ツール・ド・フランス第3ステージのチームタイムトライアルで下馬評通りBMCレーシングが最速の走りを披露。チームスカイに4秒、クイックステップフロアーズに7秒つけたアメリカチームが勝利し、マイヨジョーヌはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)の手に渡った。
後半にかけてペースを上げる走りを見せたBMCレーシング photo:Kei Tsuji
20連続グランツール完走のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・スーダル)がコメンテーターとしてツールに帯同 photo:Kei Tsuji
追い風の下りのために58Tを用意するチームスカイ photo:Kei Tsuji
2年間ツール・ド・フランスから姿を消していたチームタイムトライアルが復活した。ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏のショレを発着する35.5kmコースは起伏に富んでおり、選手たちは勾配に合わせて常時変速しながら登りと下りをリズムよくこなさなければならない。加えてフランスらしい合計24カ所のラウンドアバウトが組み込まれており、TTバイクの扱いはもちろん、隊列の組み方やチーム内の意思疎通もタイムに響く。
なお、1995年からショレの市長を務めるジル・ブルドゥレックス氏は大会ディレクターを務めるクリスティアン・プリュドム氏の義理の兄弟であり、ショレの街は10年に1度の頻度でツールに登場している。1998年にはフェスティナ事件で2名の逮捕者が出た地であり、2008年の登場時のステージ優勝者はその後ドーピングで失格処分を受けるステファン・シューマッハーで、リカルド・リッコの陽性反応が検出された場所でもある。古くから取材を行うジャーナリストやフォトグラファーたちはそれらの思い出を回想しながら、マイヨジョーヌ争いに大きく影響する団体戦に注視した。
ステージ4位/9秒差 ミッチェルトン・スコット photo:Luca Bettini
ステージ2位/4秒差 チームスカイ photo:Luca Bettini
ステージ10位/53秒差 モビスター photo:Luca Bettini
ステージ優勝したBMCレーシング photo:Luca Bettini
チーム総合最下位のチームを先頭に5分間のインターバルで22チームがスタート。最終走者はチーム総合最高位のクイックステップフロアーズではなくマイヨジョーヌ擁するボーラ・ハンスグローエ。スプリンター向きの2日間を終えた時点でチーム総合成績の下位(つまり前半スタート)には、逆にこのチームタイムトライアルに向けて温存していたとも言えるミッチェルトン・スコット、チームスカイ、モビスター、グルパマFDJ、BMCレーシングという優勝候補がひしめき合った。
最高気温は30度に満たないものの、真っ青な空から降り注ぐ太陽の光は強烈で、どのチームも大型の扇風機やアイスジャケットで身体を冷やしながら入念にウォーミングアップしてスタート。第1走のミッチェルトン・スコットが第1計測(13km地点)で記録した14分13秒というトップタイムは結局最後まで破られることはなかった。
第2ステージでメンバーが相次いで落車したミッチェルトン・スコットは後半にかけてペースを落としてしまい、代わってBMCレーシングが勾配11%の登り頂上に設定された第2計測(26.5km地点)でトップに立つ。第2計測で6秒差の2位につけたのはチームスカイ。BMCレーシングは終盤にかけてタイムを失ったものの、チームスカイと4秒差の38分46秒という最速タイムを叩き出してフィニッシュした。
後半スタートのクイックステップフロアーズが第1計測でBMCレーシングから2秒遅れ、第2計測で3秒遅れというハイペースを刻んだものの、最終的に7秒届かずステージ3位。最終走者のボーラ・ハンスグローエが50秒遅れのステージ7位に終わった時点で、BMCレーシングのステージ優勝が決まった。BMCレーシングの平均スピードは54.944km/hに達している。
ステージ6位/35秒差 EFエデュケーションファースト・ドラパック photo:Luca Bettini
ステージ12位/1分15秒差 アージェードゥーゼール photo:Luca Bettini
ステージ5位/11秒差 サンウェブ photo:Luca Bettini
ステージ3位/7秒差 クイックステップフロアーズ photo:Luca Bettini
ステージ7位/50秒差 ボーラ・ハンスグローエ photo:Luca Bettini
2015年ツール第9ステージに続くBMCレーシングのチームタイムトライアル勝利。3年前に勝利した9名のメンバーのうち4名(ヴァンアーヴェルマート、ヴァンガーデレン、カルーゾ、シェアー)が今回もメンバー入りしており、今回の優勝メンバーは前哨戦ツール・ド・スイスのチームタイムトライアル優勝メンバーと1名しか違わない(デマルキに代わってベヴィンが入っている)。
第1ステージの落車で失った51秒を挽回することに成功した総合エースのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は「タフなコースだったものの、チームの走りはファンタスティックだった。大柄でパワフルなチームメイトのおかげでパーフェクトなチームTTになったよ。もちろん第1ステージで51秒を失うのは理想的な展開ではないけど、落車して地面に寝転がっていた1年前と比べると些細なこと。今日はこのメンバーで良い走りをすることだけを考えていた」と語る。
ポートはタイムを伸ばせなかったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)からリードを奪うことに成功。総合系選手の中ではトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)らがタイムロスを最小限に抑えている。
最速トレインの中でフィニッシュに向かうリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
ポートから54秒、フルームから50秒失ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji
ポートから1分15秒失ったロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji
遅れたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がフィニッシュに向かう photo:Kei Tsuji
そしてマイヨジョーヌはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)の手に。2016年に3日間マイヨジョーヌを着ているリオ五輪金メダリストがチームメイトのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)と同タイムで総合首位に立ち、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が3秒差、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が5秒差で続く。「ツールの第1週でマイヨジョーヌを着ることが目標だった。これはチームが成し遂げた功績であり、これで勢いをつけてリッチーの総合表彰台とさらなる目標に向かって戦うよ」と総合リーダーは語っている。
ポートを除く総合ライバルたちにタイム差をつけることに成功したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)は「すべてが作戦通りに進んだので満足している。山岳ステージに到着するまで、毎日毎日を大事に走らなければならない。リードを奪う日もあれば失う日もある」とコメントしている。
最速タイムで優勝を飾ったBMCレーシング photo:Kei Tsuji
マイヨジョーヌを獲得したグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji



2年間ツール・ド・フランスから姿を消していたチームタイムトライアルが復活した。ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏のショレを発着する35.5kmコースは起伏に富んでおり、選手たちは勾配に合わせて常時変速しながら登りと下りをリズムよくこなさなければならない。加えてフランスらしい合計24カ所のラウンドアバウトが組み込まれており、TTバイクの扱いはもちろん、隊列の組み方やチーム内の意思疎通もタイムに響く。
なお、1995年からショレの市長を務めるジル・ブルドゥレックス氏は大会ディレクターを務めるクリスティアン・プリュドム氏の義理の兄弟であり、ショレの街は10年に1度の頻度でツールに登場している。1998年にはフェスティナ事件で2名の逮捕者が出た地であり、2008年の登場時のステージ優勝者はその後ドーピングで失格処分を受けるステファン・シューマッハーで、リカルド・リッコの陽性反応が検出された場所でもある。古くから取材を行うジャーナリストやフォトグラファーたちはそれらの思い出を回想しながら、マイヨジョーヌ争いに大きく影響する団体戦に注視した。




チーム総合最下位のチームを先頭に5分間のインターバルで22チームがスタート。最終走者はチーム総合最高位のクイックステップフロアーズではなくマイヨジョーヌ擁するボーラ・ハンスグローエ。スプリンター向きの2日間を終えた時点でチーム総合成績の下位(つまり前半スタート)には、逆にこのチームタイムトライアルに向けて温存していたとも言えるミッチェルトン・スコット、チームスカイ、モビスター、グルパマFDJ、BMCレーシングという優勝候補がひしめき合った。
最高気温は30度に満たないものの、真っ青な空から降り注ぐ太陽の光は強烈で、どのチームも大型の扇風機やアイスジャケットで身体を冷やしながら入念にウォーミングアップしてスタート。第1走のミッチェルトン・スコットが第1計測(13km地点)で記録した14分13秒というトップタイムは結局最後まで破られることはなかった。
第2ステージでメンバーが相次いで落車したミッチェルトン・スコットは後半にかけてペースを落としてしまい、代わってBMCレーシングが勾配11%の登り頂上に設定された第2計測(26.5km地点)でトップに立つ。第2計測で6秒差の2位につけたのはチームスカイ。BMCレーシングは終盤にかけてタイムを失ったものの、チームスカイと4秒差の38分46秒という最速タイムを叩き出してフィニッシュした。
後半スタートのクイックステップフロアーズが第1計測でBMCレーシングから2秒遅れ、第2計測で3秒遅れというハイペースを刻んだものの、最終的に7秒届かずステージ3位。最終走者のボーラ・ハンスグローエが50秒遅れのステージ7位に終わった時点で、BMCレーシングのステージ優勝が決まった。BMCレーシングの平均スピードは54.944km/hに達している。





