2018/08/27(月) - 09:08
最高気温35度のアンダルシア内陸部を走るブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ。3級山岳グアダロルセ峠の山頂フィニッシュで早くもポートやニバリが脱落する中、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)とのスプリント一騎打ちで38歳アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が勝利した。
アンダルシアらしい乾燥した大地と白い街並み photo:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第2ステージ photo:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第2ステージ photo:Unipublic
合計9つ設定された山頂フィニッシュの第1弾となるのが、アンダルシア州内陸部の3級山岳グアダロルセ峠(全長7.1km/平均2.8%)。スタート直後に2級山岳オヘン峠を越え、中盤に3級山岳グアダロルセ峠を一度通過してから3級山岳アルダレス峠(全長5.8km/平均3.7%)を含む大周回をぐるっと一周。フィニッシュ400m手前で3級山岳グアダロルセ峠の頂上を通過し、そこから緩斜面を登ってフィニッシュを迎える。
最高気温が35度を超えるアンダルシアらしい暑さの中、最初の2級山岳オヘン峠で山岳賞ジャージ獲得を狙う選手たちのアタックが活発化した。ワイルドカード枠で出場している4つのUCIプロコンチネンタルチームに所属するスペイン人選手4名と、いずれもグランツールのステージ優勝経験者であるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)の合計7名が大会最初の逃げグループを形成した。
序盤から山岳ポイントを連取したのは、毎年複数のステージで敢闘賞を獲得しているルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)。一方のメイン集団はBMCレーシングのコントロール下に置かれ、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナ)らが落車するトラブルが発生しながらも概ね4分差で逃げグループを追いかけた。
1回目の3級山岳グアダロルセ峠を通過する頃にはボーラ・ハンスグローエがメイン集団のコントロールに合流し、BMCレーシングと協力して逃げグループとの間合いを詰めていく。結局先頭ではマテマルドネスが3つのカテゴリー山岳を先頭通過。予想外のデヘントの早期脱落も手伝って逃げグループは失速してしまう。残り33km地点でUCIプロコン勢を振り切ったグジャールとロランが逃げ続けたものの、モビスターやチームスカイがペースアップするメイン集団に残り17km地点で飲み込まれた。
マイヨロホを中心に集団前方を固めるBMCレーシング photo:Unipublic
4分差で逃げるエクトル・サエス(スペイン、エウスカディ・ムリアス)ら7名 photo:Unipublic
前日のステージ優勝者ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がマイヨロホを着る photo:Unipublic
ドクターカーに掴まって治療を受けるラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)ら photo:Unipublic
フィニッシュ地点の3級山岳グアダロルセ峠に向かって高速でワインディングコースを進むメイン集団からは脱落者が続出した。「ツール・ド・フランスの落車から完全に回復するのに時間がかかっている」と語るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)や、「開始から2時間が経過して脚が重くなり、やがてタンクが空っぽになった」というマイヨロホ着用者ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が脱落。チームスカイとモビスターのハイペースがメイン集団の人数を絞っていく。
高速で緩斜面を突き進んだ集団からは、マイヨロホ候補の一角に挙げられていたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が脱落した。「スペイン勢が作るハイペースによって厳しいレースになった。やはりツールの落車でトレーニングが途切れたことが準備不足につながってしまった」と語るポートは大会3週目のステージ優勝争いに目標をスイッチ。ゼッケン1をつけるニバリも同様に、ツールでの落車によるトレーニング不足が低迷の原因であるとコーチのパオロ・スロンゴ氏が明らかにしている。両者ともに13分以上のタイムを失い、早くもマイヨロホ争いから姿を消した。
3級山岳グアダロルセ峠の緩斜面でヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)やネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)らがアタックを許さないハイペースを作った結果、メイン集団は50名ほどに絞られた状態で残り3kmを切る。タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)のペーシングによってさらに人数は絞られ、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)らも集団先頭に上がった。
小集団スプリントに向けて緊張が高まる集団からは、残り1kmアーチを前にローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が鋭いアタック。チームスカイとモビスターのアシストが減ったタイミングで飛び出したデプルスが数十メートル飛び出すことに成功する。ステージ初優勝に向けて22歳が独走したが、その後ろではベテラン勢が追撃するタイミングを虎視眈々と狙っていた。
残り600mを切ったところで腰を上げたのは38歳のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)。すぐさま反応したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)と2人でライバルたちを引き離す状態となり、先行するデプルスを追い抜いていく。最終的にクウィアトコウスキーと肘を突き合わすスプリントでバルベルデが先着した。飛び出した両者はライバルたちに3秒差をつけてフィニッシュラインを切っている。
メイン集団のペースを上げるネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) photo:Unipublic
ハイペースを作るタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)の横からアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が上がる photo:CorVos
登りスプリントを繰り広げるミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
クウィアトコウスキーを下したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
「強力なアタックを仕掛けたデプルスを追いかけながら、距離を計算しながら残り550〜600mで加速した。最終コーナーでクウィアトコウスキーを前に出して、スプリントで追い抜いたんだ。これで今大会の目標は早くも達成した」と大ベテランは喜ぶ。2009年大会の総合優勝者であるバルベルデはこれがステージ通算10勝目。ボーナスタイム10秒によって総合2位に浮上したが、モビスターのエースはあくまでもナイロ・キンタナ(コロンビア)であるとコメントしている。
デニスの失速によって2日連続ステージ2位のクウィアトコウスキーが総合首位に浮上した。「こんな形ではなく、ステージ優勝してリーダージャージを獲得したかった。でも今日はバルベルデが強力で、母国スペインでしっかりと結果を残した彼を祝福したい」とマイヨロホに袖を通したクウィアトコウスキーは語る。この日は集団が割れたためステージ12位と13位の間に5秒差がついた他、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が19秒、ザカリンが1分01秒遅れる結果となっている。
マイヨロホを手にしたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Unipublic
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合計9つ設定された山頂フィニッシュの第1弾となるのが、アンダルシア州内陸部の3級山岳グアダロルセ峠(全長7.1km/平均2.8%)。スタート直後に2級山岳オヘン峠を越え、中盤に3級山岳グアダロルセ峠を一度通過してから3級山岳アルダレス峠(全長5.8km/平均3.7%)を含む大周回をぐるっと一周。フィニッシュ400m手前で3級山岳グアダロルセ峠の頂上を通過し、そこから緩斜面を登ってフィニッシュを迎える。
最高気温が35度を超えるアンダルシアらしい暑さの中、最初の2級山岳オヘン峠で山岳賞ジャージ獲得を狙う選手たちのアタックが活発化した。ワイルドカード枠で出場している4つのUCIプロコンチネンタルチームに所属するスペイン人選手4名と、いずれもグランツールのステージ優勝経験者であるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)の合計7名が大会最初の逃げグループを形成した。
序盤から山岳ポイントを連取したのは、毎年複数のステージで敢闘賞を獲得しているルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)。一方のメイン集団はBMCレーシングのコントロール下に置かれ、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナ)らが落車するトラブルが発生しながらも概ね4分差で逃げグループを追いかけた。
1回目の3級山岳グアダロルセ峠を通過する頃にはボーラ・ハンスグローエがメイン集団のコントロールに合流し、BMCレーシングと協力して逃げグループとの間合いを詰めていく。結局先頭ではマテマルドネスが3つのカテゴリー山岳を先頭通過。予想外のデヘントの早期脱落も手伝って逃げグループは失速してしまう。残り33km地点でUCIプロコン勢を振り切ったグジャールとロランが逃げ続けたものの、モビスターやチームスカイがペースアップするメイン集団に残り17km地点で飲み込まれた。
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フィニッシュ地点の3級山岳グアダロルセ峠に向かって高速でワインディングコースを進むメイン集団からは脱落者が続出した。「ツール・ド・フランスの落車から完全に回復するのに時間がかかっている」と語るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)や、「開始から2時間が経過して脚が重くなり、やがてタンクが空っぽになった」というマイヨロホ着用者ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が脱落。チームスカイとモビスターのハイペースがメイン集団の人数を絞っていく。
高速で緩斜面を突き進んだ集団からは、マイヨロホ候補の一角に挙げられていたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が脱落した。「スペイン勢が作るハイペースによって厳しいレースになった。やはりツールの落車でトレーニングが途切れたことが準備不足につながってしまった」と語るポートは大会3週目のステージ優勝争いに目標をスイッチ。ゼッケン1をつけるニバリも同様に、ツールでの落車によるトレーニング不足が低迷の原因であるとコーチのパオロ・スロンゴ氏が明らかにしている。両者ともに13分以上のタイムを失い、早くもマイヨロホ争いから姿を消した。
3級山岳グアダロルセ峠の緩斜面でヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)やネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)らがアタックを許さないハイペースを作った結果、メイン集団は50名ほどに絞られた状態で残り3kmを切る。タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)のペーシングによってさらに人数は絞られ、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)らも集団先頭に上がった。
小集団スプリントに向けて緊張が高まる集団からは、残り1kmアーチを前にローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が鋭いアタック。チームスカイとモビスターのアシストが減ったタイミングで飛び出したデプルスが数十メートル飛び出すことに成功する。ステージ初優勝に向けて22歳が独走したが、その後ろではベテラン勢が追撃するタイミングを虎視眈々と狙っていた。
残り600mを切ったところで腰を上げたのは38歳のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)。すぐさま反応したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)と2人でライバルたちを引き離す状態となり、先行するデプルスを追い抜いていく。最終的にクウィアトコウスキーと肘を突き合わすスプリントでバルベルデが先着した。飛び出した両者はライバルたちに3秒差をつけてフィニッシュラインを切っている。
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「強力なアタックを仕掛けたデプルスを追いかけながら、距離を計算しながら残り550〜600mで加速した。最終コーナーでクウィアトコウスキーを前に出して、スプリントで追い抜いたんだ。これで今大会の目標は早くも達成した」と大ベテランは喜ぶ。2009年大会の総合優勝者であるバルベルデはこれがステージ通算10勝目。ボーナスタイム10秒によって総合2位に浮上したが、モビスターのエースはあくまでもナイロ・キンタナ(コロンビア)であるとコメントしている。
デニスの失速によって2日連続ステージ2位のクウィアトコウスキーが総合首位に浮上した。「こんな形ではなく、ステージ優勝してリーダージャージを獲得したかった。でも今日はバルベルデが強力で、母国スペインでしっかりと結果を残した彼を祝福したい」とマイヨロホに袖を通したクウィアトコウスキーは語る。この日は集団が割れたためステージ12位と13位の間に5秒差がついた他、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が19秒、ザカリンが1分01秒遅れる結果となっている。
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ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第2ステージ結果
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 4:13:01 |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:03 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
5位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
6位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
10位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
14位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:08 |
16位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
17位 | ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ) | |
19位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
21位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
32位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:19 |
47位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:01 |
81位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:04:04 |
148位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:13:31 |
167位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | |
敢闘賞 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 4:22:40 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:14 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:25 |
4位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:28 |
5位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:30 |
6位 | ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:32 |
8位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:33 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
10位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:35 |
ポイント賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 40pts |
2位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 25pts |
3位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 25pts |
山岳賞
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 11pts |
2位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 5pts |
3位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 4pts |
複合賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 7pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 9pts |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 15pts |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 13:09:03 |
2位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:00:48 |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:00:50 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, Unipublic
photo:CorVos, Unipublic
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