2017/12/18(月) - 09:15
12月16日(土)、赤坂シュビアにてエキップアサダイヤーエンドパーティーが開催され、浅田顕監督より今季の活動報告と2018シーズンのチーム体制が発表された。新城幸也、宮澤崇史ら世界トップチームでの経験を持つチームOBも駆けつけ盛り上がったその模様をお伝えする。
EQADSにチームウェアを供給するウエイブワンの中田明社長の乾杯により始まったイヤーエンドパーティーは、しばしの歓談の後、チームの活動報告へと続いた。チームのテーマは、世界のトップ選手達と同様のレース経験を日本の若手に積ませ、競争が激しい本場欧州を勝ち抜き、トッププロチームと彼らが契約を果たす事だ。
浅田監督は、選手の選定にあたり「国内に綺麗な走りをするちょっと強い選手は何人でもいます。でも、そんなレベルでは到底世界の壁は打ち破れない。もっと原始人のような走りをする選手が欲しいんです」と述べている。
その目標を目指す2018シーズンのEQADSのメンバーは、石上優大、渡邉歩、浜田大雅、蠣崎優仁、小笠原匠海、津田悠義、松田祥位、宇賀隆貴、新城銀二の9名と発表された。松田以下3名が新規加入となる。また、6月末の全日本選手権終了以後にブリヂストン・アンカーへ移籍した新城雄大が、シーズン途中をもってEQADS卒業となっている。津田は日本代表合宿中、宇賀は現所属チームのイベントにつき、当パーティーは欠席。
2017年のEQADSは、全日本選手権タイムトライアルの世代別レース2勝を含め、国内外で13勝を挙げたと報告された。国内チームと言うと、どうしてもJプロツアー参加のコンチネンタルチームに目が行ってしまうが、アンダー世代のみで固めるチームにおいてこの数字は、国内トップクラスの戦績だ。
2018年はそのJプロツアーへの参戦も表明された。ただし、チームの軸となる欧州でのレース活動を補う側面も強く、参加レース数は限定的なものとなりそうだ。
今季成績を世代別に見ると、まずU23世代の3選手が、海外で着実に成果を挙げたと言える。新城雄大が全日本TTU23を制すると、日本代表として9月にボルタ・シクリスタ・バレンシア第1ステージにも優勝。石上優大はフランスのラ・ロメット・シャイヨールで優勝、後半戦にはワールドチームも走るジャパンカップで21位に入りUCIポイントを挙げることに成功した。シーズン3勝を目標にしていた渡邉歩はフランスで2勝。目標に届かずも、浅田監督からは来季への期待の言葉が寄せられた。
石上は『アミカル・ヴェロクラブ・エクス=アン=プロヴァンス』に引き続き所属。渡辺は『チーム・シクリスト・モーニング』から、新城幸也もかつて所属した名門クラブチーム『GSCブラニャック』へと移籍する事も合わせて伝えられた。
同じくU23の浜田大雅は、3月のJBCF宇都宮ロードE3で勝利するも、膝の故障でその後療養に。後半戦に復帰するとJBCFのE2で優勝、昇格したE1でも2勝、全日本実業団トラックではポイントレースで優勝するなど、ロード/トラックの両面で存在感を示した。現在膝の状態は問題ないとのこと。
U17〜ジュニア世代に目をやると、津田悠義がノーマル装備のロードバイクで全日本選手権TTのU15+U17で優勝。空力特性に優れたTTバイクを駆る選手達全てを己の力のみでねじ伏せた走りは、観る者にインパクトを与えた。津田はこれに全日本ロードU17などを含め今季4勝を挙げている。
蠣崎優仁はツール・ド・ラビティビのジュニア部門でステージ2位、小笠原匠海はインターハイのポイントレースで2位など、パワーとスピードを身上とする2人は、複数のレースで上位入賞を果たしながら勝利まであと一歩のレースが続いた。今後は持久力強化など、ロードレースへの適応がより求められる。小笠原はジュニアでもう1年を残すが、蠣崎は来季からU23で戦うこととなる。
