2018/08/29(水) - 08:25
ブエルタ・ア・エスパーニャ初登場の1級山岳アルファカル峠でベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ)が逃げ切り勝利。ライバルたちに成功されながらも安定の走りを見せたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホを守った。
アンダルシア内陸部の山岳地帯を進む photo:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第4ステージ photo:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第4ステージ photo:Unipublic
大会最初の本格的な山頂フィニッシュが登場したブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージ。まずは1級山岳カブラ・モンテス峠(全長15.7km/平均5.9%)を駆け上がって内陸の高原まで標高を上げると、そこからグラナダのスプリントポイントを経て、選手たちは1級山岳アルファカル峠(全長12.4km/平均5.4%)に突入する。標高1,440mで、中盤にかけて勾配が10%を超えるブエルタ初登場の1級山岳アルファカル峠で逃げグループとメイン集団が登坂バトルを繰り広げる展開となった。
ステージ序盤のコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の平坦路で形成されたのは、3日連続逃げとなるルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)とピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)を含む9名の逃げ。この日はベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ)やニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ)、ラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)らが逃げの伴侶となった。
すでに総合でタイムを失っている選手たちによる逃げ(総合最高位キングは4分33秒遅れ)。チームスカイは無理に逃げを追わず、タイム差4分30秒で最初の1級山岳カブラ・モンテス峠へと入っていく。登坂時間が48分を超えるこの登りでタイム差はさらに広がり、山岳賞ジャージを着るマテマルドネスが先頭通過してから7分後にメイン集団は頂上にたどり着いている。
チームスカイはその後も逃げ追走に力を使わず、残り40km地点でタイム差は10分を超えた。やがて最後の1級山岳アルファカル峠が近づくとモビスターをはじめ総合系チームが集団先頭でポジション争いを開始。そのペースアップの影響で、タイム差が8分まで縮まった状態でこの日最後の登りが始まった。
レース序盤はコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の平坦路を走る photo:Unipublic
白い岩肌が露出したアンダルシアの山岳地帯 photo:Unipublic
先頭でフィニッシュに向かうベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ)とニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ) photo:CorVos
集団内で登りをこなすマイヨロホのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
低木が茂る岩山の登りが始まってすぐ、フィニッシュまで12kmを残して先頭に立ったのはスタルノフとキングの2人。ペースを刻んで登坂を続けたスタルノフとキングが、3番手ロランに追いつかれることなくフィニッシュにやってきた。残り1kmを切ってからグッと距離を縮めたロランを振り切るように、スタルノフとキングが残り150mからスプリント。先着したキングが、ディメンションデータのシンボルである掌を広げるポーズでフィニッシュに飛び込んだ。
逃げグループから8分遅れで1級山岳アルファカル峠に突入したメイン集団で強力なペースを作ったのはロットNLユンボ。イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は登りの前半でメイン集団から脱落している。
ロットNLユンボの集団牽引はチームスカイのアシスト体制を丸裸にすることに成功したが、マイヨロホのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)は安定の走りでライバルの動きをチェックした。メイン集団の人数が10名強まで絞られたところで、頂上まで3.5kmを残してサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアタック。総合12位/37秒遅れのイェーツが快調にメイン集団を引き離し始める。
モビスターやアスタナがメイン集団の先頭に立ってペースを作ったが、飛び出したイェーツはリードを保ったまま残り1kmアーチを通過。続いて、総合7位/32秒遅れのエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターアタックを仕掛けてイェーツ追撃モードに入る。結局イェーツはトップから2分48秒遅れのステージ8位でフィニッシュし、追い上げたブッフマンが2分50秒遅れのステージ9位。ともに総合ライバルたちからリードを奪う結果となった。
ライバルたちと登りをこなすミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
メイン集団から抜け出すアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
メイン集団から飛び出したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
イェーツのアタックを見送ったメイン集団 photo:CorVos
スタルノフとの一騎打ちを制したベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) photo:CorVos
「今日は初めから逃げに乗る作戦で、あるところで逃げ切りの可能性を確信した。自分が最強だという自信がなかったので早めに仕掛けてTTモードで登りをこなしたんだ。もし自分にマイヨロホ獲得のチャンスがあればスタルノフにステージ優勝を譲ることも考えた。暑い中で身体もあちこち攣っていたけど、気持ちを強く持って挑んだ結果だ」と、グランツールでステージ初優勝を飾った29歳の元全米チャンピオンは語る。今季勝ち星の少ないディメンションデータにシーズン6勝目をもたらした。
総合首位クウィアトコウスキーはイェーツから27秒、ブッフマンから25秒、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)から8秒、そしてアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から2秒失ったものの、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)らと同タイムでフィニッシュしてマイヨロホをキープ。アタックを成功させたブッフマンとイェーツがそれぞれ総合2位と総合3位に順位を上げた。クウィアトコウスキーは全長12.4kmの登りを27分27秒でこなしており、平均スピードは27.3km/h。平均勾配5.4%の登りでVAMは1,390だった。
