2018/08/11(土) - 10:00
8月10日に開催されたツール・ド・ポローニュ第7ステージで、逆転を狙って終盤に攻撃を成功させたサイモン・イェーツがステージ優勝。一時的にイェーツにリードを奪われながらも首位を守り抜いたミカル・クウィアトコウスキーが初の総合優勝に輝いた。
未舗装区間を走るミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Tour de Pologne
ツール・ド・ポローニュ2018第7ステージ photo:Tour de Pologne
ツール・ド・ポローニュ2018第7ステージ photo:Tour de Pologne
第75回ツール・ド・ポローニュ最終日、ポーランド南部の山岳地帯は雨に見舞われた。7日間の大会を締めくくる最終ステージは、3つの1級山岳が設定された68km周回コースを2周する難関山岳コース。つまり全長は136kmで、6つの1級山岳が登場し、獲得標高差は2,900mに達する。そして最後はフィニッシュ地点ブコビナに向かう高低差200m/最大11%の登りが待っている。
総合優勝者を導き出す3時間半の戦いは、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)やロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット)、ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら18名が逃げグループを形成する展開でスタート。この中に選手を送り込めなかったCCCスプランディ・ポルコウィチェが山岳賞ジャージを守るためしばらく追走したものの届かず、ステージ序盤から1級山岳を5連続で先頭通過したパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が山岳賞獲得を果たしている。
2周目に入るとチームスカイの集団牽引によって逃げグループのリードは縮小し、ロットNLユンボも集団ペースアップに加わってこの日最後の1級山岳シャナブコビナ(最大22%)に突入する。先頭で諦めずに逃げ続けたコンティは、激坂区間をハイペースで駆け上がるメイン集団に吸収された。
前日に続いてこの日も総合3位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)がアタックを繰り返したが、チームスカイのアシスト体制を崩壊させるには至らない。すると総合9位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が残り10km地点で単独アタックに成功。総合で39秒しか遅れていないイェーツが、メイン集団に39秒差をつけて独走した。
逃げに選手を送り損ねたCCCスプランディ・ポルコウィチェ photo:Tour de Pologne
チームスカイが序盤からメイン集団を牽引 photo:Tour de Pologne
未舗装区間をこなすミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Tour de Pologne
観客が詰めかけた山岳に挑む逃げグループ photo:Tour de Pologne
チームスカイはパヴェル・シヴァコフとセルジオルイス・エナオを投入してイェーツを追いかけたが、タイム差を思うように縮めることができない。ステージ優勝者にはボーナスタイム10秒が与えられるため、イェーツが29秒以上クウィアトコウスキーを引き離してフィニッシュすれば総合逆転が起こる展開。残り4km地点で犬がコースに侵入した影響でメイン集団の隊列が崩れ、落車した総合5位セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ)が集団から脱落した。
フィニッシュまでの登りで再びベネットが動くと、アシストを失ったクウィアトコウスキーがこれを封じ込める。クウィアトコウスキーが自ら精鋭集団を率いて先頭イェーツを追いかけ、ベネットやティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)も追走に加わった。
先頭イェーツはリード失いながらも逃げ切り、追いすがるピノとダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)に12秒差、クウィアトコウスキーやベネットを含む追走グループに14秒差をつけてフィニッシュ。イェーツとピノがそれぞれ総合2位と総合3位に浮上し、リードを守り抜いたクウィアトコウスキーが総合優勝を射止めた。
独走でフィニッシュに向かうサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Tour de Pologne
独走でフィニッシュするサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Tour de Pologne
「地元のポーランドで総合優勝するという夢を達成して、素晴らしい気持ちに包まれている」。表彰台でイエロージャージに袖を通したクウィアトコウスキーは大会初制覇を喜ぶ。今シーズンはティレーノ〜アドリアティコに続くUCIワールドツアーレース総合優勝。
クウィアトコウスキーは2012年大会で総合2位に入っているが、それ以降は思うような走りができずにいた。「毎年このポーランドで結果を残したいと思っていたけど、いつもツール・ド・フランスの疲労の影響でパフォーマンスを発揮できずにいた。今回もライバルたちが総攻撃を仕掛ける厳しい展開だったけど、自分も積極的に動くことでイエロージャージをキープ。沿道から飛ぶ叫び声に後押しされて、強力なチームメイトの力を得てこうして勝利を手にすることができた」。
「数日遅れの誕生記念になったよ」と語るのは総合2位でレースを終えたイェーツ。「このレースはステージ距離が短いので自分の調子を探りにくいけど、毎日調子は上向きだった。今日は正しいタイミングでアタックして、逃げ切ることができて本当に良かったよ」と語るイェーツや、総合1位クウィアトコウスキー、総合3位ピノ、総合4位ベネット、総合5位ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)は揃ってブエルタに出場する予定だ。
総合優勝を飾ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Tour de Pologne
![未舗装区間を走るミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc9163-800x533.jpg)
![ツール・ド・ポローニュ2018第7ステージ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/e71.jpg)
![ツール・ド・ポローニュ2018第7ステージ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/e75.jpg)
第75回ツール・ド・ポローニュ最終日、ポーランド南部の山岳地帯は雨に見舞われた。7日間の大会を締めくくる最終ステージは、3つの1級山岳が設定された68km周回コースを2周する難関山岳コース。つまり全長は136kmで、6つの1級山岳が登場し、獲得標高差は2,900mに達する。そして最後はフィニッシュ地点ブコビナに向かう高低差200m/最大11%の登りが待っている。
総合優勝者を導き出す3時間半の戦いは、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)やロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット)、ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら18名が逃げグループを形成する展開でスタート。この中に選手を送り込めなかったCCCスプランディ・ポルコウィチェが山岳賞ジャージを守るためしばらく追走したものの届かず、ステージ序盤から1級山岳を5連続で先頭通過したパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が山岳賞獲得を果たしている。
2周目に入るとチームスカイの集団牽引によって逃げグループのリードは縮小し、ロットNLユンボも集団ペースアップに加わってこの日最後の1級山岳シャナブコビナ(最大22%)に突入する。先頭で諦めずに逃げ続けたコンティは、激坂区間をハイペースで駆け上がるメイン集団に吸収された。
前日に続いてこの日も総合3位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)がアタックを繰り返したが、チームスカイのアシスト体制を崩壊させるには至らない。すると総合9位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が残り10km地点で単独アタックに成功。総合で39秒しか遅れていないイェーツが、メイン集団に39秒差をつけて独走した。
![逃げに選手を送り損ねたCCCスプランディ・ポルコウィチェ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc8967-800x533.jpg)
![チームスカイが序盤からメイン集団を牽引](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc8872-800x533.jpg)
![未舗装区間をこなすミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc9690-800x533.jpg)
![観客が詰めかけた山岳に挑む逃げグループ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc9211-800x533.jpg)
チームスカイはパヴェル・シヴァコフとセルジオルイス・エナオを投入してイェーツを追いかけたが、タイム差を思うように縮めることができない。ステージ優勝者にはボーナスタイム10秒が与えられるため、イェーツが29秒以上クウィアトコウスキーを引き離してフィニッシュすれば総合逆転が起こる展開。残り4km地点で犬がコースに侵入した影響でメイン集団の隊列が崩れ、落車した総合5位セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ)が集団から脱落した。
フィニッシュまでの登りで再びベネットが動くと、アシストを失ったクウィアトコウスキーがこれを封じ込める。クウィアトコウスキーが自ら精鋭集団を率いて先頭イェーツを追いかけ、ベネットやティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)も追走に加わった。
先頭イェーツはリード失いながらも逃げ切り、追いすがるピノとダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)に12秒差、クウィアトコウスキーやベネットを含む追走グループに14秒差をつけてフィニッシュ。イェーツとピノがそれぞれ総合2位と総合3位に浮上し、リードを守り抜いたクウィアトコウスキーが総合優勝を射止めた。
![独走でフィニッシュに向かうサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc9788-800x533.jpg)
![独走でフィニッシュするサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/yates-tourpologne7a-986-800x534.jpg)
「地元のポーランドで総合優勝するという夢を達成して、素晴らしい気持ちに包まれている」。表彰台でイエロージャージに袖を通したクウィアトコウスキーは大会初制覇を喜ぶ。今シーズンはティレーノ〜アドリアティコに続くUCIワールドツアーレース総合優勝。
クウィアトコウスキーは2012年大会で総合2位に入っているが、それ以降は思うような走りができずにいた。「毎年このポーランドで結果を残したいと思っていたけど、いつもツール・ド・フランスの疲労の影響でパフォーマンスを発揮できずにいた。今回もライバルたちが総攻撃を仕掛ける厳しい展開だったけど、自分も積極的に動くことでイエロージャージをキープ。沿道から飛ぶ叫び声に後押しされて、強力なチームメイトの力を得てこうして勝利を手にすることができた」。
「数日遅れの誕生記念になったよ」と語るのは総合2位でレースを終えたイェーツ。「このレースはステージ距離が短いので自分の調子を探りにくいけど、毎日調子は上向きだった。今日は正しいタイミングでアタックして、逃げ切ることができて本当に良かったよ」と語るイェーツや、総合1位クウィアトコウスキー、総合3位ピノ、総合4位ベネット、総合5位ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)は揃ってブエルタに出場する予定だ。
![総合優勝を飾ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2018/08/11/dsc0072-800x533.jpg)
ツール・ド・ポローニュ2018第7ステージ
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 3:37:17 |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:12 |
3位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:14 |
5位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
6位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
7位 | エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
8位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:00:16 |
9位 | ゲオルク・プライドラー(オーストリア、グルパマFDJ) | |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
DNF | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:23:54 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:15 |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:20 |
4位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:00:24 |
5位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:27 |
6位 | ゲオルク・プライドラー(オーストリア、グルパマFDJ) | 0:00:31 |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:32 |
8位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:40 |
9位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:42 |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:44 |
ポイント賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 73pts |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 66pts |
3位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 63pts |
山岳賞
1位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 74pts |
2位 | ルーカス・オウシアン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) | 57pts |
3位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) | 50pts |
チーム総合成績
1位 | アージェードゥーゼール | 73:19:02 |
2位 | アスタナ | 0:00:47 |
3位 | チームスカイ | 0:03:28 |
text:Kei Tsuji
photo:Tour de Pologne
photo:Tour de Pologne
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