2018/11/22(木) - 18:28
日曜日のレースがUCI.1に昇格し、名実ともに国内最高峰のシクロクロスレースとなったRaphaスーパークロス野辺山。2日間を沸かせたトップ選手たちのバイクを紹介しましょう。
前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム):フェルト F1X
野辺山2日目にクラークとのマッチスプリントを制し、日本人選手として初めてUCI.1カテゴリー優勝を遂げた前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)のバイクはフェルトのF1X。同チームの江越海玖也や唐見実世子もF1Xと使うが、この野辺山から織田聖に最高峰モデルのFRD Xが供給されていた。
前田のコンポーネントはフロントシングルのスラム FORCE 1だが、ローターの楕円チェーンリング(Q-CX1)とクランク(3D+)、そしてKMCのチェーン(X11SL)を組み合わせていることが特徴だ。チェーン落ち対策としてK-EDGEのウォッチャーを取り付けている。なお前田以外のメンバーはシマノの機械式コンポーネント(STIレバーはデュラエース、リアディレイラーはクラッチ付きのアルテグラRX)だ。
Yurisがサポートしており、ホイールは同社が扱うインダストリーナイン(ハブ)とフォルモサ(リム)を手組みしたものを使用中。タイヤはチャレンジの各モデルを使い分け、前田はセンター部分がヤスリ目のCHICANE(シケイン)を愛用中だ。
セットアップで目立つのは非常に古いタイムのA.T.A.C.ペダルを使っている点だろう。その理由は本人に聞いたところ「元々タイムを好きで使っていて、その中でもバネや踏んだ時の感じが1番良く、更に壊れないから」との返事が帰ってきた。その他、ハンドル周りやサドルはフィジークで、シートポストは16mmセットバックのトムソン Elite。バーテープはマジックワンのSilic1だ。
アンソニー・クラーク(アメリカ、スクゥイッド・スクァッド):スクゥイッド SQUIDCROSS
野辺山1日目に圧勝したアンソニー・クラーク(アメリカ、スクゥイッド・スクァッド)のバイクがこちら。エリート女子レースで初日3位、2日目2位に入ったエミリー・カチョレック(アメリカ)が展開するバイクブランド「スクゥイッド」のディスクブレーキ用アルミフレーム「SQUIDCROSS」を継続使用中だ。
アメリカのハンドメイドブランド「ヴェンタナバイク」がビルディングを担当するフレームは、全て自転車用DIYペイントスプレー「Spray.Bike(スプレーバイク)」でペイント済み。ストリート感溢れるグラフィカルなデザインは彼ら自身が行い、2017年のシクロクロス東京初参戦以降、日本のシクロクロスファンの間でもお馴染みとなっているものだ。今回の来日では合計5台が持ち込まれ、3選手の間で本番用、スペア用と使い分けられていた。なおバイクの販売は神奈川県川崎市のAbove Bike Storeが窓口を務めている。
チームはスラムのサポートを受けており、コンポーネントやホイール、ハンドル周り、シートポストは全てスラムもしくはジップ。フロントシングルのFORCE 1を使い、クラークのバイクは前42T、後ろ11-32Tというギア構成だった。ステムとシートポストはフレームに合わせたマッチペイントが施されている。フロントフォークはエンヴィだ。
昨年との大きな変化は、IRCのサポートを受けたことでタイヤのチューブレス化に踏み切ったことだろう。もともとはトップ選手の使用率が高いチューブラーだったが、「海外遠征が多いので、タイヤ交換が可能なチューブレスは持ち運ぶホイール量を減らしてくれる」とはメカニックの談。ホイールは303で、アップやスペア用にアルミリムの30Courseも持ち込まれていた。
また、サドルはSDGコンポーネンツのスクゥイッドコラボモデル、ヘッドセットやシートクランプもホワイトインダストリーズ、ペダルはクランクブラザースのcandyと、タイヤを除く全部品がカリフォルニアブランドで固められていることもポイントだ(IRCの米国オフィスはカリフォルニア)。なお昨シーズンに来日した模様を綴ったカチョレックによる手記がスラム本国のHP上に掲載中だ。
エミール・ヘケレ(チェコ、スティーブンスバイクス・エミリオスポーツ):スティーブンス SUPERPRESTIGE Disc
粘り強い走りで初日2位、2日目3位と連続表彰台に上がった41歳の大ベテラン、エミール・ヘケレ(チェコ、スティーブンスバイクス・エミリオスポーツ)のバイクはスティーブンスのSUPERPRESTIGE。ヘケレはチェコでバイクショップを経営しており、その関係でスティーブンスやFMB、KMCなどからサポートを受けているという。
2017モデルのカモフラージュカラーバイクにセットされるのは旧世代の6800系アルテグラ。本人曰く「Di2はコストが掛かりすぎる。フルタイムワーカーの自分には機械式アルテグラがちょうど良い」とのこと。STIレバーも旧型のST-R675だ。
自身のネームステッカーを貼ったチューブラーカーボンホイールは、チェコのホイールブランド「キャスター」の製品。タイヤは前後ともFMBのSERVICE COURSEのレター入りSSC Sprint2 Green(33mm)だった。
ゼロセットバックのシートポストに、極限まで前に出したサドルというセットアップが特徴で、サイクルコンピュータが下向きなのも「全力でもがいている時に見やすいため」のセッティングとのこと。昨年の野辺山シクロクロス、そして2月の世界選手権も全く同じバイクで走っていた。
ギャリー・ミルバーン(オーストラリア、MAAP ENVE CX Team):キャノンデール SUPER X
フィオナ・モーリス(オーストラリア)と共にスターライト幕張、Raphaスーパークロス野辺山、そして関西シクロクロスマキノと日本でのUCIレース3連戦に挑んでいるギャリー・ミルバーン(オーストラリア、MAAP ENVE CX Team)。ファイナンシャルコーチとしての顔を持つ彼が乗るのはキャノンデールのSUPER X。昨年使用していたスピードヴァーゲンから乗り換えている。
持ち込まれた3台中2台はブルーとグレーのカスタムチームカラーで、メインバイクとして使っていたSUPER Xはレッド。キャノンデールが本国アメリカで発売しているものと同じカラーリングだが、ヘッドチューブには市販モデルにはあるはずの「C」ロゴが無いという違いがあった。
コンポーネントはDi2/油圧ブレーキのデュラエースとアルテグラをミックスし、リアディレイラーはクラッチ付きのアルテグラRX。クランクはメインバイクがSRMのパワーメーター付きカーボンクランク、スペアバイクがキャノンデールオリジナルのSiクランクで、いずれもシマノのプロ選手供給用46-39Tチェーンリングが取り付けられていた。
ここで注目したいのがチェーンリングの加工だ。SUPER Xはシェル幅83mmのBB30(BB30-83)という特殊規格を採用しているため、シマノクランク用アダプターが市場に存在しない。そのためSRMとキャノンデールのクランクアームに取り付けられるようチェーンリングを削り、46-39Tを取り付けられるよう工夫されていた。
また、ホイールやハンドル、ステム、シートポストは全てエンヴィ。セラミックスピードのロゴが貼り付けられたCXチューブラーリムとDTスイスの240ハブで手組みされたホイールには、チャレンジのチームエディション(ソフト)がセットされていた。また、ハンドル位置を下げるために、ヘッドキャップはタンゲのTeriousに交換。これは外径部分が非常に大きいSUPER Xに合わせた工夫だ。
なお、キャノンデール本国サイトのコラムページ「キャノンデール・クロニクルズ」では、モーリスが綴った手記「CHASING WINTER」が公開中。季節の反転するオーストラリアからアメリカのワールドカップ開幕戦に挑み、日本、ヨーロッパに向かう様子が綴られている。
小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム):メリダ CYCLOCOROSS
昨年、悲願の全日本選手権制覇を成し遂げた小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)は、オレンジレッド眩しいメリダのCYCLOCOROSSを愛用中。会場には4台が持ち込まれ、必要に応じて使い分けられている模様。
宇都宮ブリッツェンはシマノサポートチームの一つであり、コンポーネントはR9170系デュラエースDi2。選手供給専用の46-39Tチェーンリングを使うことが特徴で、ディスクブレーキローターはデュラエースではなく放熱性・泥はけ性に優れたSM-RT99で、アルテグラRXは使われていない。
ホイールもデュラエース(WH-R9100-C40-TU)だが、フロントのスルーアクスル径が15mmであるため、前輪はマウンテンバイク用のXTR。マウント方式がフラットマウントではないことからブレーキキャリパーはBR-RS785。タイヤは小坂が長年使い続けるデュガスのチューブラータイヤ各種だ。
ステムとハンドルはイーストン。メインバイクには同社史上最軽量(178g)を誇るハンドル「E100 ロードバー」が取り付けられていた。ステムは剛性を追い求めたEC90SLだ。その他シートポストはFSAのK-FORCE、サドルはプロロゴ。