「今日は逃げが決まっても問題なかったので、他のチームにコントロールを任せる作戦だった。ロットNLユンボが主導権を握ってレースを動かしたけど、結果的に彼らはそこまで得るものがなかった。自分は総合優勝候補ではないのでレースを動かすのはキンタナやバルベルデ、ベネット、ブッフマンの役目。今日は自分にとって集団内で力を温存できるパーフェクトな展開だった」とマイヨロホを守ったクウィアトコウスキーは語る。クウィアトコウスキーは総合成績、ポイント賞、複合賞でトップ。3日連続で逃げ、ステージ4位に入って敢闘賞を獲得したマテマルドネスが山岳賞首位をキープしている。
キンタナらを引き連れてフィニッシュするミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
グランツールでステージ初優勝を飾ったベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) photo:CorVos
マイヨロホを守ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
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大会最初の本格的な山頂フィニッシュが登場したブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージ。まずは1級山岳カブラ・モンテス峠(全長15.7km/平均5.9%)を駆け上がって内陸の高原まで標高を上げると、そこからグラナダのスプリントポイントを経て、選手たちは1級山岳アルファカル峠(全長12.4km/平均5.4%)に突入する。標高1,440mで、中盤にかけて勾配が10%を超えるブエルタ初登場の1級山岳アルファカル峠で逃げグループとメイン集団が登坂バトルを繰り広げる展開となった。
ステージ序盤のコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の平坦路で形成されたのは、3日連続逃げとなるルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)とピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)を含む9名の逃げ。この日はベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ)やニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ)、ラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)らが逃げの伴侶となった。
すでに総合でタイムを失っている選手たちによる逃げ(総合最高位キングは4分33秒遅れ)。チームスカイは無理に逃げを追わず、タイム差4分30秒で最初の1級山岳カブラ・モンテス峠へと入っていく。登坂時間が48分を超えるこの登りでタイム差はさらに広がり、山岳賞ジャージを着るマテマルドネスが先頭通過してから7分後にメイン集団は頂上にたどり着いている。
チームスカイはその後も逃げ追走に力を使わず、残り40km地点でタイム差は10分を超えた。やがて最後の1級山岳アルファカル峠が近づくとモビスターをはじめ総合系チームが集団先頭でポジション争いを開始。そのペースアップの影響で、タイム差が8分まで縮まった状態でこの日最後の登りが始まった。
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低木が茂る岩山の登りが始まってすぐ、フィニッシュまで12kmを残して先頭に立ったのはスタルノフとキングの2人。ペースを刻んで登坂を続けたスタルノフとキングが、3番手ロランに追いつかれることなくフィニッシュにやってきた。残り1kmを切ってからグッと距離を縮めたロランを振り切るように、スタルノフとキングが残り150mからスプリント。先着したキングが、ディメンションデータのシンボルである掌を広げるポーズでフィニッシュに飛び込んだ。
逃げグループから8分遅れで1級山岳アルファカル峠に突入したメイン集団で強力なペースを作ったのはロットNLユンボ。イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は登りの前半でメイン集団から脱落している。
ロットNLユンボの集団牽引はチームスカイのアシスト体制を丸裸にすることに成功したが、マイヨロホのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)は安定の走りでライバルの動きをチェックした。メイン集団の人数が10名強まで絞られたところで、頂上まで3.5kmを残してサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアタック。総合12位/37秒遅れのイェーツが快調にメイン集団を引き離し始める。
モビスターやアスタナがメイン集団の先頭に立ってペースを作ったが、飛び出したイェーツはリードを保ったまま残り1kmアーチを通過。続いて、総合7位/32秒遅れのエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターアタックを仕掛けてイェーツ追撃モードに入る。結局イェーツはトップから2分48秒遅れのステージ8位でフィニッシュし、追い上げたブッフマンが2分50秒遅れのステージ9位。ともに総合ライバルたちからリードを奪う結果となった。
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「今日は初めから逃げに乗る作戦で、あるところで逃げ切りの可能性を確信した。自分が最強だという自信がなかったので早めに仕掛けてTTモードで登りをこなしたんだ。もし自分にマイヨロホ獲得のチャンスがあればスタルノフにステージ優勝を譲ることも考えた。暑い中で身体もあちこち攣っていたけど、気持ちを強く持って挑んだ結果だ」と、グランツールでステージ初優勝を飾った29歳の元全米チャンピオンは語る。今季勝ち星の少ないディメンションデータにシーズン6勝目をもたらした。
総合首位クウィアトコウスキーはイェーツから27秒、ブッフマンから25秒、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)から8秒、そしてアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から2秒失ったものの、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)らと同タイムでフィニッシュしてマイヨロホをキープ。アタックを成功させたブッフマンとイェーツがそれぞれ総合2位と総合3位に順位を上げた。クウィアトコウスキーは全長12.4kmの登りを27分27秒でこなしており、平均スピードは27.3km/h。平均勾配5.4%の登りでVAMは1,390だった。
