2018/04/07(土) - 16:52
春のクラシックで連戦連勝を続けるクイックステップフロアーズがパリ〜ルーベを前にした木曜に記者会見を行った。会場となったベルギー・コルトレイクのチームのポップアップストアの様子も合わせて紹介する。
パリ〜ルーベを週末の日曜に控える木曜日の夕方、クイックステップフロアーズの出場選手がコルトレイクのショッピングセンターに集結した。一般公開されファンたちも交流可能だったこの記者会見は、チームが期間限定でオープンしているポップアップストアを会場に開催された。記事後半でショップのユニークな様子もお伝えするが、まずはパリ〜ルーベに向かう選手たちのコメントを紹介する。
フィリップ・ジルベール「11年を隔てたファーストチャレンジ」
― 前回出場したパリ〜ルーベのことを覚えていたら話してください。
パリ〜ルーベを走ったのは一度きり、11年前の2007年(当時ラ・フランセーズデジュ所属)。オグレディから10分遅れで、結果は52位。季節外れの暑さに苦しんだことを覚えている。その時は特別な準備をすることなく、ただトライした。機材もそんなに恵まれていなかった。気温が30℃あって、ほとんど真夏のようだった。25人が逃げて、そのうちの10人がトップ10になったような、普段とは違う変なレースだったと思う。その時は僕も若かったし、そんなに強くなかった。ルーベはそれ以来だから、限界もまだ知らない。
― 誰もが優勝候補に挙げますが?
コンテンダーとして走るのは初めてだね。今回はルーベのために入念な準備をしてきている。ベストな機材とチーム、本当に強いチームメイトが揃っているから、初回のときとはまったく状況が違っている。そして自分の調子もいい。いい結果を出すためのすべての条件が揃っているけれど、経験だけがない状態。ファーストトライだから何か間違いを起こすかもしれない。自分にとって日曜のレースはパヴェのスペシャリストたちと闘ってどこまで行けるかが楽しみ。とにかくベストを尽くすこと。
― 昨年のロンド・ファン・フラーンデレンの勝利から、5つのモニュメントすべてに勝つという目標ができているようですが? ルーベに挑戦してこなかったことを後悔していますか?
タイミングなんだと思う。僕はキャリアの後半を迎えている。以前はリスクを取りたくはなかったから、アルデンヌクラシックを優先して、ルーベは先のこととして見送っていた。そして今ルーベを目標にするのは自然なことだと思っている。
今までもルーベを走るイメージは常に持ってきた。石畳を走るのは得意だけれど、キャリアにおいて他のレースを優先してきた。この数年は他のスポーツをやっていたようなもの。これまではクライマーたちと競ってきたけれど、今はルーラーたちと闘っている。ボクシングに例えるならフェザー級とヘビー級の違いのようなもので、違う種目のようなものだから。
― チームはひとりのエースを決めて走るのですか? それはあなたですか?
僕だけにフォーカスするのは間違いのもとになる。もちろんそのタイミングでどんな役割が果たせるかは自分の調子次第。ロンドではニキがいいタイミングでアタックして、僕が抑えに回ったんだ。
― 自分やチームが絶対に勝たなくてはいけないというプレッシャーは?
プレッシャーは僕らには無い。むしろ他のチームにあると思う。今までのところチームはこれまでにほとんどすべてのレースで勝っている。僕らの存在こそが他のチームにとっては問題なんだ。他のチームは僕らに勝てないことが大きなストレスになっていると思う。そのことが僕らをさらに有利にしてくれると思う。
ニキ・テルプストラ
すべてのレースの中でルーベがもっとも僕にフィットしていると思う。ハーレルベーケとロンドに勝って驚いているけど、今もまだ自分に強さを感じているし、それが大きな自信になっている。
僕らチームはレースに向けて集中している。新たなチャンス、新たなレース。ゼロからスタートするよ。
― サガンがもっともマークすべきライバルになる?
全てのライバルたちをチェックする。そして僕らは自分たちのレースをする。もちろんサガンはチェックする。サガンは強いし素晴らしい選手。ウォッチリストに多くの選手がいるけど、もちろんその中に入っている。日曜の優勝候補のひとりだ。もし誰かがサガンを前に連れて行ってしまったらサガンが勝つ。レースはチェスのようなもの。
ゼネク・スティバル
― 今まで表彰台の中央を逃しているけれど、自分が勝つ可能性があるとすれば、そのシナリオは考えている?
