2018/07/28(土) - 02:51
ピレネー山脈を舞台にした第105回ツール・ド・フランス最後の山岳バトル。終盤の超級山岳オービスク峠で果敢にアタックを仕掛け、下り区間で独走に持ち込んだプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)がステージ優勝を飾るとともに総合表彰圏内に浮上した。
カチューシャ・アルペシンを先頭に1級山岳アスパン峠を通過するプロトン photo:Kei Tsuji
ルルドのノートルダム・デュ・ロゼール前にチームバスが並ぶ photo:Kei Tsuji
ノートルダム・デュ・ロゼールを背にインタビューに答えるゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
ツール・ド・フランス2018第19ステージ photo:A.S.O.
ツール・ド・フランス2018第19ステージ photo:A.S.O.
最後の山岳決戦の場となる第19ステージには超級山岳オービスク峠のダウンヒルフィニッシュが設定されている。ステージ中盤に佇んでいる1級山岳アスパン峠(全長12km/平均6.5%)と超級山岳トゥールマレー峠(全長17.1km/平均7.3%)の黄金コンビに続いて、2級山岳ボルデレ峠(全長8.6km/平均5.8%)と超級山岳オービスク峠(全長16.6km/平均4.9%)を立て続けにクリアする。
ステージの獲得標高差は今大会最大の4,800m。翌日に個人タイムトライアルが設定されているため、このピレネーの特大ステージがクライマーたちにとって最後の逆転&挽回のチャンスとなる。超級山岳オービスク峠からフィニッシュまでは20kmしか離れておらず、登りだけでなく下りの走りにも注目が集まった。
キリスト教の巡礼地であるルルドのノートルダム・デュ・ロゼール教会の前に集まったのは22台のチームバスと146名の選手たち。ステージ序盤の2つの4級山岳が逃げグループ形成のための発射台となり、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)の加速をきっかけにアタックの口火が切られた。
1級山岳アスパン峠でアタックするジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji
1級山岳アスパン峠の頂上に向かってアタックするジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji
ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)に付き添われながら山岳をこなすペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
晴れ渡る1級山岳アスパン峠を通過していくプロトン photo:Kei Tsuji
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)を先頭に進む逃げグループ photo:A.S.O.
2つの4級山岳を越えたところでようやく形成されたのは18名の逃げグループ。アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)やバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)といったオールラウンダーの他、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)とワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)という山岳賞1位と2位を争う2人のフランス人選手も逃げに乗った。
総合13位/14分20秒遅れのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)も逃げに乗ったため、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)の総合12位を守りたいカチューシャ・アルペシンがメイン集団の先頭に立つ。白黒色のチームスカイではなく赤水色のカチューシャ・アルペシンがタイム差を詰めながら1級山岳アスパン峠に差し掛かった。
1級山岳アスパン峠を先頭通過したマイヨアポワのアラフィリップを含む12名が、メイン集団とのタイム差を最大3分30秒まで広げて次なる超級山岳トゥールマレー峠へと向かう。ツール登場82回目の標高2,115mの峠で逃げグループは6名(アラフィリップ、ニエベ、ユンゲルス、バルギル、カンゲルト、イサギレ)に絞られ、アラフィリップを先頭に頂上を通過した。なお、1979年のカテゴリー超級導入以降(それまでは1級山岳が最高だった)、これまで1大会で3つの超級山岳を先頭通過した選手は5人(テウニッセ、ロミンガー、ヴィランク、ヴォクレール、バルギル)いたが、1大会で4つの超級山岳を先頭通過したのはアラフィリップのみ。この日だけで30ポイントを上乗せしたアラフィリップは断トツの獲得ポイントで今大会山岳王の名を欲しいままにした。
逃げグループを形成するボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)ら photo:Cor Vos
超級山岳トゥールマレー峠でアタックを仕掛けるロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Cor Vos
先頭グループを率いるミケル・ランダ(スペイン、モビスター) photo:Cor Vos
チームスカイのアシスト陣に守られるマイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos
頂上がフィニッシュまで92km離れているにもかかわらず、この日の最高地点である超級山岳トゥールマレー峠では総合成績に絡む動きが勃発した。それまでメイン集団を率いていたカチューシャ・アルペシンの総合12位ザカリンがイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)に連れられる形で最初に仕掛け、続いて総合7位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、総合8位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、総合10位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が矢継ぎ早にアタック。それぞれアシストを引き連れて、もしくは逃げていたアシストのサポートを得て、強力な追走グループを形成した。
超級山岳トゥールマレー峠を先頭6名から30秒遅れでクリアした追走グループは、2分後方のメイン集団を引き離すようにして渓谷に沿った長い下りを急いだ。やがてバルデやランダを含む追走グループは先頭グループを捉え、チームスカイが6名(トーマス、フルーム、ベルナル、クウィアトコウスキー、カストロビエホ、プールス)で先頭を固めるメイン集団に3分30秒のタイム差をつけて2級山岳ボルデレ峠の登坂を開始。総合で4分34秒しか遅れていないランダがこの時点で暫定総合2位に浮上した。
急勾配の2級山岳ボルデレ峠とその後のテクニカルな下り区間を経て、今大会最後の難所である超級山岳オービスク峠の登りがスタート。チームスカイに代わってメイン集団のペースメイクを担当したのはロットNLユンボで、その中から総合6位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)が動いた。
先頭がランダ、バルデ、マイカ、ザカリンの4名に絞られる中、その1分30秒後方で単独追走を仕掛けたクライスヴァイクをメイン集団が追いかける。ここから超級山岳オービスク峠の頂上に向かってメイン集団からはアタックが続発した。
超級山岳オービスク峠でアタックを仕掛けるステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Cor Vos
アタックを試みるロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:A.S.O.
オービスク峠を行くラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)ら逃げグループ photo:Makoto.AYANO
断崖絶壁に霧が立ち込めたオービスク峠を行く後方集団 photo:Makoto.AYANO
クライスヴァイクを追うトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)の強力なアタックはプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)にマークされ、他の総合ライバルたちも合流する。続いてダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)が動いたが決まらない。飛び出していたクライスヴァイクが吸収された一方で、前日の落車でダメージを受けたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は遅れて行った。
ログリッチェやデュムランのアタックにもマイヨジョーヌのトーマスは離れなかった。総合3位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)のサポートを得たトーマスがすべての動きを封じる。フルームはその後メイン集団から脱落したが、ベルナルのサポートを受けて集団に食らいついた。
頂上まで2kmを切ったところで再び動いたログリッチェがそれまで逃げていたランダとバルデを吸収。しかし、デュムランと、その後ろにぴったりとマークするトーマスを引き離すことができない。頂上手前でログリッチェは再度アタックしたが、執拗なアタックにもライバルたちは離れなかった。ログリッチェ、デュムラン、トーマス、ランダ、バルデ、マーティン、クライスヴァイク、そして時折遅れながらも食らいついたフルームが同じグループ内で超級山岳オービスク峠の頂上にたどり着いている。
2度の山岳賞受賞者マイカが超級山岳オービスク峠を独走で通過したものの、後続の精鋭グループとのタイム差はわずか。下り区間でマイカは捉えられ、先頭8名で霧に包まれた下りコーナーを攻める。タイトコーナーが続く急勾配の下りをかっ飛ばしたログリッチェが単独で抜け出た。
超級山岳オービスク峠の頂上からフィニッシュラインまで、平均スピード56.3km/h、最高スピード92.2km/hで駆け抜けたログリッチェ。後続のライバルたちに20秒近いリードをつけた元スキージャンパーのログリッチェが、最終的に19秒差をつけて逃げ切った。後続グループ内のスプリントを制したトーマスがステージ2位、バルデがステージ3位に入っている。
超級山岳オービスク峠を先頭でクリアしたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
超級山岳オービスク峠の下りを進むプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)ら photo:Kei Tsuji
超級山岳オービスク峠の下りを走るマイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)を先頭に超級山岳オービスク峠の下りを走る photo:Kei Tsuji
ダイナミックな超級山岳オービスク峠の下りに突入するゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)ら photo:Kei Tsuji
霧に包まれた超級山岳オービスク峠の下りを進む photo:Kei Tsuji
超級山岳オービスク峠をグルペット内で乗り切ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
超級山岳オービスク峠の下りを走るグルペット photo:Kei Tsuji
スロベニア出身の28歳が2017年大会のガリビエステージに続くステージ優勝。「とてもクレイジーな結果だ。今日は調子が良かったので何度も何度もアタックした。下りで後続と差がついた時、その差を詰めるのが難しいことを分かっていたのでそのまま攻め続けた。残り5kmの時点で10秒のリードだと聞いて、全開で踏み続けた。ステージ優勝を狙っていたので総合表彰台については考えていなかった。でも結果オーライだ」と語るログリッチェはライバルたちにつけた19秒とボーナスタイム10秒によって総合3位にジャンプアップしている。
総合2位デュムランから19秒のビハインド、総合4位フルームから13秒のリードで迎える翌日の個人タイムトライアルについてログリッチェは「タイムトライアルは自分向きだけど、他のライバルたちもそれは同じ。明日は明日の戦いが待っている。トム・デュムランやクリストファー・フルームを敵視しているわけではなく、自分の走りをするだけ」と語っている。
最後まで崩れるそぶりを見せず、マイヨジョーヌを守ったトーマスは「大きなプレッシャーを受けながらもチームは完璧に走ってくれた。今日最も強かったのはログリッチェで、自分はデュムランのマークに徹した。明日はリスクを負わずに、かといってリラックスもせず、しっかりと走りたい。コース上をできる限り速く走るだけだ」とコメント。トーマスはデュムランから2分05秒、ログリッチェから2分24秒のリードで最後の戦いに挑む。
この日のタイムカットは45分57秒。前半から苦しんでいたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)を含む大きなグルペットは38分23秒遅れ、落車した最後尾テイラー・フィニー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は40分33秒遅れでフィニッシュにたどり着いている。
ライバルたちを振り切ってフィニッシュするプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Luca Bettini
ステージ2位争いのスプリントを制したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Luca Bettini
2年連続で山岳ステージを制したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Luca Bettini