「今日は逃げが決まっても問題なかったので、他のチームにコントロールを任せる作戦だった。ロットNLユンボが主導権を握ってレースを動かしたけど、結果的に彼らはそこまで得るものがなかった。自分は総合優勝候補ではないのでレースを動かすのはキンタナやバルベルデ、ベネット、ブッフマンの役目。今日は自分にとって集団内で力を温存できるパーフェクトな展開だった」とマイヨロホを守ったクウィアトコウスキーは語る。クウィアトコウスキーは総合成績、ポイント賞、複合賞でトップ。3日連続で逃げ、ステージ4位に入って敢闘賞を獲得したマテマルドネスが山岳賞首位をキープしている。
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ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第4ステージ結果
1位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 4:33:12 |
2位 | ニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ) | 0:00:02 |
3位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:13 |
4位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 0:01:08 |
5位 | ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼール) | 0:01:39 |
6位 | イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:57 |
7位 | オスカル・カベド(スペイン。ブルゴスBH)) | 0:02:24 |
8位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:02:48 |
9位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:50 |
10位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:03:07 |
11位 | アリツ・バグエス(スペイン、エウスカディ・ムリアス) | |
12位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:03:13 |
13位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:03:15 |
14位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
15位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
16位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
17位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
18位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
19位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | |
20位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
21位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
22位 | ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ) | |
23位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
24位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
25位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
48位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:08:11 |
67位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:11:51 |
敢闘賞 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 13:47:19 |
2位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:07 |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:10 |
4位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:12 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:25 |
6位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:30 |
7位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:33 |
8位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:37 |
10位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:00:42 |
ポイント賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 46pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 33pts |
3位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 29pts |
山岳賞
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 36pts |
2位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 20pts |
3位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 12pts |
複合賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 12pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 14pts |
3位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 24pts |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 41:23:14 |
2位 | モビスター | 0:01:31 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:02:03 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, Unipublic
photo:CorVos, Unipublic
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