2018/05/16(水) - 02:28
レース時間が6時間を超える244kmコースで行われたジロ・デ・イタリア第10ステージ。集団から脱落した総合2位エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)は復帰できず、終盤に抜け出したマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が初勝利を飾った。
今大会最長の244km(239kmから変更)で行われた2回目の休息日明けのジロ・デ・イタリア第10ステージ。アブルッツォ州のペンネからウンブリア州のグアルド・タディーノまで、アペニン山脈東側に広がる山岳〜丘陵地帯を6時間以上かけて走る。登場するカテゴリー山岳は2級、3級、4級で、最後はジロ初登場のグアルド・タディーノにフィニッシュする。
ずばり逃げ切り向きのステージであり、スタート後すぐに2級山岳フォンテ・デッラ・クレータの登りが始まると先頭では激しいアタック合戦が繰り広げられた。ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)を含む17名のグループが先行したがメイン集団とのタイム差は広がらない。ハイペースのまま進む逃げグループは、地元出身のジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF)を先頭に2級山岳フォンテ・デッラ・クレータをクリアした。
その後もレースは安定することなく、独走に持ち込んだマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)に後続が追いついて先頭は12名。あまりにハイスピードな展開に、1分30秒後方を走るメイン集団から総合2位のエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)やルイス・メインチェス(南アフリカ、ディメンションデータ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)らが脱落した。
チャベスの脱落を知ったライバルチームがメイン集団のスピードをさらに上げたため、先頭グループのリードは広がるどころが縮小した。先頭グループの選手たちは次々に吸収されていき、独走で逃げ続けたトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)も105km地点で吸収されることになる。
こうしてステージの折り返しを前に逃げは全て吸収され、マリアローザ(イェーツ)とマリアビアンカ(カラパス)を含む第1集団を、マリアアッズーラ(チャベス)とマリアチクラミーノ(ヴィヴィアーニ)を含む第2集団が追いかける展開に切り替わる。
ミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズが第2集団を牽引してそれぞれのエースを引き上げたが、チャベスの集団復帰を阻止したいチームスカイやグルパマFDJ、サンウェブが第1集団を率いたためタイム差は縮まらない。サム・ビューリー(ニュージーランド)とクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)を第2集団に下げてチャベスをサポートしたミッチェルトン・スコットの尽力も虚しく、しばらく1分台で推移していたタイム差は残り100km地点で2分50秒まで拡大。その後もタイム差は拡大を続けたため、チャベスが総合2位のポジションを失うとともにミッチェルトン・スコットの総合ワンツー体制が崩れた。
「脚に全く力が入らず、最初の2級山岳で早くも集団から脱落してしまった。とてもタフな1日だった。この先もチームとしてマリアローザを守るという目標は変わりないし、早く復調してイェーツをサポートしたい」と語るチャベスは実に25分25秒もの遅れを被り、総合2位から総合39位まで順位を落としている。
残り90km地点の第2スプリントポイントで集団先頭を取ったマリアローザのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がボーナスタイム3秒を獲得。スプリントポイント通過後に第1集団からマルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)が単独アタックを仕掛けて独走を開始する。
スプリントに持ち込みたいEFエデュケーションファースト・ドラパックとロットNLユンボの2チームが第1集団を牽引する形でフラッポルティを追走。やがてフィニッシュまで残り50kmを切ったタイミングで降り始めた雨により路面はウェットな状態となる。フラッポルティが2分リードで残り40kmアーチを通過した後方では、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)がカウンターアタックを仕掛けた。
ヴィレッラのアタックが呼び水となり、序盤にも動いていたモホリッチも動いて先頭フラッポルティを捉える。第1集団から30秒リードで4級山岳をクリアしたヴィレッラとモホリッチは、フラッポルティを置き去りにして先を急いだ。
雨に濡れた滑りやすい下りでモホリッチがヴィレッラを千切る走りを見せた一方で、このテクニカルダウンヒルを利用して第1集団から抜け出したニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)が単独で先頭へのブリッジに成功する。トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が前走者のコーナリングミスで落車するシーンも見られたが、バイク交換の末に集団に戻っている。
第1集団から1分15秒のリードを得たモホリッチとデンツは、残り12km地点でヴィレッラをふるい落とした。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)の追走も届かず、1分のリードを築いたまま残り10kmアーチを通過したモホリッチとデンツが逃げ切った。
後続に追いつかれる心配のないモホリッチとデンツによるスプリント一騎打ち。モホリッチを先頭に最終コーナーを曲がり、少し登り勾配のストレートにやってくる。デンツが後方からまくりあげたがモホリッチがそれを上回るスピードで先頭を守る。サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)先頭の第1集団に34秒差をつけて、モホリッチが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。
