2019/09/28(土) - 08:23
タフな展開の末に形成された7名の精鋭によるスプリントを制したのはニルス・エークホフ(オランダ)。しかし集団復帰の際にチームカーを使用したとしてエークホフに失格処分が下り、繰り上がりでサムエーレ・バッティステッラ(イタリア)がU23世界王者に輝いた。石上優大(EQADS)が第2集団内の32位に入っている。
レース前半からメイン集団を牽引したアメリカ photo:CorVos
男子U23ロードレース photo:Yorkshire2019
男子U23ロードレース photo:Yorkshire2019
U23の世界チャンピオンを決めるのは獲得標高差1500mのヨークシャー地方らしいアップダウンコース。午前中に女子ジュニアのロードレースを行なったためU23ロードレースの想定フィニッシュ時間が遅く、悪天候の可能性を考慮してハロゲートの周回数が3周から2周に減らされた。そのためレース全長は187kmから173kmに短縮。しかし急勾配区間を含むグリーンハウ・ヒル(登坂距離3.4km/平均勾配7.8%)が中盤に鎮座しており、厳しいコースであることには変わりない。
ニュートラルゾーンから落車が発生するナーバスなプロトン。落車に巻き込まれた個人タイムトライアル3連覇のミッケル・ビョーグ(デンマーク)や同2位イアン・ガリソン(アメリカ)らの復帰を待ってから正式なスタートを告げるフラッグが振られる。アタックに次ぐアタックで、逃げという逃げが生まれないままメイン集団はハイスピードで進行した。
降り始めた雨の中、ノルウェーやイギリスが複数を乗せる13名の逃げグループが形成されたものの、アメリカがメイン集団のスピードを上げ続けたためタイム差は広がらない。本降りの雨の中を高速で進む逃げグループと、1分以内のタイム差で追いかけるメイン集団。誰にとっても厳しい展開となる。
中盤にかけて丘のエリアに入るとメイン集団内では落車が多発。相次ぐ落車で集団が割れ、ヨークシャー出身のトーマス・ピドコック(イギリス)が遅れるシーンも見られたがバイク交換の末に復帰している。逃げグループとメイン集団はタイム差40秒でこの日の最高地点であるグリーンハウ・ヒル(登坂距離3.4km/平均勾配7.8%)に突入した。
急勾配区間を含むグリーンハウの登りで人数が絞られるメイン集団 photo:CorVos
第2集団内でハロゲートに到着した石上優大(EQADS) photo:Kei Tsuji
ハロゲート周回コースに滑り込んだ今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング) photo:Kei Tsuji
雨から晴れにダイナミックに天候が変わり、風吹きすさぶ急坂で先頭はスチュアート・バルフォー(イギリス)、アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア)、スタン・デウルフ(ベルギー)、アンドレアス・クロン(デンマーク)の4名に絞られる。アメリカやハンガリーがペースを上げるメイン集団からは松田祥位(EQADS)と今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング)を含む大勢の選手が脱落した。
松田は「一列になることも多くて徐々に脚は削られていきました。今日は最初から石上さんのアシストの役目。雨が降ってきたので石上さんがベストを着るために下がったタイミングで前に引き上げる動きをしましたが、タイムトライアルのダメージが大きかったこともあって、集団内が激化したところで遅れてしまった」とフィニッシュまで70kmを残したタイミングでの脱落を振り返る。松田はその後もレースを継続したが、先頭から15分以上遅れたためハロゲート周回に入ることができずにリタイアに終わっている。
「ここまで緊張感のあるレースをなかなか走らないので、気持ち的にきつかった」と語るのは同じく集団から脱落した今村。「最初の100kmでこんなにナーバスなのかと。身体的には思ったほど脚に来てないと思っていたんですが、大きな登りの手前で集団の後ろに下がってしまっていた。そこで遅れてしまいました」。今村は登りでの脱落者で構成された集団でハロゲート周回に入り、112位でレースを終えた。
ハロゲート周回コースに入るサムエーレ・バッティステッラ(イタリア)とニルス・エークホフ(オランダ) photo:Kei Tsuji
ハロゲート周回コースで形成されたトーマス・ピドコック(イギリス)を含む先頭グループ photo:CorVos
ハロゲート周回コースを走るサムエーレ・バッティステッラ(イタリア) photo:Kei Tsuji
グリーンハウ・ヒルを約60名で越えたメイン集団の中では、続く横風区間で次なる動きが生まれる。ドイツやノルウェー、デンマーク、イギリス、オランダを中心にしたペースアップによって集団は2つに分裂。20名強に絞られたメイン集団はそのまま逃げグループを飲み込み、後手に回ったアメリカやベルギー、そして石上優大(EQADS)を含む第2集団を引き離しにかかった。
30秒程度のビハインドを食らった石上らが追走グループを形成するシーンも見られたが、24名で構成された第1集団は後続の合流を許さないペースを刻んでハロゲート周回に到着。勝負の2周回が始まると、ブエルタ・ア・エスパーニャで3回ステージトップ10フィニッシュしているCCCチーム所属のシュモン・サイノク(ポーランド)とイダル・アンデルセン(ノルウェー)の2名が抜け出すことに成功した。
アップダウンの厳しい周回コースでビョーグらがカウンターアタックを仕掛け、最終的にピドコック、サムエーレ・バッティステッラ(イタリア)、ステファン・ビッセガー(スイス)、そしてツール・ド・ラヴニール総合優勝者トビアス・フォス(ノルウェー)の4名が先頭2名に合流。アンデルセンがパンクで脱落したため5名が先行した状態で最終周回へと入っていく。
最終周回の登りを利用してビッセガーやフォスがアタックを繰り出したが先頭5名は崩れない。一方、常に30秒以内に位置した後続集団からはブエルタでステージ優勝を飾っているEFエデュケーションファーストのセルジオ・イギータ(コロンビア)やニルス・エークホフ(オランダ)、クロンが抜け出して追走をかける。この追走3名はアタックと牽制を繰り返す先頭4名(サイノクは脱落)に残り1km地点で追いついた。
こうして7名に絞られたU23のアルカンシェル争い。残り500mから始まる登坂区間では誰も動かず、勾配が緩んだ残り300mからスプリントが始まる。自ら先行したのは最も身長のあるエークホフで、スリップストリームに入ったピドコックらを振り切ってフィニッシュラインへと突き進む。最後はバッティステッラを振り切る形でエークホフがその大きな両腕を大きく広げた。
先頭グループで最終周回に向かうトビアス・フォス(ノルウェー)ら photo:Kei Tsuji
第2集団内で最終周回に向かう石上優大(EQADS) photo:Kei Tsuji
最終ストレートの登りでスプリントに向けて牽制するニルス・エークホフ(オランダ)ら photo:Kei Tsuji
ニルス・エークホフ(オランダ)を先頭にスプリントがスタート photo:Kei Tsuji
スプリントを繰り広げるニルス・エークホフ(オランダ)ら photo:Luca Bettini
スプリントを制したニルス・エークホフ(オランダ)と2番手でフィニッシュしたサムエーレ・バッティステッラ(イタリア) photo:Luca Bettini
一旦はエークホフの優勝がアナウンスされたものの、その後UCIコミッセールが審議を行ったため正式なリザルトの発表に時間を要した。しばらくして会場に告げられたのはエークホフの失格と、バッティステッラの繰り上げ優勝だった。これによりビセッガーぎ銀メダル、地元出身ピドコックが銅メダルを手にしている。
残り128km地点の落車で遅れた際、集団復帰のためにチームカーのスリップストリームを利用し、さらにスティッキーボトル(ボトルを渡すふりをして引き上げる行為)をしたことがエークホフの失格の理由とされる。エークホフは肩を脱臼しながらも追走し、単独でメイン集団に復帰していた。
通常チームカーを風除けに使用した場合は罰金処分で済まされるが、悪質もしくは繰り返される場合はUCIコミッセールの判断で選手を失格処分にするとUCIルールは明記している。天国から地獄に突き落とされ、涙を流しながら表彰台を後にしたエークホフは「ロードレースのルールを理解しているものの、この決定は適切ではない。優勝から失格までの最高の15分間を一生忘れることはないだろう。必ず戻ってくる!」とコメント。2020年以降はサンウェブでの活動が決まっている。
アルカンシェルを受け取ったバッティステッラはディメンションデータのコンチネンタルチームに所属する20歳で、2020年はチームNTT(現ディメンションデータ)に加わることが決まっている。「自分が世界チャンピオンだと知らされた時は理解ができなかった。ジャージとメダルを受け取って、言葉が出てこない。彼(エークホフ)には申し訳ない気持ちがある。勝ったのは彼だけど、世界チャンピオンは自分。こんなことは何度も起こることじゃないけど、これもロードレースなんだ」とU23世界チャンピオンは語っている。
