2019/07/15(月) - 09:57
総合や各賞争いが落ち着き、15名の逃げが決まった第9ステージ。終盤に飛び出したインピーとベノート、革命記念日にマイヨジョーヌで走ったアラフィリップ、落車による撤退を余儀なくされたデマルキ、去年・一昨年と第9ステージで撤退したジンクスを乗り越えたポートらのコメントを紹介します。
ステージ1位 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
とても重要だ。自分にとって、ツール・ド・フランスでのステージ優勝だけが本当に欠けているものだった。この数年、何度も逃げたけど、今日はついに、この革命記念日の日に勝つことができた。本当に素晴らしい! 夢が叶った。このレベルでの勝利はとても難しい。このステージはちょっと狙っていた。だから、適切に動けたのもラッキーだった。チームの働きもまったく問題なかった。幸運なことに脚も残っていたので、最後にティシュ・ベノート(ロット・スーダル)に打ち勝てた。もう長いあいだ、ここまで感情的になることはなかった。ツール・ド・フランスで最後にステージ優勝したのは2007年のロバート・ハンター以来だと思う……魔法のような勝利だ。
ステージ2位、敢闘賞 ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)
良いメンツでの逃げだと、みんな理解していた。数は15人で、誰もが強く、総合に絡む選手が誰もいなかったからだ。このメンツでレースの中で小規模のレースになった。これは自分にとっては都合が良いシチュエーションだった。先頭グループでひたすらペースを維持して、得意な登坂で仕掛ければ良いだけだった。残念ながら、今日の最速の選手、ダリル・インピーを振り落とすことができなかった。彼は自分にとっても都合が良かったが、うれしさとがっかりが半々だった。
うれしいのは逃げ続けられたことで、がっかりだったのは(スプリント力のあるインピーだったので)勝利のチャンスを失ったことだった。ここ数日の厳しいステージの後でも、脚が残っていたことがわかったのは良かった。だけど、あまりにも(インピーとの距離が)近すぎたことは残念だった。でも、調子も良いし、ツールはまだ長い。これからもたくさんのチャンスがあることを期待している。
総合1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
今日もまたフランス国民からの声援が続いていた。自分の名前を呼ぶ声が朝はバスの中から聞こえて、夕方にホテルに戻るまで続いていた。沿道で声援と送ってくれた皆さんにも感謝したい。応援してくれたすべての人のことは覚えておきたい。信じられなかった。マイヨジョーヌを着た毎日は特別だったけど、今日はその中でもとくに良かった。だから、今日はマイヨジョーヌを維持するために戦った。
一定ペースで走れるように仕事してくれたチームメイトたちに感謝したい。整然とした行進ではなかったけど、難しい地形にも関わらず良い舞台となった。ドリス(デヴェナインス)は最後の山岳前まで、ぼくに付いていてくれた。インピー(ミッチェルトン・スコット)が勝利してうれしい。彼は素晴らしい選手だ。明日はエリア(ヴィヴィアーニ)にチャンスがあると思う。その翌日の休息日は、誰もがそれぞれツールを楽しむ機会のある日だ。
山岳賞のティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
チームメイトのティシュ・ベノートが、自分よりもスプリントが得意な選手を相手に勝つことは難しかった。だけど、彼はチャンスを掴んだ。彼が敢闘賞を取ったということは、逃げ集団のなかで最も強かったということだ。自分も今日の逃げ集団に入りたかったけど、機会を逃してしまった。山岳賞ジャージを維持できたのは喜ばしい。明日はカレブ・ユアンのために働くつもりだ。休息日の翌日から自分の山岳賞ポイントに向けての仕事を再開する予定だ。
ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
それほどハードな日ではなかった。逃げ集団はポイント賞への脅威でもなかったので、少しは体力を回復することができた。チームメイトとステージ優勝を狙って動いたペストルベルガーをねぎらいたい。
新人賞、総合2位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
自分たちにとってはとても静かな日だった。ジャスパー・ストゥイヴェンを先頭に送り込めたのは結果的に良かった。最後の登りで少し混戦になりかけたけど、リッチー(ポート)が絶好調なことを見せてくれて、それでチームの士気を高いまま維持できた。(マイヨジョーヌは失ったけれど)この白い新人賞ジャージは、すべての新人選手にとっての憧れで、自分は今それを着用している。これまでの走ってきた結果として、本当に嬉しい。できる限り、このポジションを守る戦いを続けるつもりだ。そしてチームでのアシスタントの仕事もする予定だ。
ステージ3位 ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)
大満足だ。おそらく自分のキャリアのなかで最大の成績だ。ゴールするときは興奮していたのは認めざるを得ない。初めてのツールなので、自分にそれほどチャンスが多くないことはわかっていた。でも、挑戦したかったし、良い結果も出た。
