2019/05/22(水) - 03:56
ジロ・デ・イタリア休息日明けの第10ステージで初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が今大会2度目のエスケープ。115kmにわたって逃げ続けた初山を吸収した大集団によるスプリントでアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が自身初のステージ優勝を飾った。
1回目の休息日を終えたジロ・デ・イタリアがエミリア=ロマーニャ州のラヴェンナで再始動した。第10ステージは今大会最も獲得標高差が小さい(わずか155m)平坦ステージで、距離も145kmと短め。開幕地ボローニャのすぐ近くを通って、フェラーリやマセラティ、ランボルギーニが近くに拠点を構えるモデナの街でフィニッシュを迎える。
この大集団スプリント向きの平坦ステージで、チームから逃げの指示を受けた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が逃げた。ニュートラル走行を終えた13時59分に正式なスタートが切られるとともにファーストアタックを仕掛けたルーカ・コヴィーリ(イタリア、バルディアーニCSF)に初山が反応。メイン集団は反応することなくこの2人の先行を許したため、タイム差は36km地点で3分13秒まで拡大した。
この日は残り少なくなりつつあるピュアスプリンターの貴重なチャンスだけに、スプリンターチームが大集団を率いて追走を開始。向かい風〜横風が吹く平坦路を平均スピード38km/h前後で逃げる初山とコヴィーリとのタイム差を2分半前後に調整しながら、ステージ後半へと入っていく。グルパマFDJを中心に、ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップ、ロット・スーダルが集団牽引を担当した。
タイム差1分20秒で差し掛かった残り47km地点の第1中間スプリントはコヴィーリ、初山の順で通過し、スプリントでパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を下したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が3番手通過。続く残り37km地点の第2中間スプリントは初山、コヴィーリの順で通過したが、この時点でメイン集団は30秒後方にまで迫っていた。115kmにわたって逃げた初山とコヴィーリは残り30km地点でスプリンターチーム率いるメイン集団に吸収されている。
フィニッシュ地点モデナに向かう大集団の先頭では、スプリンターチームが競り合いながらリードアウトトレインを走らせる。残り3km地点でエーススプリンターのヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)を見失ったフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、CCCチーム)がアタックを仕掛け、スプリンターチームを引き離しながらモデナ旧市街の石畳区間を独走した。
逃げるベントソを追うメイン集団の先頭ではロット・スーダルが人数を揃えてリードアウト開始。先頭ベントソを飲み込む寸前に、残り1kmで集団前方に落車が発生する。真っ先に転んだマリアチクラミーノのアッカーマンに後続の選手たちが突っ込む事態に。残り3km以内で発生した落車のため、遅れた選手たちもステージ優勝者と同タイム扱いとなっている。
ベントソを引き戻したロット・スーダルのロジャー・クルーゲ(ドイツ)がジャスパー・デブイスト(ベルギー)とカレブ・ユアン(オーストラリア)を連れてハイスピード巡航したが、デマールの発射台を担うジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)が先頭を奪って残り300m。グアルニエーリがタイミングよくデマールを発射した。
別ラインではデブイストとの連携にミスしたユアンが踏み始め、その後ろからエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)やリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が追い上げる。フェンス際からストレート中央に向かってスプリントしたデマールが、苦しい表情を浮かべながら失速したユアンや追い上げが届かないヴィヴィアーニを振り切った。
最高スピード70km/hオーバーのスプリントを制したデマールは「とてもナーバスで、ハイスピードなスプリントになることは分かっていた。落車に巻き込まれないように、チームメイトに言って常に集団前方10〜15番手をキープ。彼らの走りはただただ素晴らしかったよ。ラモン(シンケルダム)とジャコポ(グアルニエーリ)がフィニッシュ手前で素晴らしい働きをしてくれたんだ。今日のような減速するコーナーがないフルスピードのスプリントは自分向き。開幕からずっと狙い続けてきたステージ優勝をようやく果たすことができた」と記者会見で語る。
2016年にミラノ〜サンレモ優勝、2017年と2018年にツール・ド・フランスでステージ優勝を飾っているデマールにとってこれがジロのステージ初優勝。今大会ここまで第2ステージ5位、第3ステージ2位、第4ステージ9位、第5ステージ3位、第8ステージ6位とコンスタントに上位入賞を繰り返し、さらにピュアスプリンターの中で最も積極的に中間スプリントでポイントを重ねていた。この地道なポイント獲得により、ステージ2勝のアッカーマンと1ポイント差のポイント賞2位に浮上している。デマールは「このジロは最後まで走りきるつもり」と語っており、右膝から血を流しながらフィニッシュしたアッカーマンのマリアチクラミーノを奪いたい考えだ。
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)はマリアローザを守り、開幕から5日間総合首位に立ち続けたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)とマリアローザ着用日数で並んでいる。
残り30km地点で吸収された初山は3分36秒遅れでフィニッシュ。ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)に代わって総合最下位となったが、115kmに及んだこの今大会2回目の逃げにより中間スプリント賞3位、フーガ賞(逃げ賞)4位、総合敢闘賞10位に浮上している。フィニッシュ後にイタリア国内外のインタビューを応じた初山は「1人での逃げよりも2人だと短く感じた。チームの指示通りに走れたことには満足しています」と語り、チームバスへと戻っていった。
1回目の休息日を終えたジロ・デ・イタリアがエミリア=ロマーニャ州のラヴェンナで再始動した。第10ステージは今大会最も獲得標高差が小さい(わずか155m)平坦ステージで、距離も145kmと短め。開幕地ボローニャのすぐ近くを通って、フェラーリやマセラティ、ランボルギーニが近くに拠点を構えるモデナの街でフィニッシュを迎える。
この大集団スプリント向きの平坦ステージで、チームから逃げの指示を受けた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が逃げた。ニュートラル走行を終えた13時59分に正式なスタートが切られるとともにファーストアタックを仕掛けたルーカ・コヴィーリ(イタリア、バルディアーニCSF)に初山が反応。メイン集団は反応することなくこの2人の先行を許したため、タイム差は36km地点で3分13秒まで拡大した。
この日は残り少なくなりつつあるピュアスプリンターの貴重なチャンスだけに、スプリンターチームが大集団を率いて追走を開始。向かい風〜横風が吹く平坦路を平均スピード38km/h前後で逃げる初山とコヴィーリとのタイム差を2分半前後に調整しながら、ステージ後半へと入っていく。グルパマFDJを中心に、ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップ、ロット・スーダルが集団牽引を担当した。
タイム差1分20秒で差し掛かった残り47km地点の第1中間スプリントはコヴィーリ、初山の順で通過し、スプリントでパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を下したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が3番手通過。続く残り37km地点の第2中間スプリントは初山、コヴィーリの順で通過したが、この時点でメイン集団は30秒後方にまで迫っていた。115kmにわたって逃げた初山とコヴィーリは残り30km地点でスプリンターチーム率いるメイン集団に吸収されている。
フィニッシュ地点モデナに向かう大集団の先頭では、スプリンターチームが競り合いながらリードアウトトレインを走らせる。残り3km地点でエーススプリンターのヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)を見失ったフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、CCCチーム)がアタックを仕掛け、スプリンターチームを引き離しながらモデナ旧市街の石畳区間を独走した。