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最後の山岳決戦の場となる第19ステージには超級山岳オービスク峠のダウンヒルフィニッシュが設定されている。ステージ中盤に佇んでいる1級山岳アスパン峠(全長12km/平均6.5%)と超級山岳トゥールマレー峠(全長17.1km/平均7.3%)の黄金コンビに続いて、2級山岳ボルデレ峠(全長8.6km/平均5.8%)と超級山岳オービスク峠(全長16.6km/平均4.9%)を立て続けにクリアする。
ステージの獲得標高差は今大会最大の4,800m。翌日に個人タイムトライアルが設定されているため、このピレネーの特大ステージがクライマーたちにとって最後の逆転&挽回のチャンスとなる。超級山岳オービスク峠からフィニッシュまでは20kmしか離れておらず、登りだけでなく下りの走りにも注目が集まった。
キリスト教の巡礼地であるルルドのノートルダム・デュ・ロゼール教会の前に集まったのは22台のチームバスと146名の選手たち。ステージ序盤の2つの4級山岳が逃げグループ形成のための発射台となり、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)の加速をきっかけにアタックの口火が切られた。
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総合13位/14分20秒遅れのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)も逃げに乗ったため、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)の総合12位を守りたいカチューシャ・アルペシンがメイン集団の先頭に立つ。白黒色のチームスカイではなく赤水色のカチューシャ・アルペシンがタイム差を詰めながら1級山岳アスパン峠に差し掛かった。
1級山岳アスパン峠を先頭通過したマイヨアポワのアラフィリップを含む12名が、メイン集団とのタイム差を最大3分30秒まで広げて次なる超級山岳トゥールマレー峠へと向かう。ツール登場82回目の標高2,115mの峠で逃げグループは6名(アラフィリップ、ニエベ、ユンゲルス、バルギル、カンゲルト、イサギレ)に絞られ、アラフィリップを先頭に頂上を通過した。なお、1979年のカテゴリー超級導入以降(それまでは1級山岳が最高だった)、これまで1大会で3つの超級山岳を先頭通過した選手は5人(テウニッセ、ロミンガー、ヴィランク、ヴォクレール、バルギル)いたが、1大会で4つの超級山岳を先頭通過したのはアラフィリップのみ。この日だけで30ポイントを上乗せしたアラフィリップは断トツの獲得ポイントで今大会山岳王の名を欲しいままにした。
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超級山岳トゥールマレー峠を先頭6名から30秒遅れでクリアした追走グループは、2分後方のメイン集団を引き離すようにして渓谷に沿った長い下りを急いだ。やがてバルデやランダを含む追走グループは先頭グループを捉え、チームスカイが6名(トーマス、フルーム、ベルナル、クウィアトコウスキー、カストロビエホ、プールス)で先頭を固めるメイン集団に3分30秒のタイム差をつけて2級山岳ボルデレ峠の登坂を開始。総合で4分34秒しか遅れていないランダがこの時点で暫定総合2位に浮上した。
急勾配の2級山岳ボルデレ峠とその後のテクニカルな下り区間を経て、今大会最後の難所である超級山岳オービスク峠の登りがスタート。チームスカイに代わってメイン集団のペースメイクを担当したのはロットNLユンボで、その中から総合6位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)が動いた。
先頭がランダ、バルデ、マイカ、ザカリンの4名に絞られる中、その1分30秒後方で単独追走を仕掛けたクライスヴァイクをメイン集団が追いかける。ここから超級山岳オービスク峠の頂上に向かってメイン集団からはアタックが続発した。
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クライスヴァイクを追うトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)の強力なアタックはプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)にマークされ、他の総合ライバルたちも合流する。続いてダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)が動いたが決まらない。飛び出していたクライスヴァイクが吸収された一方で、前日の落車でダメージを受けたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は遅れて行った。
ログリッチェやデュムランのアタックにもマイヨジョーヌのトーマスは離れなかった。総合3位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)のサポートを得たトーマスがすべての動きを封じる。フルームはその後メイン集団から脱落したが、ベルナルのサポートを受けて集団に食らいついた。
頂上まで2kmを切ったところで再び動いたログリッチェがそれまで逃げていたランダとバルデを吸収。しかし、デュムランと、その後ろにぴったりとマークするトーマスを引き離すことができない。頂上手前でログリッチェは再度アタックしたが、執拗なアタックにもライバルたちは離れなかった。ログリッチェ、デュムラン、トーマス、ランダ、バルデ、マーティン、クライスヴァイク、そして時折遅れながらも食らいついたフルームが同じグループ内で超級山岳オービスク峠の頂上にたどり着いている。
2度の山岳賞受賞者マイカが超級山岳オービスク峠を独走で通過したものの、後続の精鋭グループとのタイム差はわずか。下り区間でマイカは捉えられ、先頭8名で霧に包まれた下りコーナーを攻める。タイトコーナーが続く急勾配の下りをかっ飛ばしたログリッチェが単独で抜け出た。
超級山岳オービスク峠の頂上からフィニッシュラインまで、平均スピード56.3km/h、最高スピード92.2km/hで駆け抜けたログリッチェ。後続のライバルたちに20秒近いリードをつけた元スキージャンパーのログリッチェが、最終的に19秒差をつけて逃げ切った。後続グループ内のスプリントを制したトーマスがステージ2位、バルデがステージ3位に入っている。
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スロベニア出身の28歳が2017年大会のガリビエステージに続くステージ優勝。「とてもクレイジーな結果だ。今日は調子が良かったので何度も何度もアタックした。下りで後続と差がついた時、その差を詰めるのが難しいことを分かっていたのでそのまま攻め続けた。残り5kmの時点で10秒のリードだと聞いて、全開で踏み続けた。ステージ優勝を狙っていたので総合表彰台については考えていなかった。でも結果オーライだ」と語るログリッチェはライバルたちにつけた19秒とボーナスタイム10秒によって総合3位にジャンプアップしている。
総合2位デュムランから19秒のビハインド、総合4位フルームから13秒のリードで迎える翌日の個人タイムトライアルについてログリッチェは「タイムトライアルは自分向きだけど、他のライバルたちもそれは同じ。明日は明日の戦いが待っている。トム・デュムランやクリストファー・フルームを敵視しているわけではなく、自分の走りをするだけ」と語っている。
最後まで崩れるそぶりを見せず、マイヨジョーヌを守ったトーマスは「大きなプレッシャーを受けながらもチームは完璧に走ってくれた。今日最も強かったのはログリッチェで、自分はデュムランのマークに徹した。明日はリスクを負わずに、かといってリラックスもせず、しっかりと走りたい。コース上をできる限り速く走るだけだ」とコメント。トーマスはデュムランから2分05秒、ログリッチェから2分24秒のリードで最後の戦いに挑む。
この日のタイムカットは45分57秒。前半から苦しんでいたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)を含む大きなグルペットは38分23秒遅れ、落車した最後尾テイラー・フィニー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は40分33秒遅れでフィニッシュにたどり着いている。
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ツール・ド・フランス2018第19ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 5:28:17 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:19 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
8位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:31 |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | |
19位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:07:09 |
20位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:07:18 |
DNF | イエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・スーダル) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 79:49:31 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:02:05 |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 0:02:24 |
4位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:02:37 |
5位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:04:37 |
6位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:04:40 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:05:15 |
8位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:06:39 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:10:26 |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:11:49 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 467pts |
2位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 196pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 183pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 170pts |
2位 | ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 91pts |
3位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 76pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
チーム総合成績
text&photo:Kei Tsuji in Laruns, France
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