2018/03/11(日) - 05:44
標高1,500mスキー場ヴァルドゥブロールに向かうパリ〜ニース第7ステージでサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がライバルたちを圧倒。イギリス生まれの25歳が最終日を前にマイヨジョーヌを手にした。
プロヴァンスの田舎町を通過する photo:A.S.O.
パリ〜ニース2018第7ステージ photo:A.S.O.終着地ニースをスタートするパリ〜ニース最終日前日の第7ステージは、獲得標高差が3,300mに達する今大会のクイーンステージ。急峻なプロヴァンスの山岳地帯を走るコースには合計5つのカテゴリー山岳が設定されており、1級山岳ヴァルドゥブロール/ラ・コルミアーヌ(全長16.3km/平均6.2%)にフィニッシュラインが引かれている。標高1,500mのスキー場に向かう、5〜7%の勾配が淡々と続く峠道で総合争いが繰り広げられた。
雨時々曇りというあいにくの天気の影響でこの日はリタイア者が続出した。ミラノ〜サンレモを見据えるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)は、悪天候で体調を崩さないことを優先してスタートせず。ステージ途中で前年度総合3位のダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ)、クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)らが相次いでバイクを降りた。テウニッセンのリタイアによりサンウェブのメンバーは3名に。
雨が落ち、低温でどんよりとした灰色の空が広がるコートダジュールをトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)、ローリー・サザーランド(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、アマエル・モワナール(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)、ヘスス・エラーダ(スペイン、コフィディス)という強力な8名が逃げた。すでに総合で遅れているガロパンやロッシュや、総合で2分36秒しか遅れていないデマルキが乗ったこの逃げグループには与えられたタイム差は最大3分20秒。
カテゴリー山岳を立て続けに4つ先頭通過したのはデヘント。この日だけで31ポイントを荒稼ぎした「逃げ屋」デヘントは、ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー)の2倍近い獲得ポイントで山岳賞トップに立つ。デマールのリタイアによりティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がポイント賞トップに立ったため、ロット・スーダルは赤玉ジャージと緑色ジャージを獲得している。
アスタナが牽引するメイン集団は、時折ばらけながら(ウェレンスやエナオが一時的に脱落)カテゴリー山岳を越えていく。バーレーン・メリダやミッチェルトン・スコットが集団牽引に加わると逃げグループとのタイム差は縮小。逃げていたパンタノとデマルキは残り28km地点で落車し、ガロパンとロッシュ、モワナールの3名が逃げを続行したが、最後の1級山岳ラ・コルミアーヌに入ってすぐメイン集団に吸収された。ガードレール下に落ちながら大怪我を免れたデマルキはステージ76位でフィニッシュしている。
ミッチェルトン・スコットやバーレーン・メリダ、アスタナを先頭に集団は進む photo:A.S.O.
マイヨジョーヌを着て走るルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) photo:A.S.O.
メイン集団を牽引するアレクサンダー・エドモンソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
逃げるトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)ら photo:A.S.O.
アスタナとバーレーン・メリダのペースメイクによって、霧たちこめる全長16.3kmの1級山岳ラ・コルミアーヌで人数を減らしていく集団。オンループ・ヘットニュースブラッド覇者ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)らの牽引が終わると、残り7km地点を切ってからミッチェルトン・スコットがペースアップを開始した。
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット)が作るハイペースによってマイヨジョーヌのルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が脱落。アスタナはアシストをフル動員してサンチェスを牽引したが精鋭集団とのタイム差は広がっていく。
クロイツィゲルに発射される形でサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が残り4kmでアタックするとヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)だけが食らいついた。大会連覇がかかったセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)も反応したが追いつくことができず、集団内でダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ)のサポートを受けて走ることに。
約10秒先行したイェーツとヨン・イサギレの後ろでは、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がカウンターアタックした一方で、総合2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)と総合3位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)、そして前年度覇者エナオは脱落した。
メイン集団のペースを上げるロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
先行するサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)とヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) photo:A.S.O.
山頂フィニッシュを制したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
先頭ではフラムルージュ(残り1kmアーチ)を前にイェーツがヨン・イサギレを千切って独走。変わらぬハイペースを刻んだイェーツが1級山岳ラ・コルミアーヌを単独で登りきった。8秒差でトゥーンスとヨン・イサギレが、そして13秒差でゴルカ・イサギレとウェレンスがフィニッシュ。4分22秒遅れたサンチェスは総合首位の座をイェーツに明け渡した。
「山頂フィニッシュで勝つのはこれが初めて」というイェーツは「前半からとても厳しい1日だったけど、チームメイトのおかげで力を温存しながら走ることができていた。集団分裂で多くの選手が力を浪費する中、ずっと良いポジションにつけていたので問題なかった。最後の1級山岳に入ってからアスタナが良いペースを作り、あるところでロマン・クロイツィゲルと一緒にハードな展開を作り出そうとペースアップ。そこから段階的に自分がアタックした。これは間違いなくキャリア最大の勝利であり、ここまで積み重ねてきたものが報われた気分だ」とクイーンステージでの勝利を喜ぶ。
最終日を前にマイヨジョーヌを手にしたイェーツはヨン・イサギレから11秒、ゴルカ・イサギレから12秒、そしてウェレンスから13秒の総合リードを得ている。「イサギレ兄弟は感情を表に出さないので状態が読みにくい。ティム・ウェレンスの状態も良いので、明日の最終ステージはタフなレースになると思う。例年総合争いは1秒差や2秒差で決しているし、明日もそうなると思う。でもミッチェルトン・スコットは強力なので自信をもって挑みたい」と、25歳のブリティッシュオールラウンダーは語った。
上位に絡めず倒れこむジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:A.S.O.
マイヨジョーヌを手にしたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
ポイント賞トップに立ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:A.S.O.
山岳賞ジャージを手にしたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:A.S.O.


