2018/01/16(火) - 18:58
大集団スプリントに持ち込まれたサントス・ツアー・ダウンアンダー第1ステージ。ユアンやサガン、ヴィヴィアーニを下したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)がステージ通算17勝目とリーダージャージを手にした。
UCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーが1月16日に開幕。初日は州都アデレードの郊外に位置するポートアデレードをスタートし、丘陵地帯を走って内陸部のリンドックにフィニッシュする145km。最高気温32度の真夏らしい暑さの中、午前11時にスタートが切られた。なお、アデレード近郊は週の中頃にかけて熱波が襲う予報が出ており、木曜日と金曜日の最高気温は40度まで上がる見込みだ。
ピープルズチョイスクラシックで落車し、右手を骨折したクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームスカイ)はDNS。さらに、ネオプロのビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)がスタートラインにつくことができなかった。UCIはUCIワールドツアーレース開催日の6週間(42日間)前までの居場所報告を選手に課しているが、チームに合流したばかりの20歳ランブレヒトがこのシステムにログインできたのは2017年12月15日のこと。つまり30日前に居場所報告を開始したランブレヒトに対し、UCIは報告違反としてダウンアンダー出走を認めなかった。ロット・スーダルはUCIに抗議したものの受け入れられず、チームは6名でスタートする事態に。
ポートアデレードをスタートしてすぐ飛び出したのは「山岳賞ジャージを着るために逃げる作戦だった」というウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)とニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)、スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)の3名。平坦な幹線道路で3名はメイン集団から5分ものタイムを稼ぎ出す。
この日最初の、今大会最初のKOM(山岳ポイント)はスプリントの末にドラミニが先頭通過する。UCIコンチネンタルチームからランクアップしたばかりの22歳ドラミニが今大会最初の山岳賞ジャージ着用の権利を得た。スバル社がスポンサーにつく水玉ジャージを手にしたドラミニは「暑さに慣れるために2週間前にオーストラリア入りしたおかげで問題なく走れている。これまでU23レースで逃げて山岳賞ジャージを着る経験があったけど、UCIワールドツアーレースでは初めての経験。挑戦した甲斐があったよ」と語っている。
やがて先頭からはボーデンが、続いてドラミニが遅れ始める。2012年に逃げ切りでステージ優勝を飾った経験のあるクラークがソロエスケープを続行したものの、ミッチェルトン・スコットやクイックステップフロアーズ、ボーラ・ハンスグローエがコントロールするメイン集団に残り10kmを切ってすぐ飲み込まれた。
サンウェブやロット・スーダルも加わり、フィニッシュに向かって加速していく大集団。クイックステップフロアーズやボーラ・ハンスグローエが集団先頭でトレインを組んだ残り1kmアーチ。最終コーナーで弾き出されたダニエル・ホールゴール(ノルウェー、エフデジ)が地面に叩きつけられる中、ちょうど1年前の同じフィニッシュ同じ第1ステージで勝利しているカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がそれぞれ別ラインから加速する。
残り150mを切ってユアンの後ろから加速したのは「かなりハイスピードなスプリントで、辛抱強く飛び出すタイミングを待ち続けた」というグライペル。遅れてスプリントに加わったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を振り切って、徐々にスピードを失うユアンとヴィヴィアーニを抜き去ったグライペルがその筋肉隆々の左手を挙げた。
グライペルが公開しているSTRAVAログによると、集団は残り7.5kmを平均スピード60.6km/hで駆け抜けており、スプリントの最高速は73.7km/h。ピープルズチョイスクラシックでフロントチェーンリング54Tを使用して緩斜面で失速したグライペルは、その日のうちに53Tに一旦戻したものの、その後再びメカニックにリクエストして54Tでこの第1ステージのスプリントに挑んでいた。
「暑さの影響でアグレッシブな展開にもならなかったし、数年間(3年間)欠席していたダウンアンダーでまた勝ちパターンに戻ることができて良かったと思う。最後はすべてのスプリンターチームが入り乱れる状態。チームは初日から1人(ランブレヒト)を欠いている状態だけど、残されたメンバーでスプリントをお膳立てしてくれた」と、ダウンアンダーでのステージ通算勝利数を17勝に伸ばし、オークル色(濃いオレンジ色)のリーダージャージに袖を通したグライペル。2017年のツール・ド・フランスではステージ0勝に終わったものの、35歳になった今もジャーマンスプリンターのスピードは冴えている。
新城幸也(バーレーン・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード)はそれぞれリードアウト役を担いながら集団前方でスプリントへ。最終コーナーで落車したホールゴールのすぐ後ろを走っていた新城は辛うじて落車を免れている。「ナヴァルダウスカスと一緒に前に上がっている時に、すぐ前で落車が発生。バイクを踏んで切り抜けた」と、ステージ68位で初日を終えた新城。
「マッズ(ペデルセン)でスプリントを狙う予定だったので隊列を組んで彼を引き上げましたが、リードアウトが機能なかった」と語るのはステージ19位でフィニッシュした別府。「大会初日でイージーな展開だったし、集団内が混沌とする状況になるのは予想していました。暑さの中でも脚は動いたし、このダウンアンダーでは良い走りができると確認できた」と別府は語っている。
UCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーが1月16日に開幕。初日は州都アデレードの郊外に位置するポートアデレードをスタートし、丘陵地帯を走って内陸部のリンドックにフィニッシュする145km。最高気温32度の真夏らしい暑さの中、午前11時にスタートが切られた。なお、アデレード近郊は週の中頃にかけて熱波が襲う予報が出ており、木曜日と金曜日の最高気温は40度まで上がる見込みだ。
ピープルズチョイスクラシックで落車し、右手を骨折したクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームスカイ)はDNS。さらに、ネオプロのビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)がスタートラインにつくことができなかった。UCIはUCIワールドツアーレース開催日の6週間(42日間)前までの居場所報告を選手に課しているが、チームに合流したばかりの20歳ランブレヒトがこのシステムにログインできたのは2017年12月15日のこと。つまり30日前に居場所報告を開始したランブレヒトに対し、UCIは報告違反としてダウンアンダー出走を認めなかった。ロット・スーダルはUCIに抗議したものの受け入れられず、チームは6名でスタートする事態に。
ポートアデレードをスタートしてすぐ飛び出したのは「山岳賞ジャージを着るために逃げる作戦だった」というウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)とニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)、スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)の3名。平坦な幹線道路で3名はメイン集団から5分ものタイムを稼ぎ出す。
