2019/06/22(土) - 14:32
ツール・ド・スイス第7ステージを締めくくる標高2,091mの超級山岳ゴッタルド峠でイエロージャージがアタック。総合優勝に向けてライバルたちを蹴散らしたエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が総合リードを広げる会心のステージ優勝を飾った。
チームイネオスを先頭にスイスの山岳コースを走る photo:CorVos
ツール・ド・スイス2019第7ステージ photo:Tour de Suisse
スイスらしい距離が長く標高のある峠が2つ設定されたツール・ド・スイス第7ステージ。同国東部のクヴァルテンをスタート後、氷河が作り出した渓谷に沿って1級山岳ルクマニア峠(距離16.7km/平均5.4%)を越え、標高2,091mの超級山岳ゴッタルド峠に向かう。スイスのドイツ語圏とイタリア語圏を結び、古くから交通の要所とされてきたゴッタルド峠。距離12.5kmで高低差900mを登る峠は平均勾配7.2%で、後半にかけて路面は石畳に覆われている。
スタート直後から1時間以上にわたって続いたアタック合戦の結果、この日もサブエース級選手を含む強力な逃げグループが先行した。ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)、マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)、クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、ミッチェルトン・スコット)、スティーヴ・モラビト(スイス、グルパマFDJ)、ジーノ・マーダー(スイス、ディメンションデータ)、スガブ・グルマイ(エチオピア、ミッチェルトン・スコット)、ルカシュ・ヴィシニオウスキーという8名が逃げグループを形成。ボウマンを先頭に1級山岳ルクマニア峠を越えていく。
総合で2分13秒遅れのモラビトを含む逃げグループのリードは概ね3分。チームイネオスが牽引するメイン集団はスピードを上げて間合いを詰め、タイム差1分20秒で超級山岳ゴッタルド峠(距離12.5km/平均7.2%)の麓に到着した。
逃げグループを形成するクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら photo:CorVos
チームメイトに守られるエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:CorVos
マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)を含む逃げグループ photo:CorVos
石畳が敷かれた超級山岳ゴッタルド峠を登るプロトン photo:CorVos
標高2,091mの峠に至る登りが始まると、前日のチームメイト(トールク)のアタックに触発されるように逃げグループからボウマンがアタック。峠の前半を単独で駆け上がったボウマンだったが、登りの中腹で残る逃げメンバーに吸収される。続いてカウンターアタックを仕掛けたフランクが先行したが、チームイネオスとモビスターが率いるメイン集団とのタイム差は1分を切っていた。
第2ステージの集団スプリントで10位、第3ステージで5位に入っているスプリンターのベン・スウィフト(イギリス、チームイネオス)が作る強力なペースによってメイン集団は人数を減らし、先頭で逃げ続けていたフランクを吸収する。残り5kmを切ってから最初に動いたのは総合12位のエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)。スウィフトからバトンタッチしたケニー・エリッソンド(フランス、チームイネオス)がメイン集団を率いてマスを追いかける。
すると、頂上まで2.8kmを残してイエロージャージを着るエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)がアタックした。すぐさま先頭のマスに追いついたベルナルは、さらに加速してマスをふるい落として先を急ぐ。後方ではバーレーン・メリダのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)とローハン・デニス(オーストラリア)が追走モードに入ったが、ベルナルとのタイム差は広がっていく。雪の残る峠道を先頭で駆け上がったベルナルが、バーレーンコンビに23秒差をつけてフィニッシュした。
超級山岳ゴッタルド峠を独走するエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:CorVos
超級山岳ゴッタルド峠の頂上に差し掛かるエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:CorVos
超級山岳ゴッタルド峠を制したエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:CorVos
「今日のステージ優勝をとても嬉しく思う。昨年のツール・ド・ロマンディディの個人TTに続いて、スイスで勝利を飾ることができた。ライバルの強さを探るのは難しいけど、今日は調子が良かった。指示通りの素晴らしい走りをしてくれたチームメイトたちにこの勝利を捧げたい。彼らはあまりに強力で、付き切れしそうなほどだったよ」と、ステージ優勝を飾ったチームイネオスのリーダーは語る。
ベルナルはアタック後の2.8kmを7分45秒間かけて平均スピード21.7km/hで駆け上がっており、その間の平均出力は365W(体重60kg=約6.1倍)だった。対して、追走したデニスの平均スピードは20.5km/h、平均出力410W(71kg=約5.8倍)。
第7ステージを終えて総合1位ベルナルと総合2位デニスのタイム差は41秒。翌日の第8ステージには距離19.2kmの平坦な個人タイムトライアルが設定されており、デニスがタイムを挽回することは想像に容易い。ベルナルは「デニスはTTの世界チャンピオンであり、間違いなく彼からタイムを失うことになると思う。タイムロスを最小限に抑えたい。でも日曜日に山岳ステージが残っているので、チームとして最大限の力を発揮したい」とコメント。ベルナルは個人総合成績だけでなく山岳賞とヤングライダー賞でも首位に立っている。
イエロージャージを追う立場のデニスは「とてもハードなレースだったけど、チームメイトたちはドメニコ(ポッツォヴィーヴォ)と僕のポジションを常に守ってくれた。正直言うと調子が良いとは言えない状況だったものの、チームメイトたちの信頼と働きに何としても応えたかった。おかげで大きくタイムを失わずに済んだので、明日はイエロージャージを奪還したい」と語っている。およそ半分の距離(9.5km)で行われた初日の個人タイムトライアルでデニスとベルナルの間についたタイム差は23秒。デニスに総合逆転のチャンスは十分にあると言える。
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スイスらしい距離が長く標高のある峠が2つ設定されたツール・ド・スイス第7ステージ。同国東部のクヴァルテンをスタート後、氷河が作り出した渓谷に沿って1級山岳ルクマニア峠(距離16.7km/平均5.4%)を越え、標高2,091mの超級山岳ゴッタルド峠に向かう。スイスのドイツ語圏とイタリア語圏を結び、古くから交通の要所とされてきたゴッタルド峠。距離12.5kmで高低差900mを登る峠は平均勾配7.2%で、後半にかけて路面は石畳に覆われている。
スタート直後から1時間以上にわたって続いたアタック合戦の結果、この日もサブエース級選手を含む強力な逃げグループが先行した。ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)、マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)、クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、ミッチェルトン・スコット)、スティーヴ・モラビト(スイス、グルパマFDJ)、ジーノ・マーダー(スイス、ディメンションデータ)、スガブ・グルマイ(エチオピア、ミッチェルトン・スコット)、ルカシュ・ヴィシニオウスキーという8名が逃げグループを形成。ボウマンを先頭に1級山岳ルクマニア峠を越えていく。
