2018/03/07(水) - 15:24
3月7日から13日までの7日間にわたって、イタリア半島を横断するティレーノ〜アドリアティコが開催される。フルーム、デュムラン、ニバリ、アル、ランダ、バルデ、そしてサガン、GVA、ガビリア、カヴ、キッテル、ユアン、初山翔が出場する1週間のステージレースの見どころをチェック。
パリ〜ニースに肩を並べるもう一つのステージレース
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルト(エッレチーエッセ・スポルト)が主催するティレーノ〜アドリアティコ。レース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。イタリア半島を囲む2つの海を結ぶその行程から、「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力選手たちが大勢出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分けている。開催期間はパリ〜ニースよりも1日短い7日間だが、タイムトライアルx2、平坦ステージx2、丘陵ステージx2、本格山岳ステージx1というバリエーションに富んだコース設定が特徴だ。
初日はティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレを舞台にしたチームタイムトライアル。平坦&直線基調の21.5kmコースを22チームの選手たちが高速で駆け抜け、優勝チームの先頭フィニッシュ選手が青いリーダージャージを獲得する。スピードが弱まるポイントが少ないため、平均スピードは55km/h前後まで上がる予想が出ている。
第2ステージはスタート直後のGPM(グラン・プレミオ・モンターニャ=カテゴリー山岳)を除いてほぼフルフラットな167km。終盤にかけてフォッロニカの8.3km周回コースを3周するレイアウトは完全にスプリンター向きだ。ラスト40kmがフラットな最終日前日の第6ステージもスプリンター向きであり、逆に言えばその2日間を除いてスプリンターにチャンスは回ってこない。
ティレーノ〜アドリアティコと言えば激坂が登場する丘陵コースが名物。トスカーナ州からウンブリア州に向かう第3ステージには4つのGPMが設定されており、最後は「イタリアの最も美しい村」に指定されているトレヴィにフィニッシュ。中世の面影を色濃く残す丘上都市に向かう登りは最大勾配が20%に達する激坂で、残り1.5kmから先の平均勾配は11.5%。進むにつれて勾配が増すこの激坂を2回登ってフィニッシュを迎える。
219kmという距離に4つのGPMが詰め込まれた第4ステージが今大会のクイーンステージ。とくに中盤以降は登りと下りしかなく、フィニッシュ地点は標高1,335mのGPMサッソテットの頂上だ。全長11.75kmにわたって平均7.1%/最大13%の勾配が続くアペニン山脈の峠道を制したものが、青いリーダージャージを手にすることになるだろう。
今年のティレーノ〜アドリアティコは、2017年4月22日に事故死したミケーレ・スカルポーニ(イタリア)に捧げる大会でもある。第5ステージのフィニッシュ地点フィロットラーノは、2009年大会総合優勝者のスカルポーニが住み、命を落とした街だ。レースは終盤にかけてフィロットラーノを中心にした周回コースを3周(事故現場は避けている)。残り3km地点でピークを迎える最大勾配16%のGPMムーロ・ディ・フィロットラーノをこなし、さらに10%前後の登りをこなしてようやくフィニッシュを迎える。主催者RCSスポルトはこの第5ステージと第3ステージを「壁のステージ」と命名している。
最終日は恒例となっているサンベネデット・デル・トロントの10km個人タイムトライアル。海岸通りを含む真っ平らなハイスピード走行で総合争いが決する。
フルーム、デュムラン、ニバリ、サガン、GVA、カヴ、キッテルらが激突
スタートラインに並ぶのは、18あるUCIワールドチームにガスプロム・ルスヴェロ、イスラエル・サイクリングアカデミー、NIPPOヴィーニファンティーニ、ウィリエール・トリエスティーナを加えた合計22チーム。ストラーデビアンケに続いてNIPPOヴィーニファンティーニからは初山翔が出場し、総合エースのダミアーノ・クネゴ(イタリア)やマルコ・カノラ(イタリア)、スプリンターのフアンホセ・ロバト(スペイン)をアシストする。
今大会最も大きな注目を集めているのは、ジロ・デ・イタリア出場を表明しているクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)だろう。未だにドーピング疑惑が取り沙汰されているが、ダブルツールを狙うフルームは初出場した2013年大会(ステージ1勝&総合2位)以来となる自身2度目のティレーノ出場。シーズン初戦をアンダルシアを総合10位で終えたフルームは、ミラノ〜サンレモ覇者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)やゲラント・トーマス(イギリス)を含む強力なメンバーを従えての出場となる。
対するのは、2017年ジロ覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、そしてロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)という一流のグランツールレーサーたち。ディフェンディングチャンピオンのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は欠場するが、実に豪華なメンバーが揃った。
中でも、2ヶ月後のジロで顔を合わす予定のフルーム、デュムラン、アルの戦いに注目。ツール・ド・フランスに集中するためジロをパスする予定のニバリとランダ、バルデもここに加わるため、グランツール並みもしくはそれ以上の熾烈な総合争いが予想される。
他にもミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、ルイス・メインチェス(南アフリカ、ディメンションデータ)、シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)といったオールラウンダーも揃っており、特に第4ステージのGPMサッソテット山頂フィニッシュはハイレベルな戦いになるだろう。
「壁」が登場する丘陵ステージでは、オールラウンダーの他にも世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)や、GVAことグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)といったパンチャーたちも勝負に絡むだろう。ストラーデビアンケを制したばかりの新星ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)も出場する。
平坦ステージではマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らが覇権を争う。もちろん地元イタリアのソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)やサーシャ・モードロ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジャコモ・ニッツォーロ(トレック・セガフレード)らも、このティレーノ閉幕4日後に開催されるミラノ〜サンレモに向けて感触をつかんでおきたいところだ。
パリ〜ニースに肩を並べるもう一つのステージレース
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルト(エッレチーエッセ・スポルト)が主催するティレーノ〜アドリアティコ。レース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。イタリア半島を囲む2つの海を結ぶその行程から、「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力選手たちが大勢出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分けている。開催期間はパリ〜ニースよりも1日短い7日間だが、タイムトライアルx2、平坦ステージx2、丘陵ステージx2、本格山岳ステージx1というバリエーションに富んだコース設定が特徴だ。
初日はティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレを舞台にしたチームタイムトライアル。平坦&直線基調の21.5kmコースを22チームの選手たちが高速で駆け抜け、優勝チームの先頭フィニッシュ選手が青いリーダージャージを獲得する。スピードが弱まるポイントが少ないため、平均スピードは55km/h前後まで上がる予想が出ている。
第2ステージはスタート直後のGPM(グラン・プレミオ・モンターニャ=カテゴリー山岳)を除いてほぼフルフラットな167km。終盤にかけてフォッロニカの8.3km周回コースを3周するレイアウトは完全にスプリンター向きだ。ラスト40kmがフラットな最終日前日の第6ステージもスプリンター向きであり、逆に言えばその2日間を除いてスプリンターにチャンスは回ってこない。
ティレーノ〜アドリアティコと言えば激坂が登場する丘陵コースが名物。トスカーナ州からウンブリア州に向かう第3ステージには4つのGPMが設定されており、最後は「イタリアの最も美しい村」に指定されているトレヴィにフィニッシュ。中世の面影を色濃く残す丘上都市に向かう登りは最大勾配が20%に達する激坂で、残り1.5kmから先の平均勾配は11.5%。進むにつれて勾配が増すこの激坂を2回登ってフィニッシュを迎える。
219kmという距離に4つのGPMが詰め込まれた第4ステージが今大会のクイーンステージ。とくに中盤以降は登りと下りしかなく、フィニッシュ地点は標高1,335mのGPMサッソテットの頂上だ。全長11.75kmにわたって平均7.1%/最大13%の勾配が続くアペニン山脈の峠道を制したものが、青いリーダージャージを手にすることになるだろう。
