2018/06/03(日) - 10:04
新城幸也が出場する第70回クリテリウム・デュ・ドーフィネが6月3日に開幕。チームTTや過酷なアルプス山岳4連戦が設定された8日間のステージレースにヴィンチェンツォ・ニバリやロマン・バルデ、ゲラント・トーマスをはじめとするマイヨジョーヌ候補が出場する。
アルプス山脈の山岳コースを走る photo:TDWsport
チームTTや過酷なアルプス4連戦が登場
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018 photo:A.S.O.一般的に「ドーフィネ」として呼ばれるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネは、1947年に第1回大会が開催され、長年地元新聞紙のドーフィネ・リベレ社によって運営されてきた8日間のステージレース。2010年からツールと同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)が主催している。
「クリテリウム」の名前がついているものの、レース形式はクリテリウムではない。その名の通りレースの舞台はフランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)で、「ミニ・ツール」と形容されるほど内容の濃いステージレースだ。
実際に2012年と2013年、2015年、2016年はこのドーフィネの総合優勝者がツールの総合優勝に輝いており、マイヨジョーヌ争いを占う最高のリハーサルの場となる。ツールの前哨戦と呼ばれるだけに、オールラウンダーたちの脚試しに最適な山岳ステージや個人タイムトライアルが用意されているのが特徴で、今年はチームタイムトライアルまで組み込まれた。
初日はローヌ川沿いの町バランスを走る6.6kmのプロローグ(個人タイムトライアル)。レース時間8分前後の短いTTは必然的に高速走行となるが、レース当日は降雨の予報が出ているためコーナリングは慎重に。下手に落車をすれば7月のツールにも響くだけにどの選手もリスクを冒さないだろう。
今年のドーフィネは100%スプリンター向きと呼べる平坦ステージがない。スプリンターにチャンスがあるとすれば、低難度ながらカテゴリー山岳が7つも散りばめられた第1ステージと、後半にかけて4つのカテゴリー山岳を越える第2ステージの2日間のみ。いずれも少人数の逃げ切りか小集団によるスプリントに持ち込まれるだろう。そして大会4日目は平坦&直線基調のチームタイムトライアル。その距離は7月のツール第3ステージと全く同じ35kmで、本戦に向けての最高のリハーサルになるはずだ。
アルプス山脈を走るドーフィネ後半4日間はとにかく厳しい。4日連続でカテゴリー1級もしくは超級の山頂フィニッシュが設定されており、個人TTとチームTTでタイムを失ったクライマー系選手にも逆転のチャンスは残されている。後半にかけて超級山岳モンノワール峠(全長17.5km/平均6.9%)と2級山岳ラン=アン=ヴェルコール(全長4.8km/平均7.5%)の組み合わせが登場する今大会最長181kmコースが設定された第4ステージで早速総合成績にシャッフルがかかるだろう。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第4ステージ photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第5ステージ photo:A.S.O.
最終3日間は距離の短さに反して内容が濃い。超級山岳ヴァルモレル(全長12.7km/平均7%)にフィニッシュする第5ステージはまだ序の口で、超級山岳モンテー・ド・ビザンヌ(全長12.4km/平均8.1%)、超級山岳プレ峠(全長12.6km/平均7.6%)、2級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長5.7km/平均6.4%)、1級山岳ラ・ロジエール(全長17.6km/平均5.8%)が断続的に登場する第6ステージは文字通り登りと下りしかない。距離110kmという短さながら、獲得標高差は4,000m近くに達する。
最終第7ステージにもたっぷりと登りが組み込まれており、1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長19km/平均6%)に始まり、3級山岳ルート・デ・ヴィレ峠(全長3.2km/平均5.9%)、1級山岳セジー峠(全長15.1km/平均6.4%)を越えたのち、急勾配の1級山岳ザムラン峠(全長2.7km/平均11.2%)と1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブラン(全長7km/平均7.7%)に挑む。残り1kmを切ってから10%前後の勾配が登場するアルプスの登りで、第70代ドーフィネ王者が決まる。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第6ステージ photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第7ステージ photo:A.S.O.
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チームTTや過酷なアルプス4連戦が登場
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「クリテリウム」の名前がついているものの、レース形式はクリテリウムではない。その名の通りレースの舞台はフランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)で、「ミニ・ツール」と形容されるほど内容の濃いステージレースだ。
実際に2012年と2013年、2015年、2016年はこのドーフィネの総合優勝者がツールの総合優勝に輝いており、マイヨジョーヌ争いを占う最高のリハーサルの場となる。ツールの前哨戦と呼ばれるだけに、オールラウンダーたちの脚試しに最適な山岳ステージや個人タイムトライアルが用意されているのが特徴で、今年はチームタイムトライアルまで組み込まれた。
初日はローヌ川沿いの町バランスを走る6.6kmのプロローグ(個人タイムトライアル)。レース時間8分前後の短いTTは必然的に高速走行となるが、レース当日は降雨の予報が出ているためコーナリングは慎重に。下手に落車をすれば7月のツールにも響くだけにどの選手もリスクを冒さないだろう。
今年のドーフィネは100%スプリンター向きと呼べる平坦ステージがない。スプリンターにチャンスがあるとすれば、低難度ながらカテゴリー山岳が7つも散りばめられた第1ステージと、後半にかけて4つのカテゴリー山岳を越える第2ステージの2日間のみ。いずれも少人数の逃げ切りか小集団によるスプリントに持ち込まれるだろう。そして大会4日目は平坦&直線基調のチームタイムトライアル。その距離は7月のツール第3ステージと全く同じ35kmで、本戦に向けての最高のリハーサルになるはずだ。
アルプス山脈を走るドーフィネ後半4日間はとにかく厳しい。4日連続でカテゴリー1級もしくは超級の山頂フィニッシュが設定されており、個人TTとチームTTでタイムを失ったクライマー系選手にも逆転のチャンスは残されている。後半にかけて超級山岳モンノワール峠(全長17.5km/平均6.9%)と2級山岳ラン=アン=ヴェルコール(全長4.8km/平均7.5%)の組み合わせが登場する今大会最長181kmコースが設定された第4ステージで早速総合成績にシャッフルがかかるだろう。
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最終3日間は距離の短さに反して内容が濃い。超級山岳ヴァルモレル(全長12.7km/平均7%)にフィニッシュする第5ステージはまだ序の口で、超級山岳モンテー・ド・ビザンヌ(全長12.4km/平均8.1%)、超級山岳プレ峠(全長12.6km/平均7.6%)、2級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長5.7km/平均6.4%)、1級山岳ラ・ロジエール(全長17.6km/平均5.8%)が断続的に登場する第6ステージは文字通り登りと下りしかない。距離110kmという短さながら、獲得標高差は4,000m近くに達する。
最終第7ステージにもたっぷりと登りが組み込まれており、1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長19km/平均6%)に始まり、3級山岳ルート・デ・ヴィレ峠(全長3.2km/平均5.9%)、1級山岳セジー峠(全長15.1km/平均6.4%)を越えたのち、急勾配の1級山岳ザムラン峠(全長2.7km/平均11.2%)と1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブラン(全長7km/平均7.7%)に挑む。残り1kmを切ってから10%前後の勾配が登場するアルプスの登りで、第70代ドーフィネ王者が決まる。
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クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018ステージリスト
6月3日(日) | プロローグ | バランス〜バランス | 6.6km(個人TT) |
6月4日(月) | 第1ステージ | バランス~サン=ジュスト=サン=ランベール | 179km |
6月5日(火) | 第2ステージ | モンブリゾン~ベルビル・アン・ボジョレー | 181km |
6月6日(水) | 第3ステージ | ポン=ド=ヴォー~ルーアン=シャトールー | 35km(チームTT) |
6月7日(木) | 第4ステージ | シャゼ=シュル=アン~ラン=アン=ヴェルコール | 181km |
6月8日(金) | 第5ステージ | グルノーブル~ヴァルモレル | 130km |
6月9日(土) | 第6ステージ | フロントゥネ~ラロジエール・エスパス・サンベルナール | 110km |
6月10日(日) | 第7ステージ | ムティエ~サン=ジェルヴェ・モン=ブラン | 136km |
ディフェンディングチャンピオン不在 ニバリやバルデ、トーマスらに注目