総合で2分13秒遅れのモラビトを含む逃げグループのリードは概ね3分。チームイネオスが牽引するメイン集団はスピードを上げて間合いを詰め、タイム差1分20秒で超級山岳ゴッタルド峠(距離12.5km/平均7.2%)の麓に到着した。
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標高2,091mの峠に至る登りが始まると、前日のチームメイト(トールク)のアタックに触発されるように逃げグループからボウマンがアタック。峠の前半を単独で駆け上がったボウマンだったが、登りの中腹で残る逃げメンバーに吸収される。続いてカウンターアタックを仕掛けたフランクが先行したが、チームイネオスとモビスターが率いるメイン集団とのタイム差は1分を切っていた。
第2ステージの集団スプリントで10位、第3ステージで5位に入っているスプリンターのベン・スウィフト(イギリス、チームイネオス)が作る強力なペースによってメイン集団は人数を減らし、先頭で逃げ続けていたフランクを吸収する。残り5kmを切ってから最初に動いたのは総合12位のエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)。スウィフトからバトンタッチしたケニー・エリッソンド(フランス、チームイネオス)がメイン集団を率いてマスを追いかける。
すると、頂上まで2.8kmを残してイエロージャージを着るエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)がアタックした。すぐさま先頭のマスに追いついたベルナルは、さらに加速してマスをふるい落として先を急ぐ。後方ではバーレーン・メリダのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)とローハン・デニス(オーストラリア)が追走モードに入ったが、ベルナルとのタイム差は広がっていく。雪の残る峠道を先頭で駆け上がったベルナルが、バーレーンコンビに23秒差をつけてフィニッシュした。
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「今日のステージ優勝をとても嬉しく思う。昨年のツール・ド・ロマンディディの個人TTに続いて、スイスで勝利を飾ることができた。ライバルの強さを探るのは難しいけど、今日は調子が良かった。指示通りの素晴らしい走りをしてくれたチームメイトたちにこの勝利を捧げたい。彼らはあまりに強力で、付き切れしそうなほどだったよ」と、ステージ優勝を飾ったチームイネオスのリーダーは語る。
ベルナルはアタック後の2.8kmを7分45秒間かけて平均スピード21.7km/hで駆け上がっており、その間の平均出力は365W(体重60kg=約6.1倍)だった。対して、追走したデニスの平均スピードは20.5km/h、平均出力410W(71kg=約5.8倍)。
第7ステージを終えて総合1位ベルナルと総合2位デニスのタイム差は41秒。翌日の第8ステージには距離19.2kmの平坦な個人タイムトライアルが設定されており、デニスがタイムを挽回することは想像に容易い。ベルナルは「デニスはTTの世界チャンピオンであり、間違いなく彼からタイムを失うことになると思う。タイムロスを最小限に抑えたい。でも日曜日に山岳ステージが残っているので、チームとして最大限の力を発揮したい」とコメント。ベルナルは個人総合成績だけでなく山岳賞とヤングライダー賞でも首位に立っている。
イエロージャージを追う立場のデニスは「とてもハードなレースだったけど、チームメイトたちはドメニコ(ポッツォヴィーヴォ)と僕のポジションを常に守ってくれた。正直言うと調子が良いとは言えない状況だったものの、チームメイトたちの信頼と働きに何としても応えたかった。おかげで大きくタイムを失わずに済んだので、明日はイエロージャージを奪還したい」と語っている。およそ半分の距離(9.5km)で行われた初日の個人タイムトライアルでデニスとベルナルの間についたタイム差は23秒。デニスに総合逆転のチャンスは十分にあると言える。
ツール・ド・スイス2019第7ステージ結果
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 5:37:40 |
2位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:23 |
3位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | |
4位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:34 |
5位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) | |
6位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:40 |
8位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:50 |
9位 | レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ) | 0:01:03 |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) |
個人総合成績
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 24:17:48 |
2位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:41 |
3位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:13 |
4位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:17 |
5位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) | 0:01:19 |
6位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:07 |
8位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:02:20 |
9位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ) | 0:02:23 |
10位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | 0:02:26 |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 37pts |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 32pts |
3位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) | 22pts |
山岳賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 30pts |
2位 | クラウディオ・インホフ(スイス、スイスナショナルチーム) | 25pts |
3位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 21pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 24:17:48 |
2位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:19 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:07 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 73:07:48 |
2位 | アスタナ | 0:00:25 |
3位 | チームイネオス | 0:00:48 |
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