2018/06/02(土) - 13:20
国内最高峰のステージレース、ツアー・オブ・ジャパンに出場した海外チームのバイクを紹介する記事後編。NIPPOヴィーニファンファンティーニ・エウロパオヴィーニ、チーム右京、ベネロング・スイスウェルネス、HKSIそしてチームイルミネイトという5チームを取り上げる。
NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ
デローザ PROTOS
引退を予定しているダミアーノ・クネゴや、昨年大会ステージ3勝、ジャパンカップで優勝したマルコ・カノラ(イタリアン)という2人のキャプテンが出場したことでも注目を集めたNIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ。長年チームとの協力体制を敷くデローザのPROTOSがメインバイクだ。大多数の選手はオレンジカラーを使用するが、クネゴにはシルバーの、カノラにはブルーとブラックのスペシャルカラーが供給されている。
コンポーネントはカンパニョーロのスーパーレコードEPS、ホイールは同BORA ULTRA、ハンドル周りはFSA/ヴィジョン、サドルはセライタリアと極めてイタリア色濃いアッセンブリーが特徴。イタリア以外のブランドと言えばパワーメーター(POWER2MAX、ドイツ)とタイヤ(IRC、日本)、ペダル(ルック、フランス)程度。コンポーネントではワイドレシオのカセットに対応するため、ロングケージタイプのリアディレイラーを使うことが昨年との差異だという。
タイヤは昨年までチューブラーモデルがメインだったが、今年はチューブレスとクリンチャーへと変更になった事が特筆される。IRCのFORMULA PROシリーズやASPITE PROをはじめ、市販品とはロゴが異なるテスト品と思われるタイヤが取付けられたスペアバイクも存在した。
なお、クネゴはBORA ULTRAではなく、アルミホイールのSHAMAL ULTRAを使用することが多かった。
チーム右京
フジ SL1.1、TRANSONIC 1.1
ディフェンディングチームとしてツアー・オブ・ジャパンに参戦したチーム右京。シーズンの切り替わりを境にガノーからフジにスイッチしており、メンバーの好みによって軽量オールラウンダーのSL1.1、もしくはエアロロードのTRANSONICが供給されている。全日本王者の畑中勇介のみ両モデルを乗り分けているという。また、レースでは使用されなかったものの、ディスクブレーキ仕様のSLがチームカーのルーフ上に載せられアピールされていた。
光の当たり具合で色が変わるペイントは、フジのカラーオーダーシステムREMIX(リミックス)でオーダーしたもの。ホワイトベースで赤の差し色が入る畑中の全日本チャンピオンカラーは、シーズン前に畑中自身がREMIXでデザインを行なったという。
コンポーネントはR9150系デュラエースDi2で、ホイールも同C40とC60。フラットな東京ステージではロドリゴ・アラケ(スペイン)はよりリムハイトの高い9000世代のC75を使用していた。ハンドルやステム、シートポスト、ボトルケージはPRO製品で統一される。
また、タイヤはヴィットリアのCORSA、サドルはアスチュート。サイクルコンピュータにブライトンを使用することも特徴だ。
ベネロング・スイスウェルネス
サーヴェロ R5、S5
ジェネシス・ウェルスアドバイザーとして活動した2011年にネイサン・ハース(オーストラリア、現カチューシャ・アルペシン)がジャパンカップで優勝するなど、日本のレースでもお馴染みのベネロング・スイスウェルネス。アイソウェイスポーツ・スイスウェルネスとして活動した2017年からサーヴェロの機材供給を受けており、そのトップモデルであるS5とR5を乗り分けている。
今回はスプリンターのアンソニー・ジャコッポ(オーストラリア)がS5を駆り、ヤングライダージャージを獲得したクリス・ハーパー(オーストラリア)ら他メンバーがR5。シマノのサポートチームであり、コンポーネントはR9150系デュラエースDi2で統一されていたが、パワーメーターはパイオニアやPOWER2MAX(+ローター製クランク)、ステージズなど各ブランドが混在していた。
デュラエースのC40またはC60ホイールに組み合わせるタイヤはシュワルベのPRO ONE HT。27mm幅とかなりワイドなモデルを選んでいることが特徴だ。その他ハンドルとステムはPROで、サドルはプロロゴ。
HKSIプロサイクリング
ジャイアント TCR ADVANCED SL、PROPEL ADVANCED SL
実質上香港のナショナルチームであるHKSIプロサイクリングチームは、ジャイアントのバイクを使用する。旧型のバイクを使い続けており、かなり使い込まれた感のある先代PROPELやTCRが主力機だ。
2016年のアジア選手権優勝をきっかけに2年間オリカ(現ミッチェルトン・スコット)に所属したチェン・キンロ(香港)は、2014年モデルのPROPEL ADVANCED SLにR9150系デュラエースDi2と旧世代のSRM+7900世代のデュラエースチェーンリングという現在と過去が混在するバイクに乗っていた。ホイールは9000世代のデュラエースで統一されており、リムに刻まれた大小の傷、窪んだブレーキ面など歴戦の印が刻み込まれていた。
タイヤはコンチネンタルのCONPETITONで、なぜかライトウェイトのロゴ入り製品も。ラウ・ウェンヤゥ(香港)のタイヤは今ではめっきり見なくなった22mm幅だった。チェーンはX11EL TI-GOLDでそれぞれ統一。また、女性用のエアロモデルENVIEがスペアバイクとしてチームカーのルーフ上に乗っており、バイクチョイスの真意は不明。
チームイルミネイト
スペシャライズド S-WORKS Tarmac他
スポンサー企業名を一切廃したチームジャージを着用し、女子チームには樫木祥子も所属しているアメリカ籍のチームイルミネイト。スペシャライズド本社のロード関連プロダクトマネージャーと選手活動を兼業し、ツアー・オブ・ジャパンでは総合10位に入った「業界最速の男」キャメロン・パイパー(アメリカ)の存在が面白い。
先代のTarmacを使う選手が多いが、パイパーは開発スタッフらしく最新モデルに乗る。ディスクブレーキモデルも所有しているそうだが、チーム内での機材共有やニュートラルサポート面を踏まえて実戦投入はしていないという。スペアとして旧型のVengeもチームカーのルーフ上に載せられていた。
ホイールはロヴァール各種を使い分け、パイパーは前CLX32、後CLX50という組み合わせが基本。前身のエアガス・セーフウェイ時代からIRCがタイヤを供給しており、チームは数年前からチューブレス運用に積極的な姿勢を見せてきた。
サドルはスペシャライズドの各製品を使い分けるが、ハンドル類はPRO。パイパーのバイクにはスペシャライズド と関係の深い4iiii(フォーアイ)製パワーメーターや、セラミックスピードのディレイラープーリーが取り付けられていた。
text&photo:So.Isobe
NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ
デローザ PROTOS
引退を予定しているダミアーノ・クネゴや、昨年大会ステージ3勝、ジャパンカップで優勝したマルコ・カノラ(イタリアン)という2人のキャプテンが出場したことでも注目を集めたNIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ。長年チームとの協力体制を敷くデローザのPROTOSがメインバイクだ。大多数の選手はオレンジカラーを使用するが、クネゴにはシルバーの、カノラにはブルーとブラックのスペシャルカラーが供給されている。
コンポーネントはカンパニョーロのスーパーレコードEPS、ホイールは同BORA ULTRA、ハンドル周りはFSA/ヴィジョン、サドルはセライタリアと極めてイタリア色濃いアッセンブリーが特徴。イタリア以外のブランドと言えばパワーメーター(POWER2MAX、ドイツ)とタイヤ(IRC、日本)、ペダル(ルック、フランス)程度。コンポーネントではワイドレシオのカセットに対応するため、ロングケージタイプのリアディレイラーを使うことが昨年との差異だという。
タイヤは昨年までチューブラーモデルがメインだったが、今年はチューブレスとクリンチャーへと変更になった事が特筆される。IRCのFORMULA PROシリーズやASPITE PROをはじめ、市販品とはロゴが異なるテスト品と思われるタイヤが取付けられたスペアバイクも存在した。
なお、クネゴはBORA ULTRAではなく、アルミホイールのSHAMAL ULTRAを使用することが多かった。
チーム右京
フジ SL1.1、TRANSONIC 1.1
ディフェンディングチームとしてツアー・オブ・ジャパンに参戦したチーム右京。シーズンの切り替わりを境にガノーからフジにスイッチしており、メンバーの好みによって軽量オールラウンダーのSL1.1、もしくはエアロロードのTRANSONICが供給されている。全日本王者の畑中勇介のみ両モデルを乗り分けているという。また、レースでは使用されなかったものの、ディスクブレーキ仕様のSLがチームカーのルーフ上に載せられアピールされていた。
