2018/09/15(土) - 02:32
登坂距離が17kmに及ぶ標高2,025mの1級山岳ラ・ラバッサでマイヨロホのサイモン・イェーツがアタック。アレハンドロ・バルベルデをはじめとするライバルたちを振り切ったイェーツが総合リードを広げ、ティボー・ピノがステージ2勝目を飾った。
カタルーニャ州のレリダからピレネー山脈の山あいの国アンドラへ。154.4kmのステージはいたってシンプル。スタートから徐々に標高を上げていき、残り21km地点でアンドラ公国に入国し、標高2,025mの1級山岳ラ・ラバッサ(全長17km/平均6.6%)を駆け上がる。麓には13%オーバーの急勾配区間が登場するものの、中腹にある遊園地『ナチュランディア』から先の勾配は4〜5%ほど。ブエルタ登場2回目の、今大会唯一の標高2,000mオーバーの峠で再び総合争いが動いた。
この日も逃げグループの形成までに長い時間を要した。緩やかなアップダウンを描く幹線道路で選手が飛び出しては吸収される。スタートから延々と続いたアタック合戦は、40km地点でミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ)が飛び出したところで収束したかに見えたが、モビスターの追撃によってタイム差は広がらなかった。
総合争いに関係しない逃げ(クウィアトコウスキーは55分56秒遅れ)にもかかわらず、最大1分30秒まで縮まったタイム差をモビスターが詰める。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)やピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)らがカウンターアタックを仕掛けて先頭グループに追いついたものの、モビスターが一旦全ての逃げを封じ込めた。
この日の逃げが決まったのは、ステージ中盤、スタートから80kmが経過してから。メイン集団から抜け出すことに成功したバンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)とヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)、トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)の3名が2分のリードを築く。
平均スピード45km/hオーバーのハイスピードで平野を駆け抜けた選手たち。やがて先頭からヴァンアスブロックが下がり、トマとカストロビエホの2名が1分のリードでアンドラ公国に入国する。いよいよ最後の1級山岳ラ・ラバッサが目の前に迫った。
アンドラ公国入国後もモビスターがペースを上げ続けたため、先頭トマとカストロビエホは1級山岳ラ・ラバッサが始まってすぐに吸収される。麓からウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)がペースを作るとメイン集団は40名ほどに縮小。頂上まで14kmを切るとモビスターに代わってロットNLユンボが先頭に立った。
ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)が総合5位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)のためにハイペースを刻むと、続いて動いたのは総合6位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だった。キンタナはベネットとクライスヴァイクを引き連れる形で先行を開始。ここに総合9位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が追いついた。
フィニッシュまで11kmを残して総合5位クライスヴァイク、総合6位キンタナ、総合9位ピノが先行を開始したものの、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の集団牽引によって距離は広がらない。するとマイヨロホが動いた。
ライバルたちに反応する隙を与えない勢いでメイン集団を飛び立ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がすぐに先頭3名にジョイン。イェーツがピノとクライスヴァイクと協調体制を築いた一方で、キンタナは後方の総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアシストを開始する。
パンクで一旦脱落しながらも復帰してアシストを続けたキンタナだったが、バルベルデグループのペースは上がらない。カウンターアタックがかかるたびにアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がチェック。不安定なペースを刻むバルベルデグループから抜け出すことができたのはウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)だけだった。
総合1位イェーツ、総合5位クライスヴァイク、総合9位ピノが、総合2位バルベルデ、総合3位エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、総合4位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、総合8位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)を引き離す。20秒、30秒、40秒と広がるタイム差。
残り1km地点でクライスヴァイクが脱落してからも、イェーツは歯を食いしばりながらハイペースを刻んだ。残り300mを切ってから加速したピノがイェーツを抑え込みながらフィニッシュへ。ピノがステージ2勝目を飾るとともに、5秒遅れでフィニッシュしたイェーツが総合ライバルたちからリードを奪う結果となった。
第15ステージの超級山岳ラゴス・デ・コバドンガに続く今大会2勝目を飾ったピノは「ステージ2勝目なんてハンマーで殴られたような気分。日曜日のコバドンガで目標を達成していたので、プレッシャーを感じることなく、総合成績を気にすることなくステージ優勝を狙ったんだ。今日の長くて勾配のきつくない登りは自分向き。サイモン・イェーツの強力な走りがステージ優勝の決め手になった。彼は今日も最強だった」とコメント。総合成績にはこだわっていないと常々語っているが、総合9位から7位に順位を上げることに成功している。
ピノは1級山岳ラ・ラバッサ(全長17km/平均6.6%)を41分36秒かけて登坂。平均スピードは24.4km/hで、平均出力は443W(体重63kg)だった。
「今日は調子が良かったのでアタックした。先頭グループに追いついてから協力してくれたティボー・ピノに感謝している。彼はステージ優勝狙いなので前を引く必要なんてなかったのに」と、総合リードを広げたイェーツは語る。総合2位バルベルデを1分以上引き離したため、両者のタイム差は1分38秒に。それでも「まだブエルタは終わっていないし、明日はとても厄介なステージ。レースが終わるまでレースは終わらない」とイェーツは慎重な姿勢を崩していない。
この日もう一人の勝者はステージ3位に入ったクライスヴァイク。総合3位マスと総合4位ロペスが52秒遅れたため、クライスヴァイクが総合5位から総合表彰台圏内に返り咲いた。
カタルーニャ州のレリダからピレネー山脈の山あいの国アンドラへ。154.4kmのステージはいたってシンプル。スタートから徐々に標高を上げていき、残り21km地点でアンドラ公国に入国し、標高2,025mの1級山岳ラ・ラバッサ(全長17km/平均6.6%)を駆け上がる。麓には13%オーバーの急勾配区間が登場するものの、中腹にある遊園地『ナチュランディア』から先の勾配は4〜5%ほど。ブエルタ登場2回目の、今大会唯一の標高2,000mオーバーの峠で再び総合争いが動いた。
この日も逃げグループの形成までに長い時間を要した。緩やかなアップダウンを描く幹線道路で選手が飛び出しては吸収される。スタートから延々と続いたアタック合戦は、40km地点でミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ)が飛び出したところで収束したかに見えたが、モビスターの追撃によってタイム差は広がらなかった。
総合争いに関係しない逃げ(クウィアトコウスキーは55分56秒遅れ)にもかかわらず、最大1分30秒まで縮まったタイム差をモビスターが詰める。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)やピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)らがカウンターアタックを仕掛けて先頭グループに追いついたものの、モビスターが一旦全ての逃げを封じ込めた。
この日の逃げが決まったのは、ステージ中盤、スタートから80kmが経過してから。メイン集団から抜け出すことに成功したバンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)とヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)、トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)の3名が2分のリードを築く。
平均スピード45km/hオーバーのハイスピードで平野を駆け抜けた選手たち。やがて先頭からヴァンアスブロックが下がり、トマとカストロビエホの2名が1分のリードでアンドラ公国に入国する。いよいよ最後の1級山岳ラ・ラバッサが目の前に迫った。
アンドラ公国入国後もモビスターがペースを上げ続けたため、先頭トマとカストロビエホは1級山岳ラ・ラバッサが始まってすぐに吸収される。麓からウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)がペースを作るとメイン集団は40名ほどに縮小。頂上まで14kmを切るとモビスターに代わってロットNLユンボが先頭に立った。
ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)が総合5位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)のためにハイペースを刻むと、続いて動いたのは総合6位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だった。キンタナはベネットとクライスヴァイクを引き連れる形で先行を開始。ここに総合9位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が追いついた。
フィニッシュまで11kmを残して総合5位クライスヴァイク、総合6位キンタナ、総合9位ピノが先行を開始したものの、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の集団牽引によって距離は広がらない。するとマイヨロホが動いた。
ライバルたちに反応する隙を与えない勢いでメイン集団を飛び立ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がすぐに先頭3名にジョイン。イェーツがピノとクライスヴァイクと協調体制を築いた一方で、キンタナは後方の総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアシストを開始する。
パンクで一旦脱落しながらも復帰してアシストを続けたキンタナだったが、バルベルデグループのペースは上がらない。カウンターアタックがかかるたびにアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がチェック。不安定なペースを刻むバルベルデグループから抜け出すことができたのはウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)だけだった。
総合1位イェーツ、総合5位クライスヴァイク、総合9位ピノが、総合2位バルベルデ、総合3位エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、総合4位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、総合8位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)を引き離す。20秒、30秒、40秒と広がるタイム差。
残り1km地点でクライスヴァイクが脱落してからも、イェーツは歯を食いしばりながらハイペースを刻んだ。残り300mを切ってから加速したピノがイェーツを抑え込みながらフィニッシュへ。ピノがステージ2勝目を飾るとともに、5秒遅れでフィニッシュしたイェーツが総合ライバルたちからリードを奪う結果となった。
第15ステージの超級山岳ラゴス・デ・コバドンガに続く今大会2勝目を飾ったピノは「ステージ2勝目なんてハンマーで殴られたような気分。日曜日のコバドンガで目標を達成していたので、プレッシャーを感じることなく、総合成績を気にすることなくステージ優勝を狙ったんだ。今日の長くて勾配のきつくない登りは自分向き。サイモン・イェーツの強力な走りがステージ優勝の決め手になった。彼は今日も最強だった」とコメント。総合成績にはこだわっていないと常々語っているが、総合9位から7位に順位を上げることに成功している。
ピノは1級山岳ラ・ラバッサ(全長17km/平均6.6%)を41分36秒かけて登坂。平均スピードは24.4km/hで、平均出力は443W(体重63kg)だった。
「今日は調子が良かったのでアタックした。先頭グループに追いついてから協力してくれたティボー・ピノに感謝している。彼はステージ優勝狙いなので前を引く必要なんてなかったのに」と、総合リードを広げたイェーツは語る。総合2位バルベルデを1分以上引き離したため、両者のタイム差は1分38秒に。それでも「まだブエルタは終わっていないし、明日はとても厄介なステージ。レースが終わるまでレースは終わらない」とイェーツは慎重な姿勢を崩していない。
この日もう一人の勝者はステージ3位に入ったクライスヴァイク。総合3位マスと総合4位ロペスが52秒遅れたため、クライスヴァイクが総合5位から総合表彰台圏内に返り咲いた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第19ステージ結果
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 3:42:05 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:05 |
3位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:13 |
4位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:52 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
6位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:03 |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:01:12 |
9位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:15 |
10位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:01:49 |
14位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:02:20 |
敢闘賞 | ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ) |
個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 76:44:41 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:01:38 |
3位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:58 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:02:15 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:02:29 |
6位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:04:01 |
7位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:05:22 |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:05:29 |
9位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:06:30 |
10位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:07:21 |
ポイント賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 125pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 99pts |
3位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 93pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 74pts |
2位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 64pts |
3位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 60pts |
複合賞
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 12pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 14pts |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 18pts |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 230:36:05 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:27:38 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:42:29 |
text:Kei Tsuji in La Rabassa, Andorra
photo:Kei Tsuji, Luca Bettini
photo:Kei Tsuji, Luca Bettini
Amazon.co.jp