今までにルーベでは2回スプリントで負けている。だからソロで競技場にたどり着きたいと思うけれど、最後の数キロでそれをするのは容易なことじゃないね。
イーリョ・ケイセ
― ヴァンアーヴェルマートは強いと思う?
どのインタビューでもヴァンアーヴェルマートは「僕は調子がいい。昨年よりもいい調子だ」と言っているけれど、今までのレースを見れば彼は苦しんでいるし、チームメイトも居ない。レースはレースで勝つもので、インタビューで勝つものじゃないよ。
― 日曜は天気が良く、ドライになるという天気予報です。いいコンディションはクイックステップにとって良いこと? チームにアドバンテージがあると思うのはどんな天気?
まず、僕は天気予報士じゃないよ(笑)。チームは天候に対しても準備は完璧だと思う。天気が良かろうが、雨が降ろうが、ウェットだと滑りやすいけど...(笑)、あまり気にしていない。
気にするのは僕の役割。できるだけレースを厳しいものにすること。最終局面で15人になったら、そのうち4人が僕らのリーダーになるように。対クイックステップのレースにならないことを願っている。ニキがアタックすればフィル(ジルベール)やスティービー(スティバル)が後方で待っていることを他のチームの皆が知っているからね。
クイックステップフロアーズ ポップアップストア in KORTRIJK
記者会見の会場となったのは2月下旬から4月7日(パリ・ルーベ前日)まで開設されていたクイックステップフロアーズのポップアップストア。開設期間中にはチームが何度かやってきてサイン会やファンとの交流イベントを行った。コルトレイク市街のRingショッピングセンターにあり、普段から買い物客で賑わうモールだ。チームの15年間の歩みをテーマにした展示が楽しめ、年毎の勝利や出来事に関するエピソードが写真や展示物とともに楽しめるようになっていた。
ファンサービスの場としてコーヒーや軽食などが楽しめるカフェコーナーとスムージーバーがあり、チームグッズの購入も可能。スペシャライズドのバイクやエキップメントの展示も。また、体験コーナーとしてローラー台にセットされたバイクを漕げばオレンジジュースが搾られ、それを飲むことができるコーナーも。地域の住民がもっとも利用する一等地である普通のショッピングセンターに自転車チームのポップアップストアができるところが自転車競技が国技にもなっているベルギーらしい。記者会見の日は家族連れのファンも多く詰めかけ、クイックステップフロアーズの人気の高さを感じることが出来た。
photo&text:Makoto.AYANO in Kortrijk, BELGIUM
パリ〜ルーベを週末の日曜に控える木曜日の夕方、クイックステップフロアーズの出場選手がコルトレイクのショッピングセンターに集結した。一般公開されファンたちも交流可能だったこの記者会見は、チームが期間限定でオープンしているポップアップストアを会場に開催された。記事後半でショップのユニークな様子もお伝えするが、まずはパリ〜ルーベに向かう選手たちのコメントを紹介する。
フィリップ・ジルベール「11年を隔てたファーストチャレンジ」
― 前回出場したパリ〜ルーベのことを覚えていたら話してください。
パリ〜ルーベを走ったのは一度きり、11年前の2007年(当時ラ・フランセーズデジュ所属)。オグレディから10分遅れで、結果は52位。季節外れの暑さに苦しんだことを覚えている。その時は特別な準備をすることなく、ただトライした。機材もそんなに恵まれていなかった。気温が30℃あって、ほとんど真夏のようだった。25人が逃げて、そのうちの10人がトップ10になったような、普段とは違う変なレースだったと思う。その時は僕も若かったし、そんなに強くなかった。ルーベはそれ以来だから、限界もまだ知らない。
― 誰もが優勝候補に挙げますが?
コンテンダーとして走るのは初めてだね。今回はルーベのために入念な準備をしてきている。ベストな機材とチーム、本当に強いチームメイトが揃っているから、初回のときとはまったく状況が違っている。そして自分の調子もいい。いい結果を出すためのすべての条件が揃っているけれど、経験だけがない状態。ファーストトライだから何か間違いを起こすかもしれない。自分にとって日曜のレースはパヴェのスペシャリストたちと闘ってどこまで行けるかが楽しみ。とにかくベストを尽くすこと。
― 昨年のロンド・ファン・フラーンデレンの勝利から、5つのモニュメントすべてに勝つという目標ができているようですが? ルーベに挑戦してこなかったことを後悔していますか?