光の当たり具合で色が変わるペイントは、フジのカラーオーダーシステムREMIX(リミックス)でオーダーしたもの。ホワイトベースで赤の差し色が入る畑中の全日本チャンピオンカラーは、シーズン前に畑中自身がREMIXでデザインを行なったという。
コンポーネントはR9150系デュラエースDi2で、ホイールも同C40とC60。フラットな東京ステージではロドリゴ・アラケ(スペイン)はよりリムハイトの高い9000世代のC75を使用していた。ハンドルやステム、シートポスト、ボトルケージはPRO製品で統一される。
また、タイヤはヴィットリアのCORSA、サドルはアスチュート。サイクルコンピュータにブライトンを使用することも特徴だ。
ベネロング・スイスウェルネス
サーヴェロ R5、S5
ジェネシス・ウェルスアドバイザーとして活動した2011年にネイサン・ハース(オーストラリア、現カチューシャ・アルペシン)がジャパンカップで優勝するなど、日本のレースでもお馴染みのベネロング・スイスウェルネス。アイソウェイスポーツ・スイスウェルネスとして活動した2017年からサーヴェロの機材供給を受けており、そのトップモデルであるS5とR5を乗り分けている。
今回はスプリンターのアンソニー・ジャコッポ(オーストラリア)がS5を駆り、ヤングライダージャージを獲得したクリス・ハーパー(オーストラリア)ら他メンバーがR5。シマノのサポートチームであり、コンポーネントはR9150系デュラエースDi2で統一されていたが、パワーメーターはパイオニアやPOWER2MAX(+ローター製クランク)、ステージズなど各ブランドが混在していた。
デュラエースのC40またはC60ホイールに組み合わせるタイヤはシュワルベのPRO ONE HT。27mm幅とかなりワイドなモデルを選んでいることが特徴だ。その他ハンドルとステムはPROで、サドルはプロロゴ。
HKSIプロサイクリング
ジャイアント TCR ADVANCED SL、PROPEL ADVANCED SL
実質上香港のナショナルチームであるHKSIプロサイクリングチームは、ジャイアントのバイクを使用する。旧型のバイクを使い続けており、かなり使い込まれた感のある先代PROPELやTCRが主力機だ。
2016年のアジア選手権優勝をきっかけに2年間オリカ(現ミッチェルトン・スコット)に所属したチェン・キンロ(香港)は、2014年モデルのPROPEL ADVANCED SLにR9150系デュラエースDi2と旧世代のSRM+7900世代のデュラエースチェーンリングという現在と過去が混在するバイクに乗っていた。ホイールは9000世代のデュラエースで統一されており、リムに刻まれた大小の傷、窪んだブレーキ面など歴戦の印が刻み込まれていた。
タイヤはコンチネンタルのCONPETITONで、なぜかライトウェイトのロゴ入り製品も。ラウ・ウェンヤゥ(香港)のタイヤは今ではめっきり見なくなった22mm幅だった。チェーンはX11EL TI-GOLDでそれぞれ統一。また、女性用のエアロモデルENVIEがスペアバイクとしてチームカーのルーフ上に乗っており、バイクチョイスの真意は不明。
チームイルミネイト
スペシャライズド S-WORKS Tarmac他
スポンサー企業名を一切廃したチームジャージを着用し、女子チームには樫木祥子も所属しているアメリカ籍のチームイルミネイト。スペシャライズド本社のロード関連プロダクトマネージャーと選手活動を兼業し、ツアー・オブ・ジャパンでは総合10位に入った「業界最速の男」キャメロン・パイパー(アメリカ)の存在が面白い。
先代のTarmacを使う選手が多いが、パイパーは開発スタッフらしく最新モデルに乗る。ディスクブレーキモデルも所有しているそうだが、チーム内での機材共有やニュートラルサポート面を踏まえて実戦投入はしていないという。スペアとして旧型のVengeもチームカーのルーフ上に載せられていた。
ホイールはロヴァール各種を使い分け、パイパーは前CLX32、後CLX50という組み合わせが基本。前身のエアガス・セーフウェイ時代からIRCがタイヤを供給しており、チームは数年前からチューブレス運用に積極的な姿勢を見せてきた。
サドルはスペシャライズドの各製品を使い分けるが、ハンドル類はPRO。パイパーのバイクにはスペシャライズド と関係の深い4iiii(フォーアイ)製パワーメーターや、セラミックスピードのディレイラープーリーが取り付けられていた。
text&photo:So.Isobe