたベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)がトップタイムを更新するまでホットシートに居座った。アウラールは第2ステージで中間スプリントによるボーナスタイムを獲得し、総合首位に立つ。
最終日の150kmのラインレースでは、総合上位3名が1秒以内に並ぶ中、中間スプリントのボーナスタイムでバーチャル順位が上下する展開。最後は11人に絞られた先頭集団でのスプリント勝負をチーム右京のレイモンド・クレダーが制し、逆転で個人総合優勝。あと一歩及ばなかったアウラールだったが、Jプロツアー開幕戦に続き非凡な強さを見せつけるには十分だった。
なお、ツール・ド・とちぎは、2020年が最後の開催となる。
5/19-26 ツアー・オブ・ジャパン(UCI2.1)
個人総合トップ3が見えた増田成幸 しかし不運に泣く
国内開催のステージレースでは最高峰にして最大規模のレース「ツアー・オブ・ジャパン」。今年はワールドチームが出場せず、東京オリンピックに向けてUCIポイントを稼ぐには最高の機会となるように思われた。しかしそこは1クラスのレース。国内開催とは言え、甘くはなかった。
第1ステージ、堺市での個人タイムトライアルで首位に立ったのは、宇都宮ブリッツェンの岡篤志。2位にチームブリヂストンサイクリングの窪木一茂がつけ、幸先の良いスタートを切った日本勢。しかし翌日の京都ステージで、岡は早くもリーダージャージを脱ぐことになる。
第3ステージのいなべでは窪木がポイント賞ジャージを獲得。窪木は第4ステージの美濃で今大会2度目の2位となるも、第5ステージの南信州で遅れたことによりポイント賞ジャージを失う。
そして迎えた第6ステージ富士山。前年優勝のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が大失速する中、クリス・ハーパー(チーム・ブリッジレーン)が優勝して個人総合首位に立つ。ハーパーから51秒遅れの4位につけたのは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。毎回富士山ステージで分差をつけられてしまう日本勢だったが、1クラスになって初のトップ3への期待が高まった。
しかし第7ステージ伊豆で、不運が増田を襲った。レース中盤、集団内の落車に巻き込まれて遅れた増田。アシストの力を借りて一度は集団に復帰するものの、長時間の追走で力を使ったことと落車による負傷が響いて3分以上遅れてフィニッシュ。個人総合10位まで後退する結果となってしまった。リタイアの可能性があるほどの重傷にもかかわらず、翌日の東京ステージを走って完走。この時、1ヶ月後にタイムトライアルの全日本チャンピオンになること、さらにツール・ド・おきなわで優勝すると予想できた人はいなかっただろう。
第8ステージの東京は、要人来日の都合で初の大井埠頭のみでのレース。窪木が6年ぶりとなる東京ステージでの日本人優勝を決め、最終日の表彰台に日本人が登った。しかし個人総合は石橋学(チームブリヂストンサイクリング)の7位が日本人最高位、各賞ジャージに日本人は届かず、改めてツアー・オブ・ジャパンの難しさを見せられた。
5/30-6/2 ツール・ド・熊野(UCI2.2)
アウラールが初優勝 オールラウンダーとしての力を示す
三重県南部と和歌山県北部にまたがる熊野地域を舞台として行われるステージレース「ツール・ド・熊野」。プロローグ+3ステージの4日間開催のレースは、今年も定番となった丸山千枚田や1級山岳の札立峠など厳しい山岳コースで行われた。
今年のレースを制したのは、来日直後から強さを見せていたアウラール。第1ステージで優勝してリーダージャージを獲得すると、第2ステージでは3位のボーナスタイムを獲得して総合2位の岡篤志との差を広げ、最終日まで首位を譲らずに優勝を決めた。来日前はスプリンターという触れ込みのアウラールだったが、この大会でオールラウンダーとしての強さを発揮して見せた。
一方、地元チームのキナンサイクリングチームは、第2ステージでトマ・ルバが優勝、マルコス・ガルシアが山岳賞を獲得するも、個人総合優勝は届かず。チーム最大の目標達成はまた翌年に持ち越しとなった。
8/11 おおいたアーバンクラシック(UCI1.2)
真夏のワンデーレースはトレンガヌの1-2フィニッシュ