竹之内悠(東洋フレーム):東洋フレーム HYBRID CX-D
2011年から2015年まで全日本選手権5連覇を成し遂げた竹之内悠(東洋フレーム)が駆るのは、グラファイトデザインのカーボンパイプとカイセイのスチールパイプを組み合わせた「HYBRID CX-D」。過酷な欧州レースで竹之内がテストし、そのフィードバックを活かした上で市販されているレーシングバイクだ。
今回の野辺山には2台が持ち込まれ、メインバイクがキャンディーレッド、スペアバイクが昨年から使用していたキャンディーオレンジ。いずれもマーブル模様をメインに配置したフロントフォークが印象的で、スチール部分のメッキ加工も非常に美しい。なおシートポストもグラファイトデザインのカーボンパイプを使用した東洋フレームオリジナル品だ。
コンポーネントはデュラエースながら、メインバイクは実戦テストとしてウルフトゥースのチェーリング(42T)を組み合わせてフロントシングルとして運用中。チェーン落ち対策としてフォーリアーズのガードが取り付けられていた。ブレーキローターは小坂と同じくSM-RT99。
足回りはファストフォワードのF3Dホイールに、チャレンジのチューブラータイヤを組み合わせる。ペダルは長年愛用するタイムで、スパカズのバーテープはフレームカラーと合わせて選んでいる。
佐川祐太(SNEL CYCLOCROSS TEAM):リドレー X-NIGHT
SNEL CYCLOCROSS TEAMは使用機材をメリダから1月1日付けでリドレーにスイッチする。ベルギーのトップチーム、マーラックス・ビンゴールカラーのX-NIGHTがメインバイクとなり、現在既に先行投入中。野辺山では数名の選手がX-NIGHTを使用していた。
チームはヴィットリアのサポートを受けており、タイヤはTERRENOシリーズ各種をコンディションによって使い分け。ただしディスクブレーキ用のチューブラーホイールがカタログ上に存在しないため、チューブラーの場合はチューンのハブを使った手組みホイール。チューブレスの場合はヴィットリアのELUSION DISCと使い分けている。
また、駆動系はウィッシュボーンのボトムブラケットでチューニング済み。その他サドルはアスチュート、ハンドル周りはITM。チェーンはKMCのX11SLだ。
text&photo:So.Isobe
前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム):フェルト F1X
野辺山2日目にクラークとのマッチスプリントを制し、日本人選手として初めてUCI.1カテゴリー優勝を遂げた前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)のバイクはフェルトのF1X。同チームの江越海玖也や唐見実世子もF1Xと使うが、この野辺山から織田聖に最高峰モデルのFRD Xが供給されていた。
前田のコンポーネントはフロントシングルのスラム FORCE 1だが、ローターの楕円チェーンリング(Q-CX1)とクランク(3D+)、そしてKMCのチェーン(X11SL)を組み合わせていることが特徴だ。チェーン落ち対策としてK-EDGEのウォッチャーを取り付けている。なお前田以外のメンバーはシマノの機械式コンポーネント(STIレバーはデュラエース、リアディレイラーはクラッチ付きのアルテグラRX)だ。
Yurisがサポートしており、ホイールは同社が扱うインダストリーナイン(ハブ)とフォルモサ(リム)を手組みしたものを使用中。タイヤはチャレンジの各モデルを使い分け、前田はセンター部分がヤスリ目のCHICANE(シケイン)を愛用中だ。
セットアップで目立つのは非常に古いタイムのA.T.A.C.ペダルを使っている点だろう。その理由は本人に聞いたところ「元々タイムを好きで使っていて、その中でもバネや踏んだ時の感じが1番良く、更に壊れないから」との返事が帰ってきた。その他、ハンドル周りやサドルはフィジークで、シートポストは16mmセットバックのトムソン Elite。バーテープはマジックワンのSilic1だ。
アンソニー・クラーク(アメリカ、スクゥイッド・スクァッド):スクゥイッド SQUIDCROSS
野辺山1日目に圧勝したアンソニー・クラーク(アメリカ、スクゥイッド・スクァッド)のバイクがこちら。エリート女子レースで初日3位、2日目2位に入ったエミリー・カチョレック(アメリカ)が展開するバイクブランド「スクゥイッド」のディスクブレーキ用アルミフレーム「SQUIDCROSS」を継続使用中だ。
アメリカのハンドメイドブランド「ヴェンタナバイク」がビルディングを担当するフレームは、全て自転車用DIYペイントスプレー「Spray.Bike(スプレーバイク)」でペイント済み。ストリート感溢れるグラフィカルなデザインは彼ら自身が行い、2017年のシクロクロス東京初参戦以降、日本のシクロクロスファンの間でもお馴染みとなっているものだ。今回の来日では合計5台が持ち込まれ、3選手の間で本番用、スペア用と使い分けられていた。なおバイクの販売は神奈川県川崎市のAbove Bike Storeが窓口を務めている。
チームはスラムのサポートを受けており、コンポーネントやホイール、ハンドル周り、シートポストは全てスラムもしくはジップ。フロントシングルのFORCE 1を使い、クラークのバイクは前42T、後ろ11-32Tというギア構成だった。ステムとシートポストはフレームに合わせたマッチペイントが施されている。フロントフォークはエンヴィだ。
昨年との大きな変化は、IRCのサポートを受けたことでタイヤのチューブレス化に踏み切ったことだろう。もともとはトップ選手の使用率が高いチューブラーだったが、「海外遠征が多いので、タイヤ交換が可能なチューブレスは持ち運ぶホイール量を減らしてくれる」とはメカニックの談。ホイールは303で、アップやスペア用にアルミリムの30Courseも持ち込まれていた。
また、サドルはSDGコンポーネンツのスクゥイッドコラボモデル、ヘッドセットやシートクランプもホワイトインダストリーズ、ペダルはクランクブラザースのcandyと、タイヤを除く全部品がカリフォルニアブランドで固められていることもポイントだ(IRCの米国オフィスはカリフォルニア)。なお昨シーズンに来日した模様を綴ったカチョレックによる手記がスラム本国のHP上に掲載中だ。
エミール・ヘケレ(チェコ、スティーブンスバイクス・エミリオスポーツ):スティーブンス SUPERPRESTIGE Disc
粘り強い走りで初日2位、2日目3位と連続表彰台に上がった41歳の大ベテラン、エミール・ヘケレ(チェコ、スティーブンスバイクス・エミリオスポーツ)のバイクはスティーブンスのSUPERPRESTIGE。ヘケレはチェコでバイクショップを経営しており、その関係でスティーブンスやFMB、KMCなどからサポートを受けているという。
2017モデルのカモフラージュカラーバイクにセットされるのは旧世代の6800系アルテグラ。本人曰く「Di2はコストが掛かりすぎる。フルタイムワーカーの自分には機械式アルテグラがちょうど良い」とのこと。STIレバーも旧型のST-R675だ。
自身のネームステッカーを貼ったチューブラーカーボンホイールは、チェコのホイールブランド「キャスター」の製品。タイヤは前後ともFMBのSERVICE COURSEのレター入りSSC Sprint2 Green(33mm)だった。
ゼロセットバックのシートポストに、極限まで前に出したサドルというセットアップが特徴で、サイクルコンピュータが下向きなのも「全力でもがいている時に見やすいため」のセッティングとのこと。昨年の野辺山シクロクロス、そして2月の世界選手権も全く同じバイクで走っていた。
ギャリー・ミルバーン(オーストラリア、MAAP ENVE CX Team):キャノンデール SUPER X
フィオナ・モーリス(オーストラリア)と共にスターライト幕張、Raphaスーパークロス野辺山、そして関西シクロクロスマキノと日本でのUCIレース3連戦に挑んでいるギャリー・ミルバーン(オーストラリア、MAAP ENVE CX Team)。ファイナンシャルコーチとしての顔を持つ彼が乗るのはキャノンデールのSUPER X。昨年使用していたスピードヴァーゲンから乗り換えている。
持ち込まれた3台中2台はブルーとグレーのカスタムチームカラーで、メインバイクとして使っていたSUPER Xはレッド。キャノンデールが本国アメリカで発売しているものと同じカラーリングだが、ヘッドチューブには市販モデルにはあるはずの「C」ロゴが無いという違いがあった。
コンポーネントはDi2/油圧ブレーキのデュラエースとアルテグラをミックスし、リアディレイラーはクラッチ付きのアルテグラRX。クランクはメインバイクがSRMのパワーメーター付きカーボンクランク、スペアバイクがキャノンデールオリジナルのSiクランクで、いずれもシマノのプロ選手供給用46-39Tチェーンリングが取り付けられていた。
ここで注目したいのがチェーンリングの加工だ。SUPER Xはシェル幅83mmのBB30(BB30-83)という特殊規格を採用しているため、シマノクランク用アダプターが市場に存在しない。そのためSRMとキャノンデールのクランクアームに取り付けられるようチェーンリングを削り、46-39Tを取り付けられるよう工夫されていた。