新規加入選手となる新城銀二、宇賀隆貴、松田祥位の3名はいずれもU23世代。那須ブラーゼンから移籍の新城銀二は、1997年生まれのため残り2年での参加となる。今年の2Days race in木島平村で総合優勝を遂げている。
宇賀と松田は99年生まれで、来季からU23を戦い始める年齡だ。フィッツからやって来る宇賀隆貴は、EQADSのトライアウトを通過した唯一の選手だ。秋吉台カルストロードレースE1優勝が直近での成績。岐阜第一高校の松田は、競輪用の大きなヘルメットを被って2016年の全日本選手権ジュニアを逃げ切り勝利した時以来、浅田監督の目に止まっていたと言う。今年の全日本TTジュニアは、U23王者となった新城雄大をも上回る、アンダー世代最速タイムでの優勝だった。
また、報告では浅田監督の日本代表チーム監督の側面として、ネイションズポイントを獲得して自力でツール・ド・ラヴニール参戦を果たした事も話題に上がった。総合最高位が雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)の39位と目標順位には到達しなかったものの、2016年の招待による参加、完走1名と言う結果から着実なステップアップを見せた。2018年のレースカレンダーにも当然ながら、最大の目標としてラヴニールは組み込まれている。
活動報告が終わった後は、恒例のお楽しみイベントへ。EQA極秘ファイルと称して所属選手の秘蔵写真や、ツール・ド・ラヴニールのちょっとしたトラブル映像などが露わにされた。これは当日参加者のみの特典ということで、一般公開はナシ。実際のところは、会場を和やかな笑いに包むような内容だったとだけ伝えておこう。
続いては、新城幸也が自らのグッズを提供し、抽選会を開催。パートナーでもある「エキップアサダ初代MC」飯島美和さんの久々の司会も加わり、会場を大いに盛り上げてくれた。
通算11回ものグランツールを完走したユキヤは、選手達の目標であると同時に憧れの存在でもある。EQADSの選手達にも抽選券が配られており、彼らが当選する度に「どうしますか!?」と聞かれると「欲しいです」と少々遠慮がちに告白し、グッズを我が物とした。
なおそのうちの1人、浜田大雅は一度辞退したものの、他の選手が嬉しそうにグッズを受け取る姿を見て、最後は「僕も欲しいです!」と申し出てグッズをしっかり手にしていた。ユキヤグッズはもちろんたくさん用意されており、ファンの皆さんの手にも渡ったのでご心配なく。
パーティーが終盤に差し掛かると、選手達の一言に続き、同じく会場に駆けつけていた宮澤崇史が挨拶。こちらも負けじと!?ピンクの派手なアフロとサングラスで登場し、皆を爆笑の渦に包んでくれた。前に出た瞬間、一発で決めてしまうのはスプリンターゆえか。
しかしそこは元トップレーサーであり、現監督でもある彼の事、「国内トップになるくらいで満足し終わってはいけない。自分やユキヤ、福島晋一と言った選手達はツール・ド・フランスに出たいと言う想いで切磋琢磨した。そこを目指して日々取り組んでほしい」と自らの熱い想いを、時に涙を浮かべながら後輩たちに伝えていた。続いて挨拶を行った新城も、それを受けて現役選手の立場から選手達を激励した。
最後に主催であるエキップアサダ後援会会長・田之頭宏明氏による挨拶を挟み、浅田監督が閉会に先立ち「私は選手達の親ではありませんし、親ほどの愛情はありません。私の望みは(選手やチームが)ツール・ド・フランスへ行くことです。そのために選手をレースの本場ヨーロッパに連れていき、鍛え上げるのが私の役目です」との言葉で締め、パーティーは閉幕。和やかな雰囲気の中にも、来季へ向けた緊張感がスパイスを添えた会となった。