2回目の開催となる「おおいたアーバンクラシック」。今年は秋にラグビーのワールドカップが開催されるため、真夏の8月開催となった。「ロードレースだがクリテリウムのようなコース」とある選手が表現するように、常に集団が長く伸びた状態となるおおいたアーバンクラシックのコースは、コースプロフィール以上にハード。今年はそれに30℃を超える暑さも加わった。
レースは序盤に20名前後の集団が先行。後続集団はこれを吸収できず、終盤に抜け出した7人による勝負となり、マレーシアのトレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチームが1-2フィニッシュ。前日に行われたクリテリウム2位の椿大志(キナンサイクリングチーム)が5位、同クリテリウム優勝の今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)が6位に入った。
9/6-8 ツール・ド・北海道(UCI2.2)
フィリッポ・ザッカンティが個人総合優勝 NIPPOが各賞ジャージを独占
震災による中止を経て2年ぶりの開催となった「ツール・ド・北海道」。2018年大会用に設定されたコースをほぼそのまま使用して3日間541kmで行われたレースは、街と街をつなぐように進むステージレース本来の形。3日間共に170kmを超える距離を走り、1級山岳が計3回設定されるハイレベルな内容だ。
初日から2つの1級山岳と1つの2級山岳を超える第1ステージでは、先行した11名の先頭集団から終盤に抜け出したフィリッポ・ザッカンティが優勝。第2ステージでは、5月のジロ・デ・イタリアにも出場した初山翔を含むNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ(以下NIPPO)が完璧なレースコントロールを見せてリーダーのザッカンティを守った。最終日も初山と伊藤雅和の日本人コンビが長時間の集団牽引でチームに貢献。NIPPOはザッカンティの個人総合優勝だけでなく、山岳賞、ポイント賞、チーム総合優勝まで決める完全勝利をして見せた。レース後、初山はチームの勝利に喜びつつも「出来れば日本人で勝ちたかった」と本音をもらした。
10/20 ジャパンカップ(UCI HC)
モレマが2度目のジャパンカップ制覇 6位に喰い込んだ中根英登
台風が多かった2019年、国内レースは大きな影響を受け、中止や距離短縮が相次いだ。10月になっても来襲する台風はジャパンカップ直前にコースの一部を土砂で埋めてしまった。しかし懸命な復旧作業により、コースもレース距離も何の変更もなく例年通り開催されたことに安堵したファンは多かっただろう。しかしコースすぐ近くの大谷周辺では、レース当日も水没の復旧作業に追われていたことを忘れてはならない。
レース序盤、マトリックスのマンセボの飛び出しをきっかけに、ワールドチーム勢を中心とした8名の逃げ集団が形成される。例年なら日本人選手の逃げ集団が容認されるが、今年は国内チームに追走の義務が生じるというこれまでと逆の展開で進行していく。
11周目、ユンボ・ヴィズマが強烈なペースアップを開始して逃げを吸収。さらに20名ほどまで絞られた中から、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)とマイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト)の2人が残り2周で抜け出す。最後はジャパンカップ優勝経験のあるモレマがウッズを下して2度目の優勝を決めた。
モレマとウッズには遅れたものの、中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が6位となり、2年連続アジア最上位選手となった。
10/27 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
残り1周を単独で逃げ切った新城幸也が日本人初優勝
ジャパンカップから1週間後に行われた「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」
には、2019年ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル(チームイネオス)をはじめ、山岳賞のロマン・バルデ(アージェードゥーゼル)、クリテリウム・デュ・ドーフィネでの怪我から復帰したクリストファー・フルーム(チームイネオス)、欠場となったアレハンドロ・バルベルデとモビスターに代わり、ブエルタ・ア・エスパーニャを制したプリモシュ・ログリッチェとユンボ・ヴィズマらが出場した。
メインレースのクリテリウムは、レース終盤まで続いた逃げを吸収したカウンターで新城幸也(バーレーン・メリダ/ツール・ド・フランスジャパンライダー)を含む8人が新たに先行。この中から残り2周で抜け出した新城が独走に持ち込み、追走したマイヨジョーヌのベルナルと、マイヨロホのログリチェの2人を振り切って優勝。日本人選手として初めてツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを制した。
11/10 ツール・ド・おきなわ(UCI1.2)
シーズン最後の大一番 増田成幸が3年ぶり通算3度目の優勝
全ての国内ロードレースの最終戦となる「ツール・ド・おきなわ」。UCIレースとなる男子チャンピオンレースは、今年も日の出と共にスタートした。
キナンサイクリングチームの山本元喜を含む3名の逃げがスタート直後に容認され、レース中盤には15分以上もの大差がメイン集団との間に開く。それでもレース後半に入るとメイン集団は差を縮め、残り30km付近までに逃げを全て吸収する。残り20km、増田を含む4人が先行。さらに残り15kmからの登りで増田がアタック。独走態勢を築いた増田はそのままフィニッシュまで駆け抜け、3度目のツール・ド・おきなわ優勝を決めた。
2020年東京オリンピック代表選考ランキングで首位を維持している増田。この勝利でまた一歩オリンピック出場に近づいたことになったが、「オリンピックに固執して変な走りはしたくない」と言う。代表決定は2020年5月末。ロードレース代表の2人は誰になるのか?。
次回は国内レースプレーバック最終回。全日本選手権、インターハイ&インカレなどを振り返ります。
text:Satoru Kato
3/22-24 ツール・ド・とちぎ(UCI2.2)
最終日に逆転劇となるも、アウラールが力を見せる
栃木県内を舞台に行われる「ツール・ド・とちぎ」。今年は個人タイムトライアル、周回コースでのロードレース、ラインレースと3種類の形態で3ステージ272kmで行われた。
初日の個人タイムトライアルでは、1週間前に行われたJプロツアー開幕戦で優勝したマトリックスパワータグのオールイス・アルベルト・アウラールが速さを見せ、最後にスタートしたベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)がトップタイムを更新するまでホットシートに居座った。アウラールは第2ステージで中間スプリントによるボーナスタイムを獲得し、総合首位に立つ。
最終日の150kmのラインレースでは、総合上位3名が1秒以内に並ぶ中、中間スプリントのボーナスタイムでバーチャル順位が上下する展開。最後は11人に絞られた先頭集団でのスプリント勝負をチーム右京のレイモンド・クレダーが制し、逆転で個人総合優勝。あと一歩及ばなかったアウラールだったが、Jプロツアー開幕戦に続き非凡な強さを見せつけるには十分だった。
なお、ツール・ド・とちぎは、2020年が最後の開催となる。
5/19-26 ツアー・オブ・ジャパン(UCI2.1)
個人総合トップ3が見えた増田成幸 しかし不運に泣く
国内開催のステージレースでは最高峰にして最大規模のレース「ツアー・オブ・ジャパン」。今年はワールドチームが出場せず、東京オリンピックに向けてUCIポイントを稼ぐには最高の機会となるように思われた。しかしそこは1クラスのレース。国内開催とは言え、甘くはなかった。
第1ステージ、堺市での個人タイムトライアルで首位に立ったのは、宇都宮ブリッツェンの岡篤志。2位にチームブリヂストンサイクリングの窪木一茂がつけ、幸先の良いスタートを切った日本勢。しかし翌日の京都ステージで、岡は早くもリーダージャージを脱ぐことになる。
第3ステージのいなべでは窪木がポイント賞ジャージを獲得。窪木は第4ステージの美濃で今大会2度目の2位となるも、第5ステージの南信州で遅れたことによりポイント賞ジャージを失う。
そして迎えた第6ステージ富士山。前年優勝のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が大失速する中、クリス・ハーパー(チーム・ブリッジレーン)が優勝して個人総合首位に立つ。ハーパーから51秒遅れの4位につけたのは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。毎回富士山ステージで分差をつけられてしまう日本勢だったが、1クラスになって初のトップ3への期待が高まった。
しかし第7ステージ伊豆で、不運が増田を襲った。レース中盤、集団内の落車に巻き込まれて遅れた増田。アシストの力を借りて一度は集団に復帰するものの、長時間の追走で力を使ったことと落車による負傷が響いて3分以上遅れてフィニッシュ。個人総合10位まで後退する結果となってしまった。リタイアの可能性があるほどの重傷にもかかわらず、翌日の東京ステージを走って完走。この時、1ヶ月後にタイムトライアルの全日本チャンピオンになること、さらにツール・ド・おきなわで優勝すると予想できた人はいなかっただろう。
第8ステージの東京は、要人来日の都合で初の大井埠頭のみでのレース。窪木が6年ぶりとなる東京ステージでの日本人優勝を決め、最終日の表彰台に日本人が登った。しかし個人総合は石橋学(チームブリヂストンサイクリング)の7位が日本人最高位、各賞ジャージに日本人は届かず、改めてツアー・オブ・ジャパンの難しさを見せられた。
5/30-6/2 ツール・ド・熊野(UCI2.2)
アウラールが初優勝 オールラウンダーとしての力を示す
三重県南部と和歌山県北部にまたがる熊野地域を舞台として行われるステージレース「ツール・ド・熊野」。プロローグ+3ステージの4日間開催のレースは、今年も定番となった丸山千枚田や1級山岳の札立峠など厳しい山岳コースで行われた。
今年のレースを制したのは、来日直後から強さを見せていたアウラール。第1ステージで優勝してリーダージャージを獲得すると、第2ステージでは3位のボーナスタイムを獲得して総合2位の岡篤志との差を広げ、最終日まで首位を譲らずに優勝を決めた。来日前はスプリンターという触れ込みのアウラールだったが、この大会でオールラウンダーとしての強さを発揮して見せた。
一方、地元チームのキナンサイクリングチームは、第2ステージでトマ・ルバが優勝、マルコス・ガルシアが山岳賞を獲得するも、個人総合優勝は届かず。チーム最大の目標達成はまた翌年に持ち越しとなった。
8/11 おおいたアーバンクラシック(UCI1.2)
真夏のワンデーレースはトレンガヌの1-2フィニッシュ
2回目の開催となる「おおいたアーバンクラシック」。今年は秋にラグビーのワールドカップが開催されるため、真夏の8月開催となった。「ロードレースだがクリテリウムのようなコース」とある選手が表現するように、常に集団が長く伸びた状態となるおおいたアーバンクラシックのコースは、コースプロフィール以上にハード。今年はそれに30℃を超える暑さも加わった。
レースは序盤に20名前後の集団が先行。後続集団はこれを吸収できず、終盤に抜け出した7人による勝負となり、マレーシアのトレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチームが1-2フィニッシュ。前日に行われたクリテリウム2位の椿大志(キナンサイクリングチーム)が5位、同クリテリウム優勝の今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)が6位に入った。
9/6-8 ツール・ド・北海道(UCI2.2)
フィリッポ・ザッカンティが個人総合優勝 NIPPOが各賞ジャージを独占
震災による中止を経て2年ぶりの開催となった「ツール・ド・北海道」。2018年大会用に設定されたコースをほぼそのまま使用して3日間541kmで行われたレースは、街と街をつなぐように進むステージレース本来の形。3日間共に170kmを超える距離を走り、1級山岳が計3回設定されるハイレベルな内容だ。
初日から2つの1級山岳と1つの2級山岳を超える第1ステージでは、先行した11名の先頭集団から終盤に抜け出したフィリッポ・ザッカンティが優勝。第2ステージでは、5月のジロ・デ・イタリアにも出場した初山翔を含むNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ(以下NIPPO)が完璧なレースコントロールを見せてリーダーのザッカンティを守った。最終日も初山と伊藤雅和の日本人コンビが長時間の集団牽引でチームに貢献。NIPPOはザッカンティの個人総合優勝だけでなく、山岳賞、ポイント賞、チーム総合優勝まで決める完全勝利をして見せた。レース後、初山はチームの勝利に喜びつつも「出来れば日本人で勝ちたかった」と本音をもらした。
10/20 ジャパンカップ(UCI HC)
モレマが2度目のジャパンカップ制覇 6位に喰い込んだ中根英登
台風が多かった2019年、国内レースは大きな影響を受け、中止や距離短縮が相次いだ。10月になっても来襲する台風はジャパンカップ直前にコースの一部を土砂で埋めてしまった。しかし懸命な復旧作業により、コースもレース距離も何の変更もなく例年通り開催されたことに安堵したファンは多かっただろう。しかしコースすぐ近くの大谷周辺では、レース当日も水没の復旧作業に追われていたことを忘れてはならない。
レース序盤、マトリックスのマンセボの飛び出しをきっかけに、ワールドチーム勢を中心とした8名の逃げ集団が形成される。例年なら日本人選手の逃げ集団が容認されるが、今年は国内チームに追走の義務が生じるというこれまでと逆の展開で進行していく。
11周目、ユンボ・ヴィズマが強烈なペースアップを開始して逃げを吸収。さらに20名ほどまで絞られた中から、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)とマイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト)の2人が残り2周で抜け出す。最後はジャパンカップ優勝経験のあるモレマがウッズを下して2度目の優勝を決めた。
モレマとウッズには遅れたものの、中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が6位となり、2年連続アジア最上位選手となった。
10/27 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
残り1周を単独で逃げ切った新城幸也が日本人初優勝
ジャパンカップから1週間後に行われた「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」
には、2019年ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル(チームイネオス)をはじめ、山岳賞のロマン・バルデ(アージェードゥーゼル)、クリテリウム・デュ・ドーフィネでの怪我から復帰したクリストファー・フルーム(チームイネオス)、欠場となったアレハンドロ・バルベルデとモビスターに代わり、ブエルタ・ア・エスパーニャを制したプリモシュ・ログリッチェとユンボ・ヴィズマらが出場した。
メインレースのクリテリウムは、レース終盤まで続いた逃げを吸収したカウンターで新城幸也(バーレーン・メリダ/ツール・ド・フランスジャパンライダー)を含む8人が新たに先行。この中から残り2周で抜け出した新城が独走に持ち込み、追走したマイヨジョーヌのベルナルと、マイヨロホのログリチェの2人を振り切って優勝。日本人選手として初めてツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを制した。
11/10 ツール・ド・おきなわ(UCI1.2)
シーズン最後の大一番 増田成幸が3年ぶり通算3度目の優勝
全ての国内ロードレースの最終戦となる「ツール・ド・おきなわ」。UCIレースとなる男子チャンピオンレースは、今年も日の出と共にスタートした。
キナンサイクリングチームの山本元喜を含む3名の逃げがスタート直後に容認され、レース中盤には15分以上もの大差がメイン集団との間に開く。それでもレース後半に入るとメイン集団は差を縮め、残り30km付近までに逃げを全て吸収する。残り20km、増田を含む4人が先行。さらに残り15kmからの登りで増田がアタック。独走態勢を築いた増田はそのままフィニッシュまで駆け抜け、3度目のツール・ド・おきなわ優勝を決めた。
2020年東京オリンピック代表選考ランキングで首位を維持している増田。この勝利でまた一歩オリンピック出場に近づいたことになったが、「オリンピックに固執して変な走りはしたくない」と言う。代表決定は2020年5月末。ロードレース代表の2人は誰になるのか?。
次回は国内レースプレーバック最終回。全日本選手権、インターハイ&インカレなどを振り返ります。
text:Satoru Kato
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