2019/11/18(月) - 12:47
11月17日(日)UCIクラス2の関西シクロクロス/マキノラウンドが滋賀県高島市のマキノ高原を舞台に開催され、男子エリートはエミル・ヘケレ(チェコ、ZEKOF TEAM)、女子エリートは唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が制した。
国内のUCIレース3戦目、JCX(ジャパンシクロクロス)シリーズ4戦目となる関西シクロクロスのマキノラウンド。翌週に国内唯一のUCIクラス1レースのラファスーパークロス野辺山を控えた11月17日(日)、滋賀県高島市のマキノ高原を舞台にUCIクラス2のレースが開催された。
なだらかなスキー場を利用したコースはスタートとフィニッシュの舗装路を除いて一面枯れ草&芝生に覆われており、そこにいくつものキャンバー(急坂)や名物となったフライオーバー(立体交差)が組み合わされている。1年前の全日本選手権が開催された際に会場が一面白銀の世界になったことからも分かるように、日本海から流れ込む雲によって悪天候に見舞われがちな会場だが、この日は最高気温が15度前後まで上がる陽気に包まれた。
海外から日本のUCIレースを転戦するために来日したのはエミル・ヘケレ(チェコ、ZEKOF TEAM)とダニエル・テイラー(オーストラリア、Ballarat/Sebastopol CC)の2人。69名がスタートした男子エリートレースで序盤からリードしたのは、3年連続の来日となる42歳のヘケレだった。
ホールショットを決めて1周目を先頭でこなした小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)に続いたのはヘケレと織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)。2周目に入るとヘケレと織田が先頭に立ち、小坂はこの2人のペースに対応できずにポジションを落としてしまう。
「もう少し1周目を落ち着いて入るべきだった」と振り返る小坂には竹之内悠(東洋フレーム)と村上功太郎(松山大学)の2人が追いつき、中盤にかけて3名で3番手パックを形成する。その後方では丸山厚(チームアレ・リドレー)やJエリートツアー個人総合優勝を果たしたばかりの比護任(PAXPROJECT)、さらに距離を開けてテイラーらが追走する展開となった。
合計9周することが決まったレースの3周目に、ヘケレが織田を振り切った。「序盤に(織田)聖と2人になって、良い脚の状態だと感じてアタックした。そこから独走でフィニッシュまで走る自信があったんだ」と語るヘケレが力強い走りで織田を引き離していく。両者のタイム差は15秒、20秒、25秒と1周につき5秒ずつ広がっていった。
ヘケレのメカトラの影響でタイム差は15秒まで縮まったものの、最終周回で織田がチェーン落ちに見舞われたため逆に拡大。ヘケレが織田に42秒差をつけ、独走のままフィニッシュした。
「残り2周でプーリーに芝生が絡んだ影響でリアディレイラーの調子が悪くなったけど、バイクを変えることなくそのまま走った。タイム差を詰められたけど追いつかれるとは思わなかった。インターバルが延々と続く自分向きのコース。とにかく日本に帰ってこれたことが嬉しいし、昨年2位だったマキノで勝てたので、野辺山に向けて良い日本遠征のスタートになったよ」。そう語るヘケレは2017年に1位&2位、2018年に2位&3位という成績を残している野辺山でも優勝候補に挙げられる。
「自分もレベルアップしているつもりですが、彼は1年前よりも強くなっている」と、チェコからやってきたベテランの強さを認めるのは2位の織田。「1周目を終えたところで(小坂)光さんを先頭に3人のパックになって、少しペースが落ちたので自分が上げたらエミル(ヘケレ)が付いてきた。2周目は2人でこなせたんですが、3周目のフライオーバーの先の登りで後ろからアタックされて、パワーで引き離されてしまった。頑張って詰めようと思ったんですが、直線区間でパワー負けしてしまいました。来週の野辺山では彼の後ろで待機しながら、マークして走りたい」と、JCXランキングで首位を走る織田は語っている。
3位争いは残り2周で仕掛けて竹之内と村上を振り切った小坂に軍配。「2周目に入るところで2人(織田とヘケレ)が先行して、まずいと思いながらも本当にきつくて反応できなかった。後ろから(竹之内)悠と(村上)功太郎が追いついてきて、2人のペースに合わせて一休みして、残り2周で再びペースを上げました。なんとか逃げ切れてよかった。2周目に切れた集中力を最後に持ち直して、表彰台という形で終えることができた」と、苦しみながらもハイシーズンに向けて感触をつかんだ様子だ。
U23全日本チャンピオンの村上を抑えて4位に入ったのは、ベルギーから日本に帰ってきてから2戦目を迎えた竹之内。「今シーズンはヨーロッパで走れている良いイメージを持ちながら帰国しました。年々リカバリーの方法もわかってきたこともあり、故障もなく、ヨーロッパでの転戦を終えても身体が元気な状態です。終盤にかけて良い感触を思い出しながら走りました。来週の野辺山から全日本選手権に向けてしっかり乗り込む時間があるので上げていきたい」。竹之内はヨーロッパに戻ることなく今シーズンの残りを日本国内で過ごす予定だ。
混戦が繰り広げられたのは21名がスタートした女子エリート。スタートから先行したのは西山みゆき(東洋フレーム)で、全日本チャンピオンの松本璃奈(TEAM SCOTT Japan)は1周目の転倒によるメカトラで大きく出遅れてしまう。松本は粘り強く2番手まで順位を上げたが、その後のパンクで再び後退。「そこそこ踏めていたけど、いい感触は掴めなかった」という松本は7位に入るのがやっとだった。
代わって先頭でレースをリードしたのは渡部春雅(駒澤大学高等学校)と石田唯(北桑田高校)という2人の高校2年生だった。「(2週間前の)幕張クロスではなかなか前に上がることができずに終わってしまったので、今回は前半から攻めて前に出ようと思っていました」という渡部が1周目から独走を開始。快調にリードを20秒まで広げた渡部だったが、4周目のメカトラによってペースを落としてしまう。
すると、スタートで出遅れながらも持ち前のパワーで順位を上げた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭に立つ。単独2番手で追走した赤松綾(SimWorks Racing)とのタイム差は広がり、その後方に渡部と石田、そして第61次南極観測隊の一員として11月27日から南極に渡ることが決まっている2度の全日本チャンピオン宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)らが続いた。
「スタートで出遅れたので、そこから上げていくしかなかった。まず(松本)璃奈ちゃんがメカトラで脱落して、そのあとタイム差を12秒程度まで詰めたところで(渡部)春雅ちゃんもメカトラ。そこで先頭に立って、ペースを落とさないように走り続けました」と語る唐見が、追いすがる赤松に17秒差をつけてフィニッシュした。
「昨日しっかり試走した通りに走りました。難しい区間は安全にこなし、踏む区間は踏む。いつも関西シクロクロスでは応援されながらも勝てていなかっただけに、この後のシーズンのことが考えられないぐらい嬉しい」と今シーズン東北CXシリーズ第2戦さがえに続くUCIレース2勝目を飾った唐見は語っている。
「唐見さんに負けたことは悔しいですけど、自分でもまさかの順位です」と語るのは、今年からマウンテンバイクを始め、大好きな間食を制限したことで体重が前年比で8kg減ったという赤松。「絞ったことでめちゃくちゃ身体が軽くなりました。トレーニング量を増やしたわけではなくて、ローラー台が嫌いなので、マウンテンバイクを含めて外で楽しみながら走ったことが大きかった」と初のUCIレース表彰台を喜んだ。
積極的に走りながらもメカトラで失速した渡部が3位。「単独で飛び出してから、後ろとタイム差が開いたのでそのままペースを落とさずに走りたかったんですが、コーナーで転倒した際に変速がおかしくなって、チェーンが落ちて何回かストップ。スペアバイクもなく、インナー(チェーンリング)に入らなくなって登りを押さないといけなくなってしまいました。来週の野辺山でリベンジしたい」。今年インターハイロードで連覇を達成している渡部と同インターハイ2位の石田は、パワーコースとされるシクロクロス全日本選手権のダークホースとして注目の存在だ。
国内のUCIレース3戦目、JCX(ジャパンシクロクロス)シリーズ4戦目となる関西シクロクロスのマキノラウンド。翌週に国内唯一のUCIクラス1レースのラファスーパークロス野辺山を控えた11月17日(日)、滋賀県高島市のマキノ高原を舞台にUCIクラス2のレースが開催された。
なだらかなスキー場を利用したコースはスタートとフィニッシュの舗装路を除いて一面枯れ草&芝生に覆われており、そこにいくつものキャンバー(急坂)や名物となったフライオーバー(立体交差)が組み合わされている。1年前の全日本選手権が開催された際に会場が一面白銀の世界になったことからも分かるように、日本海から流れ込む雲によって悪天候に見舞われがちな会場だが、この日は最高気温が15度前後まで上がる陽気に包まれた。
海外から日本のUCIレースを転戦するために来日したのはエミル・ヘケレ(チェコ、ZEKOF TEAM)とダニエル・テイラー(オーストラリア、Ballarat/Sebastopol CC)の2人。69名がスタートした男子エリートレースで序盤からリードしたのは、3年連続の来日となる42歳のヘケレだった。
