2018/07/23(月) - 11:05
長野県富士見パノラマリゾートで開催されていた第31回全日本マウンテンバイク選手権大会は最終日の7月22日(日)クロスカントリーオリンピック(XCO)の競技が行われた。コース全長は4530m。標高1000mを越える場所でのレースとなる。
連日の猛暑からレース当日も気温が高くなることが懸念され、前日のチームマネージャーミーティングで日曜日に実施するすべてのレースを1周回短縮することが発表された。結果男子エリートは4周、女子エリートは3周回のレースに。前日同様の強い日差しのもと、気温は上昇。各カテゴリー共炎天下でのレースとなった。
男子エリート:山本幸平、4年連続10度目のタイトル獲得
午後2時半。おそらく1日の中で最も気温が高い時間帯に、男子エリートがスタートした。スタート後の直線、前年2位の恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)と小野寺健(drawer THE RACING)、佐藤誠示(SAGE'S STYLE)の3人が並ぶようにして最初のコーナーに突入。しかしその後に続く九十九折りの登り区間で前年3位だった前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭に出るとそれに小野寺と山本幸平(Dream Seeker Racing Team)、恩田の順で続く。
2周目突入時、山本と前田の「二人のコウヘイ」がパックとなりメインストレートを登ってくるが、九十九折りの芝セクションになると、山本と前田の差が少しずつ開き始め山本がその差を広げたまま林の下りセクションに入り、折り返して登って来る頃には「玉砕覚悟で臨んだ」と言う前田はオールアウト状態に近かったようだ。林の中の登りで恩田に抜かれ、その後TEAM BRIDGESTONE Cyclingの平野星矢と沢田時に抜かれポジションを5位まで落とす。
「全日本選手権で勝たない限り、次の扉は開かれないと思っている」と語る恩田も3周目に入る頃にはもう脚が残っていなかった。ペースの落ちた恩田を交わし2位に浮上したのは平野。「このコースの前半部分は苦手」と語る平野はその後ペースをキープ。2位でフィニッシュ。3位には恩田が入った。2周目以降完全にひとり旅となった山本は前田を引き離した時点で自分のペースで淡々とラップを刻み、後続に1分30秒以上の差をつけ4年連続、10度目のナショナルタイトルを獲得。
山本幸平のコメント:「イタリア、アンドラ、全日本と3週連続のレースとなって、移動距離も大変長距離になり、その中でコンディションを合わせて、この猛暑の中というのはかなり大変で、眠れない日々でした。
今年はDream Seeker Racing Teamが発足して、僕自身もスポンサー獲得に苦労して挨拶回りしました。今日もスポンサー、サポーターの方が多く来てくれてマウンテンバイクのレースを初めて見た方がほとんどですが、世界選手権やワールドカップはもっともっと過酷で楽しくて刺激あるレースです。
2020年、マウンテンバイク(XCO)はオリンピック種目です。日本人選手が必ず出るのでそれを観に行ってもらって、マウンテンバイクの楽しさを知ってもらえたらいいかなと僕は思っています。今日はありがとうございました。」
また山本は第一子が誕生したばかり。しかもまだ直接会っておらず、レース翌日に初めて対面するという。表彰式後奥さんからの手紙と子供の写真のメダルが授与されるセレモニーもあり、我が子の誕生を祝う勝利でもあった。
女子エリート:今井美穂が昨年の雪辱を晴らしタイトル奪取
女子カテゴリーはジュニア、ユースがスタートした2分後にエリートとU23、マスターズ、チャレンジの4クラス同時にスタート。序盤から積極的に前に出たのはU23の佐藤寿美(drawer THE RACING)それにエリートの今井美穂(CO2bicycle)が続く。
今井は「絶対に失敗できない。勝ちしか意味がない大会なので冷静を一番に考えて走った」と語るようにオーバーペースにならないように佐藤の後ろで様子を見ていたが、少しずつ後ろの様子を見ながら走っていて自分でペースを作ろうと思い前に出た。結局去年底力を見せつけられた小林可奈子(MTBクラブ安曇野)に4分以上もの大差をつけ、去年の雪辱を晴らすとともにシクロクロスとの2冠を達成。
今井のコメント:「一年間、すごく悔しくて練習してきました。シクロクロスで優勝して、絶対に2冠獲りたいと思い続けて、この半年、そしてこの一ヶ月集中してやってきて、ここに立てたこと。ここに来るまでに本当にたくさんの方に支えてもらいました。自分一人じゃなくて、たくさんの人の応援、たくさんの人のサポートで走れたことを本当に感謝しています。本当にありがとうございました。」
同時に出走したU23クラスは、このカテゴリー1年目の山田夕貴(松本大学)が、マスターズクラスは水谷有紀子(BUCYO COFFEE/CLT Cycling Team)がそれぞれ初優勝とした。
男子U23:平林安里が3年連続でタイトルを獲得
エリート男子がスタートした6分後にスタートした男子U23では、CJシリーズ戦でもエリート選手を下し何度も優勝している平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)がスタートから先頭に立つ。後続をあっという間に引き離し、わずか3周のレースながら6分前にスタートした男子エリートを次々と抜き去る豪快な走りで最後はバニーホップしながらゴール。3年連続となるU23のタイトルを獲得した。
優勝の平林のコメント:「前回のレースから3週間空いて、ちょっと苦しい時間もありましたがチームの皆さんや家族で支えあって、しっかり結果を出すことが出来て良かったです。これからもまだまだシーズンが続きます。もっといい走りができるようにたくさん練習して頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました。」
男子ジュニア:実力が拮抗する男子ジュニアを制したのは村上功太郎
3周回で行われたジュニア男子は実力が拮抗して誰が勝つか全く予測がつかなない中、セクション毎に順位が入れ替わったが、2018年シクロクロスジュニアチャンピオンの村上功太郎(松山工業高校)が最後ProRide軍団を振り切り、シクロクロスとジュニアタイトル2冠を達成。
村上のコメント:「暑くてタフなレースでした。昨日のミーティングで3周と聞いた時短距離系が苦手でやばいなと思いましたが、どういう状況になっても絶対勝ちに行く気持ちはあったので集中して走りました。4人パックで走っていた時は常に自分のペースでレースを運びたいと思っていましたが、他の選手も強くてなかなか思い通りにいかず、自分もいっぱいいっぱいでしたが切り替えて冷静に走れました。いつも練習している場所が雨の被害を受けたなかで今回優勝できていい知らせができたかなと思います」
女子ジュニア、ユース:ユースクラスの渡部春雅がジュニア勢を置き去りに
同時出走した女子ユース・ジュニアでは、優勝候補とみなされていたアジアジュニアチャンピオンの川口うらら(Sonic-Racing/SRAM)がまったく調子が出ず大ブレーキ。その中、トップでゴールしたのはユースカテゴリの渡部春雅(駒澤大学高等学校)。ジュニアチャンピオンとなった小林あか里(MTBクラブ安曇野)を30秒引き離してのゴールだった。
連日の猛暑からレース当日も気温が高くなることが懸念され、前日のチームマネージャーミーティングで日曜日に実施するすべてのレースを1周回短縮することが発表された。結果男子エリートは4周、女子エリートは3周回のレースに。前日同様の強い日差しのもと、気温は上昇。各カテゴリー共炎天下でのレースとなった。
男子エリート:山本幸平、4年連続10度目のタイトル獲得
午後2時半。おそらく1日の中で最も気温が高い時間帯に、男子エリートがスタートした。スタート後の直線、前年2位の恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)と小野寺健(drawer THE RACING)、佐藤誠示(SAGE'S STYLE)の3人が並ぶようにして最初のコーナーに突入。しかしその後に続く九十九折りの登り区間で前年3位だった前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭に出るとそれに小野寺と山本幸平(Dream Seeker Racing Team)、恩田の順で続く。
2周目突入時、山本と前田の「二人のコウヘイ」がパックとなりメインストレートを登ってくるが、九十九折りの芝セクションになると、山本と前田の差が少しずつ開き始め山本がその差を広げたまま林の下りセクションに入り、折り返して登って来る頃には「玉砕覚悟で臨んだ」と言う前田はオールアウト状態に近かったようだ。林の中の登りで恩田に抜かれ、その後TEAM BRIDGESTONE Cyclingの平野星矢と沢田時に抜かれポジションを5位まで落とす。
「全日本選手権で勝たない限り、次の扉は開かれないと思っている」と語る恩田も3周目に入る頃にはもう脚が残っていなかった。ペースの落ちた恩田を交わし2位に浮上したのは平野。「このコースの前半部分は苦手」と語る平野はその後ペースをキープ。2位でフィニッシュ。3位には恩田が入った。2周目以降完全にひとり旅となった山本は前田を引き離した時点で自分のペースで淡々とラップを刻み、後続に1分30秒以上の差をつけ4年連続、10度目のナショナルタイトルを獲得。
山本幸平のコメント:「イタリア、アンドラ、全日本と3週連続のレースとなって、移動距離も大変長距離になり、その中でコンディションを合わせて、この猛暑の中というのはかなり大変で、眠れない日々でした。
今年はDream Seeker Racing Teamが発足して、僕自身もスポンサー獲得に苦労して挨拶回りしました。今日もスポンサー、サポーターの方が多く来てくれてマウンテンバイクのレースを初めて見た方がほとんどですが、世界選手権やワールドカップはもっともっと過酷で楽しくて刺激あるレースです。
2020年、マウンテンバイク(XCO)はオリンピック種目です。日本人選手が必ず出るのでそれを観に行ってもらって、マウンテンバイクの楽しさを知ってもらえたらいいかなと僕は思っています。今日はありがとうございました。」
また山本は第一子が誕生したばかり。しかもまだ直接会っておらず、レース翌日に初めて対面するという。表彰式後奥さんからの手紙と子供の写真のメダルが授与されるセレモニーもあり、我が子の誕生を祝う勝利でもあった。
女子エリート:今井美穂が昨年の雪辱を晴らしタイトル奪取
女子カテゴリーはジュニア、ユースがスタートした2分後にエリートとU23、マスターズ、チャレンジの4クラス同時にスタート。序盤から積極的に前に出たのはU23の佐藤寿美(drawer THE RACING)それにエリートの今井美穂(CO2bicycle)が続く。
今井は「絶対に失敗できない。勝ちしか意味がない大会なので冷静を一番に考えて走った」と語るようにオーバーペースにならないように佐藤の後ろで様子を見ていたが、少しずつ後ろの様子を見ながら走っていて自分でペースを作ろうと思い前に出た。結局去年底力を見せつけられた小林可奈子(MTBクラブ安曇野)に4分以上もの大差をつけ、去年の雪辱を晴らすとともにシクロクロスとの2冠を達成。
今井のコメント:「一年間、すごく悔しくて練習してきました。シクロクロスで優勝して、絶対に2冠獲りたいと思い続けて、この半年、そしてこの一ヶ月集中してやってきて、ここに立てたこと。ここに来るまでに本当にたくさんの方に支えてもらいました。自分一人じゃなくて、たくさんの人の応援、たくさんの人のサポートで走れたことを本当に感謝しています。本当にありがとうございました。」
同時に出走したU23クラスは、このカテゴリー1年目の山田夕貴(松本大学)が、マスターズクラスは水谷有紀子(BUCYO COFFEE/CLT Cycling Team)がそれぞれ初優勝とした。
男子U23:平林安里が3年連続でタイトルを獲得
エリート男子がスタートした6分後にスタートした男子U23では、CJシリーズ戦でもエリート選手を下し何度も優勝している平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)がスタートから先頭に立つ。後続をあっという間に引き離し、わずか3周のレースながら6分前にスタートした男子エリートを次々と抜き去る豪快な走りで最後はバニーホップしながらゴール。3年連続となるU23のタイトルを獲得した。
優勝の平林のコメント:「前回のレースから3週間空いて、ちょっと苦しい時間もありましたがチームの皆さんや家族で支えあって、しっかり結果を出すことが出来て良かったです。これからもまだまだシーズンが続きます。もっといい走りができるようにたくさん練習して頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました。」
男子ジュニア:実力が拮抗する男子ジュニアを制したのは村上功太郎
3周回で行われたジュニア男子は実力が拮抗して誰が勝つか全く予測がつかなない中、セクション毎に順位が入れ替わったが、2018年シクロクロスジュニアチャンピオンの村上功太郎(松山工業高校)が最後ProRide軍団を振り切り、シクロクロスとジュニアタイトル2冠を達成。
村上のコメント:「暑くてタフなレースでした。昨日のミーティングで3周と聞いた時短距離系が苦手でやばいなと思いましたが、どういう状況になっても絶対勝ちに行く気持ちはあったので集中して走りました。4人パックで走っていた時は常に自分のペースでレースを運びたいと思っていましたが、他の選手も強くてなかなか思い通りにいかず、自分もいっぱいいっぱいでしたが切り替えて冷静に走れました。いつも練習している場所が雨の被害を受けたなかで今回優勝できていい知らせができたかなと思います」
女子ジュニア、ユース:ユースクラスの渡部春雅がジュニア勢を置き去りに
同時出走した女子ユース・ジュニアでは、優勝候補とみなされていたアジアジュニアチャンピオンの川口うらら(Sonic-Racing/SRAM)がまったく調子が出ず大ブレーキ。その中、トップでゴールしたのはユースカテゴリの渡部春雅(駒澤大学高等学校)。ジュニアチャンピオンとなった小林あか里(MTBクラブ安曇野)を30秒引き離してのゴールだった。
男子エリート
1位 | 山本幸平(Dream Seeker Racing Team) | 1:01:46.54 |
2位 | 平野星矢(TEAM BRIDGESTONE Cycling) | 1:03:19.18 |
3位 | 恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM) | 1:04:07.19 |
女子エリート
1位 | 今井美穂(CO2bicycle) | 58:45.53 |
2位 | 小林可奈子(MTBクラブ安曇野) | 1:03:28.15 |
3位 | 橋口陽子 (TEAM 轍屋) | 1:03:59.65 |
男子U23
1位 | 平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN ) | 47:10.49 |
2位 | 小林勇輝(イナーメ信濃山形) | 49:20.84 |
3位 | 竹内遼(drawer THE RACING) | 51:15.86 |
女子U23
1位 | 山田夕貴(松本大学) | 42:08.95 |
2位 | 佐藤寿美(drawer THE RACING) | 42:38.40 |
3位 | 矢吹優夏(B・B・Q) | 43:36.83 |
男子ジュニア
1位 | 村上功太郎(松山工業高校) | 50:16.32 |
2位 | 神永真一(ProRide) | 50:22.52 |
3位 | 久保一真(ProRide) | 50:34.69 |
女子ジュニア
1位 | 小林あか里(MTBクラブ安曇野) | 38:36.21 |
2位 | 松本璃奈(TEAM SCOTT) | 39:09.94 |
3位 | 川口うらら(Sonic-Racing/SRAM) | 39:38.95 |
男子マスターズ30
1位 | 品川真寛 (TEAM YOUCAN) | 51:14.28 |
2位 | 平賀俊郎(サッサーズ) | 1:03:18.40 |
3位 | 田村竜樹(サッサーズ) | 1:30:37.65 |
男子マスターズ40
1位 | 竹谷賢二(Endurelife) | 51:42.38 |
2位 | 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) | 51:17.57 |
3位 | 國井敏夫(MilePost BMC Racing) | 54:06.65 |
男子マスターズ50
1位 | 有持真人(Team ARI) | 58:06.62 |
2位 | 澤田泰征(VOLCAオードビーBOMA) | 58:44.70 |
3位 | 牧野元(B・B・Q Masters) | 1:00:27.82 |
女子マスターズ
1位 | 水谷有紀子(BUCYO COFFEE/CLT Cycling Team) | 47:53.10 |
2位 | 綾野桂子(cycleclub3UP) | 52:28.23 |
3位 | 北島優子(Power sports SICK) | 59:24.49 |
男子ユース
1位 | 松本一成(TEAM SCOTT) | 33:58.71 |
2位 | 村上裕二郎(松山工業高校) | 34:24.82 |
3位 | 中島渉(Limited Team 846 / Team-K) | 34:34.47 |
女子ユース
1位 | 渡部春雅(駒澤大学高等学校) | 38:01.67 |
2位 | 中島瞳(Limited Team 846 / Team-K) | 43:13.66 |
3位 | 大蔵こころ(ポンシャス・ユース) | 48:04.71 |
テクニカルデータ
コース長:4530m
標高:Hi/1134m、Lo/1036m
text&photo:Satoshi Oda
コース長:4530m
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