2018/08/20(月) - 11:45
8月19日に開催された第23回ユーロアイズ・サイクラシックス(UCIワールドツアー)でエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が勝利。イタリアチャンピオンジャージを着て大会連覇を達成した。
ハンブルグ市内のフィニッシュラインを通過するプロトン photo:CorVos
ユーロアイズ・サイクラシックスは1996年からドイツ北部のハンブルグで開催されているワンデーレース。1996年から2005年までHEWサイクラシックス、2006年から2015年までヴァッテンフォール・サイクラシックスとして開催され、2016年からはユーロアイズ社がタイトルスポンサーについている。
一般参加型ライドを含む週末を締めくくるのが、23回目の開催を迎えるUCIワールドツアーレース。ハンブルグを発着する216.4kmコースはスプリンター向きで、歴代の優勝者リストにはスプリンターたちの名前が並ぶ。勝負の鍵を握るのは合計3周する『ヴァーゼベルグ(長さ700m/平均9.7%)』を含む周回コースで、最大勾配が15%に達する急坂の頂上からハンブルグ市内のフィニッシュラインまでは15.6kmある。
イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)やアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)を含む5名の逃げグループが形成されたものの、一発勝負のワンデーレースだけにスプリンターチームが徹底的にメイン集団をコントロールしてタイム差を調整。ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)らのカウンターアタックも成功せず、ロットNLユンボやボーラ・ハンスグローエの集団牽引によって逃げグループの挑戦はフィニッシュまで18kmを残して終了した。
その後のカウンターアタックはイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)らの強力な引きによって吸収。緑豊かなハンブルグ郊外の住宅街を抜けて、この日最後の難所である『ヴァーゼベルグ』に突入するとソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が強力なアタックを仕掛けた。集団スプリントをニッコロ・ボニファツィオ(イタリア)に任せる形でアタックしたコルブレッリにはダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)らが反応。『ヴァーゼベルグ』の頂上通過後に2014年大会の優勝者アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)やダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)、ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)という強力なメンバーが追いついて先頭は10名にまで膨れ上がる。
スプリンターを含む先頭10名は20秒のリードを得てハンブルグ中心部に向かう幹線道路を快走。しかしグルパマFDJやボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズの集団牽引によってタイム差は縮まり、残り4km地点で先行者たちは吸収された。
残り2km地点で落車したパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら photo:CorVos
デマールを抜き去ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
ハンブルグ市街地の連続コーナー手前で激しくポジション争いを繰り広げた集団内では残り2km地点で落車が発生する。ヴィヴィアーニとペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の間で走っていたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がバランスを崩して転倒。この落車で集団が割れたため、勝負可能な選手が実質的に30名ほどに絞られる。
先頭でリードアウト争いを繰り広げたのはクイックステップフロアーズとグルパマFDJの2チーム。残り700mでミケル・モルコフ(デンマーク)が先頭に立ったが、クイックステップフロアーズは上手くリードアウト役のファビオ・サバティーニ(イタリア)につなげることができない。その隙を突いて先頭に立ったグルパマFDJのジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がタイミング良くアルノー・デマール(フランス)を解き放った。
6年ぶりのサイクラシックス勝利に向けてスプリントしたデマールだったが、その後ろで鋭い加速を見せたのがイタリアチャンピオンのヴィヴィアーニだった。身長178cmのヴィヴィアーニが、身長182cmのデマールより明らかに低いポジションで加速。スピード差をつけてデマールを抜き去ったヴィヴィアーニがフィニッシュラインまでもがき切った末に両手を広げた。
両手を広げてフィニッシュするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
大会連覇を達成したヴィヴィアーニは「今日は6月以来久々のレース出場となったイーリョ(ケイセ)がずっと集団を引いて、登りではレミ(カヴァニャ)とカスパー(アスグリーン)に助けられた。そして最後はダヴィデ(マルティネッリ)とミケル(モルコフ)、サバ(サバティーニ)が素晴らしいリードアウトをしてくれた。昨日の夕方にコースを試走して、残り3km地点からテクニカルコーナーが続くので必ず前をキープする作戦だった。残り400mでグアルニエーリにリードアウトされたデマールの後輪に食らいつき、完璧なポジションからスプリント。最高のタイミングを待って、全力でスプリントするだけだった」とチームメイトに感謝する。
世界最多のシーズン15勝目(UCIワールドツアーレース7勝目)を飾るとともに、クイックステップフロアーズにシーズン55勝目をもたらしたヴィヴィアーニ。「カデルエヴァンスレースとヘント〜ウェヴェルヘム、ライドロンドンで2位だったので、これが今シーズン初のUCIワールドツアーワンデーレース勝利。美しいマリアトリコローレ(イタリアチャンピオンジャージ)での初勝利なので感慨深いよ。一生忘れることのない勝利だ」と、リオ五輪オムニアム金メダリストは語る。
「世界最高のチームの一員として勝利を重ねていることを誇りに思う」と語るヴィヴィアーニの次戦は8月25日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャ。今シーズン最後のグランツールであるブエルタで、ヴィヴィアーニは世界王者サガンやヨーロッパ王者マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)らとバトルを繰り広げることになる。
大会連覇を達成したイタリアチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
![ハンブルグ市内のフィニッシュラインを通過するプロトン](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/20/corvos00029936-014.jpg)
ユーロアイズ・サイクラシックスは1996年からドイツ北部のハンブルグで開催されているワンデーレース。1996年から2005年までHEWサイクラシックス、2006年から2015年までヴァッテンフォール・サイクラシックスとして開催され、2016年からはユーロアイズ社がタイトルスポンサーについている。
一般参加型ライドを含む週末を締めくくるのが、23回目の開催を迎えるUCIワールドツアーレース。ハンブルグを発着する216.4kmコースはスプリンター向きで、歴代の優勝者リストにはスプリンターたちの名前が並ぶ。勝負の鍵を握るのは合計3周する『ヴァーゼベルグ(長さ700m/平均9.7%)』を含む周回コースで、最大勾配が15%に達する急坂の頂上からハンブルグ市内のフィニッシュラインまでは15.6kmある。
イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)やアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)を含む5名の逃げグループが形成されたものの、一発勝負のワンデーレースだけにスプリンターチームが徹底的にメイン集団をコントロールしてタイム差を調整。ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)らのカウンターアタックも成功せず、ロットNLユンボやボーラ・ハンスグローエの集団牽引によって逃げグループの挑戦はフィニッシュまで18kmを残して終了した。
その後のカウンターアタックはイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)らの強力な引きによって吸収。緑豊かなハンブルグ郊外の住宅街を抜けて、この日最後の難所である『ヴァーゼベルグ』に突入するとソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が強力なアタックを仕掛けた。集団スプリントをニッコロ・ボニファツィオ(イタリア)に任せる形でアタックしたコルブレッリにはダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)らが反応。『ヴァーゼベルグ』の頂上通過後に2014年大会の優勝者アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)やダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)、ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)という強力なメンバーが追いついて先頭は10名にまで膨れ上がる。
スプリンターを含む先頭10名は20秒のリードを得てハンブルグ中心部に向かう幹線道路を快走。しかしグルパマFDJやボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズの集団牽引によってタイム差は縮まり、残り4km地点で先行者たちは吸収された。
![残り2km地点で落車したパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/20/corvos00029936-053.jpg)
![デマールを抜き去ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/20/corvos00029936-029.jpg)
ハンブルグ市街地の連続コーナー手前で激しくポジション争いを繰り広げた集団内では残り2km地点で落車が発生する。ヴィヴィアーニとペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の間で走っていたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がバランスを崩して転倒。この落車で集団が割れたため、勝負可能な選手が実質的に30名ほどに絞られる。
先頭でリードアウト争いを繰り広げたのはクイックステップフロアーズとグルパマFDJの2チーム。残り700mでミケル・モルコフ(デンマーク)が先頭に立ったが、クイックステップフロアーズは上手くリードアウト役のファビオ・サバティーニ(イタリア)につなげることができない。その隙を突いて先頭に立ったグルパマFDJのジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がタイミング良くアルノー・デマール(フランス)を解き放った。
6年ぶりのサイクラシックス勝利に向けてスプリントしたデマールだったが、その後ろで鋭い加速を見せたのがイタリアチャンピオンのヴィヴィアーニだった。身長178cmのヴィヴィアーニが、身長182cmのデマールより明らかに低いポジションで加速。スピード差をつけてデマールを抜き去ったヴィヴィアーニがフィニッシュラインまでもがき切った末に両手を広げた。
![両手を広げてフィニッシュするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/20/corvos00029936-037.jpg)
大会連覇を達成したヴィヴィアーニは「今日は6月以来久々のレース出場となったイーリョ(ケイセ)がずっと集団を引いて、登りではレミ(カヴァニャ)とカスパー(アスグリーン)に助けられた。そして最後はダヴィデ(マルティネッリ)とミケル(モルコフ)、サバ(サバティーニ)が素晴らしいリードアウトをしてくれた。昨日の夕方にコースを試走して、残り3km地点からテクニカルコーナーが続くので必ず前をキープする作戦だった。残り400mでグアルニエーリにリードアウトされたデマールの後輪に食らいつき、完璧なポジションからスプリント。最高のタイミングを待って、全力でスプリントするだけだった」とチームメイトに感謝する。
世界最多のシーズン15勝目(UCIワールドツアーレース7勝目)を飾るとともに、クイックステップフロアーズにシーズン55勝目をもたらしたヴィヴィアーニ。「カデルエヴァンスレースとヘント〜ウェヴェルヘム、ライドロンドンで2位だったので、これが今シーズン初のUCIワールドツアーワンデーレース勝利。美しいマリアトリコローレ(イタリアチャンピオンジャージ)での初勝利なので感慨深いよ。一生忘れることのない勝利だ」と、リオ五輪オムニアム金メダリストは語る。
「世界最高のチームの一員として勝利を重ねていることを誇りに思う」と語るヴィヴィアーニの次戦は8月25日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャ。今シーズン最後のグランツールであるブエルタで、ヴィヴィアーニは世界王者サガンやヨーロッパ王者マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)らとバトルを繰り広げることになる。
![大会連覇を達成したイタリアチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/20/corvos00029936-019.jpg)
ユーロアイズ・サイクラシックス2018結果
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 4:46:01 |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) | |
5位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) | |
6位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
7位 | サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
8位 | ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) | |
9位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
10位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp