2019/09/25(水) - 03:20
ロード世界選手権女子エリート個人タイムトライアルで、1分ごとにスタートした前走者を8人抜くという圧倒的な走りを披露したクロエ・ダイガート(アメリカ)が史上最年少の世界チャンピオンに。雨が降り続く厳しいコンディションの中、與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)は29位の成績を残した。
9月24日、午前中に行われた男子U23と同じ30.3kmコースで行われたロード世界選手権女子エリート個人タイムトライアル。北部のリポンから緩い起伏のある幹線道路と急勾配のアップダウンが続く田舎道を走り、ハロゲート市内のフィニッシュに至る。獲得標高差は474m。
落車が多発した男子U23の結果を踏まえ、降り続く雨と悪い路上状態を考慮して大会主催者とUCIコミッセールはスタート時間を40分遅らせることを決定。スタートの間隔は1分半から1分に縮められたが、結果として雨が降り続けたため状況に大きな変化は見られなかった。
前半からクロエ・ダイガート(アメリカ)のスピードは圧倒的だった。直前のマドリードチャレンジを制している2014年の個人TT世界王者リサ・ブレナウアー(ドイツ)を軽々と追い抜いたダイガートは、與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)を含めて合計8名もの選手をパス。中間計測(14.2km地点)で18分57秒という驚異的なタイムを記録すると、後半にさらにリードを広げる走りでフィニッシュした。
それまで暫定トップタイムを保持していたアレナ・アミアリウシク(ベラルーシ)に3分17秒ものタイム差をつけてホットシートを奪ったダイガート。1年前にワンツー勝利を飾ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)とアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)は中間計測(14.2km地点)でダイガートから1分以上のビハインドを食らい、さらに後半にタイムを失ってフィニッシュ。最終的にダイガートがファンデルブレッヘンに1分32秒、ファンフルーテンに1分52秒ものタイム差をつける走りで勝利した。
1分32秒というタイム差は、2009年にファビアン・カンチェラーラ(スイス)が優勝時につけた1分27秒差を上回る世界選手権エリート史上最大。気象条件が少し異なるものの、午前中に行われた男子U23のタイムと照らし合わせても11位に入る走りだった。
「虹色のストライプを着るのはいつも特別な気分。この結果にはとても満足しているし、信じ続けてくれた人々に感謝したい」とアルカンシェルに袖を通したダイガートはコメントする。1997年1月1日生まれの22歳は、1994年に導入された男子&女子エリート個人TTで史上最年少の世界チャンピオンに。なお、ダイガートは初出場のブエルタ・ア・エスパーニャを走りおえたばかりのローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)と2016年に結婚しており、正式な名前はクロエ・ダイガートオーウェン。
トラックレースとロードレースを兼業するダイガートは、2018年トラック世界選手権の団体追い抜きで3連覇を果たし、さらに個人追い抜きで3分20秒060の世界記録を樹立している。トラック世界選手権ではこれまで5つの世界タイトルを手にしており、リオ五輪トラック団体追い抜きでは銀メダルを獲得した。
ロードレースではジュニアカテゴリーの2015年にロードレースと個人TTの世界タイトル二冠を達成。20歳の時に出場した2017年ロード世界選手権女子エリート個人TTで4位。しかし2018年はレース中の落車で脳震盪を負ったため思うようなシーズンを過ごせずにいた。
「五輪の個人TTで3回(2008年、2012年、2016年)金メダルに輝いているクリステン・アームストロングと3週間合宿を行い、このレースに向けて周到に準備を行ってきた。昨年の脳震盪から復活して、準備してきたものが結果となって現れた。東京が今から楽しみ」とコメントするダイガートは東京五輪でロードレースとトラックレースへの出場を目指している。
2014年の世界選手権女子エリート個人TTで14位という成績を残している與那嶺恵理は2年連続の29位。「ヨーロッパで走らずにこのレースだけに集中すればよかった2014年とは違い、長いシーズンの中でもレース一つ一つに集中するのが難しくなる終盤で、TTのトレーニングもできていなかった」と、今シーズン6,291kmという女子エリート世界2位のレース距離をこなしている與那嶺は語る。
「でもTTが嫌いなわけではないので今日はとにかく転ばずに、悪くない走りをしようと思っていました。もちろんしっかり調整して挑みましたし、土曜日のロードレースのために中3日のタイミングで(強度を)上げておきたかった。このTTも含めてとにかくレースを楽しみたいと思っていました。周りの選手を見ても、悪い結果ではないと思います」。そう語る與那嶺は金子広美(イナーメ信濃山形)とともに土曜日の150kmロードレースに挑む。
9月24日、午前中に行われた男子U23と同じ30.3kmコースで行われたロード世界選手権女子エリート個人タイムトライアル。北部のリポンから緩い起伏のある幹線道路と急勾配のアップダウンが続く田舎道を走り、ハロゲート市内のフィニッシュに至る。獲得標高差は474m。
落車が多発した男子U23の結果を踏まえ、降り続く雨と悪い路上状態を考慮して大会主催者とUCIコミッセールはスタート時間を40分遅らせることを決定。スタートの間隔は1分半から1分に縮められたが、結果として雨が降り続けたため状況に大きな変化は見られなかった。