集団とのタイム差が10分近くだとわかったときに、この逃げがゴール近くまで続くことがはっきりした。最後の登りが勝負どころだとわかった。自分のペースで走ったが、山頂から500mのところで先頭の3人の中から失速してしまった。先頭グループでインピーとベノーを捉えることを期待したけど、彼らは最後まで負けなかった。
ステージ4位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール・ラモンディアル)
本当にタフな日だった。強くてたくましい選手たちのグループの中にいることはわかった。だけど、自分たちにはちょっとした成功が必要だった。この結果は勝利ではなく、表彰台にすら乗れなかったけど、チームにちょっとしたはずみを付けるには重要だった。(残り1kmの)フラム・ルージュをくぐるまでは、自分にはチャンスがあると信じていた。ああいう追走グループではまったくリラックスできない。まったく(状況が)わからないからだ。先行の2人が牽制をし始めて、追走に有利に作用することもあるからだ。
ステージ8位 イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
チームカーからOKが出たので、ヤン(トラトニク)と一緒に逃げに乗った。ふたりで互いに助け合って、残り40kmまでは交互にアタックしていた。ツールで初めて10位内に入れて満足している。はやく次のチャンスが来ることを期待している。
10km地点の落車のケガでツールを離脱したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、CCCチーム)
自分の最大の目標だったステージ優勝を果たすことなく、ツール・ド・フランスを離脱することになって残念だ。グランツール完走という自分の中の伝統が途切れてしまうことにがっかりしている。グランツールを棄権するのは、これが初めてだ。幸運だったのは、ケガが思った以上に悪くはなかったことだ。それに家族とも会話す機会もできたし、ここは病院なのでなんの心配もない。できるだけはやいうちに自転車で復帰できることを期待している。
昨年、一昨年ともに第9ステージで離脱したリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
2019年の第9ステージを完走した。結果として良い日だった。つねにチームメイトたちが周囲にいてくれて、そのおかげで終盤に向けての自分の脚を少し試すこともできた。勝負の2週間がやってくる。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ1位 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
とても重要だ。自分にとって、ツール・ド・フランスでのステージ優勝だけが本当に欠けているものだった。この数年、何度も逃げたけど、今日はついに、この革命記念日の日に勝つことができた。本当に素晴らしい! 夢が叶った。このレベルでの勝利はとても難しい。このステージはちょっと狙っていた。だから、適切に動けたのもラッキーだった。チームの働きもまったく問題なかった。幸運なことに脚も残っていたので、最後にティシュ・ベノート(ロット・スーダル)に打ち勝てた。もう長いあいだ、ここまで感情的になることはなかった。ツール・ド・フランスで最後にステージ優勝したのは2007年のロバート・ハンター以来だと思う……魔法のような勝利だ。
ステージ2位、敢闘賞 ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)
良いメンツでの逃げだと、みんな理解していた。数は15人で、誰もが強く、総合に絡む選手が誰もいなかったからだ。このメンツでレースの中で小規模のレースになった。これは自分にとっては都合が良いシチュエーションだった。先頭グループでひたすらペースを維持して、得意な登坂で仕掛ければ良いだけだった。残念ながら、今日の最速の選手、ダリル・インピーを振り落とすことができなかった。彼は自分にとっても都合が良かったが、うれしさとがっかりが半々だった。
うれしいのは逃げ続けられたことで、がっかりだったのは(スプリント力のあるインピーだったので)勝利のチャンスを失ったことだった。ここ数日の厳しいステージの後でも、脚が残っていたことがわかったのは良かった。だけど、あまりにも(インピーとの距離が)近すぎたことは残念だった。でも、調子も良いし、ツールはまだ長い。これからもたくさんのチャンスがあることを期待している。
総合1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
今日もまたフランス国民からの声援が続いていた。自分の名前を呼ぶ声が朝はバスの中から聞こえて、夕方にホテルに戻るまで続いていた。沿道で声援と送ってくれた皆さんにも感謝したい。応援してくれたすべての人のことは覚えておきたい。信じられなかった。マイヨジョーヌを着た毎日は特別だったけど、今日はその中でもとくに良かった。だから、今日はマイヨジョーヌを維持するために戦った。
一定ペースで走れるように仕事してくれたチームメイトたちに感謝したい。整然とした行進ではなかったけど、難しい地形にも関わらず良い舞台となった。ドリス(デヴェナインス)は最後の山岳前まで、ぼくに付いていてくれた。インピー(ミッチェルトン・スコット)が勝利してうれしい。彼は素晴らしい選手だ。明日はエリア(ヴィヴィアーニ)にチャンスがあると思う。その翌日の休息日は、誰もがそれぞれツールを楽しむ機会のある日だ。
山岳賞のティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
チームメイトのティシュ・ベノートが、自分よりもスプリントが得意な選手を相手に勝つことは難しかった。だけど、彼はチャンスを掴んだ。彼が敢闘賞を取ったということは、逃げ集団のなかで最も強かったということだ。自分も今日の逃げ集団に入りたかったけど、機会を逃してしまった。山岳賞ジャージを維持できたのは喜ばしい。明日はカレブ・ユアンのために働くつもりだ。休息日の翌日から自分の山岳賞ポイントに向けての仕事を再開する予定だ。
ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
それほどハードな日ではなかった。逃げ集団はポイント賞への脅威でもなかったので、少しは体力を回復することができた。チームメイトとステージ優勝を狙って動いたペストルベルガーをねぎらいたい。
新人賞、総合2位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
自分たちにとってはとても静かな日だった。ジャスパー・ストゥイヴェンを先頭に送り込めたのは結果的に良かった。最後の登りで少し混戦になりかけたけど、リッチー(ポート)が絶好調なことを見せてくれて、それでチームの士気を高いまま維持できた。(マイヨジョーヌは失ったけれど)この白い新人賞ジャージは、すべての新人選手にとっての憧れで、自分は今それを着用している。これまでの走ってきた結果として、本当に嬉しい。できる限り、このポジションを守る戦いを続けるつもりだ。そしてチームでのアシスタントの仕事もする予定だ。
ステージ3位 ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)
大満足だ。おそらく自分のキャリアのなかで最大の成績だ。ゴールするときは興奮していたのは認めざるを得ない。初めてのツールなので、自分にそれほどチャンスが多くないことはわかっていた。でも、挑戦したかったし、良い結果も出た。
集団とのタイム差が10分近くだとわかったときに、この逃げがゴール近くまで続くことがはっきりした。最後の登りが勝負どころだとわかった。自分のペースで走ったが、山頂から500mのところで先頭の3人の中から失速してしまった。先頭グループでインピーとベノーを捉えることを期待したけど、彼らは最後まで負けなかった。
ステージ4位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール・ラモンディアル)
本当にタフな日だった。強くてたくましい選手たちのグループの中にいることはわかった。だけど、自分たちにはちょっとした成功が必要だった。この結果は勝利ではなく、表彰台にすら乗れなかったけど、チームにちょっとしたはずみを付けるには重要だった。(残り1kmの)フラム・ルージュをくぐるまでは、自分にはチャンスがあると信じていた。ああいう追走グループではまったくリラックスできない。まったく(状況が)わからないからだ。先行の2人が牽制をし始めて、追走に有利に作用することもあるからだ。
ステージ8位 イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
チームカーからOKが出たので、ヤン(トラトニク)と一緒に逃げに乗った。ふたりで互いに助け合って、残り40kmまでは交互にアタックしていた。ツールで初めて10位内に入れて満足している。はやく次のチャンスが来ることを期待している。
10km地点の落車のケガでツールを離脱したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、CCCチーム)
自分の最大の目標だったステージ優勝を果たすことなく、ツール・ド・フランスを離脱することになって残念だ。グランツール完走という自分の中の伝統が途切れてしまうことにがっかりしている。グランツールを棄権するのは、これが初めてだ。幸運だったのは、ケガが思った以上に悪くはなかったことだ。それに家族とも会話す機会もできたし、ここは病院なのでなんの心配もない。できるだけはやいうちに自転車で復帰できることを期待している。
昨年、一昨年ともに第9ステージで離脱したリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
2019年の第9ステージを完走した。結果として良い日だった。つねにチームメイトたちが周囲にいてくれて、そのおかげで終盤に向けての自分の脚を少し試すこともできた。勝負の2週間がやってくる。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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