2019/12/27(金) - 12:09
超高速レースのUCIシクロクロスワールドカップ第7戦でマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)が圧勝。手に汗握る好勝負が繰り広げられた女子レースではルシンダ・ブラント(オランダ、テレネット・バロワーズ)が勝利し、男子U23レースに出場した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は44位、積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM)は52位となった。
クリスマスから年末年始にかけて続くホリデーシーズンに入っても、欧州シクロクロスカレンダーは勢いを増すばかり。ほぼ2,3日おきにビッグレースが続く過密スケジュールの中、UCIシクロクロスワールドカップ第7戦がベルギーはフランダース東部のリンブルフ州ヒュースデン=ゾルダーにて開催された。
開催地は1980年代までF1ベルギーGPが開催されていた地として知られるゾルダーサーキット。2002年にはロードの世界選手権を、そして毎年シクロクロスのワールドカップを迎え、ワウト・ファンアールト(ベルギー)が初めてエリートタイトルを取った2016年のシクロクロス世界選手権開催地など、数々の名勝負を生み出してきた格式あるコースだ。
男子エリートに出場したのは65名。連戦出場中の元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめ、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・メリダ)、ジミー・テュルジ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)らプロロード選手も顔を揃えた。
4日前のワールドカップ第6戦ナミュールでマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)を追い詰めながらも終盤の落車で肋骨4本を折ったトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)は痛みをこらえて出場したが、スタート直後の第1コーナーでスティバルがスリップしたあおりを受けて落車。手負いのワールドカップランキングリーダーは最後尾から追い上げを強いられた。
ティム・メルリエ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)、そしてラース・ファンデルハール(オランダ)テレネット・バロワーズ勢が先頭グループを形成し、アルカンシエルを着用するファンデルポールは10番手あたりから様子を伺いつつレースを進めていく。この日はジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ)が「ほとんどロードレースだった」と言うほどの高速レースとなったため、中盤まで大きな先頭グループがバラけることはなかった。
ファンデルポールが動いたのは全9周回中の4周目だった。「直線区間が多いゾルダーは最も独走が難しいコースだ。いつもより長めに待機するつもりだったけど、集団後方でもキツいことには変わりなかった。遅れを取り戻すために2回も追い込まざるを得なかったので、もうそういう状況には陥りたくなかった」と言う世界王者はするりと隊列先頭に上がり、そこから猛烈な勢いでチャージを開始する。ライバル勢に為す術なく、ファンデルポールはパワーセクションを経る度に1秒、また1秒とリードを拡大。「反応するのが遅すぎた」と言うローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が率いる追走グループでは、メルリエの落車によって人数が半減するなど、王者の加速がレースを激しく動かした。
2番手グループもタイム差20秒以内で追走を続けたが、リードを確認しながら逃げたファンデルポールは最後まで崩れなかった。パワフルかつ安定した走りを続け、最後はペースを落としてフィニッシュ。自信に満ち溢れたガッツポーズで1時間2分のレースを締めくくった。
後方では積極的に追走したスウィークが、スプリントでクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・バロワーズ)やファントーレンハウトを下して2位を確保。落車の原因を作ったスティバルのアシストを受けて順位を回復し続けたアールツは14位。総合ランキング2位のエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)は不調に苦しみ13位となったため、結果的にアールツがランキング首位の座を守っている。
85名が出場した女子エリート+U23レースでは、この日も圧倒的な強さを誇るオランダ勢がレースの主導権を握った。U23ランキングリーダーのセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)と前欧州王者アンマリー・ワースト(オランダ、777)、U23世界王者インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、CCC・リブ)、オランダ王者ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネット・バロワーズ)らがフロントローを独占する中、後方スタートの元世界王者マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)が鮮烈なスタートで先頭グループに割り込んでくる。高速レースの先頭グループで展開したのはこの5名だった。
全6周回中の4周目にはアルカンシエルを着るサンヌ・カント(ベルギー、IKO・コレンドン)が先頭集団に合流したが、これを嫌うようにフォスがペースアップ。ここにブラントとアルバラードが反応して先頭集団を形成したが、ブラントのペースにフォスが遅れる場面が目立つようになる。ペースが落ちたタイミングでワーストが復帰し、オランダ勢4名が牽制状態となりながら最終周回に突入した。
