2018/08/20(月) - 09:36
『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』で繰り広げられた石畳系クラシックハンターによる戦い。ビンクバンク・ツアー最終ステージでマイケル・マシューズが勝利し、5秒差に迫られながらもリードを守り抜いたマテイ・モホリッチが総合優勝に輝いた。
横風区間でエシュロンが形成されるシーンも photo:CorVos
ビンクバンク・ツアー2018第7ステージ photo:CorVos7日間にわたって開催されたビンクバンク・ツアーを締めくくるのは、フランドル地方の丘陵地帯を走る215.6kmの最長ステージ。登場する登りはいずれも標高差50mほどしかないが、断続的なアップダウンにより獲得標高差は2,200mを超える。
終盤に登場するのはヘラールツベルヘンを起点とした1周25.6kmの周回コース。『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』と『ボズベルグ』『オンケルゼーレベルグ』『デンデロールトベルグ』という4つの登り坂が設定された周回を3周し、名物『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』の中腹でフィニッシュを迎える。
このフランドルクラシック顔負けの厳しいステージは、最初の1時間の平均スピードが47km/hを超えるハイスピードな幕開け。ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やマルケル・イリサル(スペイン、トレック・セガフレード)ら7名が逃げグループを形成し、バーレーン・メリダ率いるメイン集団が4分差で追う展開。逃げグループはタイム差3分を維持してヘラールツベルヘンの周回コースに入った。
断続的なアップダウンを進むうちに先頭ではギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)が独走に持ち込み、後方のメイン集団では総合狙いの動きが始まる。2周目に入るとティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)やゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)らがアタックを仕掛け、リーダージャージを着るマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)に揺さぶりをかけた。
オー・ドゥール湖をスタートしていく選手たち photo:CorVos
逃げグループに入ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』を駆け上がるマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
独走するオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) photo:CorVos
スティバルを含む追走グループは最終周回突入とともにメイン集団に引き戻されたが、その後も集団から飛び出す選手が絶えなかった。先頭で逃げ続けていたヴァンケイルスブルクらに追いついたのはウェレンスとオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)の2人。ここからフィニッシュまで20kmを残してナーセンが独走に持ち込む。
前ベルギーチャンピオンのナーセン(総合1分42秒遅れ)を追ったのはスティバルやウェレンス、マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)を含む追走グループ。リーダージャージのモホリッチは一時的に後方に取り残されたが、総合ライバルたちを含む追走グループに何とか合流した。
20秒程度のリードで独走を続けたナーセンも残り5km地点の『デンデロールトベルグ』で吸収。カウンターアタックはいずれも決まらず、総合上位陣を含む18名の精鋭グループが最後の『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』へと向かう。残り1kmアーチを通過し、モホリッチを先頭に大会最後の登りに突入した。
総合リードを守るために先頭を引き続けたモホリッチの後ろから、フィニッシュまで300mを残して飛び出したのはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とマシューズ。石畳が敷かれた登りでヴァンアーヴェルマートを上回る加速を見せたマシューズが先頭で最終コーナーを曲がり、後ろを振り返ることなくフィニッシュラインまでスプリント。マシューズがヴァンアーヴェルマートやスティバル、ナーセンといった石畳のスペシャリストたちを振り切った。モホリッチはライバルたちに先行を許しながらも13秒遅れでフィニッシュしている。
積極的に動くゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)ら photo:CorVos
『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』の登りスプリントを制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:CorVos
13秒遅れでフィニッシュするマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos
ツール・ド・ロマンディのプロローグでの優勝に続くシーズン2勝目を飾ったマシューズ。今シーズンは落車や体調不良が続き、2年連続マイヨヴェール獲得がかかったツール・ド・フランスは第5ステージDNSに終わっている。「落車や病気が続いたタフな期間を乗り越えて、まだ勝てることを証明できて良かった。この勝利のためにハードなトレーニングを積んできたので感情的になっている」と久々の勝利を喜ぶ。
この日の勝利でマシューズは総合5位から2位までジャンプアップ。しかしモホリッチのリーダージャージには5秒届かなかった。「今朝の時点でソーレンクラーク・アンデルセンと自分が総合で良いポジションだったので、徹底的に攻撃を仕掛けてマテイ・モホリッチを蹴落とす作戦だった。ソーレンが自身のチャンスを潰してまで働いてくれたおかげでステージ優勝。総合逆転に5秒足りなかったのは残念だったけど、全力を尽くした結果なので悔いはない。振り返ってみても、この1週間で5秒差をひっくり返すタイミングはどこにもなかった」。
最終的にマシューズに5秒差、そして総合8位から3位までジャンプアップしたウェレンスに20秒差をつけて総合優勝したモホリッチは「僅差だったけど、やりきった。今日は序盤からチームメイトたちが状況を上手くコントロールしてくれて、終盤は自分がすべての危険な動きを封じ込めた。特にマイケル・マシューズとソーレンクラーク・アンデルセンの2人には苦しめられたよ。今日は総合に関係のない選手がステージ優勝を積極的に狙っていたことが自分のアドバンテージになった」と語る。
「石畳の登りはハードだったけど楽しめた。来年あたりアルデンヌクラシックだけじゃなくて石畳系クラシック出場のためにベルギーに戻ってくるかもしれない。自分にとって初めてのステージレース総合優勝であり、キャリアの中で最も美しい勝利。ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャのステージ優勝よりもずっと美しい」と、23歳のスロベニアチャンピオンは喜んだ。
総合3位ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、総合優勝マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、総合2位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:CorVos
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終盤に登場するのはヘラールツベルヘンを起点とした1周25.6kmの周回コース。『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』と『ボズベルグ』『オンケルゼーレベルグ』『デンデロールトベルグ』という4つの登り坂が設定された周回を3周し、名物『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』の中腹でフィニッシュを迎える。