涙を流しながら表彰台を後にするニルス・エークホフ(オランダ) photo:CorVos
アルカンシェルを手にしたサムエーレ・バッティステッラ(イタリア) photo:Kei Tsuji
ハロゲートの空に掲げられるイタリア国旗 photo:Kei Tsuji
追走叶わず第2集団内でフィニッシュを目指した石上は32位。横風区間での脱落を悔やみながらも「めちゃくちゃ楽しかった」と明るい表情を見せた。以下は石上のコメント。
石上優大(EQADS)
大きな登り(グリーンハウ・ヒル)を集団内で越えて、その後の下りで隊列を組んで前に上がっていくオランダなどのチームにくっついて前に上がったんですけど、前に上がりきれず、(横風区間で)目の前で中切れが起こってしまいました。もうちょっとでした。25人ぐらいの集団に割れて、前に追いつくかなと思ったんですが追いつかなかった。横風区間が終わってから幹線道路に入ってから5人で抜け出してローテーションして追走をかけたんですが、ギリギリ追いつかなかった。『十何秒ってこんなに大きいのか』と感じました。
中盤70km地点あたりで急に震えるほど寒くなって、松田が持っていたレインジャケットを借りて事なきを得ました。他のチームも急いで取りに行っていたので(補給の失敗ではなく)気温が急に下がったんだと思います。
問題なく登りをこなしたと言っても、僕は全開でしたし、向かい風に助けられたこともありました。風向きは意識していましたが、分かっているけど、踏みが足らなかった。前半に脚を使いすぎたということはあります。もっと上手く前半から走っていれば何とかなったのかもしれない。前半の雑な走りが後半に響いたのかなというのはあります。
今はもうすっからかんです。最終周回の時点で胃が痛くなり、ボーっとし始め、気合いで最後まで出し切りました。でも楽しかったですね。めちゃくちゃ楽しかったです。最初は超ストレスフルで『何だこのレースは』と思ったんですが、後半の登りに入ってレースに加わっている感じもありました。プロのレースだと引きづられている感があって楽しめませんが、今日は格上の選手たちと走れていることを楽しめました。今回は第2集団のフィニッシュでしたが、上手く走れば上位に絡めるかなという感じを掴めました。
第2集団内のスプリントに挑む石上優大(EQADS) photo:Kei Tsuji
32位でレースを終えた石上優大(EQADS) photo:Kei Tsuji
112位でレースを終えた今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング) photo:Kei Tsuji
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U23の世界チャンピオンを決めるのは獲得標高差1500mのヨークシャー地方らしいアップダウンコース。午前中に女子ジュニアのロードレースを行なったためU23ロードレースの想定フィニッシュ時間が遅く、悪天候の可能性を考慮してハロゲートの周回数が3周から2周に減らされた。そのためレース全長は187kmから173kmに短縮。しかし急勾配区間を含むグリーンハウ・ヒル(登坂距離3.4km/平均勾配7.8%)が中盤に鎮座しており、厳しいコースであることには変わりない。
ニュートラルゾーンから落車が発生するナーバスなプロトン。落車に巻き込まれた個人タイムトライアル3連覇のミッケル・ビョーグ(デンマーク)や同2位イアン・ガリソン(アメリカ)らの復帰を待ってから正式なスタートを告げるフラッグが振られる。アタックに次ぐアタックで、逃げという逃げが生まれないままメイン集団はハイスピードで進行した。
降り始めた雨の中、ノルウェーやイギリスが複数を乗せる13名の逃げグループが形成されたものの、アメリカがメイン集団のスピードを上げ続けたためタイム差は広がらない。本降りの雨の中を高速で進む逃げグループと、1分以内のタイム差で追いかけるメイン集団。誰にとっても厳しい展開となる。
中盤にかけて丘のエリアに入るとメイン集団内では落車が多発。相次ぐ落車で集団が割れ、ヨークシャー出身のトーマス・ピドコック(イギリス)が遅れるシーンも見られたがバイク交換の末に復帰している。逃げグループとメイン集団はタイム差40秒でこの日の最高地点であるグリーンハウ・ヒル(登坂距離3.4km/平均勾配7.8%)に突入した。
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雨から晴れにダイナミックに天候が変わり、風吹きすさぶ急坂で先頭はスチュアート・バルフォー(イギリス)、アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア)、スタン・デウルフ(ベルギー)、アンドレアス・クロン(デンマーク)の4名に絞られる。アメリカやハンガリーがペースを上げるメイン集団からは松田祥位(EQADS)と今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング)を含む大勢の選手が脱落した。
松田は「一列になることも多くて徐々に脚は削られていきました。今日は最初から石上さんのアシストの役目。雨が降ってきたので石上さんがベストを着るために下がったタイミングで前に引き上げる動きをしましたが、タイムトライアルのダメージが大きかったこともあって、集団内が激化したところで遅れてしまった」とフィニッシュまで70kmを残したタイミングでの脱落を振り返る。松田はその後もレースを継続したが、先頭から15分以上遅れたためハロゲート周回に入ることができずにリタイアに終わっている。
「ここまで緊張感のあるレースをなかなか走らないので、気持ち的にきつかった」と語るのは同じく集団から脱落した今村。「最初の100kmでこんなにナーバスなのかと。身体的には思ったほど脚に来てないと思っていたんですが、大きな登りの手前で集団の後ろに下がってしまっていた。そこで遅れてしまいました」。今村は登りでの脱落者で構成された集団でハロゲート周回に入り、112位でレースを終えた。
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グリーンハウ・ヒルを約60名で越えたメイン集団の中では、続く横風区間で次なる動きが生まれる。ドイツやノルウェー、デンマーク、イギリス、オランダを中心にしたペースアップによって集団は2つに分裂。20名強に絞られたメイン集団はそのまま逃げグループを飲み込み、後手に回ったアメリカやベルギー、そして石上優大(EQADS)を含む第2集団を引き離しにかかった。
30秒程度のビハインドを食らった石上らが追走グループを形成するシーンも見られたが、24名で構成された第1集団は後続の合流を許さないペースを刻んでハロゲート周回に到着。勝負の2周回が始まると、ブエルタ・ア・エスパーニャで3回ステージトップ10フィニッシュしているCCCチーム所属のシュモン・サイノク(ポーランド)とイダル・アンデルセン(ノルウェー)の2名が抜け出すことに成功した。
アップダウンの厳しい周回コースでビョーグらがカウンターアタックを仕掛け、最終的にピドコック、サムエーレ・バッティステッラ(イタリア)、ステファン・ビッセガー(スイス)、そしてツール・ド・ラヴニール総合優勝者トビアス・フォス(ノルウェー)の4名が先頭2名に合流。アンデルセンがパンクで脱落したため5名が先行した状態で最終周回へと入っていく。
最終周回の登りを利用してビッセガーやフォスがアタックを繰り出したが先頭5名は崩れない。一方、常に30秒以内に位置した後続集団からはブエルタでステージ優勝を飾っているEFエデュケーションファーストのセルジオ・イギータ(コロンビア)やニルス・エークホフ(オランダ)、クロンが抜け出して追走をかける。この追走3名はアタックと牽制を繰り返す先頭4名(サイノクは脱落)に残り1km地点で追いついた。
こうして7名に絞られたU23のアルカンシェル争い。残り500mから始まる登坂区間では誰も動かず、勾配が緩んだ残り300mからスプリントが始まる。自ら先行したのは最も身長のあるエークホフで、スリップストリームに入ったピドコックらを振り切ってフィニッシュラインへと突き進む。最後はバッティステッラを振り切る形でエークホフがその大きな両腕を大きく広げた。
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一旦はエークホフの優勝がアナウンスされたものの、その後UCIコミッセールが審議を行ったため正式なリザルトの発表に時間を要した。しばらくして会場に告げられたのはエークホフの失格と、バッティステッラの繰り上げ優勝だった。これによりビセッガーぎ銀メダル、地元出身ピドコックが銅メダルを手にしている。
残り128km地点の落車で遅れた際、集団復帰のためにチームカーのスリップストリームを利用し、さらにスティッキーボトル(ボトルを渡すふりをして引き上げる行為)をしたことがエークホフの失格の理由とされる。エークホフは肩を脱臼しながらも追走し、単独でメイン集団に復帰していた。
通常チームカーを風除けに使用した場合は罰金処分で済まされるが、悪質もしくは繰り返される場合はUCIコミッセールの判断で選手を失格処分にするとUCIルールは明記している。天国から地獄に突き落とされ、涙を流しながら表彰台を後にしたエークホフは「ロードレースのルールを理解しているものの、この決定は適切ではない。優勝から失格までの最高の15分間を一生忘れることはないだろう。必ず戻ってくる!」とコメント。2020年以降はサンウェブでの活動が決まっている。
アルカンシェルを受け取ったバッティステッラはディメンションデータのコンチネンタルチームに所属する20歳で、2020年はチームNTT(現ディメンションデータ)に加わることが決まっている。「自分が世界チャンピオンだと知らされた時は理解ができなかった。ジャージとメダルを受け取って、言葉が出てこない。彼(エークホフ)には申し訳ない気持ちがある。勝ったのは彼だけど、世界チャンピオンは自分。こんなことは何度も起こることじゃないけど、これもロードレースなんだ」とU23世界チャンピオンは語っている。
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追走叶わず第2集団内でフィニッシュを目指した石上は32位。横風区間での脱落を悔やみながらも「めちゃくちゃ楽しかった」と明るい表情を見せた。以下は石上のコメント。
石上優大(EQADS)
大きな登り(グリーンハウ・ヒル)を集団内で越えて、その後の下りで隊列を組んで前に上がっていくオランダなどのチームにくっついて前に上がったんですけど、前に上がりきれず、(横風区間で)目の前で中切れが起こってしまいました。もうちょっとでした。25人ぐらいの集団に割れて、前に追いつくかなと思ったんですが追いつかなかった。横風区間が終わってから幹線道路に入ってから5人で抜け出してローテーションして追走をかけたんですが、ギリギリ追いつかなかった。『十何秒ってこんなに大きいのか』と感じました。
中盤70km地点あたりで急に震えるほど寒くなって、松田が持っていたレインジャケットを借りて事なきを得ました。他のチームも急いで取りに行っていたので(補給の失敗ではなく)気温が急に下がったんだと思います。
問題なく登りをこなしたと言っても、僕は全開でしたし、向かい風に助けられたこともありました。風向きは意識していましたが、分かっているけど、踏みが足らなかった。前半に脚を使いすぎたということはあります。もっと上手く前半から走っていれば何とかなったのかもしれない。前半の雑な走りが後半に響いたのかなというのはあります。
今はもうすっからかんです。最終周回の時点で胃が痛くなり、ボーっとし始め、気合いで最後まで出し切りました。でも楽しかったですね。めちゃくちゃ楽しかったです。最初は超ストレスフルで『何だこのレースは』と思ったんですが、後半の登りに入ってレースに加わっている感じもありました。プロのレースだと引きづられている感があって楽しめませんが、今日は格上の選手たちと走れていることを楽しめました。今回は第2集団のフィニッシュでしたが、上手く走れば上位に絡めるかなという感じを掴めました。
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ロード世界選手権2019U23ロードレース結果
1位 | サムエーレ・バッティステッラ(イタリア) | 3:53:52 |
2位 | ステファン・ビッセガー(スイス) | |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス) | |
4位 | セルジオ・イギータ(コロンビア) | |
5位 | アンドレアス・クロン(デンマーク) | |
6位 | トビアス・フォス(ノルウェー) | |
7位 | パスカル・エーンクホールン(オランダ) | 0:00:38 |
8位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク) | |
9位 | マチュー・ビュルゴドー(フランス) | |
10位 | トーユス・スレーン(ノルウェー) | |
32位 | 石上優大(EQADS) | 0:03:02 |
112位 | 今村駿介(中央大学/ブリヂストンサイクリング) | 0:20:37 |
DNF | 松田祥位(EQADS) |
text&photo:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom