2019/01/16(水) - 16:08
登りスプリントでTTスペシャリストがユアンやサガンを打破。ロングスプリントでピュアスプリンターたちを振り切ったパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)がチームに初勝利をもたらすとともに、チームカラーにそっくりのリーダージャージを手に入れた。
最高気温が40度近くまで上がる予報が出ていたため、コースが149kmから122.1kmに短縮されたサントス・ツアー・ダウンアンダー第2ステージ。少し湿度の高い(とは言っても30%程度)曇り空の下、アデレード近郊の『南半球最古のサイクリングクラブ』のお膝元ノーウッドでスタートが切られた。
市街地のニュートラル走行を終えてアクチュアルスタートが切られると、岩肌むき出しの渓谷に沿ったゴージロード(直訳すると渓谷道)でアタックが始まる。獲得標高差1,725mの平坦基調のステージはスプリンターだが、前半にKOMチェッカーヒルが設定されているとあって山岳賞ジャージ争いは継続。山岳賞トップのジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)と同賞2位のアルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ)が2日連続の逃げを試み、ハイメ・カストリリョ(スペイン、モビスター)がここに加わった。
最大勾配が20%に達するKOMチェッカーヒルでザハロフを力強いアタックで引き離したリーが先頭通過。2018年のツアー・オブ・ジャパンにベネロング・スイスウェルネスの一員として出場した22歳が山岳賞のリードを広げた。2つのスプリントポイントはいずれもザハロフの手に渡っている。
一時的に3分強のリードを得た先頭グループだったが、KOMとスプリントポイント通過後はペースが上がらず。フィニッシュまで55kmを残して逃げは吸収されてしまう。代わって飛び出したマチュー・ラダニュ(フランス、グルパマFDJ)が独走に持ち込んだが、ドゥクーニンク・クイックステップやロット・スーダルが先導するメイン集団から時間にして1分半、距離にして1kmのリードを奪うのでいっぱいだった。
ラダニュによる40kmにわたる独走は、スプリンターチーム率いるメイン集団によって残り3km地点で終わりを告げる。世界的なワインの産地であるバロッサバレーを抜けて、いよいよフィニッシュ地点アンガストンに向かって高低差50mの登りがスタート。この日も集団先頭でチームメイトの位置どりに力を使った新城幸也(バーレーン・メリダ)は出し切って下がっていった。
2日連続で迎えた混沌とした集団スプリント。ミッチェルトン・スコットやチームスカイを先頭に残り1kmアーチを切ったが、勾配4%ほどの登りで集団は横に広がる。どのチームがリードアウトを組んで主導権を奪うのか選手が周りを見回す中、残り600mで大落車が発生。ミッチェルトン・スコットが人数を残したもののダリル・インピー(南アフリカ)をリードアウト出来ず、残り300mでルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がアタックと言っていい勢いでスパートを開始した。
サンチェスの加速に真っ先に飛びついたのはパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)だった。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を引き連れる形で追撃したベヴィンが先行するサンチェスをパス。ユアンとサガンがそこからもう一段加速すると見られたが、登り基調のストレートでもベヴィンのスピードは最後まで落ちなかった。
落車の影響でフルメンバーが揃っていなかったとはいえ、27歳のTTスペシャリストが並み居るピュアスプリンターたち打ち破った。ベヴィンはニュージーランド選手権のタイムトライアルで2度優勝。2018年のロード世界選手権タイムトライアルで8位の成績を残している。
「フラン・ベントソのアシストのおかげで、残り1kmの時点で10番手あたりをキープ。今日のようなフィニッシュは自分向きで、調子も良いので勝負できたんだ。スタートの時点で自分を優勝候補に挙げていた人はまずいないと思う。でもタイミングとラインどりさえ合えば勝負できると思っていた。サンチェスの先行が完璧な発射台になった」と、CCCチームにシーズン初勝利をもたらしたベヴィン。CCCチームは初日のヤコブ・マレツコ(イタリア)のステージ3位に続く好成績で、BMCレーシングからほぼ変わっていないスタッフたちは少し胸をなでおろした様子。
前日の逃げで合計5秒のボーナスタイムを獲得していたベヴィンは、ステージ優勝のボーナスタイム10秒により総合首位に。オレンジ色のチームジャージの上に、ほぼ同じ色のリーダージャージを重ね着した。登りもこなすベヴィンは2016年のツアー・ダウンアンダーで総合10位に入っており、この先のステージでもボーナスタイムを稼ぐことができれば総合争いにも絡んでくるだろう。
バーレーン・メリダのエーススプリンターであるフィル・バウハウス(ドイツ)は前日のステージ4位に続いてステージ6位。「落車が発生した時点でもう千切れていた」という新城は95位で安全にフィニッシュラインを切っている。「今日も(発射台役の)シーベルグが運転手となって、彼の指示通りに右に行ったり左に行ったり、前に上がったりと位置どりしていた」と新城は振り返る。集団はばらけてフィニッシュしたものの、残り3km以内の落車のためタイム差は生まれていない。
最高気温が40度近くまで上がる予報が出ていたため、コースが149kmから122.1kmに短縮されたサントス・ツアー・ダウンアンダー第2ステージ。少し湿度の高い(とは言っても30%程度)曇り空の下、アデレード近郊の『南半球最古のサイクリングクラブ』のお膝元ノーウッドでスタートが切られた。
市街地のニュートラル走行を終えてアクチュアルスタートが切られると、岩肌むき出しの渓谷に沿ったゴージロード(直訳すると渓谷道)でアタックが始まる。獲得標高差1,725mの平坦基調のステージはスプリンターだが、前半にKOMチェッカーヒルが設定されているとあって山岳賞ジャージ争いは継続。山岳賞トップのジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)と同賞2位のアルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ)が2日連続の逃げを試み、ハイメ・カストリリョ(スペイン、モビスター)がここに加わった。
最大勾配が20%に達するKOMチェッカーヒルでザハロフを力強いアタックで引き離したリーが先頭通過。2018年のツアー・オブ・ジャパンにベネロング・スイスウェルネスの一員として出場した22歳が山岳賞のリードを広げた。2つのスプリントポイントはいずれもザハロフの手に渡っている。
一時的に3分強のリードを得た先頭グループだったが、KOMとスプリントポイント通過後はペースが上がらず。フィニッシュまで55kmを残して逃げは吸収されてしまう。代わって飛び出したマチュー・ラダニュ(フランス、グルパマFDJ)が独走に持ち込んだが、ドゥクーニンク・クイックステップやロット・スーダルが先導するメイン集団から時間にして1分半、距離にして1kmのリードを奪うのでいっぱいだった。
ラダニュによる40kmにわたる独走は、スプリンターチーム率いるメイン集団によって残り3km地点で終わりを告げる。世界的なワインの産地であるバロッサバレーを抜けて、いよいよフィニッシュ地点アンガストンに向かって高低差50mの登りがスタート。この日も集団先頭でチームメイトの位置どりに力を使った新城幸也(バーレーン・メリダ)は出し切って下がっていった。
2日連続で迎えた混沌とした集団スプリント。ミッチェルトン・スコットやチームスカイを先頭に残り1kmアーチを切ったが、勾配4%ほどの登りで集団は横に広がる。どのチームがリードアウトを組んで主導権を奪うのか選手が周りを見回す中、残り600mで大落車が発生。ミッチェルトン・スコットが人数を残したもののダリル・インピー(南アフリカ)をリードアウト出来ず、残り300mでルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がアタックと言っていい勢いでスパートを開始した。
サンチェスの加速に真っ先に飛びついたのはパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)だった。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を引き連れる形で追撃したベヴィンが先行するサンチェスをパス。ユアンとサガンがそこからもう一段加速すると見られたが、登り基調のストレートでもベヴィンのスピードは最後まで落ちなかった。
落車の影響でフルメンバーが揃っていなかったとはいえ、27歳のTTスペシャリストが並み居るピュアスプリンターたち打ち破った。ベヴィンはニュージーランド選手権のタイムトライアルで2度優勝。2018年のロード世界選手権タイムトライアルで8位の成績を残している。
「フラン・ベントソのアシストのおかげで、残り1kmの時点で10番手あたりをキープ。今日のようなフィニッシュは自分向きで、調子も良いので勝負できたんだ。スタートの時点で自分を優勝候補に挙げていた人はまずいないと思う。でもタイミングとラインどりさえ合えば勝負できると思っていた。サンチェスの先行が完璧な発射台になった」と、CCCチームにシーズン初勝利をもたらしたベヴィン。CCCチームは初日のヤコブ・マレツコ(イタリア)のステージ3位に続く好成績で、BMCレーシングからほぼ変わっていないスタッフたちは少し胸をなでおろした様子。
前日の逃げで合計5秒のボーナスタイムを獲得していたベヴィンは、ステージ優勝のボーナスタイム10秒により総合首位に。オレンジ色のチームジャージの上に、ほぼ同じ色のリーダージャージを重ね着した。登りもこなすベヴィンは2016年のツアー・ダウンアンダーで総合10位に入っており、この先のステージでもボーナスタイムを稼ぐことができれば総合争いにも絡んでくるだろう。
バーレーン・メリダのエーススプリンターであるフィル・バウハウス(ドイツ)は前日のステージ4位に続いてステージ6位。「落車が発生した時点でもう千切れていた」という新城は95位で安全にフィニッシュラインを切っている。「今日も(発射台役の)シーベルグが運転手となって、彼の指示通りに右に行ったり左に行ったり、前に上がったりと位置どりしていた」と新城は振り返る。集団はばらけてフィニッシュしたものの、残り3km以内の落車のためタイム差は生まれていない。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2019第2ステージ結果
1位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 3:14:31 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
5位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | |
7位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | |
9位 | キール・レイネン(アメリカ、トレック・セガフレード) | |
10位 | クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームスカイ) | |
95位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) |
個人総合成績
1位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 6:34:03 |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:05 |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 0:00:09 |
4位 | マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ) | |
5位 | アルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ) | |
6位 | ジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 0:00:10 |
7位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ) | |
8位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) | |
10位 | ハイメ・カストリリョ(スペイン、モビスター) | 0:00:12 |
ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 24pts |
2位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 23pts |
3位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | 22pts |
山岳賞
1位 | ジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 20pts |
2位 | アルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ) | 12pts |
3位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 4pts |
ヤングライダー賞
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 6:34:12 |
2位 | ジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 0:00:01 |
3位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ) |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 19:42:54 |
2位 | グルパマFDJ | |
3位 | ユンボ・ヴィズマ |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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