また、ホイールやハンドル、ステム、シートポストは全てエンヴィ。セラミックスピードのロゴが貼り付けられたCXチューブラーリムとDTスイスの240ハブで手組みされたホイールには、チャレンジのチームエディション(ソフト)がセットされていた。また、ハンドル位置を下げるために、ヘッドキャップはタンゲのTeriousに交換。これは外径部分が非常に大きいSUPER Xに合わせた工夫だ。
なお、キャノンデール本国サイトのコラムページ「キャノンデール・クロニクルズ」では、モーリスが綴った手記「CHASING WINTER」が公開中。季節の反転するオーストラリアからアメリカのワールドカップ開幕戦に挑み、日本、ヨーロッパに向かう様子が綴られている。
小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム):メリダ CYCLOCOROSS
昨年、悲願の全日本選手権制覇を成し遂げた小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)は、オレンジレッド眩しいメリダのCYCLOCOROSSを愛用中。会場には4台が持ち込まれ、必要に応じて使い分けられている模様。
宇都宮ブリッツェンはシマノサポートチームの一つであり、コンポーネントはR9170系デュラエースDi2。選手供給専用の46-39Tチェーンリングを使うことが特徴で、ディスクブレーキローターはデュラエースではなく放熱性・泥はけ性に優れたSM-RT99で、アルテグラRXは使われていない。
ホイールもデュラエース(WH-R9100-C40-TU)だが、フロントのスルーアクスル径が15mmであるため、前輪はマウンテンバイク用のXTR。マウント方式がフラットマウントではないことからブレーキキャリパーはBR-RS785。タイヤは小坂が長年使い続けるデュガスのチューブラータイヤ各種だ。
ステムとハンドルはイーストン。メインバイクには同社史上最軽量(178g)を誇るハンドル「E100 ロードバー」が取り付けられていた。ステムは剛性を追い求めたEC90SLだ。その他シートポストはFSAのK-FORCE、サドルはプロロゴ。
竹之内悠(東洋フレーム):東洋フレーム HYBRID CX-D
2011年から2015年まで全日本選手権5連覇を成し遂げた竹之内悠(東洋フレーム)が駆るのは、グラファイトデザインのカーボンパイプとカイセイのスチールパイプを組み合わせた「HYBRID CX-D」。過酷な欧州レースで竹之内がテストし、そのフィードバックを活かした上で市販されているレーシングバイクだ。
今回の野辺山には2台が持ち込まれ、メインバイクがキャンディーレッド、スペアバイクが昨年から使用していたキャンディーオレンジ。いずれもマーブル模様をメインに配置したフロントフォークが印象的で、スチール部分のメッキ加工も非常に美しい。なおシートポストもグラファイトデザインのカーボンパイプを使用した東洋フレームオリジナル品だ。
コンポーネントはデュラエースながら、メインバイクは実戦テストとしてウルフトゥースのチェーリング(42T)を組み合わせてフロントシングルとして運用中。チェーン落ち対策としてフォーリアーズのガードが取り付けられていた。ブレーキローターは小坂と同じくSM-RT99。
足回りはファストフォワードのF3Dホイールに、チャレンジのチューブラータイヤを組み合わせる。ペダルは長年愛用するタイムで、スパカズのバーテープはフレームカラーと合わせて選んでいる。
佐川祐太(SNEL CYCLOCROSS TEAM):リドレー X-NIGHT
SNEL CYCLOCROSS TEAMは使用機材をメリダから1月1日付けでリドレーにスイッチする。ベルギーのトップチーム、マーラックス・ビンゴールカラーのX-NIGHTがメインバイクとなり、現在既に先行投入中。野辺山では数名の選手がX-NIGHTを使用していた。
チームはヴィットリアのサポートを受けており、タイヤはTERRENOシリーズ各種をコンディションによって使い分け。ただしディスクブレーキ用のチューブラーホイールがカタログ上に存在しないため、チューブラーの場合はチューンのハブを使った手組みホイール。チューブレスの場合はヴィットリアのELUSION DISCと使い分けている。
また、駆動系はウィッシュボーンのボトムブラケットでチューニング済み。その他サドルはアスチュート、ハンドル周りはITM。チェーンはKMCのX11SLだ。
text&photo:So.Isobe