2015年ツール第9ステージに続くBMCレーシングのチームタイムトライアル勝利。3年前に勝利した9名のメンバーのうち4名(ヴァンアーヴェルマート、ヴァンガーデレン、カルーゾ、シェアー)が今回もメンバー入りしており、今回の優勝メンバーは前哨戦ツール・ド・スイスのチームタイムトライアル優勝メンバーと1名しか違わない(デマルキに代わってベヴィンが入っている)。
第1ステージの落車で失った51秒を挽回することに成功した総合エースのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は「タフなコースだったものの、チームの走りはファンタスティックだった。大柄でパワフルなチームメイトのおかげでパーフェクトなチームTTになったよ。もちろん第1ステージで51秒を失うのは理想的な展開ではないけど、落車して地面に寝転がっていた1年前と比べると些細なこと。今日はこのメンバーで良い走りをすることだけを考えていた」と語る。
ポートはタイムを伸ばせなかったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)からリードを奪うことに成功。総合系選手の中ではトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)らがタイムロスを最小限に抑えている。




そしてマイヨジョーヌはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)の手に。2016年に3日間マイヨジョーヌを着ているリオ五輪金メダリストがチームメイトのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)と同タイムで総合首位に立ち、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が3秒差、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が5秒差で続く。「ツールの第1週でマイヨジョーヌを着ることが目標だった。これはチームが成し遂げた功績であり、これで勢いをつけてリッチーの総合表彰台とさらなる目標に向かって戦うよ」と総合リーダーは語っている。
ポートを除く総合ライバルたちにタイム差をつけることに成功したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)は「すべてが作戦通りに進んだので満足している。山岳ステージに到着するまで、毎日毎日を大事に走らなければならない。リードを奪う日もあれば失う日もある」とコメントしている。


ツール・ド・フランス2018第3ステージ結果
1位 | BMCレーシング | 0:38:46 | 54.944km/h |
2位 | チームスカイ | 0:00:04 | 54.850km/h |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:00:07 | 54.779km/h |
4位 | ミッチェルトン・スコット | 0:00:09 | 54.732km/h |
5位 | サンウェブ | 0:00:11 | 54.685km/h |
6位 | EFエデュケーションファースト・ドラパック | 0:00:35 | 54.130km/h |
7位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:00:50 | 53.788km/h |
8位 | アスタナ | 0:00:51 | 53.765km/h |
9位 | カチューシャ・アルペシン | 0:00:52 | 53.720km/h |
10位 | モビスター | 0:00:53 | 53.697km/h |
11位 | バーレーン・メリダ | 0:01:06 | 53.428km/h |
12位 | アージェードゥーゼール | 0:01:15 | 53.228km/h |
13位 | ロットNLユンボ | 53.228km/h | |
14位 | トレック・セガフレード | 0:01:16 | 53.206km/h |
15位 | UAEチームエミレーツ | 0:01:38 | 52.701km/h |
16位 | グルパマFDJ | 0:01:42 | 52.636km/h |
17位 | フォルトゥネオ・サムシック | 0:01:46 | 52.549km/h |
18位 | ディレクトエネルジー | 0:01:51 | 52.442km/h |
19位 | ロット・スーダル | 0:01:52 | 52.442km/h |
20位 | ディメンションデータ | 52.399km/h | |
21位 | ワンティ・グループゴベール | 0:02:24 | 51.741km/h |
22位 | コフィディス | 0:03:23 | 50.534km/h |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 9:08:55 |
2位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:03 |
4位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:05 |
5位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | 0:00:07 |
6位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:11 |
8位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | |
9位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:35 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 104pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 78pts |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 53pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) | 1pt |
2位 | ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 1pt |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | 9:09:06 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:01:08 |
3位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:22 |
チーム総合成績
1位 | クイックステップフロアーズ | 28:05:59 |
2位 | サンウェブ | 0:00:16 |
3位 | BMCレーシング | 0:00:23 |
text&photo:Kei Tsuji in Cholet, France
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