4月18日(水)、ベルギーのワロン地域で第82回ラ・フレーシュ・ワロンヌが開催される。バルベルデの5年連続6勝目なるか?最大勾配が26%に達する「ユイの壁」にフィニッシュする激坂バトルの見どころをチェック。


前半にリエージュエリアを通過 合計3回登場する「ユイの壁」で決する

ユイの壁の中腹にある連続ヘアピンユイの壁の中腹にある連続ヘアピン photo:TDWsport

ラ・フレーシュ・ワロンヌ2018ラ・フレーシュ・ワロンヌ2018 photo:A.S.O.アルデンヌクラシックの一つに数えられ、毎年アムステルゴールドレースとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに挟まれた水曜日に開催されるラ・フレーシュ・ワロンヌ。ツール・ド・フランスやリエージュと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催するワンデーレースで、2018年で開催82回目を迎える。

レースの舞台となるのはベルギー南東部のワロン地域。「北のクラシック」の舞台であるベルギー北西部のフランデレン地域ではフラマン語(オランダ語)が話されているが、このワロン地域ではフランス語が公用語として話されている。「フレーシュ」はフランス語で「矢」を意味しており、レース名は「ワロンを貫く矢」の意味だ。

距離の短い上りが連続して登場するコースレイアウトはアルデンヌクラシックならでは。他のアルデンヌ2戦とは異なり毎年スタート地点が転々とするのが特徴で、第82回大会はリエージュ近郊のセランでスタートが切られる。このスタート地点の移動により走行地域も東に大きく移動し、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのエリアも一部通過。これにより例年よりも高低差の大きな上りが前半に登場する。

ユイの壁をよじ登るメイン集団ユイの壁をよじ登るメイン集団 photo:TDWsportビールを持って慎重にユイの壁を下るビールを持って慎重にユイの壁を下る photo:Kei Tsuji

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュにも登場する「コート・ド・ラ・ルドゥット」を含む4つの上りをこなしてから、残り58km地点でユイの街を起点にした周回コースに突入。コート・デレッフ(2,100m/5%)、コート・ド・シュラーブ(1,300m/8.1%)、そしてミュール・ド・ユイ(1,300m/9.6%)という3つの上りを含む29km周回を2周。上りの間には横風区間もあり、周回突入後は一瞬の油断も許されないナーバスな展開となる。

2015年に導入された残り5.5km地点のコート・ド・シュラーブでセレクションがかかった状態で、最後のミュール・ド・ユイ(ユイの壁)に突入することになるだろう。長さ1,300m、高低差121m、平均勾配9.3%の登りが「壁」と呼ばれる由縁は、最大勾配が26%(公称19%)に達する激坂ぶりにある。全長1,300mの登りのうち、前半は比較的幅のある緩斜面であり、残り1kmアーチを通過し、ラスト800mで幹線道路から右に曲がって脇道に入ると「壁」がスタートする。

登りが進むにつれて勾配が増し、勝負が決まるのはラスト400mから始まる急勾配区間。コンスタントに20%オーバーを刻む「壁」で飛び出した選手が激坂ハンターの称号を手にする。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ2018ラ・フレーシュ・ワロンヌ2018 photo:A.S.O.


登場する11ヶ所の上り
No. 距離 残り距離 名称 全長 平均勾配
1 65km 133.5km コート・ド・ラ・ヴェッケ 6,200m 5.3%
2 82km 116.5km コート・ド・ラ・ルドゥット 2,000m 8.9%
3 100km 98.5km コート・ド・モン 2,000 5.7%
4 126.5km 72km コート・ダメイ 1,400m 6.7%
5 140.5km 58km ミュール・ド・ユイ(1回目) 1,300m 9.6%
6 153km 45.5km コート・デレッフ 2,100m 5.0%
7 164km 34.5km コート・ド・シュラーブ 1,300m 8.1%
8 169.5km 29km ミュール・ド・ユイ(2回目) 1,300m 9.6%
9 182km 16.5km コート・デレッフ 2,100m 5.0%
10 193km 5.5km コート・ド・シュラーブ 1,300m 8.1%
11 198.5km 0km ミュール・ド・ユイ(3回目) 1,300m 9.6%


激坂ハンターたちが集結 バルベルデが5年連続6勝目を狙う

過去4年間連続で「ユイの壁」を制しているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が今年も優勝候補の筆頭だ。37歳の大ベテランは2006年、2014年、2015年、2016年、2017年の大会で優勝しており、ここまでの通算5勝は歴代最多勝記録。今シーズンは(今シーズンも!)ボルタ・ア・バレンシアナ総合優勝、アブダビツアー総合優勝、ボルタ・ア・カタルーニャ総合優勝、GPミゲールインデュライン優勝と好調で、直前のアムステルゴールドレースでは上りで抜群の登坂力を見せて5位に入っている。

モビスターにはミケル・ランダ(スペイン)やカルロス・ベタンクール(コロンビア)が控えており、様々なレース展開に対応可能。シンプルなユイの登坂勝負に持ち込まれれば、今年もバルベルデの独壇場になるだろう。
2017年に自身5度目の勝利を果たしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)2017年に自身5度目の勝利を果たしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:TDWsportミケル・ランダ(スペイン、モビスター)ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari

これまで3回(2014年2位、2016年3位、2017年2位)表彰台に上っているダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)や、2回(2015年2位、2016年2位)表彰台フィニッシャーのジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がモビスターの牙城を崩しにかかるだろう。アラフィリップは2011年の優勝者フィリップ・ジルベール(ベルギー)を味方につける。

ベルギーのティム・ウェレンス(ロット・スーダル)やディラン・トゥーンス(BMCレーシング)、フランスのロマン・バルデ(アージェードゥーゼール)やワレン・バルギル(フォルトゥネオ・サムシック)、ポーランドのミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)やラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)らも優勝候補の一角。ライバルたちはバルベルデ対策として早めに仕掛けてくるだろう。

これまで7回出場し、2012年の8位が最高位(同年サンレモ3位、リエージュ2位)のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は、アムステルゴールドレースと同様にイサギレ兄弟(スペイン)やエンリーコ・ガスパロット(イタリア)とともにスタートラインに並ぶ。2017年に8位と9位に入ったルディ・モラール(フランス)とダヴィ・ゴデュ(フランス)の若い21歳グルパマFDJコンビの成長ぶりに注目したい。

ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:CorVosティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Tim de Waele / TDWsportミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:voltaaoalgarve.com/João Fonseca

text:Kei Tsuji

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