前半からクロエ・ダイガート(アメリカ)のスピードは圧倒的だった。直前のマドリードチャレンジを制している2014年の個人TT世界王者リサ・ブレナウアー(ドイツ)を軽々と追い抜いたダイガートは、與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)を含めて合計8名もの選手をパス。中間計測(14.2km地点)で18分57秒という驚異的なタイムを記録すると、後半にさらにリードを広げる走りでフィニッシュした。
それまで暫定トップタイムを保持していたアレナ・アミアリウシク(ベラルーシ)に3分17秒ものタイム差をつけてホットシートを奪ったダイガート。1年前にワンツー勝利を飾ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)とアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)は中間計測(14.2km地点)でダイガートから1分以上のビハインドを食らい、さらに後半にタイムを失ってフィニッシュ。最終的にダイガートがファンデルブレッヘンに1分32秒、ファンフルーテンに1分52秒ものタイム差をつける走りで勝利した。
1分32秒というタイム差は、2009年にファビアン・カンチェラーラ(スイス)が優勝時につけた1分27秒差を上回る世界選手権エリート史上最大。気象条件が少し異なるものの、午前中に行われた男子U23のタイムと照らし合わせても11位に入る走りだった。
「虹色のストライプを着るのはいつも特別な気分。この結果にはとても満足しているし、信じ続けてくれた人々に感謝したい」とアルカンシェルに袖を通したダイガートはコメントする。1997年1月1日生まれの22歳は、1994年に導入された男子&女子エリート個人TTで史上最年少の世界チャンピオンに。なお、ダイガートは初出場のブエルタ・ア・エスパーニャを走りおえたばかりのローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)と2016年に結婚しており、正式な名前はクロエ・ダイガートオーウェン。
トラックレースとロードレースを兼業するダイガートは、2018年トラック世界選手権の団体追い抜きで3連覇を果たし、さらに個人追い抜きで3分20秒060の世界記録を樹立している。トラック世界選手権ではこれまで5つの世界タイトルを手にしており、リオ五輪トラック団体追い抜きでは銀メダルを獲得した。
ロードレースではジュニアカテゴリーの2015年にロードレースと個人TTの世界タイトル二冠を達成。20歳の時に出場した2017年ロード世界選手権女子エリート個人TTで4位。しかし2018年はレース中の落車で脳震盪を負ったため思うようなシーズンを過ごせずにいた。
「五輪の個人TTで3回(2008年、2012年、2016年)金メダルに輝いているクリステン・アームストロングと3週間合宿を行い、このレースに向けて周到に準備を行ってきた。昨年の脳震盪から復活して、準備してきたものが結果となって現れた。東京が今から楽しみ」とコメントするダイガートは東京五輪でロードレースとトラックレースへの出場を目指している。
2014年の世界選手権女子エリート個人TTで14位という成績を残している與那嶺恵理は2年連続の29位。「ヨーロッパで走らずにこのレースだけに集中すればよかった2014年とは違い、長いシーズンの中でもレース一つ一つに集中するのが難しくなる終盤で、TTのトレーニングもできていなかった」と、今シーズン6,291kmという女子エリート世界2位のレース距離をこなしている與那嶺は語る。
「でもTTが嫌いなわけではないので今日はとにかく転ばずに、悪くない走りをしようと思っていました。もちろんしっかり調整して挑みましたし、土曜日のロードレースのために中3日のタイミングで(強度を)上げておきたかった。このTTも含めてとにかくレースを楽しみたいと思っていました。周りの選手を見ても、悪い結果ではないと思います」。そう語る與那嶺は金子広美(イナーメ信濃山形)とともに土曜日の150kmロードレースに挑む。
ロード世界選手権2019女子エリート個人タイムトライアル結果
順位 | 名前 | タイム | 平均時速 |
---|---|---|---|
1位 | クロエ・ダイガート(アメリカ) | 0:42:11 | 43.088 |
2位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) | 0:01:32 | 41.571 |
3位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ) | 0:01:52 | 41.252 |
4位 | アンバー・ネーベン(アメリカ) | 0:02:38 | 40.550 |
5位 | リサ・クライン(ドイツ) | 0:02:40 | 40.515 |
6位 | マーレン・ローセル(スイス) | 0:03:02 | 40.197 |
7位 | リア・トーマス(アメリカ) | 0:03:12 | 40.041 |
8位 | ルシンダ・ブランド(オランダ) | 0:03:15 | 39.997 |
9位 | アレナ・アミアリウシク(ベラルーシ) | 0:03:17 | 39.969 |
10位 | リサ・ブレナウアー(ドイツ) | 0:03:19 | 39.936 |
29位 | 與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) | 0:05:54 | 37.796 |
text&photo:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom