2018/07/24(火) - 09:26
世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第3弾となる今回は、新型エアロロードをツールと同時発表したリドレー、ヘルメットブランドのHJC、エリート、SRM、エンヴィをピックアップ。
リドレー:ツール・ド・フランスと同時発表のエアロロード「NOAH FAST」
正式発表が行われる前からロット・スーダルのアンドレ・グライペルらがカモフラージュ柄のバイクを駆り、世界の機材ファンたちから注目を集めたリドレーの新型バイク。その姿からエアロロードの進化版であると噂されていたものが、ツール・ド・フランスとユーロバイクの開幕に合わせてベールを脱いだ。
新型バイクの正体は噂通りリドレーのエアロロードNOAHのアップデートバージョンであり、モデル名は「NOAH FAST(ノア・ファスト)」という。リドレーが主眼をおいて開発を進めたのはディスクブレーキモデルであり、ワイヤーやブレーキホース類の完全内装化を実現。NOAH SL DISC AERO+でも完全内装化されていたが、今回はハンドルがモデルチェンジを果たしている。これは、もちろんエアロダイナミクス向上のためであり、各社の新エアロロードを見ると現代のディスクブレーキ版エアロロードのマストスペックであると言えそうだ。
新型エアロロードの多くはディスクブレーキ専用スペックのみが展開されているが、NOAH FASTはリムブレーキモデルもラインアップ。プロ選手からの要望を受けて用意されたものであり、実際にグライペルはリム版を使用しているシーンも。ディスクブレーキの波が押し寄せる中、使い慣れたリム版も用意されているのはユーザーが選びやすくなっているはずだ。
NOAH FASTのポイントは、NOAH SL DISCよりも250gの軽量化を推し進めると同時に、空力面でのディティールを煮詰めている点。より軽く、よりエアロに進化を遂げたことで、小刻みにアップダウンが登場するようなハードコースでも対応しつつ、ラストのスプリントでアドバンテージを受けられるようになっているはずだ。詳しいテクノロジーはレビュー記事を参考のこと。日本では9月の展示会で正式発表となり、価格もその際に公表されるという。
HJC:軽量かつエアロな新型ミドルグレードヘルメット
続いてもロット・スーダルの選手たちが使用するエキップメントを紹介しよう。今シーズンからロット・スーダルは着用するヘルメットをHJCにスイッチしており、オールラウンドモデルIBEX、エアロモデルFURIONという2つをシチュエーションによって使い分けている。
今回のユーロバイクではこの2つのモデルに次ぐミドルグレード「VALECO(ヴァレコ)」がリリースされた。基本となる設計はIBEXとFURIONを掛け合わせたようなセミエアロ形状を採用。前頭部にはIBEXよりも大きなベンチレーションを設けることで、ヘルメット内への空気の流入量を増加させた。一方で側頭部はFUSIONのように空気の乱流を起こしにくそうな滑らかなデザインとなっている。ミドルグレードながらIBEXとFURIONはモーターバイクのヘルメット開発で培ったエアロダイナミクス技術が投入されているため、優れた通気性と空力性能を期待できそうだ。
また、HJCの本国担当者によると、アジアンフィットの帽体を開発を進めているという。元々アジア人の丸型フィットに近い帽体だったが、より日本人の丸型頭にフィットするモデルが登場するのは嬉しいニュースだろう。価格に関してもフラッグシップの2種類と比較し、手頃な設定となる予定となるということなので、日本展開の正式発表を期待して待ちたい。
エリート:ラグジュアリーなインドアバイクFUORIPISTA登場
自転車の形をしながらもインテリアの雰囲気を纏うプロダクトをブースの入り口に鎮座させていたエリート。最も多くのチームをサポートするイタリアンアクセサリーブランドが用意したこのプロダクトは、ガラス製の足を持つ木馬のようなフレーム、銀メッキが輝くクランクが装備され、高級なリビングルームが似合いそう。
このバイクはFOURIPISTAと名付けられたインドアトレーナー。部屋に用意した調度品とメカメカしいスポーツバイクではマッチしない。そんな悩みを解決してくれるようなラグジュアリーな印象を受けるプロダクトだ。
機能としてはDRIVOやDIRETOのような普通のインドアトレーナーと変わらず、パワーメーターが内蔵されており、ant+かBluetoothを介してタブレットなどと連携させることで、エリートのMy E-TrainingやZWIFTなどを楽しむことができる。ギアチェンジは馬の肩周りにあるダブルレバーのようなパーツで行う。
ブルホーン型のハンドルも上下位置の調整がワンタッチでできるため、ライダーの体型に合わせられる。ジムにあるエアロバイクのようなタイプのメリットは、複数人でトレーナーをシェアするときにバイクを交換する手間が無い事。家族でインドアトレーニングを楽しみたい方などにマッチするかもしれない。日本での展開は未定だが、今後の展開が気になるプロダクトだった。
もちろんエリートのスポーツライド用プロダクトもリリースされている。ダイレクトドライブ式の固定ローラー台のフラッグシップ「Drivo」はバージョンアップし「Drivo II」へと進化。ユーザーからの声を受けてカラーはブラックへチェンジ、内蔵パワーメーターの精度が+/-0.5%へと向上。更に、反応性も向上させた事で、よりリアルな走行感を実現している。
ミドルグレードのダイレクトドライブ式ホームトレーナー「DIRETO」もパワーアップ。パワーメーターの計測誤差が+/-2.5%から2.0%へと向上。再現可能斜度が14%となっている。そして、3本ローラーQuick-Motionがモデルチェンジを果たし「Nero」となる。インタラクティブ仕様となり、フルード式のフライホイールによって自然な走行感を実現し、7%の斜度を再現する事が可能となっている。
プロスペックのボトルFLYには保冷仕様の「ICE FLY」が登場。年々暑さ厳しくなる日本の夏季において欠かせないアイテムとなりそうだ。加えて、PRISM CARBONというサイドエントリータイプのボトルケージもラインアップ。来期のエリートのアクセサリーから目が離せない。
SRM:老舗パワーメーターブランドがペダル型PMをリリース
SRMはユーロバイク開催前に発表したパワーメーター「EXAKT」を引っさげユーロバイクに出展。全世界のシリアス系サイクリストが注目するパワーメーターブランドだけあり、ブースにも数多くの来場者が足を運んだ。
EXAKTはルックのKEOペダルをベースとしたパワーメーター。シャフトにセンサーを搭載する事で、パワーを計測するシステムを採用している。ペダルタイプのメリットは、想像できる通り付け替えが非常に容易であること。EXAKTではリチウムイオンバッテリーを使用しているため、充電を行いやすいこともSRMとしては大きなポイントだろう。
計測精度は+/-1.5%。ペダル本体はカーボン製で重量はペアで155g。IPX7の防塵防滴性能を実現しているため、安心してどのようなライドでも使用する事ができるだろう。現在、スプリンターであるアンドレ・グライペルらが実際に使用しているため、強大なパワーも受け止めてくれるはずだ。
エンヴィ:新型エアロステムを発表
ロードやMTB、トライアスロンといった結果を追い求める競技者から、バックカントリーのグラベルロードを楽しく走るカルチャー系ライダーまで幅広くカバーするエンヴィ。ユーロバイクではカラフルに彩ったバイクたちが華やかに演出する、アメリカンなガレージ風のブースを展開した。
ユーロバイクでは新型のロード用ステムがローンチされており、販売用カラーとオリジナルペイントを施した2種類の展示を行なっていた。エアロダイナミクスを意識した作りとなっており、走行風を直接受けるキャップ部分に独自設計を採用。空気が綺麗に流れるように、ボルトがステム上部と、やや斜め下へと移動している。滑らかなルックスとなっているため、バイクコーディネートにも役立つだろう。
またエンヴィは、以前よりスルーアクスルタイプのホイールを外しやすい仕組みのフォークをリリースしている。従来のスルーアクスルはシャフトを全て抜かなければホイールを外せなかったが、レバー側のフォークエンドをクイックタイプのように設計することで、反レバー側のネジを外せばシャフトを抜かずともホイールを脱着できるという優れた設計となっている。デモンストレーションも行われる場面もあり、来場者は創造性溢れるプロダクトに関心していたようだ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
リドレー:ツール・ド・フランスと同時発表のエアロロード「NOAH FAST」
正式発表が行われる前からロット・スーダルのアンドレ・グライペルらがカモフラージュ柄のバイクを駆り、世界の機材ファンたちから注目を集めたリドレーの新型バイク。その姿からエアロロードの進化版であると噂されていたものが、ツール・ド・フランスとユーロバイクの開幕に合わせてベールを脱いだ。
新型バイクの正体は噂通りリドレーのエアロロードNOAHのアップデートバージョンであり、モデル名は「NOAH FAST(ノア・ファスト)」という。リドレーが主眼をおいて開発を進めたのはディスクブレーキモデルであり、ワイヤーやブレーキホース類の完全内装化を実現。NOAH SL DISC AERO+でも完全内装化されていたが、今回はハンドルがモデルチェンジを果たしている。これは、もちろんエアロダイナミクス向上のためであり、各社の新エアロロードを見ると現代のディスクブレーキ版エアロロードのマストスペックであると言えそうだ。
新型エアロロードの多くはディスクブレーキ専用スペックのみが展開されているが、NOAH FASTはリムブレーキモデルもラインアップ。プロ選手からの要望を受けて用意されたものであり、実際にグライペルはリム版を使用しているシーンも。ディスクブレーキの波が押し寄せる中、使い慣れたリム版も用意されているのはユーザーが選びやすくなっているはずだ。
NOAH FASTのポイントは、NOAH SL DISCよりも250gの軽量化を推し進めると同時に、空力面でのディティールを煮詰めている点。より軽く、よりエアロに進化を遂げたことで、小刻みにアップダウンが登場するようなハードコースでも対応しつつ、ラストのスプリントでアドバンテージを受けられるようになっているはずだ。詳しいテクノロジーはレビュー記事を参考のこと。日本では9月の展示会で正式発表となり、価格もその際に公表されるという。
HJC:軽量かつエアロな新型ミドルグレードヘルメット
続いてもロット・スーダルの選手たちが使用するエキップメントを紹介しよう。今シーズンからロット・スーダルは着用するヘルメットをHJCにスイッチしており、オールラウンドモデルIBEX、エアロモデルFURIONという2つをシチュエーションによって使い分けている。
今回のユーロバイクではこの2つのモデルに次ぐミドルグレード「VALECO(ヴァレコ)」がリリースされた。基本となる設計はIBEXとFURIONを掛け合わせたようなセミエアロ形状を採用。前頭部にはIBEXよりも大きなベンチレーションを設けることで、ヘルメット内への空気の流入量を増加させた。一方で側頭部はFUSIONのように空気の乱流を起こしにくそうな滑らかなデザインとなっている。ミドルグレードながらIBEXとFURIONはモーターバイクのヘルメット開発で培ったエアロダイナミクス技術が投入されているため、優れた通気性と空力性能を期待できそうだ。
また、HJCの本国担当者によると、アジアンフィットの帽体を開発を進めているという。元々アジア人の丸型フィットに近い帽体だったが、より日本人の丸型頭にフィットするモデルが登場するのは嬉しいニュースだろう。価格に関してもフラッグシップの2種類と比較し、手頃な設定となる予定となるということなので、日本展開の正式発表を期待して待ちたい。
エリート:ラグジュアリーなインドアバイクFUORIPISTA登場
自転車の形をしながらもインテリアの雰囲気を纏うプロダクトをブースの入り口に鎮座させていたエリート。最も多くのチームをサポートするイタリアンアクセサリーブランドが用意したこのプロダクトは、ガラス製の足を持つ木馬のようなフレーム、銀メッキが輝くクランクが装備され、高級なリビングルームが似合いそう。
このバイクはFOURIPISTAと名付けられたインドアトレーナー。部屋に用意した調度品とメカメカしいスポーツバイクではマッチしない。そんな悩みを解決してくれるようなラグジュアリーな印象を受けるプロダクトだ。
機能としてはDRIVOやDIRETOのような普通のインドアトレーナーと変わらず、パワーメーターが内蔵されており、ant+かBluetoothを介してタブレットなどと連携させることで、エリートのMy E-TrainingやZWIFTなどを楽しむことができる。ギアチェンジは馬の肩周りにあるダブルレバーのようなパーツで行う。
ブルホーン型のハンドルも上下位置の調整がワンタッチでできるため、ライダーの体型に合わせられる。ジムにあるエアロバイクのようなタイプのメリットは、複数人でトレーナーをシェアするときにバイクを交換する手間が無い事。家族でインドアトレーニングを楽しみたい方などにマッチするかもしれない。日本での展開は未定だが、今後の展開が気になるプロダクトだった。
もちろんエリートのスポーツライド用プロダクトもリリースされている。ダイレクトドライブ式の固定ローラー台のフラッグシップ「Drivo」はバージョンアップし「Drivo II」へと進化。ユーザーからの声を受けてカラーはブラックへチェンジ、内蔵パワーメーターの精度が+/-0.5%へと向上。更に、反応性も向上させた事で、よりリアルな走行感を実現している。
ミドルグレードのダイレクトドライブ式ホームトレーナー「DIRETO」もパワーアップ。パワーメーターの計測誤差が+/-2.5%から2.0%へと向上。再現可能斜度が14%となっている。そして、3本ローラーQuick-Motionがモデルチェンジを果たし「Nero」となる。インタラクティブ仕様となり、フルード式のフライホイールによって自然な走行感を実現し、7%の斜度を再現する事が可能となっている。
プロスペックのボトルFLYには保冷仕様の「ICE FLY」が登場。年々暑さ厳しくなる日本の夏季において欠かせないアイテムとなりそうだ。加えて、PRISM CARBONというサイドエントリータイプのボトルケージもラインアップ。来期のエリートのアクセサリーから目が離せない。
SRM:老舗パワーメーターブランドがペダル型PMをリリース
SRMはユーロバイク開催前に発表したパワーメーター「EXAKT」を引っさげユーロバイクに出展。全世界のシリアス系サイクリストが注目するパワーメーターブランドだけあり、ブースにも数多くの来場者が足を運んだ。
EXAKTはルックのKEOペダルをベースとしたパワーメーター。シャフトにセンサーを搭載する事で、パワーを計測するシステムを採用している。ペダルタイプのメリットは、想像できる通り付け替えが非常に容易であること。EXAKTではリチウムイオンバッテリーを使用しているため、充電を行いやすいこともSRMとしては大きなポイントだろう。
計測精度は+/-1.5%。ペダル本体はカーボン製で重量はペアで155g。IPX7の防塵防滴性能を実現しているため、安心してどのようなライドでも使用する事ができるだろう。現在、スプリンターであるアンドレ・グライペルらが実際に使用しているため、強大なパワーも受け止めてくれるはずだ。
エンヴィ:新型エアロステムを発表
ロードやMTB、トライアスロンといった結果を追い求める競技者から、バックカントリーのグラベルロードを楽しく走るカルチャー系ライダーまで幅広くカバーするエンヴィ。ユーロバイクではカラフルに彩ったバイクたちが華やかに演出する、アメリカンなガレージ風のブースを展開した。
ユーロバイクでは新型のロード用ステムがローンチされており、販売用カラーとオリジナルペイントを施した2種類の展示を行なっていた。エアロダイナミクスを意識した作りとなっており、走行風を直接受けるキャップ部分に独自設計を採用。空気が綺麗に流れるように、ボルトがステム上部と、やや斜め下へと移動している。滑らかなルックスとなっているため、バイクコーディネートにも役立つだろう。
またエンヴィは、以前よりスルーアクスルタイプのホイールを外しやすい仕組みのフォークをリリースしている。従来のスルーアクスルはシャフトを全て抜かなければホイールを外せなかったが、レバー側のフォークエンドをクイックタイプのように設計することで、反レバー側のネジを外せばシャフトを抜かずともホイールを脱着できるという優れた設計となっている。デモンストレーションも行われる場面もあり、来場者は創造性溢れるプロダクトに関心していたようだ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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