2010/03/10(水) - 09:53
3月9日、平坦な201kmで行なわれたパリ〜ニース第2ステージは、ラスト500mでの落車を回避したスプリンターたちによる闘いに持ち込まれ、ウィリアム・ボネ(フランス、Bboxブイグテレコム)が優勝。早めに仕掛けたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)は惜しくも2位に甘んじた。
地中海を目指す旅もこの日で3日目。第2ステージはコントルからリモージュまで、フランス中央の平野部を南下する。難易度の低いカテゴリー山岳が3つ設定されているが、総合争いを加熱させるような山岳の登場はまだ先の話。この日は集団スプリントの最後のチャンスだ。
ツール・ド・フランス出場を目指すプロコンチネンタルチームはこの日も積極的で、スタート後すぐにファーストアタックを仕掛けたのはクーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)。
デコルトには同じくプロコンチネンタルチーム所属のローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)とイェンス・モーリス(オランダ、ヴァカンソレイユ)、そしてマウロ・フィネット(イタリア、リクイガス)が加わり、4名で先頭グループを形成してエスケープを開始した。
山岳賞3位のマンジェルは序盤から3級山岳でポイントを稼ぎ、4賞のトップを独占していたラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)を抜いて暫定トップに。ラボバンクがコントロールするメイン集団は4名の逃げに最大4分15秒のリードを与えた。
アスタナやケースデパーニュが率いるメイン集団は徐々にスピードが上がり、ラスト22km地点で逃げグループを吸収。最後の3級山岳を目指して諦めずに逃げ続けたマンジェルも数キロ先で捕らえられ、集団一つのまま登坂距離2.8km・平均勾配3.9%の上りに差し掛かった。
頂上が近づくとニコラス・マース(ベルギー、クイックステップ)がアタックを仕掛け、シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)とマンジェルが合流。しかし緩斜面ではメイン集団を完全に引き離すことが出来ない。諦めずに踏み続けたゴティエも、ゴール4km手前で吸収された。
ここからはスプリンターチームの力の見せ所。チームHTC・コロンビアやリクイガス、ヴァカンソレイユが主導権を争って集団をハイスピードで牽き続け、ラスト1kmを切るとクイックステップが先頭に。しかしラスト600mで落車が発生した。
集団2番手を走行していたグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)が他選手と接触して転倒すると、避けきれずにトニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)やジミー・カスペール(フランス、ソール・ソジャサン)、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)が次々に衝突。
この落車に伴う混乱の隙を突いて、ロングスパートを仕掛けたのはディフェンディングチャンピオンのルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)。しかし徐々に失速したLLサンチェスをサガンが抜き、その後方からボネがスプリントで対抗。ボネはゴール直前でサガンに並び、抜き去り、先頭でゴールに飛び込んだ。
クレディアグリコル時代にトル・フースホフト(ノルウェー)の発射台としてノウハウを学び、昨年Bboxブイグテレコムに加入してからはエーススプリンターを担うボネ。元々はトラック競技を得意とするスピードマンで、2000年にはトラック世界選手権のジュニアで団体追い抜き銀メダルを獲得している。昨年ブエルタ・ア・エスパーニャでは第16ステージ、第17ステージで2日連続ステージ2位に入っていた。
「キャリアの中で最も素晴らしい勝利だ」。プロツアー&ヒストリカルクラスのビッグレース初勝利を飾ったボネは喜ぶ。「クレディアグリコル時代はずっとトル・フースホフトのアシストに徹していた。Bboxブイグテレコムに合流してからは自由に動けるようになったんだ。この勝利が序章で、まだまだ後に結果がついてくるように願っているよ。でもパリ〜ニースでスプリンターにチャンスがあるステージは僅かに2つ。だからもうチャンスは無いかも知れない。シーズン前半の目標はミラノ〜サンレモやパリ〜ルーベを始めとするクラシックレースだ」。
「ラスト10kmを切ると、グライペルのチームHTC・コロンビアとキッキのリクイガスがペースを上げたので集団はピリピリとした緊張感に包まれていた。ラスト4kmを切ってからはクイックステップが先頭に立ったけど、その時点で僕はいい位置をゲットしていたんだ。ゴール前の落車は酷かった。でも落車した選手を上手くかわして、ラスト400mから仕掛けたルイスレオン・サンチェスに続いて全力でスプリント。ラスト100mがとても長く感じたよ」。ボネはグランツールで新城幸也らとともにステージ優勝を目指す。
リーダージャージ2日目のボームはこの日も先頭集団でゴールし、総合首位の座をキープ。ステージ3位のLLサンチェスはボーナスタイムによって総合3位に浮上している。連日上位に絡む走りを見せるLLサンチェスはポイント賞トップに立った。
この日のサプライズはステージ2位のサガンだろう。ツアー・ダウンアンダーでブレイクしたプロ1年目のルーキーは、平坦のスプリント勝負でも上位に絡む実力の持ち主であることを見せつけた。初日のプロローグでも上位に絡む走りを見せており、そのオールラウンドぶりには目を見張るものがある。サガンはボーナスタイムにより総合7位に浮上した。
選手コメントはレース公式サイトより。
パリ〜ニース2010第2ステージ結果
1位 ウィリアム・ボネ(フランス、Bboxブイグテレコム) 4h22'40"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
4位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
5位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)
7位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
8位 エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)
10位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)
個人総合成績
1位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) 8h55'51"
2位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク) +05"
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ) +10"
4位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +13"
5位 ロマン・クロイツィゲル(スロバキア、リクイガス) +15"
6位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) +20"
7位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) +23"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +25"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
10位 シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +29"
ポイント賞
ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
山岳賞
ローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)
新人賞
ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
ケースデパーニュ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
地中海を目指す旅もこの日で3日目。第2ステージはコントルからリモージュまで、フランス中央の平野部を南下する。難易度の低いカテゴリー山岳が3つ設定されているが、総合争いを加熱させるような山岳の登場はまだ先の話。この日は集団スプリントの最後のチャンスだ。
ツール・ド・フランス出場を目指すプロコンチネンタルチームはこの日も積極的で、スタート後すぐにファーストアタックを仕掛けたのはクーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)。
デコルトには同じくプロコンチネンタルチーム所属のローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)とイェンス・モーリス(オランダ、ヴァカンソレイユ)、そしてマウロ・フィネット(イタリア、リクイガス)が加わり、4名で先頭グループを形成してエスケープを開始した。
山岳賞3位のマンジェルは序盤から3級山岳でポイントを稼ぎ、4賞のトップを独占していたラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)を抜いて暫定トップに。ラボバンクがコントロールするメイン集団は4名の逃げに最大4分15秒のリードを与えた。
アスタナやケースデパーニュが率いるメイン集団は徐々にスピードが上がり、ラスト22km地点で逃げグループを吸収。最後の3級山岳を目指して諦めずに逃げ続けたマンジェルも数キロ先で捕らえられ、集団一つのまま登坂距離2.8km・平均勾配3.9%の上りに差し掛かった。
頂上が近づくとニコラス・マース(ベルギー、クイックステップ)がアタックを仕掛け、シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)とマンジェルが合流。しかし緩斜面ではメイン集団を完全に引き離すことが出来ない。諦めずに踏み続けたゴティエも、ゴール4km手前で吸収された。
ここからはスプリンターチームの力の見せ所。チームHTC・コロンビアやリクイガス、ヴァカンソレイユが主導権を争って集団をハイスピードで牽き続け、ラスト1kmを切るとクイックステップが先頭に。しかしラスト600mで落車が発生した。
集団2番手を走行していたグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)が他選手と接触して転倒すると、避けきれずにトニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)やジミー・カスペール(フランス、ソール・ソジャサン)、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)が次々に衝突。
この落車に伴う混乱の隙を突いて、ロングスパートを仕掛けたのはディフェンディングチャンピオンのルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)。しかし徐々に失速したLLサンチェスをサガンが抜き、その後方からボネがスプリントで対抗。ボネはゴール直前でサガンに並び、抜き去り、先頭でゴールに飛び込んだ。
クレディアグリコル時代にトル・フースホフト(ノルウェー)の発射台としてノウハウを学び、昨年Bboxブイグテレコムに加入してからはエーススプリンターを担うボネ。元々はトラック競技を得意とするスピードマンで、2000年にはトラック世界選手権のジュニアで団体追い抜き銀メダルを獲得している。昨年ブエルタ・ア・エスパーニャでは第16ステージ、第17ステージで2日連続ステージ2位に入っていた。
「キャリアの中で最も素晴らしい勝利だ」。プロツアー&ヒストリカルクラスのビッグレース初勝利を飾ったボネは喜ぶ。「クレディアグリコル時代はずっとトル・フースホフトのアシストに徹していた。Bboxブイグテレコムに合流してからは自由に動けるようになったんだ。この勝利が序章で、まだまだ後に結果がついてくるように願っているよ。でもパリ〜ニースでスプリンターにチャンスがあるステージは僅かに2つ。だからもうチャンスは無いかも知れない。シーズン前半の目標はミラノ〜サンレモやパリ〜ルーベを始めとするクラシックレースだ」。
「ラスト10kmを切ると、グライペルのチームHTC・コロンビアとキッキのリクイガスがペースを上げたので集団はピリピリとした緊張感に包まれていた。ラスト4kmを切ってからはクイックステップが先頭に立ったけど、その時点で僕はいい位置をゲットしていたんだ。ゴール前の落車は酷かった。でも落車した選手を上手くかわして、ラスト400mから仕掛けたルイスレオン・サンチェスに続いて全力でスプリント。ラスト100mがとても長く感じたよ」。ボネはグランツールで新城幸也らとともにステージ優勝を目指す。
リーダージャージ2日目のボームはこの日も先頭集団でゴールし、総合首位の座をキープ。ステージ3位のLLサンチェスはボーナスタイムによって総合3位に浮上している。連日上位に絡む走りを見せるLLサンチェスはポイント賞トップに立った。
この日のサプライズはステージ2位のサガンだろう。ツアー・ダウンアンダーでブレイクしたプロ1年目のルーキーは、平坦のスプリント勝負でも上位に絡む実力の持ち主であることを見せつけた。初日のプロローグでも上位に絡む走りを見せており、そのオールラウンドぶりには目を見張るものがある。サガンはボーナスタイムにより総合7位に浮上した。
選手コメントはレース公式サイトより。
パリ〜ニース2010第2ステージ結果
1位 ウィリアム・ボネ(フランス、Bboxブイグテレコム) 4h22'40"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
4位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
5位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)
7位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
8位 エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)
10位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)
個人総合成績
1位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) 8h55'51"
2位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク) +05"
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ) +10"
4位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +13"
5位 ロマン・クロイツィゲル(スロバキア、リクイガス) +15"
6位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) +20"
7位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) +23"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +25"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
10位 シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +29"
ポイント賞
ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
山岳賞
ローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)
新人賞
ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
ケースデパーニュ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
フォトギャラリー