ホールショットを決めて1周目を先頭でこなした小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)に続いたのはヘケレと織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)。2周目に入るとヘケレと織田が先頭に立ち、小坂はこの2人のペースに対応できずにポジションを落としてしまう。
「もう少し1周目を落ち着いて入るべきだった」と振り返る小坂には竹之内悠(東洋フレーム)と村上功太郎(松山大学)の2人が追いつき、中盤にかけて3名で3番手パックを形成する。その後方では丸山厚(チームアレ・リドレー)やJエリートツアー個人総合優勝を果たしたばかりの比護任(PAXPROJECT)、さらに距離を開けてテイラーらが追走する展開となった。
合計9周することが決まったレースの3周目に、ヘケレが織田を振り切った。「序盤に(織田)聖と2人になって、良い脚の状態だと感じてアタックした。そこから独走でフィニッシュまで走る自信があったんだ」と語るヘケレが力強い走りで織田を引き離していく。両者のタイム差は15秒、20秒、25秒と1周につき5秒ずつ広がっていった。
ヘケレのメカトラの影響でタイム差は15秒まで縮まったものの、最終周回で織田がチェーン落ちに見舞われたため逆に拡大。ヘケレが織田に42秒差をつけ、独走のままフィニッシュした。
「残り2周でプーリーに芝生が絡んだ影響でリアディレイラーの調子が悪くなったけど、バイクを変えることなくそのまま走った。タイム差を詰められたけど追いつかれるとは思わなかった。インターバルが延々と続く自分向きのコース。とにかく日本に帰ってこれたことが嬉しいし、昨年2位だったマキノで勝てたので、野辺山に向けて良い日本遠征のスタートになったよ」。そう語るヘケレは2017年に1位&2位、2018年に2位&3位という成績を残している野辺山でも優勝候補に挙げられる。
「自分もレベルアップしているつもりですが、彼は1年前よりも強くなっている」と、チェコからやってきたベテランの強さを認めるのは2位の織田。「1周目を終えたところで(小坂)光さんを先頭に3人のパックになって、少しペースが落ちたので自分が上げたらエミル(ヘケレ)が付いてきた。2周目は2人でこなせたんですが、3周目のフライオーバーの先の登りで後ろからアタックされて、パワーで引き離されてしまった。頑張って詰めようと思ったんですが、直線区間でパワー負けしてしまいました。来週の野辺山では彼の後ろで待機しながら、マークして走りたい」と、JCXランキングで首位を走る織田は語っている。
3位争いは残り2周で仕掛けて竹之内と村上を振り切った小坂に軍配。「2周目に入るところで2人(織田とヘケレ)が先行して、まずいと思いながらも本当にきつくて反応できなかった。後ろから(竹之内)悠と(村上)功太郎が追いついてきて、2人のペースに合わせて一休みして、残り2周で再びペースを上げました。なんとか逃げ切れてよかった。2周目に切れた集中力を最後に持ち直して、表彰台という形で終えることができた」と、苦しみながらもハイシーズンに向けて感触をつかんだ様子だ。
U23全日本チャンピオンの村上を抑えて4位に入ったのは、ベルギーから日本に帰ってきてから2戦目を迎えた竹之内。「今シーズンはヨーロッパで走れている良いイメージを持ちながら帰国しました。年々リカバリーの方法もわかってきたこともあり、故障もなく、ヨーロッパでの転戦を終えても身体が元気な状態です。終盤にかけて良い感触を思い出しながら走りました。来週の野辺山から全日本選手権に向けてしっかり乗り込む時間があるので上げていきたい」。竹之内はヨーロッパに戻ることなく今シーズンの残りを日本国内で過ごす予定だ。
混戦が繰り広げられたのは21名がスタートした女子エリート。スタートから先行したのは西山みゆき(東洋フレーム)で、全日本チャンピオンの松本璃奈(TEAM SCOTT Japan)は1周目の転倒によるメカトラで大きく出遅れてしまう。松本は粘り強く2番手まで順位を上げたが、その後のパンクで再び後退。「そこそこ踏めていたけど、いい感触は掴めなかった」という松本は7位に入るのがやっとだった。
代わって先頭でレースをリードしたのは渡部春雅(駒澤大学高等学校)と石田唯(北桑田高校)という2人の高校2年生だった。「(2週間前の)幕張クロスではなかなか前に上がることができずに終わってしまったので、今回は前半から攻めて前に出ようと思っていました」という渡部が1周目から独走を開始。快調にリードを20秒まで広げた渡部だったが、4周目のメカトラによってペースを落としてしまう。
