2018/09/07(金) - 06:19
総合成績に変動をもたらす大逃げが決まったブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージ。アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)がステージ通算3勝目を飾り、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が3分以上のタイム差をつけてマイヨロホを獲得した。
アンダルシア州を発ち、大西洋まで北上を完了したブエルタ・ア・エスパーニャ。ぐずついた天候のガリシア州の海岸線を走る第12ステージには3級山岳が2つ設定されている。最も高いところでも標高435mしかないが、181.1kmコースの獲得標高差は3,100m。最後は大西洋に突き出たエスカタ・デ・バレス半島の先端に向かって突き進み、管理道路のような細い道を走ってファロ・デ・バレス灯台前にフィニッシュする。コースプロフィールからは分からない細かいアップダウンが連続するステージであり、スプリンターに出番は回ってこなかった。
この日最初の3級山岳カデイラ峠が発射台となり、合計18名の大きな逃げグループがメイン集団から抜け出すことに成功する。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が揃う豪華な逃げグループが、ミッチェルトン・スコット率いるメイン集団をじわりじわりと引き離し始めた。
46km地点で早くもタイム差が6分を超えたため、逃げグループに入った総合22位/5分45秒遅れのヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が暫定総合リーダーに。ヨーロッパチャンピオンのマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)らの集団牽引によってタイム差の拡大は11分で止まったが、ガリシア州らしい曲がりくねった海岸線は逃げグループに味方した。レース中盤からモビスターが集団牽引に手を差し伸べたものの、タイム差は縮まることなく11分前後のまま。先頭18名の逃げ切りは誰の目にも明らかだった。
実質的に逃げ切りを決めた先頭グループの中では、残り35kmを切ってからステージ優勝に向けたアタック合戦が始まる。3週間後のロード世界選手権でイタリアチームのエースを担う予定のニバリらがアタック。バラけてはくっついてを繰り返しながら、徐々に8名の先行が始まる。出遅れたエラダやニバリ、デヘントは第2グループを形成して追走を続けることに。
8名の先頭グループは、追走グループに2分差、メイン集団に11分30秒差をつけた状態で残り5kmを駆け抜けていく。登りを利用したアタックによってジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)とドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)はステージ優勝争いから脱落。6名に絞られた逃げグループが残り1.5km地点から始まる狭小路に入った。
最終的にステージ優勝争いに残ったのはフォルモロ、トゥーンス、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)の6名。テクニカルなコーナーと登りを利用してカンペナールツらが仕掛けたが決まらず、勝負はスプリントに持ち込まれる。
残り300mでジェニエスが仕掛けるとここにファンバーレが反応。両者横並びでスプリント一騎打ちを繰り広げ、道の細さから前に出ることができないファンバーレを抑えてジェニエスが先着した。
ジェニエスから遅れること2分32秒でエラダがステージ16位フィニッシュ。総合上位陣を含むメイン集団が11分39秒遅れでフィニッシュしたため、マイヨロホはエラダの手に渡っている。なお、フィニッシュ後すぐ、周りを確認せず歩いていた大会関係者にジェニエスとファンバーレが衝突して落車するというトラブルが発生している。
「たった2回しか逃げ切りが決まらなかったジロと比べて、シーズン終盤のブエルタでは沢山の逃げ切りが決まる。今日はボーラ・ハンスグローエがサガンのためにメイン集団をコントロールすると思ったから、最初から逃げを狙う予定ではなかった。でもフォルモロがアタックして強力なグループが形成されつつあったので、これは反応しないといけないと判断した。最後はアタックすることなくスプリントに備えたよ」とジェニエスは語る。
ジェニエスは2013年と2016年に続くステージ通算3勝目。前回勝利した2016年大会第3ステージもこの日と同じガリシア州だった。「ガロパンが総合で良いポジション(総合6位)につけているので、チームとしてマドリードまで闘い続けたい」とジェニエス。
マイヨロホに袖を通したエラダは、2011年から7年から所属したモビスターを離れてコフィディスに衣替えした28歳。2013年と2017年にスペインチャンピオンに輝いている。ステージレースの成績を見ると2014年と2017年のツール・ド・ロマンディで総合9位。グランツール出場はこれが6回目で、今年のツール・ド・フランスを総合47位で終えている。
「今日は逃げ切ってタイムを奪う作戦だった。もちろんステージ優勝も狙っていたけど、強力なメンバーが揃っていたので勝負に絡めず。でも結果的にマイヨロホに手が届いたので満足だ。このマイヨロホをできるだけ長く着用したい。最終週はとても厳しいし、マドリードはまだ遠い」とエラダはコメント。第12ステージを終えてエラダはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)から3分22秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から3分23秒のリード。タイムトライアルも得意とすることから、翌日から始まるアストゥリアス山岳3連戦を乗り越えることができれば、最終的なマイヨロホ争いにも絡んでくると予想される。
アンダルシア州を発ち、大西洋まで北上を完了したブエルタ・ア・エスパーニャ。ぐずついた天候のガリシア州の海岸線を走る第12ステージには3級山岳が2つ設定されている。最も高いところでも標高435mしかないが、181.1kmコースの獲得標高差は3,100m。最後は大西洋に突き出たエスカタ・デ・バレス半島の先端に向かって突き進み、管理道路のような細い道を走ってファロ・デ・バレス灯台前にフィニッシュする。コースプロフィールからは分からない細かいアップダウンが連続するステージであり、スプリンターに出番は回ってこなかった。
この日最初の3級山岳カデイラ峠が発射台となり、合計18名の大きな逃げグループがメイン集団から抜け出すことに成功する。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が揃う豪華な逃げグループが、ミッチェルトン・スコット率いるメイン集団をじわりじわりと引き離し始めた。
46km地点で早くもタイム差が6分を超えたため、逃げグループに入った総合22位/5分45秒遅れのヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が暫定総合リーダーに。ヨーロッパチャンピオンのマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)らの集団牽引によってタイム差の拡大は11分で止まったが、ガリシア州らしい曲がりくねった海岸線は逃げグループに味方した。レース中盤からモビスターが集団牽引に手を差し伸べたものの、タイム差は縮まることなく11分前後のまま。先頭18名の逃げ切りは誰の目にも明らかだった。
実質的に逃げ切りを決めた先頭グループの中では、残り35kmを切ってからステージ優勝に向けたアタック合戦が始まる。3週間後のロード世界選手権でイタリアチームのエースを担う予定のニバリらがアタック。バラけてはくっついてを繰り返しながら、徐々に8名の先行が始まる。出遅れたエラダやニバリ、デヘントは第2グループを形成して追走を続けることに。
8名の先頭グループは、追走グループに2分差、メイン集団に11分30秒差をつけた状態で残り5kmを駆け抜けていく。登りを利用したアタックによってジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)とドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)はステージ優勝争いから脱落。6名に絞られた逃げグループが残り1.5km地点から始まる狭小路に入った。
最終的にステージ優勝争いに残ったのはフォルモロ、トゥーンス、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)の6名。テクニカルなコーナーと登りを利用してカンペナールツらが仕掛けたが決まらず、勝負はスプリントに持ち込まれる。
残り300mでジェニエスが仕掛けるとここにファンバーレが反応。両者横並びでスプリント一騎打ちを繰り広げ、道の細さから前に出ることができないファンバーレを抑えてジェニエスが先着した。
ジェニエスから遅れること2分32秒でエラダがステージ16位フィニッシュ。総合上位陣を含むメイン集団が11分39秒遅れでフィニッシュしたため、マイヨロホはエラダの手に渡っている。なお、フィニッシュ後すぐ、周りを確認せず歩いていた大会関係者にジェニエスとファンバーレが衝突して落車するというトラブルが発生している。
「たった2回しか逃げ切りが決まらなかったジロと比べて、シーズン終盤のブエルタでは沢山の逃げ切りが決まる。今日はボーラ・ハンスグローエがサガンのためにメイン集団をコントロールすると思ったから、最初から逃げを狙う予定ではなかった。でもフォルモロがアタックして強力なグループが形成されつつあったので、これは反応しないといけないと判断した。最後はアタックすることなくスプリントに備えたよ」とジェニエスは語る。
ジェニエスは2013年と2016年に続くステージ通算3勝目。前回勝利した2016年大会第3ステージもこの日と同じガリシア州だった。「ガロパンが総合で良いポジション(総合6位)につけているので、チームとしてマドリードまで闘い続けたい」とジェニエス。
マイヨロホに袖を通したエラダは、2011年から7年から所属したモビスターを離れてコフィディスに衣替えした28歳。2013年と2017年にスペインチャンピオンに輝いている。ステージレースの成績を見ると2014年と2017年のツール・ド・ロマンディで総合9位。グランツール出場はこれが6回目で、今年のツール・ド・フランスを総合47位で終えている。
「今日は逃げ切ってタイムを奪う作戦だった。もちろんステージ優勝も狙っていたけど、強力なメンバーが揃っていたので勝負に絡めず。でも結果的にマイヨロホに手が届いたので満足だ。このマイヨロホをできるだけ長く着用したい。最終週はとても厳しいし、マドリードはまだ遠い」とエラダはコメント。第12ステージを終えてエラダはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)から3分22秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から3分23秒のリード。タイムトライアルも得意とすることから、翌日から始まるアストゥリアス山岳3連戦を乗り越えることができれば、最終的なマイヨロホ争いにも絡んでくると予想される。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージ結果
1位 | アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール) | 4:22:59 |
2位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ) | |
3位 | マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ) | |
4位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | |
5位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:02 |
6位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:05 |
7位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:00:24 |
8位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:48 |
9位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:02:27 |
10位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:02:29 |
16位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 0:02:32 |
22位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:11:39 |
敢闘賞 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) |
個人総合成績
1位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 50:28:56 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:03:22 |
3位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:03:23 |
4位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:03:36 |
5位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:03:39 |
6位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:03:46 |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:03:49 |
9位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:03:54 |
10位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:04:05 |
ポイント賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 85pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 83pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 66pts |
山岳賞
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 60pts |
2位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 33pts |
3位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 30pts |
複合賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 11pts |
2位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 26pts |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 37pts |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 151:23:41 |
2位 | ロットNLユンボ | 0:14:10 |
3位 | モビスター | 0:15:05 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, Unipublic
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