2018/08/31(金) - 20:11
全日本大学対抗選手権自転車競技大会(通称インカレ)ロードレース競技が9月2日(日)に長野県大町市美麻で開催される。今年は故・高木秀彰氏のご家族の申出により男女優勝者の所属チームに賞金が授与されることが決まった。レースの見どころと合わせてお伝えする。
2017年のインカレロードレース男子 先頭を引くのは岡本隼(日本大) photo:Hideaki TAKAGI
大学自転車競技のビックイベントである文部科学大臣杯第73回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会(通称:インカレ)のロードレース競技は、9月2日(日)に長野県大町市美麻地区 公道周回コース(1周13.4 km)で開催される。
故・高木秀彰さん(フォトジャーナリスト) ツール・ド・北海道にて photo:Koichi Isomuraこの度、昨年10月に急逝したフォトジャーナリスト、故・高木秀彰氏のご家族の申出により、インカレロードの男女の優勝者を擁する大学の自転車競技部それぞれに活動支援金として賞金10万円が贈られることとなった。
この賞は「頑張っている若手選手を応援したい」という姿勢で学生のレースを撮り、伝え続けてきた故人の遺志と、「故人が自転車界に支えられてきたことに感謝し、その恩返しがしたい」というご家族の希望により、本年度大会より今後10年間に渡って授与されることになる。
なお、JBCF 全日本実業団自転車競技連盟の今後のレースにおいても同様に「高木秀彰賞」の創設に向けて調整が進んでいる。詳細は後日発表される予定だ。
大学ナンバーワンを決めるインカレロード 見どころ
近年はトラックとロード競技を連続して近接会場で実施することが恒例になっていたが、後楽園競輪場でトラックを、富士スピードウェイでロードレースを開催した1972年以来、46年ぶりのトラック・ロード分離開催となる。そのため各大学とも、トラック競技を走ってロードレース競技もエントリーする選手にとっては例年よりも休養期間があり、コンディション良い状態でロードレースに臨むことできる。
インカレの総合優勝に向けて、チーム一丸となり勝負を決める総力戦となる。そして個人としても学生選手権個人ロードレースと並ぶ大学日本一を競うトップレベルの学生選手のみが選ばれて走ることができるレースであるため、最高峰の熱戦が期待できる。
舞台は長野県大町美麻地区 周回コース
長野県大町市美麻地区の公道を利用したコースを走るインカレロード photo:Hideaki TAKAGIインカレロードの決戦の舞台となるのは長野県大町市美麻地区の公道を利用した一周13.4kmの周回コース。距離は男子は174.2km(13周)、女子は67.0km(5周)で実施される。一周の距離が長く、激坂はないものの緩やかな登り坂の距離が長く、各選手は知らないうちに脚を消耗してしまう。また下り坂はテクニカルなコーナーが少なくトップスピードを維持しやすいため、いい脚を長く使うことも要求される。生粋のクライマータイプではスピードが足りず、スプリンターのスピードだけでは押し切ることが難しい総合力が試されるコースだ。
トラック競技終了時の各大学の状況
インカレのトラック競技は伊豆ベロドロームで8月17〜19日に開催された。男子トラック競技の総合成績は全種目で確実に得点を獲得した日本大学が75点で1位。2位には56点で明治大学、3位に早稲田大学(53点)、4位に法政大学(45点)と続く。ロードレース競技で多くの選手が上位でゴールできるかによって総合優勝の行方は左右されることに。
女子はマディソンとチームスプリントで1位を獲得した日本体育大学が1位(44点)、2位に鹿屋体育大学(39点)という接戦。ロードレースの展開により、総合優勝はどのようになるだろうか。
(インカレトラック競技3日間のレポートはこちら)
男子の注目大学・選手紹介
2017年は学生個人ロードに続きインカレロードも制した武山晃輔(日本大) photo:Hideaki TAKAGI
2017年インカレで完全優勝で総合優勝を決めた日本大学 photo:Hideaki TAKAGI
トラック競技終了時点でトップに立つ日本大学は昨年同様に強力なメンバーで連覇に向かって臨んでくる。草場選手や武山選手という、個人としても優勝を狙える選手とチーム戦でも有利に展開できるメンバーが揃っている。
その日大を追う明治大は、過去にインカレロードで優勝している野本選手が4年生最後のインカレで2回目のインカレロード制覇となるのかにも注目だ。現在RCSリーダーの孫崎選手を擁する早稲田大学も、過去のインカレで3位に入っている中川選手とともに上位を狙える力を持っている。
西日本学連所属の京都産業大学と鹿屋体大なども今年の学生選手権でタイトルを獲得しているメンバーを揃えている。京都産業大学は全日本学生選手権クリテリウム優勝の中井選手、鹿屋体育大学は全日本学生選手権個人ロード優勝の石井選手を擁するチーム。
他にも学生レースやU23カテゴリで活躍する岡部選手(日体大)、佐藤選手(法政大)、尾形選手(中央大)などのメンバーにも注目したい。
女子注目大学・選手紹介
2017年のインカレロード女子 3位の中井彩子(左/鹿屋体育大学) 優勝は梶原悠未(筑波大)だった photo:Hideaki TAKAGI昨年同大会2位の中井選手(鹿屋体育大学)が中心となり、展開次第では誰が勝ってもおかしくない混戦模様となる。大学対抗成績も関係してくるため、トラック競技を終えて現在トップに立っている日本体育大学と2位につけている鹿屋体育大学の総合優勝を巡る戦いにも注目だ。