逃げるベントソを追うメイン集団の先頭ではロット・スーダルが人数を揃えてリードアウト開始。先頭ベントソを飲み込む寸前に、残り1kmで集団前方に落車が発生する。真っ先に転んだマリアチクラミーノのアッカーマンに後続の選手たちが突っ込む事態に。残り3km以内で発生した落車のため、遅れた選手たちもステージ優勝者と同タイム扱いとなっている。
ベントソを引き戻したロット・スーダルのロジャー・クルーゲ(ドイツ)がジャスパー・デブイスト(ベルギー)とカレブ・ユアン(オーストラリア)を連れてハイスピード巡航したが、デマールの発射台を担うジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)が先頭を奪って残り300m。グアルニエーリがタイミングよくデマールを発射した。
別ラインではデブイストとの連携にミスしたユアンが踏み始め、その後ろからエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)やリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が追い上げる。フェンス際からストレート中央に向かってスプリントしたデマールが、苦しい表情を浮かべながら失速したユアンや追い上げが届かないヴィヴィアーニを振り切った。
最高スピード70km/hオーバーのスプリントを制したデマールは「とてもナーバスで、ハイスピードなスプリントになることは分かっていた。落車に巻き込まれないように、チームメイトに言って常に集団前方10〜15番手をキープ。彼らの走りはただただ素晴らしかったよ。ラモン(シンケルダム)とジャコポ(グアルニエーリ)がフィニッシュ手前で素晴らしい働きをしてくれたんだ。今日のような減速するコーナーがないフルスピードのスプリントは自分向き。開幕からずっと狙い続けてきたステージ優勝をようやく果たすことができた」と記者会見で語る。
2016年にミラノ〜サンレモ優勝、2017年と2018年にツール・ド・フランスでステージ優勝を飾っているデマールにとってこれがジロのステージ初優勝。今大会ここまで第2ステージ5位、第3ステージ2位、第4ステージ9位、第5ステージ3位、第8ステージ6位とコンスタントに上位入賞を繰り返し、さらにピュアスプリンターの中で最も積極的に中間スプリントでポイントを重ねていた。この地道なポイント獲得により、ステージ2勝のアッカーマンと1ポイント差のポイント賞2位に浮上している。デマールは「このジロは最後まで走りきるつもり」と語っており、右膝から血を流しながらフィニッシュしたアッカーマンのマリアチクラミーノを奪いたい考えだ。
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)はマリアローザを守り、開幕から5日間総合首位に立ち続けたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)とマリアローザ着用日数で並んでいる。
残り30km地点で吸収された初山は3分36秒遅れでフィニッシュ。ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)に代わって総合最下位となったが、115kmに及んだこの今大会2回目の逃げにより中間スプリント賞3位、フーガ賞(逃げ賞)4位、総合敢闘賞10位に浮上している。フィニッシュ後にイタリア国内外のインタビューを応じた初山は「1人での逃げよりも2人だと短く感じた。チームの指示通りに走れたことには満足しています」と語り、チームバスへと戻っていった。
ジロ・デ・イタリア2019第10ステージ結果
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 3:36:07 |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
5位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ) | |
6位 | ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
7位 | マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
8位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | |
9位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) | |
10位 | ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ) | |
149位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:03:36 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 39:44:39 |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:50 |
3位 | ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:02:21 |
4位 | ホセ・ロハス(スペイン、モビスター) | 0:02:33 |
5位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 0:02:36 |
6位 | アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) | 0:02:39 |
7位 | アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム) | 0:03:05 |
8位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:03:27 |
9位 | ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:03:30 |
10位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:03:32 |
11位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:03:34 |
12位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:03:45 |
14位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:08 |
24位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:05:36 |
27位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:06:19 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 155pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 154pts |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 109pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 32pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 22pts |
3位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 18pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 39:47:00 |
2位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:06 |
3位 | ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:01:09 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 119:19:11 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:06:53 |
3位 | アンドローニジョカトリ・シデルメク | 0:08:04 |
text&photo:Kei Tsuji in Modena, Italy
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