2018/06/18(月) - 01:57
男子エリートは窪木一茂が優勝、2位に近谷涼が入ってチームブリヂストンサイクリング が1位・2位を独占。女子エリートは與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が4連覇、計5度目の全日本優勝を果たしたタイムトライアル。詳細をレポートする。
朝からよく晴れた1日 photo:Satoru Kato
特設のスタート台からスタート photo:Satoru Kato石川県志賀町で開催された全日本選手権ロード・タイムトライラル。能登半島の西に位置し、金沢市から車で1時間ほどの所が、今年の日本最速決定戦の会場だ。
1周13.1kmのコースは、スタート後3kmの平坦区間ののち、短距離のアップダウンが繰り返される7kmほどを経て、再び平坦区間に出る設定。長い直線の平坦区間でのスピードもさることながら、アップダウン区間でのペース配分がタイムに影響するコースだ。
天気は青空が広がる晴れ。朝方は20℃を下回ったものの、日中は25℃に迫る暑さ。この時期は強風が吹くこともあるそうだが、この日はおだやかな1日だった。
男子エリート 窪木一茂が全日本TT初優勝 トラブルで遅れた佐野淳哉
男子エリートはコースを3周する39.3km。第1ウェーブから第3ウェーブまで3つのグループに分けてスタートスタートする。
2位 近谷涼(チームブリヂストンサイクリング ) photo:Satoru Kato
3位 小石祐馬(チーム右京) photo:Satoru Kato
52分から53分のタイムが並ぶ中、第2ウェーブでスタートした小石祐馬(チーム右京)が51分54秒01で暫定2位、近谷涼(チームブリヂストンサイクリング )が51分26秒60を出して暫定トップに立つ。
2周目に入ったところで佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がストップ photo:Satoru Kato
ノーマルバイクで再スタートした佐野淳哉(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato優勝候補が揃った第3ウェーブに入ると、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング )が最初の1周を16分45秒で周回。最後にスタートした佐野淳哉(マトリックスパワータグ)は17分5秒、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)は17分9秒で周回して2周目位に入っていく。
その直後、佐野がチェーントラブルでストップ。スペアのノーマルバイクに乗り換えて再出走する。佐野はその後タイムトライアルバイクに再度乗り換えるが、2周目だけで1分以上のロスとなってしまう。最終周回を16分台で走った佐野だったが、挽回しきれず6位に終わった。
男子エリート優勝 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング ) photo:Satoru Kato
後輩を祝福に訪れた元チャンピオン・西薗良太 photo:Satoru Kato一方、窪木は大きくペースを崩すことなく周回を重ね、チームメイトでもある近谷のタイムを1分以上上回る50分23秒92でフィニッシュ。ブリヂストンとしては、西薗良太から続き3連覇となった。
2015年のロードレースでの優勝以来となるチャンピオンジャージに袖を通した窪木は「これがゴールではないので、まだ実感が湧かないです」と、率直な感想を話す。
「昨年11月に日本に帰ってきて、個人的にフィジカルトレーナーをつけてトレーニングしてきた結果がこれだったのかなと思います。トラック競技でオリンピックでメダルを取ることを目標にロードとトラック中距離に力を入れてきて、体重は昨年より6kg増えてスピードもパワーも増えました。自信になると思います。
ナショナルチームでも活動する選手が多いチームなので競争意識が高く、普段の生活からレベルの高い環境にいられる。それが特権だと思いますし、その結果がついてきてると思っています。
今日は祝勝会をして、明日から切り替えて次のロードに備えます」と、語った。
男子エリート 表彰 photo:Satoru Kato
2位 近谷涼(チームブリヂストンサイクリング ) コメント
「トラック世界選手権が終わってからロードに乗る機会が多くて、逆にトラックにまったく乗っていないくらいでした。試走してみて、このくらいの登りなら自分でも行けると感じ、リズムよく踏んでいければチャンスはあると思っていました。でもまさか表彰台に乗れるとは思っていませんでした。石川県は準地元で、高校の頃お世話になった人や知人が応援してくれて力になりました。
アジア選手権で個人追い抜きと団体追い抜きで優勝出来ましたが、タイムトライアルのような高強度の練習をよくやっていたので、距離と時間は長いけれどバイクのポジショニングとか似ているところはあると思っているので、工夫すればうまくいけると思っていました。
窪木選手は同じ大学の先輩・後輩で、後ろ姿を追い続けてきました。その先輩と一緒に表彰台に立てるのは本当に嬉しいです。次は勝ちたいですね」
3位 小石祐馬(チーム右京) コメント
「表彰台という意味ではミニマムな目標は達成出来たと思います。でもタイム差を見ると1位と2位よりも4位の選手に近いし、離されてしまったという悔しさはあります。
タイムトライアルには自信はありますが、やはり体が大きくて体重のある選手が強い種目だと思うし、走る前はアップダウンがあるので自分に有利かなとも思いましたが、長いストレートで差がついてしまったように感じます。
来週のロードはU23の時に走って自分向きのコースだと感じています。調子は良いので、崩さないように気をつけて頑張っていきたいと思います」
女子エリート 與那嶺恵理が5度目のタイムトライアル優勝
女子エリート優勝 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:Satoru Kato
女子エリート2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru Kato
女子エリート3位 伊藤杏菜(Live GARDEN BICI STELLE) photo:Satoru Kato