今シーズン、1年生ながら学生選手権クリテリウムや修善寺カップで優勝を果たしている中冨選手(京都産業大学)など、若手の選手たちがどこまで上級生を追い詰めることができるかにも期待したい。
過去から現在まで、インカレロードのチャンピオンは例外なく日本のロードレース界を背負う選手として羽ばたいてきた歴史がある。2020年東京五輪のスターが日本屈指の難コース、美麻の地で生まれるかもしれない。また、栄誉ある「高木秀彰賞」の初代受賞チームがどの大学になるのかにも注目。大学の威信、仲間の期待を背負いつつ、己の誇りもかけた、選手たちのそれぞれの熱い戦いにご注目ください。(日本学生自転車競技連盟)
photo:Hideaki.TAKAGI
text:Makoto.AYANO、日本学生自転車競技連盟
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大学自転車競技のビックイベントである文部科学大臣杯第73回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会(通称:インカレ)のロードレース競技は、9月2日(日)に長野県大町市美麻地区 公道周回コース(1周13.4 km)で開催される。
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なお、JBCF 全日本実業団自転車競技連盟の今後のレースにおいても同様に「高木秀彰賞」の創設に向けて調整が進んでいる。詳細は後日発表される予定だ。
大学ナンバーワンを決めるインカレロード 見どころ
近年はトラックとロード競技を連続して近接会場で実施することが恒例になっていたが、後楽園競輪場でトラックを、富士スピードウェイでロードレースを開催した1972年以来、46年ぶりのトラック・ロード分離開催となる。そのため各大学とも、トラック競技を走ってロードレース競技もエントリーする選手にとっては例年よりも休養期間があり、コンディション良い状態でロードレースに臨むことできる。
インカレの総合優勝に向けて、チーム一丸となり勝負を決める総力戦となる。そして個人としても学生選手権個人ロードレースと並ぶ大学日本一を競うトップレベルの学生選手のみが選ばれて走ることができるレースであるため、最高峰の熱戦が期待できる。
舞台は長野県大町美麻地区 周回コース
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トラック競技終了時の各大学の状況
インカレのトラック競技は伊豆ベロドロームで8月17〜19日に開催された。男子トラック競技の総合成績は全種目で確実に得点を獲得した日本大学が75点で1位。2位には56点で明治大学、3位に早稲田大学(53点)、4位に法政大学(45点)と続く。ロードレース競技で多くの選手が上位でゴールできるかによって総合優勝の行方は左右されることに。
女子はマディソンとチームスプリントで1位を獲得した日本体育大学が1位(44点)、2位に鹿屋体育大学(39点)という接戦。ロードレースの展開により、総合優勝はどのようになるだろうか。
(インカレトラック競技3日間のレポートはこちら)
男子の注目大学・選手紹介
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トラック競技終了時点でトップに立つ日本大学は昨年同様に強力なメンバーで連覇に向かって臨んでくる。草場選手や武山選手という、個人としても優勝を狙える選手とチーム戦でも有利に展開できるメンバーが揃っている。
その日大を追う明治大は、過去にインカレロードで優勝している野本選手が4年生最後のインカレで2回目のインカレロード制覇となるのかにも注目だ。現在RCSリーダーの孫崎選手を擁する早稲田大学も、過去のインカレで3位に入っている中川選手とともに上位を狙える力を持っている。
西日本学連所属の京都産業大学と鹿屋体大なども今年の学生選手権でタイトルを獲得しているメンバーを揃えている。京都産業大学は全日本学生選手権クリテリウム優勝の中井選手、鹿屋体育大学は全日本学生選手権個人ロード優勝の石井選手を擁するチーム。
他にも学生レースやU23カテゴリで活躍する岡部選手(日体大)、佐藤選手(法政大)、尾形選手(中央大)などのメンバーにも注目したい。
女子注目大学・選手紹介
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今シーズン、1年生ながら学生選手権クリテリウムや修善寺カップで優勝を果たしている中冨選手(京都産業大学)など、若手の選手たちがどこまで上級生を追い詰めることができるかにも期待したい。
過去から現在まで、インカレロードのチャンピオンは例外なく日本のロードレース界を背負う選手として羽ばたいてきた歴史がある。2020年東京五輪のスターが日本屈指の難コース、美麻の地で生まれるかもしれない。また、栄誉ある「高木秀彰賞」の初代受賞チームがどの大学になるのかにも注目。大学の威信、仲間の期待を背負いつつ、己の誇りもかけた、選手たちのそれぞれの熱い戦いにご注目ください。(日本学生自転車競技連盟)
photo:Hideaki.TAKAGI
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