ペースが落ちきった状態から仕掛けたのは、ここまで積極的にレースを率いてきたブラントだった。およそ半周に渡るペースアップでワーストが遅れ、ブラントはフォスと激しい攻防戦を繰り広げたが、急勾配の登りを乗車にこだわったフォスがミスし、続く下りセクションでは痛恨の落車をしてしまう。際どいラインを攻め続けたブラントと、沈着冷静にレースを進めたアルバラードが激しく火花を散らしながら最終ストレートに姿を現した。
「自分でもなぜあんなに早くスプリントしたか分からないけれど、とにかく長いスプリントだった」と言うブラントが真っ先にロングスパートを仕掛け、番手のアルバラードも追従して並びかける。しかしその動きを確認したブラントがもうひと伸びをみせ、手に汗握る攻防戦が決着。オランダ王者がナミュールに続くワールドカップ2連勝を射止めた。
「本当にキツいレースで、最終周回は自分の力を全て出し切った。最後は周回遅れに気を配るのが精一杯で後ろ(マリアンヌ)で何が起こっていたかはまったく知らなかった。強いメンバーの中で2連勝できたのは大きな意味がある」とブラントは語っている。また、3位には最終盤に落車したフォスを捉え、スプリントで下したワーストが入った。
またこの日、ケヴィン・クーン(スイス)が勝利したU23レースでは、日本代表ジャージを着用した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が4分47秒遅れの44位でフルラップ完走、積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM)がラップアウトの52位でレースを終えている。
クリスマスから年末年始にかけて続くホリデーシーズンに入っても、欧州シクロクロスカレンダーは勢いを増すばかり。ほぼ2,3日おきにビッグレースが続く過密スケジュールの中、UCIシクロクロスワールドカップ第7戦がベルギーはフランダース東部のリンブルフ州ヒュースデン=ゾルダーにて開催された。
開催地は1980年代までF1ベルギーGPが開催されていた地として知られるゾルダーサーキット。2002年にはロードの世界選手権を、そして毎年シクロクロスのワールドカップを迎え、ワウト・ファンアールト(ベルギー)が初めてエリートタイトルを取った2016年のシクロクロス世界選手権開催地など、数々の名勝負を生み出してきた格式あるコースだ。
男子エリートに出場したのは65名。連戦出場中の元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめ、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・メリダ)、ジミー・テュルジ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)らプロロード選手も顔を揃えた。
4日前のワールドカップ第6戦ナミュールでマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)を追い詰めながらも終盤の落車で肋骨4本を折ったトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)は痛みをこらえて出場したが、スタート直後の第1コーナーでスティバルがスリップしたあおりを受けて落車。手負いのワールドカップランキングリーダーは最後尾から追い上げを強いられた。
ティム・メルリエ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)、そしてラース・ファンデルハール(オランダ)テレネット・バロワーズ勢が先頭グループを形成し、アルカンシエルを着用するファンデルポールは10番手あたりから様子を伺いつつレースを進めていく。この日はジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ)が「ほとんどロードレースだった」と言うほどの高速レースとなったため、中盤まで大きな先頭グループがバラけることはなかった。
ファンデルポールが動いたのは全9周回中の4周目だった。「直線区間が多いゾルダーは最も独走が難しいコースだ。いつもより長めに待機するつもりだったけど、集団後方でもキツいことには変わりなかった。遅れを取り戻すために2回も追い込まざるを得なかったので、もうそういう状況には陥りたくなかった」と言う世界王者はするりと隊列先頭に上がり、そこから猛烈な勢いでチャージを開始する。ライバル勢に為す術なく、ファンデルポールはパワーセクションを経る度に1秒、また1秒とリードを拡大。「反応するのが遅すぎた」と言うローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が率いる追走グループでは、メルリエの落車によって人数が半減するなど、王者の加速がレースを激しく動かした。
2番手グループもタイム差20秒以内で追走を続けたが、リードを確認しながら逃げたファンデルポールは最後まで崩れなかった。パワフルかつ安定した走りを続け、最後はペースを落としてフィニッシュ。自信に満ち溢れたガッツポーズで1時間2分のレースを締めくくった。
後方では積極的に追走したスウィークが、スプリントでクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・バロワーズ)やファントーレンハウトを下して2位を確保。落車の原因を作ったスティバルのアシストを受けて順位を回復し続けたアールツは14位。総合ランキング2位のエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)は不調に苦しみ13位となったため、結果的にアールツがランキング首位の座を守っている。
85名が出場した女子エリート+U23レースでは、この日も圧倒的な強さを誇るオランダ勢がレースの主導権を握った。U23ランキングリーダーのセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)と前欧州王者アンマリー・ワースト(オランダ、777)、U23世界王者インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、CCC・リブ)、オランダ王者ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネット・バロワーズ)らがフロントローを独占する中、後方スタートの元世界王者マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)が鮮烈なスタートで先頭グループに割り込んでくる。高速レースの先頭グループで展開したのはこの5名だった。
全6周回中の4周目にはアルカンシエルを着るサンヌ・カント(ベルギー、IKO・コレンドン)が先頭集団に合流したが、これを嫌うようにフォスがペースアップ。ここにブラントとアルバラードが反応して先頭集団を形成したが、ブラントのペースにフォスが遅れる場面が目立つようになる。ペースが落ちたタイミングでワーストが復帰し、オランダ勢4名が牽制状態となりながら最終周回に突入した。
ペースが落ちきった状態から仕掛けたのは、ここまで積極的にレースを率いてきたブラントだった。およそ半周に渡るペースアップでワーストが遅れ、ブラントはフォスと激しい攻防戦を繰り広げたが、急勾配の登りを乗車にこだわったフォスがミスし、続く下りセクションでは痛恨の落車をしてしまう。際どいラインを攻め続けたブラントと、沈着冷静にレースを進めたアルバラードが激しく火花を散らしながら最終ストレートに姿を現した。
「自分でもなぜあんなに早くスプリントしたか分からないけれど、とにかく長いスプリントだった」と言うブラントが真っ先にロングスパートを仕掛け、番手のアルバラードも追従して並びかける。しかしその動きを確認したブラントがもうひと伸びをみせ、手に汗握る攻防戦が決着。オランダ王者がナミュールに続くワールドカップ2連勝を射止めた。
「本当にキツいレースで、最終周回は自分の力を全て出し切った。最後は周回遅れに気を配るのが精一杯で後ろ(マリアンヌ)で何が起こっていたかはまったく知らなかった。強いメンバーの中で2連勝できたのは大きな意味がある」とブラントは語っている。また、3位には最終盤に落車したフォスを捉え、スプリントで下したワーストが入った。
またこの日、ケヴィン・クーン(スイス)が勝利したU23レースでは、日本代表ジャージを着用した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が4分47秒遅れの44位でフルラップ完走、積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM)がラップアウトの52位でレースを終えている。
男子エリート結果
1位 | マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) | 1:02:22 |
2位 | ローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:06 |
3位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・バロワーズ) | |
4位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:09 |
5位 | ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ) | 0:20 |
6位 | コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・バロワーズ) | 0:21 |
7位 | ティム・メルリエ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ) | |
8位 | ヨリス・ニューウィンハイス(オランダ、サンウェブ) | |
9位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・バロワーズ) | 0:37 |
10位 | タイス・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) | 0:59 |
女子レース結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネット・バロワーズ) | 47:49 |
2位 | セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス) | 0:01 |
3位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | 0:13 |
4位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ) | 0:14 |
5位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、CCC・リブ) | 0:26 |
6位 | サンヌ・カント(ベルギー、IKO・コレンドン) | 0:29 |
7位 | エヴァ・リヒナー(イタリア、クレアフィン・フリスタッズ) | 0:34 |
8位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ) | 0:52 |
9位 | ヤラ・カステライン(オランダ、777) | 1:12 |
10位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:15 |
男子U23結果
1位 | ケヴィン・クーン(スイス) | 50:05 |
2位 | アントワン・ブノワ(フランス、コレンドン・サーカス) | 0:05 |
3位 | ロリス・ルイエ(スイス、コレンドン・サーカス) | |
44位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +4:47 |
52位 | 積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | LAP |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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