すると、スタートで出遅れながらも持ち前のパワーで順位を上げた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭に立つ。単独2番手で追走した赤松綾(SimWorks Racing)とのタイム差は広がり、その後方に渡部と石田、そして第61次南極観測隊の一員として11月27日から南極に渡ることが決まっている2度の全日本チャンピオン宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)らが続いた。
「スタートで出遅れたので、そこから上げていくしかなかった。まず(松本)璃奈ちゃんがメカトラで脱落して、そのあとタイム差を12秒程度まで詰めたところで(渡部)春雅ちゃんもメカトラ。そこで先頭に立って、ペースを落とさないように走り続けました」と語る唐見が、追いすがる赤松に17秒差をつけてフィニッシュした。
「昨日しっかり試走した通りに走りました。難しい区間は安全にこなし、踏む区間は踏む。いつも関西シクロクロスでは応援されながらも勝てていなかっただけに、この後のシーズンのことが考えられないぐらい嬉しい」と今シーズン東北CXシリーズ第2戦さがえに続くUCIレース2勝目を飾った唐見は語っている。
「唐見さんに負けたことは悔しいですけど、自分でもまさかの順位です」と語るのは、今年からマウンテンバイクを始め、大好きな間食を制限したことで体重が前年比で8kg減ったという赤松。「絞ったことでめちゃくちゃ身体が軽くなりました。トレーニング量を増やしたわけではなくて、ローラー台が嫌いなので、マウンテンバイクを含めて外で楽しみながら走ったことが大きかった」と初のUCIレース表彰台を喜んだ。
積極的に走りながらもメカトラで失速した渡部が3位。「単独で飛び出してから、後ろとタイム差が開いたのでそのままペースを落とさずに走りたかったんですが、コーナーで転倒した際に変速がおかしくなって、チェーンが落ちて何回かストップ。スペアバイクもなく、インナー(チェーンリング)に入らなくなって登りを押さないといけなくなってしまいました。来週の野辺山でリベンジしたい」。今年インターハイロードで連覇を達成している渡部と同インターハイ2位の石田は、パワーコースとされるシクロクロス全日本選手権のダークホースとして注目の存在だ。
男子エリート結果
1位 | エミル・ヘケレ(チェコ、ZEKOF TEAM) | 1:04:11 |
2位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +0:42 |
3位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) | +1:08 |
4位 | 竹之内悠(東洋フレーム) | +1:10 |
5位 | 村上功太郎(松山大学) | +1:13 |
6位 | 丸山厚(チームアレ・リドレー) | +3:21 |
7位 | 比護任(PAXPROJECT) | +3:46 |
8位 | ダニエル・テイラー(オーストラリア、Ballarat/Sebastopol CC) | +4:03 |
9位 | 小森亮平(愛三工業レーシングチーム) | +4:16 |
10位 | 川村誠(スクミズマシンワークス) | +4:25 |
女子エリート結果
1位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 42:43 |
2位 | 赤松綾(SimWorks Racing) | +0:17 |
3位 | 渡部春雅(駒澤大学高等学校) | +1:33 |
4位 | 石田唯(北桑田高校) | +1:48 |
5位 | 宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team) | +1:50 |
6位 | 西山みゆき(東洋フレーム) | +2:24 |
7位 | 松本璃奈(TEAM SCOTT Japan) | +2:29 |
8位 | 鵜飼知春(八ヶ岳CYCLOCROSSCLUB) | +3:26 |
9位 | 川崎路子(PAXPROJECT) | +3:27 |
10位 | 平田千枝(Club La.sista Offroad Team) | +4:03 |
男子ジュニア結果
1位 | 鈴木来人(BonneChance) | 37:42 |
2位 | 中島渉(TRIGON with KURE/BOUNE) | +1:31 |
3位 | 大谷玄真(榛生昇陽高校) | +3:01 |
4位 | 岡田宝 | +5:22 |
5位 | 老原大智(ペンペン2号) | -1Lap |
6位 | 逸崎瑞喜(堺市立堺高等学校) | -2Laps |
text&photo:Kei Tsuji
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