2012年にジュニアカテゴリーで、2013年にU23カテゴリーで世界チャンピオンに輝いているモホリッチ。キャノンデール、ランプレ・メリダ、UAEチームエミレーツ、そして今年からバーレーン・メリダで走る23歳が、2017年ブエルタ・ア・エスパーニャに続くグランツールでのステージ優勝に輝いた。「ドメニコ・ポッツォヴィーヴォという総合エースがいながら、ステージ優勝を狙うことを容認してくれたチームに感謝している。ニコ・デンツにスプリントで勝てるかどうか自信がなかったので、距離を残して何度かアタックした。そして最後は何とか先頭を守り抜いたんだ」と、序盤からの積極的に動きをステージ優勝に繋げたモホリッチは語る。
イェーツは最終的に59名に絞られた第1集団内でフィニッシュ。ミッチェルトン・スコットの総合ワンツー体制は崩れたが、ボーナスタイム3秒によって総合リード拡大に成功している。「休息日の翌日は身体がどうレース強度に反応するかわからない。チャベスは最初の登りで苦しんでいた。彼がどれだけこのジロのために準備をしてきたか知っているので、彼の脱落は残念でならない。トム・デュムランから少しでもタイムを奪う必要があるので、中間スプリントでしっかりとボーナスタイムを稼いだ。この先のステージでももっとボーナスタイムを稼ぎたいと思う」。
マリアローザ、マリアチクラミーノ、マリアアッズーラ、マリアビアンカはいずれも動かず。チャベスは総合争いから脱落したものの、引き続き次点でマリアアッズーラを着用する。
今大会最長の244km(239kmから変更)で行われた2回目の休息日明けのジロ・デ・イタリア第10ステージ。アブルッツォ州のペンネからウンブリア州のグアルド・タディーノまで、アペニン山脈東側に広がる山岳〜丘陵地帯を6時間以上かけて走る。登場するカテゴリー山岳は2級、3級、4級で、最後はジロ初登場のグアルド・タディーノにフィニッシュする。
ずばり逃げ切り向きのステージであり、スタート後すぐに2級山岳フォンテ・デッラ・クレータの登りが始まると先頭では激しいアタック合戦が繰り広げられた。ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)を含む17名のグループが先行したがメイン集団とのタイム差は広がらない。ハイペースのまま進む逃げグループは、地元出身のジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF)を先頭に2級山岳フォンテ・デッラ・クレータをクリアした。
その後もレースは安定することなく、独走に持ち込んだマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)に後続が追いついて先頭は12名。あまりにハイスピードな展開に、1分30秒後方を走るメイン集団から総合2位のエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)やルイス・メインチェス(南アフリカ、ディメンションデータ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)らが脱落した。
チャベスの脱落を知ったライバルチームがメイン集団のスピードをさらに上げたため、先頭グループのリードは広がるどころが縮小した。先頭グループの選手たちは次々に吸収されていき、独走で逃げ続けたトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)も105km地点で吸収されることになる。
こうしてステージの折り返しを前に逃げは全て吸収され、マリアローザ(イェーツ)とマリアビアンカ(カラパス)を含む第1集団を、マリアアッズーラ(チャベス)とマリアチクラミーノ(ヴィヴィアーニ)を含む第2集団が追いかける展開に切り替わる。
ミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズが第2集団を牽引してそれぞれのエースを引き上げたが、チャベスの集団復帰を阻止したいチームスカイやグルパマFDJ、サンウェブが第1集団を率いたためタイム差は縮まらない。サム・ビューリー(ニュージーランド)とクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)を第2集団に下げてチャベスをサポートしたミッチェルトン・スコットの尽力も虚しく、しばらく1分台で推移していたタイム差は残り100km地点で2分50秒まで拡大。その後もタイム差は拡大を続けたため、チャベスが総合2位のポジションを失うとともにミッチェルトン・スコットの総合ワンツー体制が崩れた。
「脚に全く力が入らず、最初の2級山岳で早くも集団から脱落してしまった。とてもタフな1日だった。この先もチームとしてマリアローザを守るという目標は変わりないし、早く復調してイェーツをサポートしたい」と語るチャベスは実に25分25秒もの遅れを被り、総合2位から総合39位まで順位を落としている。
残り90km地点の第2スプリントポイントで集団先頭を取ったマリアローザのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がボーナスタイム3秒を獲得。スプリントポイント通過後に第1集団からマルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)が単独アタックを仕掛けて独走を開始する。
スプリントに持ち込みたいEFエデュケーションファースト・ドラパックとロットNLユンボの2チームが第1集団を牽引する形でフラッポルティを追走。やがてフィニッシュまで残り50kmを切ったタイミングで降り始めた雨により路面はウェットな状態となる。フラッポルティが2分リードで残り40kmアーチを通過した後方では、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)がカウンターアタックを仕掛けた。
ヴィレッラのアタックが呼び水となり、序盤にも動いていたモホリッチも動いて先頭フラッポルティを捉える。第1集団から30秒リードで4級山岳をクリアしたヴィレッラとモホリッチは、フラッポルティを置き去りにして先を急いだ。
雨に濡れた滑りやすい下りでモホリッチがヴィレッラを千切る走りを見せた一方で、このテクニカルダウンヒルを利用して第1集団から抜け出したニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)が単独で先頭へのブリッジに成功する。トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が前走者のコーナリングミスで落車するシーンも見られたが、バイク交換の末に集団に戻っている。
