2010年4月15日、ツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)第5ステージが大会最長の221kmコースで行なわれ、2つの難関山岳を乗り切ったアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が集団スプリントを制した。グライペルはステージ3勝目。土井雪広(日本、スキル・シマノ)は総合6位を守っている。

沿道には沢山の真っ赤なトルコ国旗沿道には沢山の真っ赤なトルコ国旗 photo:www.tourofturkey.orgトルコ西部の内陸部をスタートする第5ステージは、レース前半に2つの1級山岳が登場。いずれも標高1000mを超える難関山岳であり、コース全長も221kmと今大会最長だ。

レース後半は比較的平坦で、総合に激震を走らすようなステージではない。しかしこの日は、前日に総合首位の座を奪われたコフィディスが反撃に出た。

羊飼いがレースを見守る羊飼いがレースを見守る photo:www.tourofturkey.org早々にアタックを仕掛けて飛び出したのは、総合9位・4分59秒遅れのレミ・ポリオル(フランス、コフィディス)やアドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ)を含む6名のグループ。しかし総合リーダー擁するISD・ネーリがメイン集団を的確にコントロールし、逃げとのタイム差は最大4分20秒。ポリオルはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)の総合リードを崩せなかった。

2つの1級山岳(標高1174mと標高1600m)はいずれもポリオルが先頭で通過。一日で20ポイントを荒稼ぎしたポリオルは一気に山岳賞トップに立った。これにより前日の1級山岳先頭通過の土井雪広は山岳賞3位に。

レース後半にかけてチームHTC・コロンビアが集団をコントロールレース後半にかけてチームHTC・コロンビアが集団をコントロール photo:www.tourofturkey.orgやがて、スプリンターを従えて1級山岳をクリアしたメイン集団は、チームHTC・コロンビアやコルナゴ・CSFイノックス、スキル・シマノがコントロールを開始。ゴールまで13kmを切ると逃げグループからポリオルがアタックして独走に持ち込んだが、スプリンターチームの前に敢え無く敗退。ゴール6km手前で逃げは全て吸収された。

ライバルチームに主導権を与えないリードアウトを見せたのがチームHTC・コロンビア。

集団スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)集団スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos後方でコルナゴ・CSFイノックスの選手たちとウラジミール・イサイチェフ(ロシア、シャコベオ・ガリシア)がポジション取りで激しくぶつかり合う中、HTCトレインはグライペルをスプリントに誘う。ロングスパートを仕掛けたサーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)も飲み込んでラスト1km。

最後はチームメイトに発射されたグライペルがライバルたちを寄せ付けないスプリントで勝利。大柄なジャーマンスプリンターが今大会ステージ3勝目を飾った。

グライペルはチームHTC・コロンビア公式サイトの中で「昨日の獲得標高は3000m。今日は2500m。本当にタフなステージだったよ。ラスト数キロはマーク・レンショーとフランティセク・ラボンがハイスピードで牽き続けてきれて、僕はラスト300mからスプリントを開始した。スプリントが遅れると進路が塞がれると思って早めに仕掛けたんだ」と語る。

グライペルはこれが今シーズン9勝目。昨シーズンと比べて勝利数で伸び悩んでいたが、ここに来てグングンと勝利数を伸ばして来た。シーズン9勝は現在世界トップだ。「シーズン序盤に落車した影響で、いくつかのレース出場を逃してしまったんだ。今こうして好調さを取り戻すことが出来て嬉しい。総合はタジェイ・ヴァンガーデレンに任せて、僕は今後のステージでもスプリント勝利を狙っていくよ」。グライペルはポイント賞トップに返り咲き、再びグリーンジャージに袖を通した。

総合成績に変動は無く、ヴィスコンティがターコイズブルーのリーダージャージをキープ。土井雪広が2分46秒遅れの総合6位につけている。

レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。

ツアー・オブ・ターキー2010第5ステージ
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)         6h09'17"
2位 マッティア・ガヴァッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
3位 ケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ、スキル・シマノ)
4位 アンジェロ・フルラン(イタリア、ランプレ)
5位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)
6位 オスカル・ガット(イタリア、ISD・ネーリ)
7位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)
8位 ミケーレ・メルロ(イタリア、フットオン・セルヴェット)
9位 クラウディオ・クチノッタ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)
10位 レネ・ハーゼルバッハー(オーストリア、フォアアールベルク・コラテック)
43位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      +03"

個人総合成績
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)         21h07'08"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)        +16"
3位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)                +27"
4位 ジャンパオロ・ケウラ(イタリア、フットオン・セルヴェット)          +48"
5位 クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)   +1'42"
6位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      +2'46"
7位 オスカル・ガット(イタリア、ISD・ネーリ)                 +3'42"
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)           +4'30"
9位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)                  +4'59"
10位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)               +5'00"

ポイント賞
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)           38pts
17位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                     12pts

山岳賞
1位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)                  20pts
3位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      10pts

チーム総合成績
ISD・ネーリ

text:Kei Tsuji
photo:www.tourofturkey.org

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