EQADSにチームウェアを供給するウエイブワンの中田明社長の乾杯により始まったイヤーエンドパーティーは、しばしの歓談の後、チームの活動報告へと続いた。チームのテーマは、世界のトップ選手達と同様のレース経験を日本の若手に積ませ、競争が激しい本場欧州を勝ち抜き、トッププロチームと彼らが契約を果たす事だ。
浅田監督は、選手の選定にあたり「国内に綺麗な走りをするちょっと強い選手は何人でもいます。でも、そんなレベルでは到底世界の壁は打ち破れない。もっと原始人のような走りをする選手が欲しいんです」と述べている。
その目標を目指す2018シーズンのEQADSのメンバーは、石上優大、渡邉歩、浜田大雅、蠣崎優仁、小笠原匠海、津田悠義、松田祥位、宇賀隆貴、新城銀二の9名と発表された。松田以下3名が新規加入となる。また、6月末の全日本選手権終了以後にブリヂストン・アンカーへ移籍した新城雄大が、シーズン途中をもってEQADS卒業となっている。津田は日本代表合宿中、宇賀は現所属チームのイベントにつき、当パーティーは欠席。
2017年のEQADSは、全日本選手権タイムトライアルの世代別レース2勝を含め、国内外で13勝を挙げたと報告された。国内チームと言うと、どうしてもJプロツアー参加のコンチネンタルチームに目が行ってしまうが、アンダー世代のみで固めるチームにおいてこの数字は、国内トップクラスの戦績だ。
2018年はそのJプロツアーへの参戦も表明された。ただし、チームの軸となる欧州でのレース活動を補う側面も強く、参加レース数は限定的なものとなりそうだ。
今季成績を世代別に見ると、まずU23世代の3選手が、海外で着実に成果を挙げたと言える。新城雄大が全日本TTU23を制すると、日本代表として9月にボルタ・シクリスタ・バレンシア第1ステージにも優勝。石上優大はフランスのラ・ロメット・シャイヨールで優勝、後半戦にはワールドチームも走るジャパンカップで21位に入りUCIポイントを挙げることに成功した。シーズン3勝を目標にしていた渡邉歩はフランスで2勝。目標に届かずも、浅田監督からは来季への期待の言葉が寄せられた。
石上は『アミカル・ヴェロクラブ・エクス=アン=プロヴァンス』に引き続き所属。渡辺は『チーム・シクリスト・モーニング』から、新城幸也もかつて所属した名門クラブチーム『GSCブラニャック』へと移籍する事も合わせて伝えられた。
同じくU23の浜田大雅は、3月のJBCF宇都宮ロードE3で勝利するも、膝の故障でその後療養に。後半戦に復帰するとJBCFのE2で優勝、昇格したE1でも2勝、全日本実業団トラックではポイントレースで優勝するなど、ロード/トラックの両面で存在感を示した。現在膝の状態は問題ないとのこと。
U17〜ジュニア世代に目をやると、津田悠義がノーマル装備のロードバイクで全日本選手権TTのU15+U17で優勝。空力特性に優れたTTバイクを駆る選手達全てを己の力のみでねじ伏せた走りは、観る者にインパクトを与えた。津田はこれに全日本ロードU17などを含め今季4勝を挙げている。
蠣崎優仁はツール・ド・ラビティビのジュニア部門でステージ2位、小笠原匠海はインターハイのポイントレースで2位など、パワーとスピードを身上とする2人は、複数のレースで上位入賞を果たしながら勝利まであと一歩のレースが続いた。今後は持久力強化など、ロードレースへの適応がより求められる。小笠原はジュニアでもう1年を残すが、蠣崎は来季からU23で戦うこととなる。
新規加入選手となる新城銀二、宇賀隆貴、松田祥位の3名はいずれもU23世代。那須ブラーゼンから移籍の新城銀二は、1997年生まれのため残り2年での参加となる。今年の2Days race in木島平村で総合優勝を遂げている。
宇賀と松田は99年生まれで、来季からU23を戦い始める年齡だ。フィッツからやって来る宇賀隆貴は、EQADSのトライアウトを通過した唯一の選手だ。秋吉台カルストロードレースE1優勝が直近での成績。岐阜第一高校の松田は、競輪用の大きなヘルメットを被って2016年の全日本選手権ジュニアを逃げ切り勝利した時以来、浅田監督の目に止まっていたと言う。今年の全日本TTジュニアは、U23王者となった新城雄大をも上回る、アンダー世代最速タイムでの優勝だった。
