2018/08/16(木) - 15:04
ベルギーのフランドル地方を走るビンクバンク・ツアー第3ステージで5名の逃げ切りが決まる。1年前の落車から復活したタコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット)が歓喜の勝利を飾り、集団を振り切ったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が新リーダーの座についた。
ビンクバンク・ツアー3日目はベルギー西部のアールテルからアントワープまでの174.9km。いわゆるフランドル地方を東に貫くものの、同地方特有の急坂が登場しないため獲得標高差は300m以下。再びスプリンターにスポットライトが当てられると思われたが、レース序盤に形成された5名の逃げグループがメイン集団を苦しめた。
マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBアクアプロテクト)、ショーン・デビー(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス)、タコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット)、ジェスパー・アッセルマン(オランダ、ルームポット)という5名の逃げはステージ前半にかけて最大4分30秒のリードを稼ぎ出す。メイン集団の先頭ではリーダーチームのBMCレーシングが率先してペースを作り、ここにロットNLユンボやクイックステップフロアーズ、ミッチェルトン・スコットというスプリンターチームが加わる平坦ステージらしい展開。
ステージ後半に入るとタイム差は縮小したものの、先頭5名のペース配分と走力がスプリンターチームの計算を狂わせた。最初の1時間を平均スピード45.5km/hで駆け抜けた先頭5名は、2時間目に少しペースを落として42.4km/h、そして3時間目に再びペースを上げて46.6km/hという平均スピードをマーク。フィニッシュまで30kmを残して、2分のタイム差でアントワープの周回コースへと入っていく。3つのスプリントポイントをしっかり先頭通過したモホリッチがボーナスタイムを連取した。
リードを保ったままテクニカルなアントワープ周回コースをこなした先頭5名。最終周回に入ってもペースは落ちず、47km/h前後の平均スピードを保ったまま猛追するメイン集団を振り切る。1分40秒のリードで残り5km地点を通過した5名によるステージ優勝争いが始まった。
アッセルマンが脱落し、牽制しながらフィニッシュへと向かったモホリッチ、ヴァントム、デビー、ファンデルホールンの4名。残り1kmアーチを前にしたモホリッチのアタックは決まらず、ゆるんだ隙をついてファンデルホールンがカウンター。しばらく追走したモホリッチが踏み止めると、ヴァントムとデビーが自力でファンデルホールンを追おうとはしなかった。
モホリッチ、ヴァントム、デビーに3秒差、そしてメイン集団に1分以上の差をつけて、頭を抱えてフィニッシュしたファンデルホールン。UCIワールドツアーレース初勝利を飾ったプロ2年目の24歳は「完璧な逃げグループだった。中でもモホリッチが最強だったのは間違いない事実で、終盤は彼の番手につけてアタックに備えていた。カウンターアタックして、モホリッチが反応できなかった段階でステージ優勝を確信したよ。自分に起こったことが未だに信じられない」と語る。
2017年11月に起こった落車による脳震盪でしばらく自転車を離れたファンデルホールン。復活までの道のりについて「昨年の落車のダメージは当初の診断よりも酷く、一時は朝食も取れないような状態だった。落車からライド再開まで実に4ヶ月もかかったんだ。ライドといっても街の周りを走るだけのライド。10分後には息が上がるような状態だった。今年に入ってもなかなか体調が戻らず、4ヶ月前には引退も考えた。5月に入ってようやく本来の力を取り戻し始め、6週間前に本格的なトレーニングを再開。そして今日こうしてステージ優勝したことは本当に信じられない」と語っている。
この日逃げ切った5名は総合ジャンプアップに成功しており、緑のリーダージャージはスロベニアチャンピオンジャージを着るモホリッチの手に。ジュニアとU23カテゴリーで世界チャンピオンに輝いている23歳モホリッチは「このビンクバンク・ツアーには最初から総合成績を視野に入れて出場している。適切な逃げグループに入ってスプリントポイントでボーナスタイムを稼ぐ作戦が今日はバッチリはまった。メイン集団は逃げグループの能力を見誤ったんだと思う。終盤のテクニカルな周回コースは逃げに味方したし、メンバー5名が限界まで追い込んでいた。あの状態でメイン集団に追いつかれることはないと思っていた」と、大成功のレース運びを振り返る。
2017年までロット・スーダルに所属していた総合2位のデビーから1秒差、総合3位にダウンしたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)から15秒差で首位を走るモホリッチは「明日からはリーダージャージを守るための戦いが始まる。決して簡単なことではないけど全力を尽くすのみ。最終日の石畳ステージは恐れていない。確かに自分には石畳系クラシックの経験はないけど、適性はあると思う」と語っている。
ビンクバンク・ツアー3日目はベルギー西部のアールテルからアントワープまでの174.9km。いわゆるフランドル地方を東に貫くものの、同地方特有の急坂が登場しないため獲得標高差は300m以下。再びスプリンターにスポットライトが当てられると思われたが、レース序盤に形成された5名の逃げグループがメイン集団を苦しめた。
マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBアクアプロテクト)、ショーン・デビー(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス)、タコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット)、ジェスパー・アッセルマン(オランダ、ルームポット)という5名の逃げはステージ前半にかけて最大4分30秒のリードを稼ぎ出す。メイン集団の先頭ではリーダーチームのBMCレーシングが率先してペースを作り、ここにロットNLユンボやクイックステップフロアーズ、ミッチェルトン・スコットというスプリンターチームが加わる平坦ステージらしい展開。
ステージ後半に入るとタイム差は縮小したものの、先頭5名のペース配分と走力がスプリンターチームの計算を狂わせた。最初の1時間を平均スピード45.5km/hで駆け抜けた先頭5名は、2時間目に少しペースを落として42.4km/h、そして3時間目に再びペースを上げて46.6km/hという平均スピードをマーク。フィニッシュまで30kmを残して、2分のタイム差でアントワープの周回コースへと入っていく。3つのスプリントポイントをしっかり先頭通過したモホリッチがボーナスタイムを連取した。
リードを保ったままテクニカルなアントワープ周回コースをこなした先頭5名。最終周回に入ってもペースは落ちず、47km/h前後の平均スピードを保ったまま猛追するメイン集団を振り切る。1分40秒のリードで残り5km地点を通過した5名によるステージ優勝争いが始まった。
アッセルマンが脱落し、牽制しながらフィニッシュへと向かったモホリッチ、ヴァントム、デビー、ファンデルホールンの4名。残り1kmアーチを前にしたモホリッチのアタックは決まらず、ゆるんだ隙をついてファンデルホールンがカウンター。しばらく追走したモホリッチが踏み止めると、ヴァントムとデビーが自力でファンデルホールンを追おうとはしなかった。
モホリッチ、ヴァントム、デビーに3秒差、そしてメイン集団に1分以上の差をつけて、頭を抱えてフィニッシュしたファンデルホールン。UCIワールドツアーレース初勝利を飾ったプロ2年目の24歳は「完璧な逃げグループだった。中でもモホリッチが最強だったのは間違いない事実で、終盤は彼の番手につけてアタックに備えていた。カウンターアタックして、モホリッチが反応できなかった段階でステージ優勝を確信したよ。自分に起こったことが未だに信じられない」と語る。
2017年11月に起こった落車による脳震盪でしばらく自転車を離れたファンデルホールン。復活までの道のりについて「昨年の落車のダメージは当初の診断よりも酷く、一時は朝食も取れないような状態だった。落車からライド再開まで実に4ヶ月もかかったんだ。ライドといっても街の周りを走るだけのライド。10分後には息が上がるような状態だった。今年に入ってもなかなか体調が戻らず、4ヶ月前には引退も考えた。5月に入ってようやく本来の力を取り戻し始め、6週間前に本格的なトレーニングを再開。そして今日こうしてステージ優勝したことは本当に信じられない」と語っている。
この日逃げ切った5名は総合ジャンプアップに成功しており、緑のリーダージャージはスロベニアチャンピオンジャージを着るモホリッチの手に。ジュニアとU23カテゴリーで世界チャンピオンに輝いている23歳モホリッチは「このビンクバンク・ツアーには最初から総合成績を視野に入れて出場している。適切な逃げグループに入ってスプリントポイントでボーナスタイムを稼ぐ作戦が今日はバッチリはまった。メイン集団は逃げグループの能力を見誤ったんだと思う。終盤のテクニカルな周回コースは逃げに味方したし、メンバー5名が限界まで追い込んでいた。あの状態でメイン集団に追いつかれることはないと思っていた」と、大成功のレース運びを振り返る。
2017年までロット・スーダルに所属していた総合2位のデビーから1秒差、総合3位にダウンしたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)から15秒差で首位を走るモホリッチは「明日からはリーダージャージを守るための戦いが始まる。決して簡単なことではないけど全力を尽くすのみ。最終日の石畳ステージは恐れていない。確かに自分には石畳系クラシックの経験はないけど、適性はあると思う」と語っている。
ビンクバンク・ツアー2018第3ステージ結果
1位 | タコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット) | 3:47:42 |
2位 | マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBアクアプロテクト) | 0:00:03 |
3位 | ショーン・デビー(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス) | |
4位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | |
5位 | ジェスパー・アッセルマン(オランダ、ルームポット) | 0:00:35 |
6位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:11 |
7位 | リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップフロアーズ) | |
9位 | マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ) | |
10位 | トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック) |
個人総合成績
1位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | 8:03:45 |
2位 | ショーン・デビー(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス) | 0:00:01 |
3位 | シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) | 0:00:19 |
4位 | マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBアクアプロテクト) | 0:00:25 |
5位 | タコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット) | 0:00:31 |
6位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:33 |
7位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) | 0:00:34 |
8位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
9位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 0:00:38 |
10位 | アレックス・ドーセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン) |
ポイント賞
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップフロアーズ) | 42pts |
2位 | シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) | 30pts |
3位 | タコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット) | 30pts |
チーム総合成績
1位 | BMCレーシング | 24:13:10 |
2位 | サンウェブ | 0:00:12 |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:00:15 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos