2019/03/20(水) - 08:15
3月19日に開催されたティレーノ〜アドリアティコ第7ステージ個人タイムトライアルで、4月にアワーレコードに挑戦予定のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が勝利。プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が0.31秒差で逆転総合優勝に輝いた。
ティレーノ〜アドリアティコの最終日は恒例のサンベネデット・デル・トロント個人タイムトライアル。全長10.05km、時間にして11分前後のハイスピード走行で7日間の戦いは締めくくられる。完全フラットなコースの獲得標高差は0mに近い。
この日は北風が吹いたため『行きは良い良い帰りは怖い』のパターンに。144名中19番手スタートのヨーロッパ王者ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が並み居るTTスペシャリストを打ち負かした。
平均スピード53.232km/hで10.05kmを駆け抜け、アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト)に3秒差、ヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)に4秒差をつけて勝利したカンペナールツは「いわゆる世界最高峰のTTスペシャリストの中でミカル・クウィアトコウスキーだけが欠けているようなラインナップだったので、今日は世界最速の男になったような気分。世界選手権で1位だったローハン・デニスと2位だったトム・デュムランを、その時3位だった自分が打ち負かすことができたんだ。この勝利は大きなモチベーションに繋がる」とコメントする。
カンペナールツは4月にメキシコのアグアスカリエンテス(標高1888m)にあるヴェロドロームでアワーレコードに挑戦予定。そこでブラドレー・ウィギンズがもつ54.526kmの記録更新を狙う。
注目の総合争いは最後の最後まで接戦に。スタートの時点で総合1位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と総合2位ログリッチェのタイム差は25秒。過去の個人タイムトライアルの実績を見ると総合2位ログリッチェに有利な状況であり、総合逆転の可否に注目が集まった。実際に2016年の同じ最終TTでログリッチェはAイェーツ22秒、2018年に36秒のタイムを奪っている。
下馬評通り好走したのは総合2位ログリッチェで、中間計測地点をカンペナールツから10秒遅れで折り返す。そこからもハイペースを保ってフィニッシュし、カンペナールツと13秒差のステージ11位に滑り込む。最終走者のAイェーツも中盤まで総合リードを守るペースで走ったが後半にかけて失速。Aイェーツはカンペナールツと39秒差のステージ48位に。Aイェーツに26秒差をつけたログリッチェが逆転で総合優勝に輝いた。残り2kmの平均スピードだけを見ると、カンペナールツは52.6km/h、ログリッチェは50.9km/h、Aイェーツは48.9km/hだった。
最終的に総合1位ログリッチェと総合2位Aイェーツのタイム差は0.31秒。これは2001年の総合優勝者ダヴィデ・レベッリンと総合2位ガブリエーレ・コロンボの0.27秒差に次ぐ歴代2番目に小さいタイム差だった。
「ティレーノ〜アドリアティコはシーズン前半の大きな目標だった。そこで総合優勝を飾ることができて最高に気分だ。今日はスタートの時点で自信を持っていたし、自分をコントロールできていた。100%の力を出し切れたと思う」と、スロベニア人選手として初の総合優勝に輝いたログリッチェは語る。
2018年4月のイツリア・バスクカントリー総合優勝、同年5月ツール・ド・ロマンディ総合優勝、同年6月ツアー・オブ・スロベニア総合優勝、同年7月ツール・ド・フランス総合4位、同年9月ツアー・オブ・ブリテン総合優勝、そして2019年2月UAEツアー総合優勝と、出場するステージレースで好成績を連発する元スキージャンパーは、5月のジロ・デ・イタリアでマリアローザを狙う予定だ。「標高のある峠が登場するジロ・デ・イタリアはまた違う話。しっかりと高地トレーニングで身体の調子を上げて、モチベーション高く5月のレースに挑むよ」。
僅差で総合優勝を逃したAイェーツは「25秒というリードは十分ではなかった。全力を尽くしたし、良い走りだったと思うけど、届かなかった。スタートからフィニッシュまでひたすら苦しみ抜く12分間。自分向きのコースではないし、現状これ以上のタイムは残せなかったと思う。来年またここに戻ってきて、リベンジを果たしたい」と語っている。Aイェーツは3月25日開幕のボルタ・ア・カタルーニャやイツリア・バスクカントリー、アルデンヌクラシックを連戦し、7月のツール・ド・フランスに出場する予定だ。
ティレーノ〜アドリアティコの最終日は恒例のサンベネデット・デル・トロント個人タイムトライアル。全長10.05km、時間にして11分前後のハイスピード走行で7日間の戦いは締めくくられる。完全フラットなコースの獲得標高差は0mに近い。
この日は北風が吹いたため『行きは良い良い帰りは怖い』のパターンに。144名中19番手スタートのヨーロッパ王者ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が並み居るTTスペシャリストを打ち負かした。
平均スピード53.232km/hで10.05kmを駆け抜け、アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト)に3秒差、ヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)に4秒差をつけて勝利したカンペナールツは「いわゆる世界最高峰のTTスペシャリストの中でミカル・クウィアトコウスキーだけが欠けているようなラインナップだったので、今日は世界最速の男になったような気分。世界選手権で1位だったローハン・デニスと2位だったトム・デュムランを、その時3位だった自分が打ち負かすことができたんだ。この勝利は大きなモチベーションに繋がる」とコメントする。
カンペナールツは4月にメキシコのアグアスカリエンテス(標高1888m)にあるヴェロドロームでアワーレコードに挑戦予定。そこでブラドレー・ウィギンズがもつ54.526kmの記録更新を狙う。
注目の総合争いは最後の最後まで接戦に。スタートの時点で総合1位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と総合2位ログリッチェのタイム差は25秒。過去の個人タイムトライアルの実績を見ると総合2位ログリッチェに有利な状況であり、総合逆転の可否に注目が集まった。実際に2016年の同じ最終TTでログリッチェはAイェーツ22秒、2018年に36秒のタイムを奪っている。
下馬評通り好走したのは総合2位ログリッチェで、中間計測地点をカンペナールツから10秒遅れで折り返す。そこからもハイペースを保ってフィニッシュし、カンペナールツと13秒差のステージ11位に滑り込む。最終走者のAイェーツも中盤まで総合リードを守るペースで走ったが後半にかけて失速。Aイェーツはカンペナールツと39秒差のステージ48位に。Aイェーツに26秒差をつけたログリッチェが逆転で総合優勝に輝いた。残り2kmの平均スピードだけを見ると、カンペナールツは52.6km/h、ログリッチェは50.9km/h、Aイェーツは48.9km/hだった。
最終的に総合1位ログリッチェと総合2位Aイェーツのタイム差は0.31秒。これは2001年の総合優勝者ダヴィデ・レベッリンと総合2位ガブリエーレ・コロンボの0.27秒差に次ぐ歴代2番目に小さいタイム差だった。
「ティレーノ〜アドリアティコはシーズン前半の大きな目標だった。そこで総合優勝を飾ることができて最高に気分だ。今日はスタートの時点で自信を持っていたし、自分をコントロールできていた。100%の力を出し切れたと思う」と、スロベニア人選手として初の総合優勝に輝いたログリッチェは語る。
2018年4月のイツリア・バスクカントリー総合優勝、同年5月ツール・ド・ロマンディ総合優勝、同年6月ツアー・オブ・スロベニア総合優勝、同年7月ツール・ド・フランス総合4位、同年9月ツアー・オブ・ブリテン総合優勝、そして2019年2月UAEツアー総合優勝と、出場するステージレースで好成績を連発する元スキージャンパーは、5月のジロ・デ・イタリアでマリアローザを狙う予定だ。「標高のある峠が登場するジロ・デ・イタリアはまた違う話。しっかりと高地トレーニングで身体の調子を上げて、モチベーション高く5月のレースに挑むよ」。
僅差で総合優勝を逃したAイェーツは「25秒というリードは十分ではなかった。全力を尽くしたし、良い走りだったと思うけど、届かなかった。スタートからフィニッシュまでひたすら苦しみ抜く12分間。自分向きのコースではないし、現状これ以上のタイムは残せなかったと思う。来年またここに戻ってきて、リベンジを果たしたい」と語っている。Aイェーツは3月25日開幕のボルタ・ア・カタルーニャやイツリア・バスクカントリー、アルデンヌクラシックを連戦し、7月のツール・ド・フランスに出場する予定だ。
ティレーノ〜アドリアティコ2019第7ステージ結果
1位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:11:23 |
2位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト) | 0:00:03 |
3位 | ヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:04 |
4位 | セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、EFエデュケーションファースト) | 0:00:06 |
5位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:07 |
6位 | マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 0:00:08 |
7位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:08 |
8位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:09 |
9位 | マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:11 |
10位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、チームスカイ) | 0:00:12 |
11位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:13 |
21位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:24 |
31位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:00:30 |
37位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:33 |
43位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | 0:00:36 |
48位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:39 |
53位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:00:41 |
61位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:48 |
68位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:52 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 25:28:00 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:01 |
3位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:30 |
4位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:25 |
5位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:32 |
6位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:34 |
7位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:02:42 |
8位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | 0:03:01 |
9位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:03:12 |
10位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:03:18 |
ポイント賞
1位 | ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) | 31pts |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 27pts |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 26pts |
山岳賞
1位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 35pts |
2位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 34pts |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 25pts |
ヤングライダー賞
1位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 25:31:12 |
2位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:25 |
3位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | 0:01:50 |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーションファースト | 75:51:29 |
2位 | トレック・セガフレード | 0:02:30 |
3位 | サンウェブ | 0:06:09 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
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