第1集団から1分15秒のリードを得たモホリッチとデンツは、残り12km地点でヴィレッラをふるい落とした。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)の追走も届かず、1分のリードを築いたまま残り10kmアーチを通過したモホリッチとデンツが逃げ切った。
後続に追いつかれる心配のないモホリッチとデンツによるスプリント一騎打ち。モホリッチを先頭に最終コーナーを曲がり、少し登り勾配のストレートにやってくる。デンツが後方からまくりあげたがモホリッチがそれを上回るスピードで先頭を守る。サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)先頭の第1集団に34秒差をつけて、モホリッチが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。
2012年にジュニアカテゴリーで、2013年にU23カテゴリーで世界チャンピオンに輝いているモホリッチ。キャノンデール、ランプレ・メリダ、UAEチームエミレーツ、そして今年からバーレーン・メリダで走る23歳が、2017年ブエルタ・ア・エスパーニャに続くグランツールでのステージ優勝に輝いた。「ドメニコ・ポッツォヴィーヴォという総合エースがいながら、ステージ優勝を狙うことを容認してくれたチームに感謝している。ニコ・デンツにスプリントで勝てるかどうか自信がなかったので、距離を残して何度かアタックした。そして最後は何とか先頭を守り抜いたんだ」と、序盤からの積極的に動きをステージ優勝に繋げたモホリッチは語る。
イェーツは最終的に59名に絞られた第1集団内でフィニッシュ。ミッチェルトン・スコットの総合ワンツー体制は崩れたが、ボーナスタイム3秒によって総合リード拡大に成功している。「休息日の翌日は身体がどうレース強度に反応するかわからない。チャベスは最初の登りで苦しんでいた。彼がどれだけこのジロのために準備をしてきたか知っているので、彼の脱落は残念でならない。トム・デュムランから少しでもタイムを奪う必要があるので、中間スプリントでしっかりとボーナスタイムを稼いだ。この先のステージでももっとボーナスタイムを稼ぎたいと思う」。
マリアローザ、マリアチクラミーノ、マリアアッズーラ、マリアビアンカはいずれも動かず。チャベスは総合争いから脱落したものの、引き続き次点でマリアアッズーラを着用する。
ジロ・デ・イタリア2018第10ステージ結果
1位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | 6:04:52 |
2位 | ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール) | |
3位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:34 |
4位 | エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ) | |
5位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
6位 | マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン) | |
7位 | フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
8位 | ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード) | |
9位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
10位 | ジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) | |
135位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 0:25:25 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 43:42:38 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:41 |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:46 |
4位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:00 |
5位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:01:23 |
6位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:01:36 |
7位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:02:08 |
8位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | |
9位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:02:28 |
10位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:02:30 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 178pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 112pts |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 87pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 55pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 47pts |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 43:44:01 |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:01:14 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) | 0:01:16 |
チーム総合成績
1位 | ミッチェルトン・スコット | 131:11:59 |
2位 | アスタナ | 0:03:48 |
3位 | チームスカイ | 0:04:30 |
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