2周26.2kmで行われた女子エリートは、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が圧倒。2位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)に1分49秒もの大差をつけて4連覇。合計5度目の全日本選手権タイムトライアル優勝を決めた。
女子エリート 表彰式 photo:Satoru Kato
全日本選手権タイムトライアル4連覇を達成した與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:Satoru Kato
5度目の優勝について聞かれて「そんなに長く自転車やってましたっけ?」と言う與那嶺。
「全日本は勝って当たり前と自分で思って臨んでいます。自分のパフォーマンスとしては今年はちょっと良くなかったかなと。全日本選手権はタイム差が何秒だろうと勝つことが重要なので、無事に終わってホッとしています。本当はギアが54だとストレートで回りきってしまうので55を使いたかったけれど、準備出来なかったので、アップダウンも含めて全部アウターで押し切れたので悪くなかったかなと思います。
ロードレースも勝ちたいですけれど、相手がいることですので、勝っても負けても良いレースをしたいです。今年は萩原さんも出るし、ヨーロッパでも同じレースを走って良くも悪くもどのくらい走れるのかお互い解っていると思うので、レースを楽しみたいです」
その他カテゴリー
男子U23は、山本大喜(キナンサイクリングチーム)が優勝。「ツアー・オブ・ジャパンの後も連戦でタイムトライアルの練習が出来なくて、どうなるか不安なところもありましたが、調子も上がってきていたのでペース配分をミスらなければ勝てる自信はありました。ジュニアの時に最後の年に全日本タイムトライアルで勝って、U23でも最後の年に勝てたのは嬉しいです」とコメントした。
今年初めて設定された女子U23は、梶原悠未(筑波大学)が優勝した。
男子U23優勝 山本大喜(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru Kato
女子U23 優勝 梶原悠未(筑波大学) photo:Satoru Kato
男子ジュニア優勝 山本哲央(中央大学) photo:Satoru Kato
女子ジュニア優勝 石上夢乃(横浜創学館高校) photo:Satoru Kato
女子U17優勝 渡部春雅(駒澤大学高校) photo:Satoru Kato
男子U17+U15優勝 津田悠義(三好高校) photo:Satoru Kato
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1周13.1kmのコースは、スタート後3kmの平坦区間ののち、短距離のアップダウンが繰り返される7kmほどを経て、再び平坦区間に出る設定。長い直線の平坦区間でのスピードもさることながら、アップダウン区間でのペース配分がタイムに影響するコースだ。
天気は青空が広がる晴れ。朝方は20℃を下回ったものの、日中は25℃に迫る暑さ。この時期は強風が吹くこともあるそうだが、この日はおだやかな1日だった。
男子エリート 窪木一茂が全日本TT初優勝 トラブルで遅れた佐野淳哉
男子エリートはコースを3周する39.3km。第1ウェーブから第3ウェーブまで3つのグループに分けてスタートスタートする。
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52分から53分のタイムが並ぶ中、第2ウェーブでスタートした小石祐馬(チーム右京)が51分54秒01で暫定2位、近谷涼(チームブリヂストンサイクリング )が51分26秒60を出して暫定トップに立つ。
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その直後、佐野がチェーントラブルでストップ。スペアのノーマルバイクに乗り換えて再出走する。佐野はその後タイムトライアルバイクに再度乗り換えるが、2周目だけで1分以上のロスとなってしまう。最終周回を16分台で走った佐野だったが、挽回しきれず6位に終わった。
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2015年のロードレースでの優勝以来となるチャンピオンジャージに袖を通した窪木は「これがゴールではないので、まだ実感が湧かないです」と、率直な感想を話す。
「昨年11月に日本に帰ってきて、個人的にフィジカルトレーナーをつけてトレーニングしてきた結果がこれだったのかなと思います。トラック競技でオリンピックでメダルを取ることを目標にロードとトラック中距離に力を入れてきて、体重は昨年より6kg増えてスピードもパワーも増えました。自信になると思います。
ナショナルチームでも活動する選手が多いチームなので競争意識が高く、普段の生活からレベルの高い環境にいられる。それが特権だと思いますし、その結果がついてきてると思っています。
今日は祝勝会をして、明日から切り替えて次のロードに備えます」と、語った。
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2位 近谷涼(チームブリヂストンサイクリング ) コメント
「トラック世界選手権が終わってからロードに乗る機会が多くて、逆にトラックにまったく乗っていないくらいでした。試走してみて、このくらいの登りなら自分でも行けると感じ、リズムよく踏んでいければチャンスはあると思っていました。でもまさか表彰台に乗れるとは思っていませんでした。石川県は準地元で、高校の頃お世話になった人や知人が応援してくれて力になりました。
アジア選手権で個人追い抜きと団体追い抜きで優勝出来ましたが、タイムトライアルのような高強度の練習をよくやっていたので、距離と時間は長いけれどバイクのポジショニングとか似ているところはあると思っているので、工夫すればうまくいけると思っていました。
窪木選手は同じ大学の先輩・後輩で、後ろ姿を追い続けてきました。その先輩と一緒に表彰台に立てるのは本当に嬉しいです。次は勝ちたいですね」
3位 小石祐馬(チーム右京) コメント