この日最初の、今大会最初のKOM(山岳ポイント)はスプリントの末にドラミニが先頭通過する。UCIコンチネンタルチームからランクアップしたばかりの22歳ドラミニが今大会最初の山岳賞ジャージ着用の権利を得た。スバル社がスポンサーにつく水玉ジャージを手にしたドラミニは「暑さに慣れるために2週間前にオーストラリア入りしたおかげで問題なく走れている。これまでU23レースで逃げて山岳賞ジャージを着る経験があったけど、UCIワールドツアーレースでは初めての経験。挑戦した甲斐があったよ」と語っている。
やがて先頭からはボーデンが、続いてドラミニが遅れ始める。2012年に逃げ切りでステージ優勝を飾った経験のあるクラークがソロエスケープを続行したものの、ミッチェルトン・スコットやクイックステップフロアーズ、ボーラ・ハンスグローエがコントロールするメイン集団に残り10kmを切ってすぐ飲み込まれた。
サンウェブやロット・スーダルも加わり、フィニッシュに向かって加速していく大集団。クイックステップフロアーズやボーラ・ハンスグローエが集団先頭でトレインを組んだ残り1kmアーチ。最終コーナーで弾き出されたダニエル・ホールゴール(ノルウェー、エフデジ)が地面に叩きつけられる中、ちょうど1年前の同じフィニッシュ同じ第1ステージで勝利しているカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がそれぞれ別ラインから加速する。
残り150mを切ってユアンの後ろから加速したのは「かなりハイスピードなスプリントで、辛抱強く飛び出すタイミングを待ち続けた」というグライペル。遅れてスプリントに加わったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を振り切って、徐々にスピードを失うユアンとヴィヴィアーニを抜き去ったグライペルがその筋肉隆々の左手を挙げた。
グライペルが公開しているSTRAVAログによると、集団は残り7.5kmを平均スピード60.6km/hで駆け抜けており、スプリントの最高速は73.7km/h。ピープルズチョイスクラシックでフロントチェーンリング54Tを使用して緩斜面で失速したグライペルは、その日のうちに53Tに一旦戻したものの、その後再びメカニックにリクエストして54Tでこの第1ステージのスプリントに挑んでいた。
「暑さの影響でアグレッシブな展開にもならなかったし、数年間(3年間)欠席していたダウンアンダーでまた勝ちパターンに戻ることができて良かったと思う。最後はすべてのスプリンターチームが入り乱れる状態。チームは初日から1人(ランブレヒト)を欠いている状態だけど、残されたメンバーでスプリントをお膳立てしてくれた」と、ダウンアンダーでのステージ通算勝利数を17勝に伸ばし、オークル色(濃いオレンジ色)のリーダージャージに袖を通したグライペル。2017年のツール・ド・フランスではステージ0勝に終わったものの、35歳になった今もジャーマンスプリンターのスピードは冴えている。
新城幸也(バーレーン・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード)はそれぞれリードアウト役を担いながら集団前方でスプリントへ。最終コーナーで落車したホールゴールのすぐ後ろを走っていた新城は辛うじて落車を免れている。「ナヴァルダウスカスと一緒に前に上がっている時に、すぐ前で落車が発生。バイクを踏んで切り抜けた」と、ステージ68位で初日を終えた新城。
「マッズ(ペデルセン)でスプリントを狙う予定だったので隊列を組んで彼を引き上げましたが、リードアウトが機能なかった」と語るのはステージ19位でフィニッシュした別府。「大会初日でイージーな展開だったし、集団内が混沌とする状況になるのは予想していました。暑さの中でも脚は動いたし、このダウンアンダーでは良い走りができると確認できた」と別府は語っている。
ステージ成績
1位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | 3:50:21 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
5位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) | |
7位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | |
8位 | マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール) | |
9位 | ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、バーレーン・メリダ) | |
10位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | |
19位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | |
68位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) |
個人総合成績
1位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | 3:50:11 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:04 |
3位 | ウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | |
4位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:06 |
5位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
6位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:09 |
7位 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) | |
8位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 0:00:10 |
9位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) |
ポイント賞
1位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | 15pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 14pts |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 13pts |
山岳賞
1位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 10pts |
2位 | ウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | 6pts |
3位 | スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 4pts |
ヤングライダー賞
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 3:50:15 |
2位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 0:00:02 |
3位 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:05 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 11:31:03 |
2位 | アージェードゥーゼール | |
3位 | ミッチェルトン・スコット |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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