今年のティレーノ〜アドリアティコは、2017年4月22日に事故死したミケーレ・スカルポーニ(イタリア)に捧げる大会でもある。第5ステージのフィニッシュ地点フィロットラーノは、2009年大会総合優勝者のスカルポーニが住み、命を落とした街だ。レースは終盤にかけてフィロットラーノを中心にした周回コースを3周(事故現場は避けている)。残り3km地点でピークを迎える最大勾配16%のGPMムーロ・ディ・フィロットラーノをこなし、さらに10%前後の登りをこなしてようやくフィニッシュを迎える。主催者RCSスポルトはこの第5ステージと第3ステージを「壁のステージ」と命名している。
最終日は恒例となっているサンベネデット・デル・トロントの10km個人タイムトライアル。海岸通りを含む真っ平らなハイスピード走行で総合争いが決する。
フルーム、デュムラン、ニバリ、サガン、GVA、カヴ、キッテルらが激突
スタートラインに並ぶのは、18あるUCIワールドチームにガスプロム・ルスヴェロ、イスラエル・サイクリングアカデミー、NIPPOヴィーニファンティーニ、ウィリエール・トリエスティーナを加えた合計22チーム。ストラーデビアンケに続いてNIPPOヴィーニファンティーニからは初山翔が出場し、総合エースのダミアーノ・クネゴ(イタリア)やマルコ・カノラ(イタリア)、スプリンターのフアンホセ・ロバト(スペイン)をアシストする。
今大会最も大きな注目を集めているのは、ジロ・デ・イタリア出場を表明しているクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)だろう。未だにドーピング疑惑が取り沙汰されているが、ダブルツールを狙うフルームは初出場した2013年大会(ステージ1勝&総合2位)以来となる自身2度目のティレーノ出場。シーズン初戦をアンダルシアを総合10位で終えたフルームは、ミラノ〜サンレモ覇者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)やゲラント・トーマス(イギリス)を含む強力なメンバーを従えての出場となる。
対するのは、2017年ジロ覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、そしてロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)という一流のグランツールレーサーたち。ディフェンディングチャンピオンのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は欠場するが、実に豪華なメンバーが揃った。
中でも、2ヶ月後のジロで顔を合わす予定のフルーム、デュムラン、アルの戦いに注目。ツール・ド・フランスに集中するためジロをパスする予定のニバリとランダ、バルデもここに加わるため、グランツール並みもしくはそれ以上の熾烈な総合争いが予想される。
他にもミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、ルイス・メインチェス(南アフリカ、ディメンションデータ)、シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)といったオールラウンダーも揃っており、特に第4ステージのGPMサッソテット山頂フィニッシュはハイレベルな戦いになるだろう。
「壁」が登場する丘陵ステージでは、オールラウンダーの他にも世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)や、GVAことグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)といったパンチャーたちも勝負に絡むだろう。ストラーデビアンケを制したばかりの新星ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)も出場する。
平坦ステージではマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らが覇権を争う。もちろん地元イタリアのソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)やサーシャ・モードロ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジャコモ・ニッツォーロ(トレック・セガフレード)らも、このティレーノ閉幕4日後に開催されるミラノ〜サンレモに向けて感触をつかんでおきたいところだ。
ティレーノ〜アドリアティコ2018ステージリスト
3月7日(水) | 第1ステージ | リード・ディ・カマイオーレ | 21.5km(チームTT) |
3月8日(木) | 第2ステージ | カマイオーレ〜フォッロニカ | 167km |
3月9日(金) | 第3ステージ | フォッロニカ〜トレヴィ | 234km |
3月10日(土) | 第4ステージ | フォリーニョ〜サルナノ・サッソテット | 219km |
3月11日(日) | 第5ステージ | カステルライモンド〜フィロットラーノ | 178km |
3月12日(月) | 第6ステージ | ヌマラ〜ファーノ | 153km |
3月13日(火) | 第7ステージ | サンベネデット・デル・トロント | 10km(個人TT) |
text:Kei.Tsuji
Amazon.co.jp