「表彰台という意味ではミニマムな目標は達成出来たと思います。でもタイム差を見ると1位と2位よりも4位の選手に近いし、離されてしまったという悔しさはあります。
タイムトライアルには自信はありますが、やはり体が大きくて体重のある選手が強い種目だと思うし、走る前はアップダウンがあるので自分に有利かなとも思いましたが、長いストレートで差がついてしまったように感じます。
来週のロードはU23の時に走って自分向きのコースだと感じています。調子は良いので、崩さないように気をつけて頑張っていきたいと思います」
女子エリート 與那嶺恵理が5度目のタイムトライアル優勝
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2周26.2kmで行われた女子エリートは、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が圧倒。2位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)に1分49秒もの大差をつけて4連覇。合計5度目の全日本選手権タイムトライアル優勝を決めた。
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5度目の優勝について聞かれて「そんなに長く自転車やってましたっけ?」と言う與那嶺。
「全日本は勝って当たり前と自分で思って臨んでいます。自分のパフォーマンスとしては今年はちょっと良くなかったかなと。全日本選手権はタイム差が何秒だろうと勝つことが重要なので、無事に終わってホッとしています。本当はギアが54だとストレートで回りきってしまうので55を使いたかったけれど、準備出来なかったので、アップダウンも含めて全部アウターで押し切れたので悪くなかったかなと思います。
ロードレースも勝ちたいですけれど、相手がいることですので、勝っても負けても良いレースをしたいです。今年は萩原さんも出るし、ヨーロッパでも同じレースを走って良くも悪くもどのくらい走れるのかお互い解っていると思うので、レースを楽しみたいです」
その他カテゴリー
男子U23は、山本大喜(キナンサイクリングチーム)が優勝。「ツアー・オブ・ジャパンの後も連戦でタイムトライアルの練習が出来なくて、どうなるか不安なところもありましたが、調子も上がってきていたのでペース配分をミスらなければ勝てる自信はありました。ジュニアの時に最後の年に全日本タイムトライアルで勝って、U23でも最後の年に勝てたのは嬉しいです」とコメントした。
今年初めて設定された女子U23は、梶原悠未(筑波大学)が優勝した。
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H3
全日本選手権ロード・タイムトライアル 結果
男子エリート
1位 | 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング ) | 50分23秒92 |
2位 | 近谷 涼(チームブリヂストンサイクリング ) | +1分2秒 |
3位 | 小石祐馬(チーム右京) | +1分30秒 |
4位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | +1分36秒 |
5位 | 渡辺翔太郎(愛三工業レーシングチーム) | +1分39秒 |
6位 | 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) | +1分42秒 |
7位 | 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) | +2分8秒 |
8位 | 石橋 学(チームブリヂストンサイクリング ) | +2分22秒 |
9位 | 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) | +2分40秒 |
10位 | 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) | +2分43秒 |
女子エリート(26.2km)
1位 | 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) | 37分18秒17 |
2位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +1分49秒 |
3位 | 伊藤杏菜(Live GARDEN BICI STELLE) | +3分23秒 |
4位 | 米田和美(MOPS) | +4分30秒 |
5位 | 合田祐美子(CORRIDORE BIORACER) | +5分10秒 |
6位 | 平野弓子(スミダ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) | +6分30秒 |
U23
男子 (26.2km) | ||
1位 | 山本大喜(キナンサイクリングチーム) | 34分14秒23 |
2位 | 石原悠希(順天堂大学) | +13秒 |
3位 | 中川 拳(早稲田大学) | +39秒 |
女子(13.1km) | ||
1位 | 梶原悠未(筑波大学) | 19分3秒32 |
2位 | 下山美寿々(早稲田大学) | +1分13秒) |
3位 | 田上萌々子(ブラウ・ブリッツェン) | +1分43秒 |
ジュニア・U17・U15
男子ジュニア(13.1km) | ||
1位 | 山本哲央(中央大学) | 17分50秒66 |
2位 | 香山飛龍(横浜高校) | +7秒 |
3位 | 福田圭晃(横浜高校) | +7秒 |
女子ジュニア+U17(13.1km) | ||
1位 | 石上夢乃(横浜創学館高校) | 20分21秒36 |
2位 | 増田たま(筑波大学付属坂戸高校) | +1分10秒 |
3位 | 渡部春雅(駒澤大学高校) | +1分22秒 |
男子U17+U15(13.1km) | ||
1位 | 津田悠義(三好高校) | 17分37秒89 |
2位 | 寺田吉騎(Vivace-掛川磐田北) | +50秒 |
3位 | 中村 誠(SSPC-アスリート良山中学校) | +52秒 |
text&photo:Satoru Kato
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