2019/05/26(日) - 21:20
東京都の大井ふ頭で開催されたツアー・オブ・ジャパン第8ステージは、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が集団スプリントとなった最後の直線を中央から勢いよく抜け出し、今大会2つ目の日本人ステージ優勝をもたらした。クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン)はリーダージャージを守り集団ゴール、初の個人総合優勝を遂げた。
小池百合子東京都知事がスタートの挨拶を行った photo:Makoto.AYANO
「牽引坊や」も東京にたどり着いた photo:Satoru Kato
8月開催のUCIレース「おおいたアーバンクラシック」のPRをする黒枝士揮・咲哉兄弟。 photo:Satoru Kato
8日間のツアー・オブ・ジャパン終着地は東京。今年はアメリカ大統領来日のため、恒例の日比谷シティ前からのパレードは無く、大井埠頭の7kmの周回コースのみでの開催となった。
例年であれば、5月後半のこの時季は梅雨の先走りのような雨が降る日が必ずあるものだが、今年はレース中の雨はゼロ。最終日も朝から真夏のような太陽が照りつけ、会場近くの羽田では30℃を越える最高気温を記録。5月の観測史上最高の気温を記録する暑さとなった。
昨年は表彰式のプレゼンターを務めた東京都の小池百合子知事が、今年も来場。今回はスターターとして号砲を鳴らし、選手を送り出した。
都心のビル街を背に、大井埠頭で最後のステージ photo:Satoru Kato
序盤に形成された4人の逃げ集団 photo:Satoru Kato
メイン集団はチーム・ブリッジレーンがコントロール photo:Satoru Kato
ゲストと共に3.6kmのパレード走行をしたのち、16周112kmのレースがスタート。その直後から何名かが飛び出すものの、集団が逃げを容認せずに1周目を終える。
2周目、昨年覇者のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が単独で飛び出し、40秒差をつけて3周目に入る。そこに安原大貴(マトリックスパワータグ)、サルバドール・グアルディオラ(キナンサイクリングチーム)、フン・カホー(HKSプロ・サイクリングチーム)の3名が4周目に合流し、4名の逃げ集団が形成される。
メイン集団はリーダージャージを着るクリス・ハーパー擁するブリッジレーンがコントロール。7周目には3分まで差が広がる。
タイム差が縮まり、直線走路に入ってすぐ単独で飛び出したマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) Photo: Yuichiro Hosoda
残り200m地点で、先行するガルシアへの合流を図りグアルディオラも飛び出す Photo: Yuichiro Hosoda
マルコス・ガルシアとサルバドール・グアルディオラのキナンコンビが逃げ続ける photo:Makoto.AYANO
レースが後半に入り、11周目になると逃げ集団とメイン集団とのタイム差は2分を切るところまで詰まる。すると逃げ集団からガルシアがアタック。さらにチームメイトのグアルディオラが追走して合流。キナンサイクリングチームの2名が1分前後の差をつけて逃げ続ける。平地のスペシャリストではない、クライマー系選手2人の逃げはレース最終盤まで続いていく。
ペースアップしたメイン集団が逃げを追う photo:Satoru Kato
残り4周となる11周目に入ると、メイン集団はスプリント勝負に持ち込みたいチームが1人ずつ出してペースアップ。先行する2人との差を徐々に縮めはじめる。残り2周となる15周目には30秒差となり、メイン集団の視界に捉える距離に。そして打鐘と共に逃げは吸収されて最終周回へ入っていく。
最終周回のジャンが鳴る中、サルバドール・グアルディオラ(キナンサイクリングチーム)をメイン集団が飲み込んでいく Photo: Yuichiro Hosoda
残り200m スプリント開始 photo:Satoru Kato
中央から窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が伸びてくる photo:Satoru Kato
両手を広げゴールする窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) Photo: Yuichiro Hosoda
チーム右京、チームブリヂストンサイクリング、宇都宮ブリッツェン、シマノレーシングなどがスプリント勝負へ向けての準備を整えつつ、ラスト200mのホームストレートへ。集団中央から伸びてきたのは窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)。追いすがるライバルをものともせず、2013年の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)以来となる東京ステージ優勝を決めた。
ステージ優勝を挙げた窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) photo:Makoto.AYANO
シャンパンファイトをする窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) Photo: Yuichiro Hosoda
「ゴールまでは孫崎(大樹)選手がラスト2kmからずっと10番手以上で位置取ってくれて、左コーナーを曲がるときには5、6番手に上がった。ラスト250mを切ってから孫崎選手がスプリントを開始して、それで僕を発射してくれ、優勝につながった。後ろを見たら大きく離れていたのですぐに勝ちを確信できた。
窪木一茂の勝利に応援団も大喜び photo:Makoto.AYANOチームとしては黒枝(士揮)選手とは別線でスプリントをして、それぞれ勝ちを狙おうという作戦だった。彼が他の強い選手をマークして最後に差すという2段構え。それで今回は僕のほうが勝つことができた」と、最後のスプリントを振り返る窪木。
「今日はスプリントでステージ優勝を挙げ、ジャージも手に入れるという作戦だった。結果的にジャージは手に入れることができなかったが、ステージ優勝できたことには満足している。昨日の落車では膝が痛く、リタイヤしようかと迷ったぐらいだったが、チームメイトに助けられてフィニッシュできた。そのおかげで今日勝てて本当に良かった」と、語った。
ハーパーは集団内でフィニッシュ。初の個人総合優勝を決め、昨年に続きヤングライダー賞を獲得した。「チームが集団をコントロールして最後はスプリント勝負になったが、想定通りの展開だった。勝負が決まった富士山ステージもそうだが、チームメイトが自分を良いポジションに押し上げてくれたおかげで勝てた」とコメントした。
3賞ジャージ表彰式。個人総合優勝はクリス・ハーパー(オーストラリア、チームブリッヂレーン)の手に photo:Makoto.AYANO
山岳賞は、富士山ステージ前にポイントを重ねて確実にしていたフィリッポ・ザッカンティ(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)。「昨日のうちに山岳賞を確定させていたので、落ち着いてレースをすることが出来た」とコメントした。
ポイント賞はこの日2位に入ったフェデリコ・ズルロ(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が、窪木と7ポイント差で逃げ切った。「今日はポイント賞ジャージを守る走り、そしてポイントを稼ぐ走りができたからいいレースだった。もちろん勝ちたかったけど、スプリントでは窪木が強すぎた」と、苦笑いしてみせた。
2年連続新人賞のクリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) Photo: Yuichiro Hosoda
この日2位に入りポイントを重ね、総合ポイント賞を獲得したフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) Photo: Yuichiro Hosoda
総合山岳賞を獲得したフィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) Photo: Yuichiro Hosoda
総合3賞によるシャンパンファイト! Photo: Yuichiro Hosoda
22回目のツアー・オブ・ジャパンが終わった。事前の予想ではマルコス・ガルシアの2連覇に注目が集まり、本人も連覇の自信を持っていたと言う。しかし「勝負は下駄を履くまでわからない」という言葉の意味を改めて感じさせられた結果となった。
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は集団内で完走 photo:Satoru Kato一方で、「強い者は運さえも味方にする」と言うが、伊豆ステージでのクリス・ハーパーは、力の強さだけでなく運の強さにも恵まれたように思える。ヤングライダー賞の対象になる若手選手の名前は、いずれもっと高いレベルで聞くことになるか。
その運から見放されたしまった感のある日本人選手。増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が個人総合優勝争いの可能性を示したが、不運としか言いようのないアクシデントでその可能性が潰えた。今後のレースは検査の結果次第ということだが、「長期離脱の可能性もある」と増田は言う。大事に至らないことを願いたい。



8日間のツアー・オブ・ジャパン終着地は東京。今年はアメリカ大統領来日のため、恒例の日比谷シティ前からのパレードは無く、大井埠頭の7kmの周回コースのみでの開催となった。
例年であれば、5月後半のこの時季は梅雨の先走りのような雨が降る日が必ずあるものだが、今年はレース中の雨はゼロ。最終日も朝から真夏のような太陽が照りつけ、会場近くの羽田では30℃を越える最高気温を記録。5月の観測史上最高の気温を記録する暑さとなった。
昨年は表彰式のプレゼンターを務めた東京都の小池百合子知事が、今年も来場。今回はスターターとして号砲を鳴らし、選手を送り出した。



ゲストと共に3.6kmのパレード走行をしたのち、16周112kmのレースがスタート。その直後から何名かが飛び出すものの、集団が逃げを容認せずに1周目を終える。
2周目、昨年覇者のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が単独で飛び出し、40秒差をつけて3周目に入る。そこに安原大貴(マトリックスパワータグ)、サルバドール・グアルディオラ(キナンサイクリングチーム)、フン・カホー(HKSプロ・サイクリングチーム)の3名が4周目に合流し、4名の逃げ集団が形成される。
メイン集団はリーダージャージを着るクリス・ハーパー擁するブリッジレーンがコントロール。7周目には3分まで差が広がる。



レースが後半に入り、11周目になると逃げ集団とメイン集団とのタイム差は2分を切るところまで詰まる。すると逃げ集団からガルシアがアタック。さらにチームメイトのグアルディオラが追走して合流。キナンサイクリングチームの2名が1分前後の差をつけて逃げ続ける。平地のスペシャリストではない、クライマー系選手2人の逃げはレース最終盤まで続いていく。

残り4周となる11周目に入ると、メイン集団はスプリント勝負に持ち込みたいチームが1人ずつ出してペースアップ。先行する2人との差を徐々に縮めはじめる。残り2周となる15周目には30秒差となり、メイン集団の視界に捉える距離に。そして打鐘と共に逃げは吸収されて最終周回へ入っていく。




チーム右京、チームブリヂストンサイクリング、宇都宮ブリッツェン、シマノレーシングなどがスプリント勝負へ向けての準備を整えつつ、ラスト200mのホームストレートへ。集団中央から伸びてきたのは窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)。追いすがるライバルをものともせず、2013年の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)以来となる東京ステージ優勝を決めた。


「ゴールまでは孫崎(大樹)選手がラスト2kmからずっと10番手以上で位置取ってくれて、左コーナーを曲がるときには5、6番手に上がった。ラスト250mを切ってから孫崎選手がスプリントを開始して、それで僕を発射してくれ、優勝につながった。後ろを見たら大きく離れていたのですぐに勝ちを確信できた。

「今日はスプリントでステージ優勝を挙げ、ジャージも手に入れるという作戦だった。結果的にジャージは手に入れることができなかったが、ステージ優勝できたことには満足している。昨日の落車では膝が痛く、リタイヤしようかと迷ったぐらいだったが、チームメイトに助けられてフィニッシュできた。そのおかげで今日勝てて本当に良かった」と、語った。
ハーパーは集団内でフィニッシュ。初の個人総合優勝を決め、昨年に続きヤングライダー賞を獲得した。「チームが集団をコントロールして最後はスプリント勝負になったが、想定通りの展開だった。勝負が決まった富士山ステージもそうだが、チームメイトが自分を良いポジションに押し上げてくれたおかげで勝てた」とコメントした。

山岳賞は、富士山ステージ前にポイントを重ねて確実にしていたフィリッポ・ザッカンティ(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)。「昨日のうちに山岳賞を確定させていたので、落ち着いてレースをすることが出来た」とコメントした。
ポイント賞はこの日2位に入ったフェデリコ・ズルロ(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が、窪木と7ポイント差で逃げ切った。「今日はポイント賞ジャージを守る走り、そしてポイントを稼ぐ走りができたからいいレースだった。もちろん勝ちたかったけど、スプリントでは窪木が強すぎた」と、苦笑いしてみせた。




22回目のツアー・オブ・ジャパンが終わった。事前の予想ではマルコス・ガルシアの2連覇に注目が集まり、本人も連覇の自信を持っていたと言う。しかし「勝負は下駄を履くまでわからない」という言葉の意味を改めて感じさせられた結果となった。

その運から見放されたしまった感のある日本人選手。増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が個人総合優勝争いの可能性を示したが、不運としか言いようのないアクシデントでその可能性が潰えた。今後のレースは検査の結果次第ということだが、「長期離脱の可能性もある」と増田は言う。大事に至らないことを願いたい。
第8ステージ:東京 結果(大井埠頭周回コース パレード3.8km+112.0km)
1位 | 窪木一茂(日本、チームブリヂストンサイクリング) | 2時間23分1秒 |
2位 | フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | |
3位 | オールイス・アルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) | |
4位 | ⿊枝士揮(日本、チームブリヂストンサイクリング) | |
5位 | 鈴木龍(日本、宇都宮ブリッツェン) | |
6位 | リカルド・スタッキオッティ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | |
7位 | 小野寺玲(日本、宇都宮ブリッツェン) | |
8位 | レイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京) | |
9位 | 岡本隼(日本、愛三工業レーシング) | |
10位 | 吉田隼人(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) |
個人総合成績
1位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) | 19時間49分57秒 |
2位 | ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(スペイン、チーム右京) | +40秒 |
3位 | ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(スペイン、マトリックスパワータグ) | +51秒 |
4位 | フランシスコ・マンセボ・ペレス(スペイン、マトリックスパワータグ) | +1分2秒 |
5位 | ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム) | +1分29秒 |
6位 | サム・クローム(オーストラリア、チーム右京) | +2分3秒 |
7位 | 石橋学(日本、チームブリヂストンサイクリング) | +2分16秒 |
8位 | 小林海(日本、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | +2分45秒 |
9位 | アドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー) | +3分25秒 |
10位 | 増田成幸(日本、宇都宮ブリッツェン) | +4分1秒 |
総合ポイント賞
1位 | フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | 87p |
2位 | 窪木一茂(日本、チームブリヂストンサイクリング) | 80p |
3位 | レイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京) | 75p |
総合山岳賞
1位 | フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 33p |
2位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) | 15p |
3位 | エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | 12p |
総合新人賞
1位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) | 19時間49分57秒 |
2位 | ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム) | +1分29秒 |
3位 | 小林海(日本、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | +2分45秒 |
チーム総合
1位 | チーム右京 | 59時間37分53秒 |
2位 | マトリックスパワータグ | +1分41秒 |
3位 | インタープロサイクリングアカデミー | 8分14秒 |
text&photo: Satoru Kato, Makoto AYANO, Yuichiro Hosoda
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