今年のドーフィネには珍しく総合優勝経験者がひとりも出場しない。ジロ・デ・イタリアを走ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)はツールに向けて休養中で、2017年総合1位のヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)と総合2位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は同時期開催のツール・ド・スイスを選択。そうなれば、当然2017年総合3位のダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)に注目が集まるが、マーティンは春先のクラシックで精彩を欠き、4月のツール・ド・ロマンディでも総合10位に沈んでいる。
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7月のマイヨジョーヌ候補として注目したいヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は6回目のドーフィネ出場。ニバリは2014年にドーフィネを総合7位で終え、その後イタリア選手権で優勝してからツールで総合優勝を果たしている。ツアー・オブ・ジャパンで落車負傷した新城幸也がニバリをサポートする。
3位に入ったリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ以降、長期にわたって高地トレーニングに励んでいたロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は久々のレース出場。マイヨジョーヌに最も近いフランス人とされるバルデの仕上がり具合は如何に。対して、チーム移籍後に目立った活躍を見せていない2017年ツール山岳賞ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)はそろそろ勝ち星が欲しいところだ。
フルームとともにツールに出場する予定の(そしてフルーム欠場の場合はエースを担う予定の)ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)はクラシックレーサーからグランツールレーサーへの進化の途中。チームにはミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)らが控えており、チームタイムトライアルでライバルたちからリードを奪うだろう。ジロで双子の兄弟サイモンの活躍を見た後だけに、ツアー・オブ・カリフォルニアを総合4位で終えたアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)にも注目したい。
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ジロを総合6位で終えたペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)は連戦出場。スペイン人選手としては、キンタナとバルベルデのいないチームを率いるパリ〜ニース総合優勝者マルク・ソレル(スペイン、モビスター)も総合上位候補だ。エラーダ兄弟(スペイン)やダニエル・ナバーロ(スペイン)を揃えるコフィディスも山岳ステージで強さを見せるだろう。
その他にもイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)やボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)らが総合上位候補に名前が挙がる。
スプリンターにチャンスがある前半2ステージでは、ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)らを擁するチームがレースをコントロールするはずだ。
text:Kei Tsuji
クリテリウム・デュ・ドーフィネ暦代優勝者
1位 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|
2017年 | ヤコブ・フルサング | リッチー・ポート | ダニエル・マーティン |
2016年 | クリストファー・フルーム | ロマン・バルデ | ダニエル・マーティン |
2015年 | クリストファー・フルーム | ティージェイ・ヴァンガーデレン | ルイ・コスタ |
2014年 | アンドリュー・タランスキー | アルベルト・コンタドール | ユルゲン・ヴァンデンブロック |
2013年 | クリストファー・フルーム | リッチー・ポート | ダニエル・モレノ |
2012年 | ブラドリー・ウィギンズ | マイケル・ロジャース | カデル・エヴァンス |
2011年 | ブラドリー・ウィギンズ | カデル・エヴァンス | アレクサンドル・ヴィノクロフ |
2010年 | ヤネス・ブライコヴィッチ | アルベルト・コンタドール | ティージェイ・ヴァンガーデレン |
2009年 | アレハンドロ・バルベルデ | カデル・エヴァンス | アルベルト・コンタドール |
2008年 | アレハンドロ・バルベルデ | カデル・エヴァンス | リーヴァイ・ライプハイマー |
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