雨時々曇りというあいにくの天気の影響でこの日はリタイア者が続出した。ミラノ〜サンレモを見据えるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)は、悪天候で体調を崩さないことを優先してスタートせず。ステージ途中で前年度総合3位のダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ)、クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)らが相次いでバイクを降りた。テウニッセンのリタイアによりサンウェブのメンバーは3名に。
雨が落ち、低温でどんよりとした灰色の空が広がるコートダジュールをトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)、ローリー・サザーランド(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、アマエル・モワナール(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)、ヘスス・エラーダ(スペイン、コフィディス)という強力な8名が逃げた。すでに総合で遅れているガロパンやロッシュや、総合で2分36秒しか遅れていないデマルキが乗ったこの逃げグループには与えられたタイム差は最大3分20秒。
カテゴリー山岳を立て続けに4つ先頭通過したのはデヘント。この日だけで31ポイントを荒稼ぎした「逃げ屋」デヘントは、ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー)の2倍近い獲得ポイントで山岳賞トップに立つ。デマールのリタイアによりティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がポイント賞トップに立ったため、ロット・スーダルは赤玉ジャージと緑色ジャージを獲得している。
アスタナが牽引するメイン集団は、時折ばらけながら(ウェレンスやエナオが一時的に脱落)カテゴリー山岳を越えていく。バーレーン・メリダやミッチェルトン・スコットが集団牽引に加わると逃げグループとのタイム差は縮小。逃げていたパンタノとデマルキは残り28km地点で落車し、ガロパンとロッシュ、モワナールの3名が逃げを続行したが、最後の1級山岳ラ・コルミアーヌに入ってすぐメイン集団に吸収された。ガードレール下に落ちながら大怪我を免れたデマルキはステージ76位でフィニッシュしている。




アスタナとバーレーン・メリダのペースメイクによって、霧たちこめる全長16.3kmの1級山岳ラ・コルミアーヌで人数を減らしていく集団。オンループ・ヘットニュースブラッド覇者ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)らの牽引が終わると、残り7km地点を切ってからミッチェルトン・スコットがペースアップを開始した。
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット)が作るハイペースによってマイヨジョーヌのルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が脱落。アスタナはアシストをフル動員してサンチェスを牽引したが精鋭集団とのタイム差は広がっていく。
クロイツィゲルに発射される形でサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が残り4kmでアタックするとヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)だけが食らいついた。大会連覇がかかったセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)も反応したが追いつくことができず、集団内でダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ)のサポートを受けて走ることに。
約10秒先行したイェーツとヨン・イサギレの後ろでは、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がカウンターアタックした一方で、総合2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)と総合3位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)、そして前年度覇者エナオは脱落した。



先頭ではフラムルージュ(残り1kmアーチ)を前にイェーツがヨン・イサギレを千切って独走。変わらぬハイペースを刻んだイェーツが1級山岳ラ・コルミアーヌを単独で登りきった。8秒差でトゥーンスとヨン・イサギレが、そして13秒差でゴルカ・イサギレとウェレンスがフィニッシュ。4分22秒遅れたサンチェスは総合首位の座をイェーツに明け渡した。
「山頂フィニッシュで勝つのはこれが初めて」というイェーツは「前半からとても厳しい1日だったけど、チームメイトのおかげで力を温存しながら走ることができていた。集団分裂で多くの選手が力を浪費する中、ずっと良いポジションにつけていたので問題なかった。最後の1級山岳に入ってからアスタナが良いペースを作り、あるところでロマン・クロイツィゲルと一緒にハードな展開を作り出そうとペースアップ。そこから段階的に自分がアタックした。これは間違いなくキャリア最大の勝利であり、ここまで積み重ねてきたものが報われた気分だ」とクイーンステージでの勝利を喜ぶ。
最終日を前にマイヨジョーヌを手にしたイェーツはヨン・イサギレから11秒、ゴルカ・イサギレから12秒、そしてウェレンスから13秒の総合リードを得ている。「イサギレ兄弟は感情を表に出さないので状態が読みにくい。ティム・ウェレンスの状態も良いので、明日の最終ステージはタフなレースになると思う。例年総合争いは1秒差や2秒差で決しているし、明日もそうなると思う。でもミッチェルトン・スコットは強力なので自信をもって挑みたい」と、25歳のブリティッシュオールラウンダーは語った。




パリ〜ニース2018第7ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 5:02:54 |
2位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:08 |
3位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
4位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:13 |
5位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
6位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:20 |
7位 | セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:46 |
8位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | |
9位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:48 |
10位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:54 |
17位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:02:01 |
26位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:04:22 |
個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 27:29:02 |
2位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:11 |
3位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:12 |
4位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:13 |
5位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:27 |
6位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:00:37 |
7位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:39 |
8位 | セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:57 |
9位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:01:48 |
10位 | アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:49 |
ポイント賞
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 29pts |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 28pts |
3位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 26pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 60pts |
2位 | ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー) | 31pts |
3位 | ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) | 25pts |
ヤングライダー賞
1位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 27:29:39 |
2位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:15 |
3位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:36 |
チーム総合成績
1位 | ミッチェルトン・スコット | 82:43:57 |
2位 | チームスカイ | 0:00:43 |
3位 | アージェードゥーゼール | 0:01:16 |
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
photo:A.S.O.
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