また、報告では浅田監督の日本代表チーム監督の側面として、ネイションズポイントを獲得して自力でツール・ド・ラヴニール参戦を果たした事も話題に上がった。総合最高位が雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)の39位と目標順位には到達しなかったものの、2016年の招待による参加、完走1名と言う結果から着実なステップアップを見せた。2018年のレースカレンダーにも当然ながら、最大の目標としてラヴニールは組み込まれている。
活動報告が終わった後は、恒例のお楽しみイベントへ。EQA極秘ファイルと称して所属選手の秘蔵写真や、ツール・ド・ラヴニールのちょっとしたトラブル映像などが露わにされた。これは当日参加者のみの特典ということで、一般公開はナシ。実際のところは、会場を和やかな笑いに包むような内容だったとだけ伝えておこう。
続いては、新城幸也が自らのグッズを提供し、抽選会を開催。パートナーでもある「エキップアサダ初代MC」飯島美和さんの久々の司会も加わり、会場を大いに盛り上げてくれた。
通算11回ものグランツールを完走したユキヤは、選手達の目標であると同時に憧れの存在でもある。EQADSの選手達にも抽選券が配られており、彼らが当選する度に「どうしますか!?」と聞かれると「欲しいです」と少々遠慮がちに告白し、グッズを我が物とした。
なおそのうちの1人、浜田大雅は一度辞退したものの、他の選手が嬉しそうにグッズを受け取る姿を見て、最後は「僕も欲しいです!」と申し出てグッズをしっかり手にしていた。ユキヤグッズはもちろんたくさん用意されており、ファンの皆さんの手にも渡ったのでご心配なく。
パーティーが終盤に差し掛かると、選手達の一言に続き、同じく会場に駆けつけていた宮澤崇史が挨拶。こちらも負けじと!?ピンクの派手なアフロとサングラスで登場し、皆を爆笑の渦に包んでくれた。前に出た瞬間、一発で決めてしまうのはスプリンターゆえか。
しかしそこは元トップレーサーであり、現監督でもある彼の事、「国内トップになるくらいで満足し終わってはいけない。自分やユキヤ、福島晋一と言った選手達はツール・ド・フランスに出たいと言う想いで切磋琢磨した。そこを目指して日々取り組んでほしい」と自らの熱い想いを、時に涙を浮かべながら後輩たちに伝えていた。続いて挨拶を行った新城も、それを受けて現役選手の立場から選手達を激励した。
最後に主催であるエキップアサダ後援会会長・田之頭宏明氏による挨拶を挟み、浅田監督が閉会に先立ち「私は選手達の親ではありませんし、親ほどの愛情はありません。私の望みは(選手やチームが)ツール・ド・フランスへ行くことです。そのために選手をレースの本場ヨーロッパに連れていき、鍛え上げるのが私の役目です」との言葉で締め、パーティーは閉幕。和やかな雰囲気の中にも、来季へ向けた緊張感がスパイスを添えた会となった。
EQADS 2018年所属選手(世代順)
石上優大 | 海外クラブ派遣 | U23 |
渡邉歩 | 海外クラブ派遣 | U23 |
浜田大雅 | 正所属 | U23 |
蠣崎優仁 | 正所属 | U23 |
松田祥位(新加入) | 正所属 | U23 |
宇賀隆貴(新加入) | 正所属 | U23 |
新城銀二(新加入) | 正所属 | U23 |
小笠原匠海 | 正所属 | ジュニア |
津田悠義 | 準所属・高体連 | U17 |
text&photo: Yuichiro Hosoda
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