このフランドルクラシック顔負けの厳しいステージは、最初の1時間の平均スピードが47km/hを超えるハイスピードな幕開け。ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やマルケル・イリサル(スペイン、トレック・セガフレード)ら7名が逃げグループを形成し、バーレーン・メリダ率いるメイン集団が4分差で追う展開。逃げグループはタイム差3分を維持してヘラールツベルヘンの周回コースに入った。
断続的なアップダウンを進むうちに先頭ではギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)が独走に持ち込み、後方のメイン集団では総合狙いの動きが始まる。2周目に入るとティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)やゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)らがアタックを仕掛け、リーダージャージを着るマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)に揺さぶりをかけた。
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スティバルを含む追走グループは最終周回突入とともにメイン集団に引き戻されたが、その後も集団から飛び出す選手が絶えなかった。先頭で逃げ続けていたヴァンケイルスブルクらに追いついたのはウェレンスとオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)の2人。ここからフィニッシュまで20kmを残してナーセンが独走に持ち込む。
前ベルギーチャンピオンのナーセン(総合1分42秒遅れ)を追ったのはスティバルやウェレンス、マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)を含む追走グループ。リーダージャージのモホリッチは一時的に後方に取り残されたが、総合ライバルたちを含む追走グループに何とか合流した。
20秒程度のリードで独走を続けたナーセンも残り5km地点の『デンデロールトベルグ』で吸収。カウンターアタックはいずれも決まらず、総合上位陣を含む18名の精鋭グループが最後の『ミュール・ド・ヘラールツベルヘン』へと向かう。残り1kmアーチを通過し、モホリッチを先頭に大会最後の登りに突入した。
総合リードを守るために先頭を引き続けたモホリッチの後ろから、フィニッシュまで300mを残して飛び出したのはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とマシューズ。石畳が敷かれた登りでヴァンアーヴェルマートを上回る加速を見せたマシューズが先頭で最終コーナーを曲がり、後ろを振り返ることなくフィニッシュラインまでスプリント。マシューズがヴァンアーヴェルマートやスティバル、ナーセンといった石畳のスペシャリストたちを振り切った。モホリッチはライバルたちに先行を許しながらも13秒遅れでフィニッシュしている。
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ツール・ド・ロマンディのプロローグでの優勝に続くシーズン2勝目を飾ったマシューズ。今シーズンは落車や体調不良が続き、2年連続マイヨヴェール獲得がかかったツール・ド・フランスは第5ステージDNSに終わっている。「落車や病気が続いたタフな期間を乗り越えて、まだ勝てることを証明できて良かった。この勝利のためにハードなトレーニングを積んできたので感情的になっている」と久々の勝利を喜ぶ。
この日の勝利でマシューズは総合5位から2位までジャンプアップ。しかしモホリッチのリーダージャージには5秒届かなかった。「今朝の時点でソーレンクラーク・アンデルセンと自分が総合で良いポジションだったので、徹底的に攻撃を仕掛けてマテイ・モホリッチを蹴落とす作戦だった。ソーレンが自身のチャンスを潰してまで働いてくれたおかげでステージ優勝。総合逆転に5秒足りなかったのは残念だったけど、全力を尽くした結果なので悔いはない。振り返ってみても、この1週間で5秒差をひっくり返すタイミングはどこにもなかった」。
最終的にマシューズに5秒差、そして総合8位から3位までジャンプアップしたウェレンスに20秒差をつけて総合優勝したモホリッチは「僅差だったけど、やりきった。今日は序盤からチームメイトたちが状況を上手くコントロールしてくれて、終盤は自分がすべての危険な動きを封じ込めた。特にマイケル・マシューズとソーレンクラーク・アンデルセンの2人には苦しめられたよ。今日は総合に関係のない選手がステージ優勝を積極的に狙っていたことが自分のアドバンテージになった」と語る。
「石畳の登りはハードだったけど楽しめた。来年あたりアルデンヌクラシックだけじゃなくて石畳系クラシック出場のためにベルギーに戻ってくるかもしれない。自分にとって初めてのステージレース総合優勝であり、キャリアの中で最も美しい勝利。ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャのステージ優勝よりもずっと美しい」と、23歳のスロベニアチャンピオンは喜んだ。
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ビンクバンク・ツアー2018第7ステージ結果
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 4:38:36 |
2位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:01 |
3位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) | 0:00:03 |
4位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | |
5位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) | |
8位 | ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) | |
9位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ) | |
10位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
13位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | 0:00:13 |
個人総合成績
1位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | 25:13:01 |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:05 |
3位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:20 |
4位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 0:00:25 |
5位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ) | 0:00:34 |
6位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:37 |
7位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) | 0:00:39 |
8位 | グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:43 |
9位 | ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) | |
10位 | ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | 0:00:50 |
ポイント賞
1位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) | 66pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 64pts |
3位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 51pts |
チーム総合成績
1位 | クイックステップフロアーズ | 75:40:38 |
2位 | ロットNLユンボ | 0:03:13 |
3位 | ワンティ・グループゴベール | 0:03:46 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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