3月10日、パリ〜ニースと同時期開催のティレーノ〜アドリアティコ(UCIヒストリカル)が、イタリア中部トスカーナ州リヴォルノで開幕。冷たい雨が降る過酷なコンディションに見舞われた第1ステージは、バラけた集団によるスプリント勝負をリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)が制した。

灰色のティレニア海沿いを進む灰色のティレニア海沿いを進む photo:Cor Vos世界を代表するオールラウンダーやスプリンターが顔を揃えたティレーノ〜アドリアティコ。パリ〜ニースと同様に、ヨーロッパを襲っている寒波の影響で、冷たい雨の過酷なコンディションに見舞われた。

パリ〜ニースの主催者が第3ステージの短縮を決める一方で、ティレーノ〜アドリアティコはコースに変更無し。第1ステージはティレニア海沿いのリヴォルノをスタートし、中盤に2つのカテゴリー山岳を越える。

厳しい気象条件の中、単独逃げを試みたドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)厳しい気象条件の中、単独逃げを試みたドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ) photo:Cor Vos終盤には標高差130mほどの上り(カテゴリー無し)を含む周回コースが設定されており、最後の上り頂上からゴールまで僅か7km。コースレイアウト的にも、ミラノ〜サンレモさながらの闘いが予想された。

レース序盤に飛び出し、一人旅を敢行したのはドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)。リクイガスやガーミン・トランジションズなどのスプリンターチームがコントロールメイン集団から、グラボフスキーは最大11分のリードを稼ぎ出した。当然レース中盤のカテゴリー山岳を先頭通過したグラボフスキーは山岳賞ジャージ獲得だ。

スプリントバトルを繰り広げるパブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)とリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)スプリントバトルを繰り広げるパブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)とリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) photo:Cor Vosやがてレースは終盤の周回コースに突入。沿道には雪が残り、路面はウェット。グラボフスキーは最大勾配9%の上りを何とか乗り切ったが、最終周回突入前のゴール15km手前でメイン集団に吸収された。

続いてカウンターアタックでパブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)が飛び出し、ニキ・テルプストラ(オランダ、チームミルラム)が合流。しかしこの2人もメイン集団を完全に引き離す事が出来ずに吸収。レース先頭で激しいアタック合戦が繰り広げられる中、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)は上りで集団から脱落した。

スプリントバトルを制したリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)スプリントバトルを制したリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) photo:Cor Vosベンナーティ擁するヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)が目を光らす集団からラスト5kmで飛び出したのは、サンレモ制覇に闘志を燃やすルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)。この動きにはマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)とパブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)、ゲルデマンが合流。

リクイガスやサーヴェロ・テストチームが隊列を組んでメイン集団を率いたが、雨に濡れたテクニカルなコースではスピードが上がり切らず、最後は4名によるスプリント勝負に。

リーダージャージに袖を通したリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)リーダージャージに袖を通したリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) image:RCS Sport先行したパオリーニは失速し、ブレシェル、ラストラス、ゲルデマンの三つ巴の闘いに持ち込まれ、最後まで伸び続けたゲルデマンが先頭でゴールに飛び込んだ。メイン集団はヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)を先頭にタイム差無しでゴールした。

「雨でも晴れでも関係ない。勝利は勝利。とても満足している。同じグループにはスピードのあるブレシェルとパオリーニが入っていたし、集団も迫って来ていたから、正直ステージ優勝のチャンスは少ないと思っていた」。ゲルデマンは同じく雨に見舞われたチャレンジ・マヨルカ第3戦でも勝利している。これがシーズン2勝目だ。

4分59秒遅れでアイゼルに牽かれてゴールするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)4分59秒遅れでアイゼルに牽かれてゴールするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vosリーダージャージに袖を通したゲルデマンは大会制覇を狙っていく。「勝負の鍵を握る山岳はどれも短いので、爆発力のあるライダーが有利。スプリントで勝った今、僕は爆発力のあるライダーであると言える。このティレーノ〜アドリアティコ制覇を目指したい。チームもモチヴェーションは高い」。

カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)やアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)を始めとする有力選手は先頭集団内でゴール。その一方でアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)は53秒遅れ、マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ケースデパーニュ)は1分16秒遅れ。ミラノ〜サンレモ連覇が懸かるカヴェンディッシュは調子が上がらず、4分59秒遅れで第1ステージを終えた。

レース展開や選手コメントはガゼッタ紙より。


ティレーノ〜アドリアティコ2010第1ステージ結果
1位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)        3h36'15"
2位 パブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)
3位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)
4位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
5位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
8位 マルコ・バンディエラ(イタリア、カチューシャ)
9位 サイモン・クラーク(オーストラリア、ISD・ネーリ)
10位 フランチェスコ・ジナンニ(アンドローニ・ジョカトーリ)

個人総合成績
1位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)        3h36'05"
2位 パブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)          +04"
3位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)          +06"
4位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、チームミルラム)         +08"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)     +09"
6位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)       +10"
7位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
10位 マルコ・バンディエラ(イタリア、カチューシャ)

ポイント賞
リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)

山岳賞
ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)

新人賞
ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)

チーム総合成績
コルナゴ・CSFイノックス

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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