タイミングなんだと思う。僕はキャリアの後半を迎えている。以前はリスクを取りたくはなかったから、アルデンヌクラシックを優先して、ルーベは先のこととして見送っていた。そして今ルーベを目標にするのは自然なことだと思っている。
今までもルーベを走るイメージは常に持ってきた。石畳を走るのは得意だけれど、キャリアにおいて他のレースを優先してきた。この数年は他のスポーツをやっていたようなもの。これまではクライマーたちと競ってきたけれど、今はルーラーたちと闘っている。ボクシングに例えるならフェザー級とヘビー級の違いのようなもので、違う種目のようなものだから。
― チームはひとりのエースを決めて走るのですか? それはあなたですか?
僕だけにフォーカスするのは間違いのもとになる。もちろんそのタイミングでどんな役割が果たせるかは自分の調子次第。ロンドではニキがいいタイミングでアタックして、僕が抑えに回ったんだ。
― 自分やチームが絶対に勝たなくてはいけないというプレッシャーは?
プレッシャーは僕らには無い。むしろ他のチームにあると思う。今までのところチームはこれまでにほとんどすべてのレースで勝っている。僕らの存在こそが他のチームにとっては問題なんだ。他のチームは僕らに勝てないことが大きなストレスになっていると思う。そのことが僕らをさらに有利にしてくれると思う。
ニキ・テルプストラ
すべてのレースの中でルーベがもっとも僕にフィットしていると思う。ハーレルベーケとロンドに勝って驚いているけど、今もまだ自分に強さを感じているし、それが大きな自信になっている。
僕らチームはレースに向けて集中している。新たなチャンス、新たなレース。ゼロからスタートするよ。
― サガンがもっともマークすべきライバルになる?
全てのライバルたちをチェックする。そして僕らは自分たちのレースをする。もちろんサガンはチェックする。サガンは強いし素晴らしい選手。ウォッチリストに多くの選手がいるけど、もちろんその中に入っている。日曜の優勝候補のひとりだ。もし誰かがサガンを前に連れて行ってしまったらサガンが勝つ。レースはチェスのようなもの。
ゼネク・スティバル
― 今まで表彰台の中央を逃しているけれど、自分が勝つ可能性があるとすれば、そのシナリオは考えている?
今までにルーベでは2回スプリントで負けている。だからソロで競技場にたどり着きたいと思うけれど、最後の数キロでそれをするのは容易なことじゃないね。
イーリョ・ケイセ
― ヴァンアーヴェルマートは強いと思う?
どのインタビューでもヴァンアーヴェルマートは「僕は調子がいい。昨年よりもいい調子だ」と言っているけれど、今までのレースを見れば彼は苦しんでいるし、チームメイトも居ない。レースはレースで勝つもので、インタビューで勝つものじゃないよ。
― 日曜は天気が良く、ドライになるという天気予報です。いいコンディションはクイックステップにとって良いこと? チームにアドバンテージがあると思うのはどんな天気?
まず、僕は天気予報士じゃないよ(笑)。チームは天候に対しても準備は完璧だと思う。天気が良かろうが、雨が降ろうが、ウェットだと滑りやすいけど...(笑)、あまり気にしていない。
気にするのは僕の役割。できるだけレースを厳しいものにすること。最終局面で15人になったら、そのうち4人が僕らのリーダーになるように。対クイックステップのレースにならないことを願っている。ニキがアタックすればフィル(ジルベール)やスティービー(スティバル)が後方で待っていることを他のチームの皆が知っているからね。
クイックステップフロアーズ ポップアップストア in KORTRIJK
記者会見の会場となったのは2月下旬から4月7日(パリ・ルーベ前日)まで開設されていたクイックステップフロアーズのポップアップストア。開設期間中にはチームが何度かやってきてサイン会やファンとの交流イベントを行った。コルトレイク市街のRingショッピングセンターにあり、普段から買い物客で賑わうモールだ。チームの15年間の歩みをテーマにした展示が楽しめ、年毎の勝利や出来事に関するエピソードが写真や展示物とともに楽しめるようになっていた。
ファンサービスの場としてコーヒーや軽食などが楽しめるカフェコーナーとスムージーバーがあり、チームグッズの購入も可能。スペシャライズドのバイクやエキップメントの展示も。また、体験コーナーとしてローラー台にセットされたバイクを漕げばオレンジジュースが搾られ、それを飲むことができるコーナーも。地域の住民がもっとも利用する一等地である普通のショッピングセンターに自転車チームのポップアップストアができるところが自転車競技が国技にもなっているベルギーらしい。記者会見の日は家族連れのファンも多く詰めかけ、クイックステップフロアーズの人気の高さを感じることが出来た。
photo&text:Makoto.AYANO in Kortrijk, BELGIUM
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